4殺 戦の準備と表現の自由
えー-と 少し投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
今回は戦の前準備ということで、色々なものを揃えるそうです。書いてる途中、外から石焼き芋のトラックが通っていました。
美味しそうです。凄く美味しそうです。
* 感想、評価、ブックマークをして下さるととても嬉しいです。よろしくお願いします
エリアの馬鹿でかい声が脳内に木霊する。確実に音量ボタンをマックスにして怒鳴り散らかしていることだろう。 しかし俺はエリアのその声に当初の目的をハッと思い出す。
「そうだよ!! 俺は魔王を倒さなきゃならないんだよ!!!」
「当たり前でしょ!! ピアニストになってる場合じゃないんだからね!! 早速行動なさい!!」
ゆうきにはこのエリアの声は聞こえていないようだ。真夜中で隣の友人が大声を張り上げているのを、不思議に眺めている。暑いので窓を開けて寝ていたのだが、近所迷惑になるのでゆうきが窓を閉める。
「だがな大佐、何をすればいいのか全く分からないのだが? その辺をちゃんと教えてもらおうか? 俺は何をしたらいいのだ??」
ゆうきが窓を閉めたので、声のボリュームに気を付けながらエリアと話す。
「いいだろう。ジャスータ。だがまず、ジョブ選択をしろ。あのテツヅキの2時間をパアにするつもりか?」
「了解だ大佐。ミッションを開始する。その次はなにをしたら・・・」 そう言いかけたとき
「あいうえお! あいうえお!」
おい、そこまでリアルに表現せんでもいいだろ・・・ あーゆうきがますます不思議そうな目でこちらを眺める・・・
「エリア様が退出しました。」
またこれだよ・・・
「ジャスタ今のって・・・ 魔王を倒すの??」
「え? ゆうき、転生する前に全身白色の天使に説明されなかったのか???」
ゆうきが不思議そうに首をかしげながら、窓を開けつつこちらに話しかける。
「天使様はいたけど、マッサージチェアで遊んでて・・・適当にやっててー- て言われたよ」
おい、職務怠慢でないか。よくそんなんで生きていけるな?? いやあの人、生物学的にどういう立ち位置なのかいまいちわからんな・・・
「あー--・・・ じゃあこれからの目標を簡単に教えるよ」
俺は寝る前にゆうきに軽く説明する。こんな大事なことを伝えないのかよ? とあの天使に落胆しながら、君が行くなら僕も行くよと同意してくれた。さて明日から本番だ。
翌日になり、俺達は颯爽と酒場の受付に顔を出す。担当の人がすぐに来てくれて話をつける。
「おや? 本日はどうされましたか? ピアノは今日も弾かれるんですよね?」
うー-ん・・・完璧にピアノの人たちになってるなこれ。すると、ゆうきが咳ばらいをし、担当の人に丁寧な口調で話す。
「あの、実は前のジョブ選択をまだしてなくてですね。今回はジョブを決めようと思ってて」
「あー-! 確かに! まだご決定なされてませんでしたね・・いやはやうっかり。ではジョブ選択に当たりご説明させていただきますね。」
担当の人がジョブ一覧の紙を持ってきてくれて、俺たちはそれにくぎ付けとなる。朝はまだ早い。時間がかかるならかかってこい。
身構える俺たちに担当の人が、焦りいえいえ、今回はそんなに時間は掛かりませんよと繕う。ん? 「今回」は?? まあ聞かなかったことにしよ。
「えーとまずは、この間の適性検査を元に適性のジョブを選んでもらいます。本来ジョブはかなりの数があり、すべて説明するのにかなりの時間がかかってしまいます。」
「なるほどその為の2時間だったんですね」
ゆうきが感心したように話す。うんでも項目ふざけてたけどね??
