3殺 蘇る記憶と親友
はい。引き続きの投稿です。
今回は前にも書いた通り新キャラがでますよー-。今回はギャグ多めです
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「おー---い!! 聞こえるー-??」
頭が割れそうなくらいに大きな声である。頭に直接語り掛けてきてる癖に、自分で調節ができないのか・・・
「聞こえてるよー 馬鹿みてぇにうるせえがな」
少しあきれ気味で言葉を返す。しかし悪い気は全くしない。いや、むしろ面白い。不思議と口元が緩む。ああ、今の俺の状況を他人に見られたら不気味だろうな。なにせ何もない所でしゃっべって、笑っているのだから。
「えー-ホントにー-? 少し音量ボタンで音量下げようかしら? よっと、これならどうー?」
ん? 何をしているのだろうか・・・気になるな
「エリア様なにやってんですかー-?」
「ん? ああ、ちょっとヘッドセットのセットアップしてんのよ。うるさかったり、声がちいさかったりしたら嫌でしょ??」
おい、そこは天使の力とか、魔法とかじゃないんかい。俺は何もない場所で今度こそあきれ返って、深いため息とともに落胆する。
「はー・・・やっぱ日本製ね。めちゃくちゃセットアップし易いし、音質もきれいだわー それにノイズ除去機能もついてるのよこれ! あ、あとエリアでいいわ。そっちのほうが呼びやすいでしょ」
はい来た。ジャパン製!!! 本日二回目でございまーーす。
「よお、エリアも親日家か?? やっぱジャパン製は最高だよな!!」
気が合う人間と話すと気分が良い。さっきのあきれ返ったのも嘘のようだ。ありがとうジャパン。
「ん? でもあんたをひき殺した車も日本製よ? エアバック作動も早かったわ」
「え、うそん」
やはり、良しも悪しもジャパン製とは切っても切れない、腐り縁らしい。まあ、ジャパン製にやられたのなら本望である。
「じゃあ言い忘れたこと言うわよ。まずこの世界では言語が統一されているわ。当然文字もよ。貴方は私の力で、言葉はこっちの言語に対応できるようにしてあるけど、文字の読み書きは微妙なラインね。書けるかもしれないし、書けないかもしれないわ。まあ、その辺は元世界最強何たらでお願いね。あと、ここのお金はルピーっていう貨幣をつかうわ、お金の価値は比較しずらいから慣れていってね」
おい。まあまあ大事なことでないか。こいつマッサージチェアしてた場合じゃなかっただろ。
「あと、私は日本製のモニターで、貴方の行動をたまに見るかもしれないわ。聞きたいことがあったら大声で叫びなさい。周りからの評価は下がるかもだけど、助けてあげるわ」
はい!!!! ジャパン製! いただきましたよ!! てかこいつ相当な親日家だな。
「助けてくれるのはありがたい。早速いろいろ聞きたいことがあるんだが・・」
いつでも話せるのは、本当にありがたい。今後のこととかも聞きたいことが山ほどあるからである。
「じゃあ、とりあえず・・・」 続く言葉をエリアに交わそうとした時であった。
「エリア様が退出しました」
えらく機械的な音声が聞こえ、ピロリンと独特の音を奏でる。間違いないコイツ抜けやがった。口が半開きになったままこの状況を受け止めるに数秒かかってしまった。
「はぁぁ・・・酒屋行くか・・・」
少し重い足取りで酒屋に向かう。大きな牧場が見えたので、ミヤの言うと通り右に曲がる。するとどうだろう。畑と牧場しかなかったこの田舎町が噓のようである。
目の前に広がったのは、繁華街である。皆が思い浮かべるような都会の繁華街とはかなり規模が小さいものだが、確かに活気にあふれ子供の笑い声も聞こえ、様々な格好をした人々が交流し合っている。屋台に、魔道具屋、武器屋に防具屋、日用品売り場も存在している。だが、やはり目を引くのはこの繁華街の中心に位置している。大きな建物である。聞けばここが酒屋らしい。
俺は酒屋の大きな扉を開き、「こんにちはーー」
とあいさつをする。
「はい、いらっしゃいませー! お食事なら空いている席へ。受付等ならこちらにどうぞ!!」
中は、大人たちでにぎわっていた。屈強な男の姿もあるし、背の小さい魔法使いの恰好をした女性もいる。だれもが仲良く食事をしたり談笑に花を開かせている。中には誰も弾いていないがピアノまであった。
「あ、聞きたいことがあってきましたー!」
おれも負けじと声を出し軽い足取りで、受付へ向かう。こういう雰囲気は嫌いではない。
いくつかある一人用の椅子に腰かける。さながら市役所のようである。
「あのー 冒険者?ってやつですかね? それになりたいんですが、何分ここよりも田舎から来たもので何もわからないんですよ・・」
担当の人が不思議そうに俺を見る。とっさに考えた話だが、かなり筋は通っているのではないだろうか。これも鍛えたコミュニケーションスキルである。
「冒険者・・・ああ! ジョブ選択のことですね! 少々お待ちを」
初めはピンと来なかったが、それっぽいことを言ったので何かと伝わった。すると担当の人は何枚かの書類と腕時計のようなものを持ってきた。
「まず、ジョブ選択をするということは少なからず魔物と戦っていただくことになります。こちらの契約書をよくお読みになってからここと、ここと、ここと、ここと、ここと、ここにサインをお願いします。それが終わったら、次は適性検査です。この60問ある質問用紙の項目を、当てはまる物に丸をかいてください」
ん?? めちゃくちゃ多くね?? 契約書束になって出てきちゃったよ。それに、この適性検査も項目多すぎない??
