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5殺 固定概念の怖さ

皆さんどうも。今回は5話目でございます。ようやくゾンビとの戦いが始まりますよ!

こうしてパソコンで小説を書いてると、かなりタイピングが早くなります(笑)


*感想、評価、ブックマークをしてくれるととても嬉しいです。何卒宜しくお願い致します。

「行きたい所? 行きつけの場所でもあるのかい?」



いよいよ装備も決まり、ジョブも決まって、倒すべき相手も決まっている。あとは英気を養うだけであるが、余韻に浸る時間を奪ってまで、行く当てがあることにゆうきは若干驚いて俺に尋ねる。



「ああ、といってもあいさつ程度だよ。今後ともそこで商品を買うことになるからな。」



「商品・・・ ということはお店だね。でも、お店ならそこら中にあるよ?」



ゆうきは不思議そうに尋ねる。たしかに酒屋辺りでは、無い店はないだろう。だが俺はどうしてもあの店が気に入っているのだ。



「まぁ、ゆうきの言う通りなんだけどね。俺が贔屓にしようとしている店だよ。とてもいい店だから、ぜひ君に紹介しようと思ってね。」



「そういうことなら、面白そうだし行ってみようかな・・・」



よし、決まりであるな。




                  ””””””””””””  





「かなり酒場から遠くなったね。この辺りは畑か、農場しかないよ??」



俺は、いいからいいから、とゆうきをなだめる。牛のような独特の匂いと、畑のどこか懐かしい匂いが強くなる。この世界に初めて来たときもここを歩いた。大きな農場が見えてきたので、今度はここを左折する。するとポツンと小さな木造建築の店が見える。看板に申し訳なさそうに、「万代屋」と書いてあるのが見える。



「この店かい? ずいぶんと小さい店だねー?」



ゆうきは、この小さな看板が気になったのか、腰を追って座り、看板をコンコンと叩く。すると、



                  バキっっ!!




小さな看板に似合わず、低く鈍くわりかし大きな音とともに、看板が根元から折れる。



まずい、非常にまずい。ゆうきがしゃべらず大粒の汗をかいている。汗が一滴地面に落ちたと同時に、ゆうきがおもむろに立ち上がり



「さて、酒屋でアイスらしきものでも食べますか・・・」



と白々しく答え、大きく背伸びをする。



「いや、逃がさねーよ?? てかアイス食べる金すら惜しんだよ、今はな。」



最後まで抵抗するゆうきを、掴んで店に入れ込む。外のドタバタ劇が聞こえていたのか、俺が呼ぶ前に「はー---い!!」と大きな声とともに足音が聞こえる。ゆうきがムンクの叫びのような顔をする。どっかで見たなぁ。



「あ!! ジャスタさんじゃないですか!! いらっしゃいませ!! なんでもピアニストになったとか」



例のごとく元気よくミヤが飛び出す。うー-ん・・・ここまでピアニストの噂が広がっているのか。おそるべし田舎町。



「いや・・・実は俺は、ピアニストではなくジョブ選択者ですよ。今回は連れを紹介しようと思ってね。」



「ん?? あぁ! お連れさんの方ですね!! よくお越しいただきました。私の名前はミヤです!!この小さな万代屋の店主をしているんですよ! どうぞ御贔屓に!!」



目の前に頭巾を被った美少女が、元気よく挨拶をしてくれる。まったく悪気のなく彼女はにこにことほほ笑んでいる。俗に言う営業スマイルとは、かけ離れた彼女の笑顔がゆうきに刺さる。刺さる。



「おい、勇気出して自己紹介しろよ・・・お前の名前が廃るぜ・・・」



「無理無理無理。僕はなんてことを・・・あぁ罪悪感で死にそうだよ」



あくまで、小声でミヤに聞こえないように話す。うん。その本当に気になってる表情やめてくれ。ください。あまりにもピュアすぎてうちのゆうき君が泣いちゃうでしょ??