「ええ、その通りです。ではまずジャスタさんから。ジャスタさんは全体の評価が高くかなりのジョブが選べるのですが、今回は初見ということなのでおすすめを紹介します。」
「それは有難い。なにぶん何にも分からないので助かります。」
ほーこれは有難い。数を絞ってくれるのなら決めやすいではないか。
「ではまず、剣士、ファイター等がおすすめです。この二つはシンプルなジョブで、正面戦闘をメインに行っていきます。剣士はなんとなくわかると思うのですが、ファイターはどの場面においても役に立つジョブです。得意な武器が明確には決まっておらず、用途に分けて使うことができます。」
ほう。なんとなくだが、ファイターが役に立ちそうだなと頭の中で思考がまとまっていく。
「ただ、弱点としてあまり魔法を覚えることができません。あくまで物理攻撃がメインとなります。」
「なるほど。ふむ・・・ほかには何かおススメはありませんか?」
俺がそう聞いたとき、担当の人が目線を逸らし言いにくそうにする。その様子に俺達は、お互いに目を合わせ何事かと考える。
「あ、あとジャスタさんに完璧に合致しているジョブは・・・言いにくいんですが、アサシンというジョブになります。」
・・・その言葉を聞いて俺は目が点になる。この世界でもあの家業を続けられるのか。もうやめにしようと思っていたのだが、あれだけ人を殺しておいて途中下車など虫が良すぎるという話か。
「そのジョブにします。」
俺が短く、それでいて意志のある返事をすると担当の人が驚いて、弱点を慌てて説明する。
「アサシンというのは、敵の裏に回り短剣やナイフ等で敵を一撃で仕留めるジョブです。魔法やスキルは、敵の目を欺けたり騙したりという物が多いです・・・決まればカッコいいことこの上なしですが、その実失敗すると確実に死ぬと、恐れられているジョブです。実際ジョブ選択者の中でも圧倒的な、死亡率をほこる物・・・言葉を選ばず言うなら最悪のジョブです」
当たり前である。殺し屋が失敗すれば死ぬのは、どの世界でも常識である。その世界で何年も生きてきたのだ、今更である。
「そうですね。だけども私はそれにいたします。」
ゆうきと担当の人が目を見合わせるも俺の意志は変わらない。
「まあ、確かにジャスタさんの適性検査での結果は妙に、俊敏性と残忍性が高かったです。天職と言えば天職でしょう。ではジャスタさんのジョブは、アサシンとします。」
担当の人がそういうと体が熱くなる・・・これでジョブが決定されたのだろうか。
「では次にゆうきさんですね。ゆうきさんの適性結果での結果は、平均値が少し高い印象でした。とりわけ体力が高いので、先ほど説明したファイターが適任かと思われます。」
ゆうきが此方に目を向けどうしようと尋ねる。
「あまり分からないことだらけだし、担当の人の通りでいいと思うぞ??」
「そうだね。じゃあ僕はファイターになります。お願いします」
「ではゆうきさんは、ファイターですね。あ、あと少しだけ他のジョブについて名前だけでもお知らせしますね。」
担当の人がそう言うと、ゆうきの体が熱くなった。やはりこれがジョブ選択完了の合図か。
「あとは、魔法使いですね。魔法使いは大きく分けてアタッカーと、ディフェンダーの二つに分かれます。また弓を操るアーチャー、アーチャーの上位互換のヒットマン。更にはクロスボウを主に使い、罠を使い分ける罠師など・・・数多くのジョブが存在します。」
はへー-いろいろあるんだなぁと感心していると、次は担当の人が、液晶画面のある腕時計を出してきた。
「ん? これア○○○ウォッチみたいな・・」とゆうきが言いかけたので慌てて口をふさぐ。ふーアブナイ。
「こちらの液晶をタップしていただくと、メニュー画面が開きます。使い方は簡単なので軽く説明しますね。まずこの人体のマークをタップしていただくと、持ち主の健康状態が表示されます。ダメージを受けたり、異常状態になるとどこがどうなのか、教えてくれる機能となっております。」
おお。ほんとに人体の状態が表示される。これには俺達男の子は興奮せざる負えない。こういうのあこがれてたんだよなぁ。
「てか、これ血圧まで測れるよジャスタ! 本当にア○○ウォッチ見た・・・」
又もやゆうきの口をふさぐ。ふーホントニアブナイ・・・
「では次にこの四角の画面をタップしていただくと、ここいら全ての地図が表示されます。持ち主は赤色のアイコンで示されているので分かりやすいかと。」
タップするとホログラムが投影される。自分の顔の約四分の一程度だろうか。アイコンも赤く表示され自分の動きとリンクしている。やば超楽しんですけど??
