6殺 ルピーと返り血
投稿スピードが遅れてしまい申し訳ございません。すこしこちらの用事が忙しいもので・・・
さて、今回はゾンビ退治後ということで、どうなるのか・・・
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ゾンビとの戦闘を無事終え、村に生還したは良いものの、空は少し赤みがかっていて雲がぼんやりと見えている。まだ月の跡がほんのり見えているのでまだ早朝らしい。
俺達はあの激しい戦闘を潜り抜けたわけだが、かなり体力と気力を消耗した。腕は重力に従うがままだらんと垂らし、猫背で足取りは重く村の中を徘徊している。
周りを視認できるのは5メートルが限界だが、ミヤの店に何故か向かわねばという感情に突き動かされて、足を進める。当然会話はない。
「あ、ここっぽいな・・・ゆうき、ミヤの店についたぞ」
見慣れた木造建築の店が目の前にあったのでゆうきに声をかけるも、ゆうきは半分寝ていて、惰性的に歩いていた。
「ん・・・ でもまだ準備中って書いてあるよ・・・」
「あ、ほんとだ。どっかで仮眠でも取ろうか・・・」
当たり前だが、店が開いているはずもなく仮眠をとるという意見にお互いが同意する。そして、話し合わなくともゾンビを討伐する前に昼寝をした、干し草のあたりに移動する。
「ふー--・・・ とりあえず無限に寝よう。死ぬほど疲れたよ・・・」
ゆうきが辺りの干し草を集め、簡易的な布団のようなものを作成してくれた。香ばしく草の良い匂いがする。
「うん。気が済むまで寝よう。じゃ、おやす・・・ ってもう寝てんのかい」
となりでゆうきが白目をむいて寝ている。もしかして死んでる??? 俺もはよ寝よ・・・
””””””””””
「ふぉぉぉぉおおぉぉ・・ ふがふが・・・ I'll be back again ・・・」
思いっきり背伸びをしながら、我ながら本当に訳の分からない言葉を発して、起床する。
周りを見渡す前に、まぶしい光に目をやられる・・・ 成程どうやら昼っぽいね。家畜の声が活発に聞こえてくるし、小鳥の鳴き声もやかましい。
「おーい、ゆーきさん。昼でございますよ。起きんなましー-」
今度は俺がゆうきを起こす側になってしまったなと考えていると、ゆうきがふがふが言いながら目を覚ます。やっぱこの子俺と似てるわ。
「うー-ん。昼か・・・ これから何する???」
「あぁ、一旦ミヤの店にいこう。なにかしらの情報が欲しいし・・」
ゆうきはまだ寝ぼけているらしく、俺の後ろの服を掴みながら移動する。子供をあやしているみたいだが、ミヤの店に入り、「こんちはー-」 とミヤを呼ぶ。
はー--い!! と元気よく声がしてドタバタと足音がする。
「あ! ジャスタさんいらっしゃい・・・って きゃぁぁぁぁぁああぁぁぁぁ!!!!!!!!! どどど、どうしたんですかそれ!!!!!」
ミヤが俺の恰好を見るなり、悲鳴を上げて、その場にへたり込んだ。俺の服をふるえる指で、指差し涙目を浮かべている。
「ジャスタがどうしたの・・・ って うわわぁぁぁぁぁああぁあぁぁ!!!!」
え?? ほんとにどしたの皆??
「俺の恰好がおかしい?? 前の方でも開けてた???」
「ちちち、違いますよ!!! なんで全身血まみれなんですか!!!!???? あとしっらっとセクハラしないでください!!」
ジョーク交じりに言ったのが功を奏したのか、ミヤがパニック状態から若干正気に戻った。
「あぁぁ・・・ びっくりした・・ 相方が血まみれでびっくりしたよ・・」
気づいてなかったんかい。こいつも大概鈍感だよなぁ・・
「そらぁ、ゾンビ4体もあの世に送ったんだから、返り血で血まみれにもなるよ。 ん?? ゾンビって死んでるから、どういう表現が一番適切なんだ???」
俺は天井を見上げ、表現方法を模索する。うー-ん、血なまぐさいなぁ・・・
「まぁそうだけど・・・ 君よく、そんな平然としてられるね・・・普通なら失神ものだよ??」
俺たちの会話に、口を開いてポカーンとしているミヤ。キュッと絞められていた三角巾が、右側に傾いている。するとミヤがいきなりハッとした表情になる。
「って!!!! ゾンビを退治したんですか!!!??? それも4体も??!!」
ミヤがカウンターに身を乗り上げて、興奮してこちらに話す。文脈が倒置法を使っている辺り、本当にびっくりしているんだろう。
ミヤの反応に俺達は、お互いに目を見合わせ
「ゾンビってそんなに凄いんですか??」
っとミヤに尋ねる。
「あ、あったり前ですよ!!! ゾンビたったの1体で、パーティーを普通に壊滅できるんですよ??それを4体もだなんて・・・ 凄すぎますよ!!」
ミヤのこの反応に俺たちは、少し身を引いて驚く。そんなに強い相手だったとは・・・
「えっと・・ その様子だと酒屋にまだ報告に行ってないですよね? 酒屋に退治したと報告すればルピーと変えてもらえますよ??」
え?? まじ
「え!! それって本当?? ルピーと変えてくれるの??」
「え、ええ。そうですよ。今回はあのゾンビを退治したということなので、かなりの額のルピーをもらえると思いますが・・・」
はい。頂きました。俺らの勝ちで御座います。
「ホント!!! ジャスタ今すぐ酒屋に行って報告しに行こうよ!!! ルピーだよ!!」
「あぁ、ここでグズグズしてる場合じゃねえ!! ダッシュで行くぞー! ありがとうミヤ!」
俺達は疾風の如くの速さで、店を飛び出ると、いっそいで酒屋に向かう。もう血なんて気にしてられない。
「うぉぉぉおおぉおぉ!!!!! 金じゃ!!金じゃ!!!」
欲望にまみれた言葉が村中を木霊する。
”””””””
ドゴン!!!! と酒屋の扉を蹴破り、俺達は即座に受付席へと着席する。周りの客がざわついているが気にしている場合ではない。我ながら清々しいほど、欲に忠実である。
「えー-と・・・ 治療しましょうか?? それとも憲兵を呼びましょうか??」
血まみれになった俺を見て、いつもの担当の人が驚いた様子でこちらに話す。
「いえ、ルピーでお願いします」
俺達はにっこり微笑んで担当の人に、語りかける。
「えー-と・・・ 強盗の方でしょうか??」
まさかの強盗と間違われるとは・・・ まぁいきなり血だらけの男が入ってきたら、そうなりますよね(笑)