「あの・・・改めまして、僕の名前はゆうきです。ジャスタとは友人で、今夜ゾンビ退治に行かさせていただきます。あの・・本当に・・・すいませんでした!!!!!!!!!」



「すんませんでした!!!!!」



俺達は床に頭を打ち付けてその場で、土下座をする。ドンと音を立てるのだが、ゆうきなんか床に頭をこすり付けている。 かわいそーに




                ”””””””””   




何があったのかを詳細に説明する。すべてを聞き終わったミヤは大きく笑う。



「あははは! 別にそんなことで怒ったりしませんよー--??」



うーん。可愛い。心が癒される。これにはゆうきもほっとして表情だ。



「それより、さっきゾンビ退治に行くとおっしゃってましたね? 夜は暗いのでうちの店で松明でも、買っていかれたらうれしいです!!」



「松明か・・・確かに夜は暗いからな。うん。何個か買っていくよ」



この辺は田舎なので街灯はなく夜になると、村の外は当然暗くなるそうだ。魔法腕時計があるのだが準備することに越したことは無い。用意周到というジャパンのコトワザがある。



「3本松明を買わせてもらいますよ。えー-と合計は900ルピーと・・・」



ゆうきが財布を取り出し、松明を買う。2本で十分なのだが、おそらく1本多めなのは罪悪感からだろう。



「ありがとうございました! またいらして話を聞かせてくださいね??」



俺達は店を後にし、しばらくこの田舎の風景を眺めることにした、聞けばゆうきは都会出身なので田舎の風景が珍しいらしい。緑が辺り一面に広がり、地面が一直線になっている町をあまり見たことがないようだ。煙草を探すがどっかに落としたらしい。体をペタペタと触っても反応がない。仕方ないので、俺も、干し草にもたれ、腕を頭の後ろに組み景色を眺める。煙草があれば最高だったな。



少し二人で昼寝をする。小鳥のさえずりが心地よい。




                  ””””””””



「ジャスタ起きて」




ゆうきの声に目が覚め、あたりが暗い。ゆうきが早速買ったばかりの松明を点けている。



「ん・・? ああじゃあま、行きますか」



村の外に出るまで少しかかるので、ゆうきと雑談で盛り上がる。10分程度歩き、柵を潜り抜ける。さていよいよ戦闘が始まるのである。



ゆうきが何故か、松明の明かりを消す。



「え・・何で消すん? こっから本番だぜ??」



「だって、もったいないじゃないか。今の所持金たったの1000ルピーだよ? 節約しようよ。」



ジャパニーズモッタイナイである。実際その考え方は各国で称賛されており、ノーベル賞を受賞する言葉となったのだが、今することではない。



「それに見てよジャスタ! 魔法腕時計を起動してマップを開くと、ホログラムがでるでしょ? それがわりかし明るいんだよ??」



ゆうきの言うと通りマップを起動して地面を照らすと、なかなかどうして明るいのだろう。スマホのホーム画面を光源として、夜にお茶を飲みに一階に降りたことが多々ある。あの感覚に近いな。



そんな感じで散策していると、なにか禍々しい雰囲気になる。さっきまでホンワカしていた村の雰囲気と異なるので俺にはすぐに分かった。



「ゆうき、やっぱり松明をつけてくれ。なにかいるぞ。」



俺の合図にゆうきは真剣な顔つきとなり、松明をサイド点けると共に、腰に差してある。短剣を互いに抜く。俺が手で合図し、互いに中腰となってあまり物音を立てないようにする。



「ビンゴだ。やっぱりなにかフラフラと歩いている。見えるか?」



俺がそう尋ねるとゆうきが、短く首を縦に振り、俺にこたえる。



「うん。こんな夜に、松明を点けずにふらふら歩いているなんておかしい。ゾンビだね。」



「よし、覚悟を決めよう」



俺はそういうと、短剣を駆使して潜り抜けた仕事を思い出し、ナンバ歩きに切り替える。右足と右手、左足と左手、同じタイミングで出すことにより、衣服の摩擦を軽減し音を殺すことができる。さながら仕事をしているような気分になる。うしろにはゆうきがスタンバイしている。



殺った。 念のためゾンビの口元にハンカチを当てて、短剣で頭を一突きする。これで周りにはバレたことだろう。いったんゆうきと共に距離をとって・・・・と考えていると。



「ジャスタ!!!! 後ろ!!」



ゆうきの声を聴くと同時に後ろを振り向く。すると目線の少し上程度に鉄の塊が見える。俺は反射的にそれを、居合切りのような感じで振り抜く。




               ガキョーーーン!!!!




少し鈍い音がした後に少し遅れて、金属特有の甲高い音が聞こえる。後ろに飛び、やつの顔を見ると、驚くことにゾンビである。ゾンビが剣を地面に押し当てている。まさかそれで俺に攻撃したのだろうか?