「最後に、ライトの画面をタップしていただくと魔法腕時計が光りますよ。もっともかなりの充電を食いますが」
「やっぱりア○○○・・・」 また口を塞ぐ アブナイナーモウ。
「では、これで手続きは完了です!!! ちなみに魔法腕時計はマジックポイントを使用して充電できますよ。お疲れさまでした! それでは良い旅を!!」
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終わったのは良いが、何をしたら良いのやら、そうだこういう時にエリアだよな。そうと決まれば早速やつを呼ぼう。エリアを呼ぼうとしたとき何やら酒屋が荒れている。事情を聴きに行ったゆうきが帰ってきたので何があったのかを聞くことにする。
「どうやら最近、村を出たあたりにゾンビが大量に発生しているみたいだね。数が多いし、夜の間しか活動しないからどうも厄介らしい。」
「ふーん。ゾンビか・・・この辺で沸くということはそんなに強くないのかな?」
初期の所にいるモンスターは弱いと相場が決まっている。とりわけ強くないのなら俺達が倒して、ジョブ選択者の生活に慣れるのもいい手だろう。
「倒しに行くならそれ相応の装備でなくちゃね。酒屋の近くに武器屋があったはずだから、覗いてみようよ!」
ゆうきがウッキウキでこちらに尋ねるが、俺はあまり乗り気ではない。金が10万ルピーしかないので、どうせロクなものが買えないだろう。
「まあ、覗くだけでも行く価値はあるかもな。えーと、武器屋はこっちか。」
もう昼過ぎなので人々が、活発に活動している。武器屋辺りの日用品売り場はいつも奥様方でいっぱいである。反対にジョブ選択者が行くような店は、あまり客足が良くない。こんな田舎町では同業者は余りいないということか。
「こんにちはー! 武具のことで相談が」
ゆうきが元気よく店の戸を開ける。店の中はそんなに広くなく、様々な武器が置いてある。中でも高そうな武器はショーケースの中に入れてあり、さながら宝石店のようである。
ゆうきの声に反応した店主が此方を見る。見た目は中年だが、体は鍛えられており身長も高い。
「おお久しぶりのお客さんだ! さぁさぁ見てくれ。品ぞろえはなかなかなものだよ」
あったり前だが、武器全般は高い。鉄の剣が5万ルピーもする。命のやり取りをするので当たり前でもあるのだが、ゆうきは値段を見た瞬間残念そうな表情をする。
「おい、まさかたったの10万ちょいで武具が買えると思ってたのかよ・・・ 元の世界でも銃はおろか、弾代だけでもめちゃくちゃ高いんだぞ??」
「だって10万も持ってたら行けると思うじゃん・・・ てか、いろいろ詳しいね君?」
む、ゆうきにばれるのはもう少し後からでもよいだろう。ここは、まぁちょっと興味があってだな・・と濁り気味でごまかす。
「手持ちが少なくてな。親っさんナイフでもいいんだ。安いものはあるかい?」
俺が店主に問いかけると、それなら短剣がおススメだね とナイフコーナーへと連れていく。
「ジョブ選択者の初心者は、短剣をメインに買っていくね。刀やナイフは扱いが難しいし、剣は重いしね。どうだいこれなんか一本3万ルピーで、お買い得だよ。」
特殊技能なんかも無く、本当にシンプルな短剣である。しかし、初めはこんなものでよいだろう。ゆうきも納得している。
「じゃあこれ2本と、ナイフを2本くれ。」
「え? お前さんナイフも買うのかい? 扱い難しいよ?」
店主の優しい忠告を柔らかく断り、短剣とナイフを購入する。計9万ルピーなり。
「よー--し!! これで後は夜を待つだけだね!」
ゆうきが上機嫌になっている。ここいらを少し散歩している途中で俺はあることを思い出し、ゆうきを呼び止める。
「ちょっと個人的に寄りたいとこがあるんだが、いいか?」
いかがだったでしょうか?
ゆうきくんがいろいろと口走ってましたね・・・イヤーアブナイ。
次回は本当にゾンビとの戦いです!! さぁ二人はどんな戦いを繰り広げるのか??
こうご期待!!!!