「くっ・・・手が痺れやがった・・ゆうき一旦距離をとるぞ!!! こいつら多分馬鹿強いわ!!」



そういうと、俺達は距離をとるために全力で走った。十分に距離をとった後ゆうきと情報を交換しあう。



「まじかよ!! あいつら馬鹿強いでないか!! まだ手が痺れてるぞこれ!」



ジャンプしての一太刀、簡単そうに見えるが、脇をしっかり閉め腰を回しての一撃であった。腰と手が連動した一撃だったので、いつまでも骨の髄に響いている。



「それにあいつらの顔めちゃくちゃ怖かったよ・・ 目が解けててさ髪の毛は乱雑に生えてて、血まみれのやつがいてさ・・・・」



「おっと、それまでだ。てかゾンビの顔怖いなあ・・・それにゾンビって弱いんじゃないのかよ?? 動きが鈍くて、知能がないとか・・・ あれ、明らかに連携とってたよな?」



「うー-ん。どうやら僕たちの世界と常識が違うみたいだなぁ。実際に、ゾンビと対峙したことなかったし。」



それもそうである。ゾンビの習性なんて所詮、俺たちの固定概念でしかなかった。だがこれはまずい。このままだと、こっちがやられる。そう思っていた矢先。



「え? なんか2体ほどこっち来てね? ちょっとジャスタさー-ん!!?? 出番ですよ!!」



「まじかよ!! 足跡探してここまで来やがった!! 罠仕掛けるべきだったな??これ」



「あー--!! もうやるしかねぇええええ!! ゆうきは自分の身を守ってろ!!」



「I SEE! GOOD LUCK ! 」



「英語話せるんかよ!! って目の前にいらっしゃる!!」



息を整え、事前に買っておいたナイフで1体目の頭に狙いを定めて、思い切りナイフを投げる。ヒューー!と甲高い音を立てたナイフは、当然のごとく右へ避けられる。



「まぁ、だよな! だが、殺し屋相手にそれは悪手なんですわ!!」



右へ避けられるのは事前に分かっていたので、予測した方向に肩を押し付けて、相手の体制を崩す。そして相手に体を預けるようにして、頭に一突き。



馬乗りのような体制になったのだが、なんとか1体目を退治するも、2体目がいるので油断はできないと思っていた矢先・・



禍々しい気配を感じたので、また居合切りで対応する。



               ガッッキーーン!!!




「ッチ!!!!  クソ痛っぇ!!」



痛いんだよ君たちの太刀筋。ほんとに辞めてくれませんかね?? 泣きそうです。



しびれる手を後回しにし、このゾンビと対峙する。強そうだなぁ・・・



ゾンビの方から仕掛けてきた。どの太刀筋も迷いがない。突きに至っては早すぎて、もはや感覚でよけている。相手の太刀筋を見切った所で、俺は短い刃先に不安を覚えながらも、刃を少し斜めに持ち替える。



面が飛んできたので。刃を斜めに向けたまま相手の刃を受ける。相手がほんの少し滑ったと当時に、自分の短剣を左に引き抜く。受け流しという技術である。



そのまま、間髪入れずに相手の頭に刃を通す・・・・・



「ふー---。なんとか勝てたな・・・手がものすごく痛い」



「やったね! ジャスタ僕は信じてたよ!!」



ゆうきがこっちに来て嬉しそうにも、心配した表情で話す。まぁ君も良く逃げずに待っててくれてたな。



「でも、ぎりぎりだったよ。集団で来られたらまじで勝てないな。」



痺れている手を見つめながら、短剣についた血をハンカチで拭き取る。



「うん・・いったん村に戻ろうか・・・ さすがに疲れたでしょ。」


嵐が去った後は決まって、静かになるものである。このまま村に帰らなくては、帰るタイミングを失ってしまう。ここはゆうきの言うとおりにしよう。



「うん。ほかのゾンビに気づかれないようにそっと帰ろう・・・」



これまた、魔法腕時計のマップを光源に村の柵まで戻る。途中危なっかしいこともなかったので、胸をなでおろしながら村の柵を潜り抜ける。



村は少し明るくなってた。



「仲間を募集しようよ。分からないことだらけだよ。」



そうだね・・・そうしよう。












いかがだったでしょうか??  いやー戦闘シーンはイメージが掴みやすく、書きやすかったです。


次回は6話目です。読んでいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 続き読ませてもらいました。 緊迫した戦闘シーンがかっこよかったです。そして、その合間合間のギャグも面白いですね。 本格的に書かれていて感心しました。 すごいです
2022/02/10 18:51 退会済み
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