1思う 2やや思う 3そうと思いがち 4思わせぶり 5わからない 6実はわかっている 7思わない 8やや思わない 9思わないとおもいがち 10やかましい
「なんだよ!!? この適性検査!!? 項目多すぎんだろ! それに4と6と10に至っては完璧にふざけているよね!!??」
思わず突っ込んでしまう。馬鹿正直に付き合っていたら日が暮れるだろう。はあどっかでみたことあるなあこんな感じの書類たち。
「お客様の仰っていることが理解しかねますが・・・これを終わらせない限りはジョブ選択できませんよ」
「なんで理解できないだよ!!??」
まずい、これはパンドラの箱を開けてしまった。安易に冒険者とかほざくんじゃなかった・・・過去を嘆いても変わるはずもないのでこのまま、拘束される。
””””””””””””””
2時間後
「ふー--・・・やっと終わった。」
かなり長い時間かかったが、何とかサインと適性検査を終わらした。結果は合格だそうだ。何とかジョブ選択ができると思っていた矢先のことであった。
「では、ジョブ加盟料、魔法時計料金、手数料、前払金等で、30000ルピー頂戴いたします」
「は?」
「ですから、ルピーのほうを・・・」
ここまで来てこれである。思い出したぞこの感覚・・ジャパンで味わったことがある!携帯を買うだけなのに、プランだのテツヅキだの、テスウリョウなどど時間が死ぬほど食ったのだ。ジャパンは好きだがこればっかりは嫌いである。
「あの、その、て、手持ちが・・・」
死にそうな顔になりながら、担当の人に相談する。こんなに時間をかけたのだ。どうか慈悲を。いやもうまじで。
「あ、あの。流石に30000ルピーの免除は・・・」
まあですよね。。。
「すみません。出直してきます。」
フラフラとした足つきで酒屋の外に出る。
「こんなに時間かけてこれかよ・・・泣きそうだぜ。」
どうしようもないので一旦、酒屋の外にあるベンチに腰掛ける。するとどこからともなく歌のようなものが聞こえる。かなり小さい声だ。衰弱しきっているようにも聞こえるし絶望しているようにも聞こえる。すぐに俺は声のするほうへ向かった。
「うーさーぎ、おーいし・・・かーのーやーまー・・こぶなつーりし・・・」
・・・どうやら後者のようである。その男は、俺と同世代ぐらいの年齢で、妙な服を着ている。半袖半ズボンで、胸元あたりにカンジが書かれている。体育座りしていて、足元には空き缶が置いてある。さしずめ物乞いなのだろうか、中には少量のルピーが入っている。
「よお、あんた何してんだ。その服見覚えがあるな? うーんと・・・確かえーと体育の時に使うものだな?」
どうしてもその服の名前が出てこない。口元に手を当て考えていると、男がゆっくり口を答えた。
「体操服だよ。日本では体育の時にこれを使うんだ」
「ああ、そうだ体操服だ。思い出したよ。ありがとう」
ん? 体操服? ちょっと待てよ? ということは・・・? もしかしてと思い俺はその男に問うてみる。
「あんた、もしかして、死んじまったのか? それでここへ転生したとか??」
その男が、その言葉をきいてようやく目に光が灯った。
「そうだよ!! まさかあなたも?? 実は部活上がりで自転車で帰っていたのだけど、車に跳ねられてさー、」
「奇遇だな俺も、車に跳ねられたんだ。そしてここに転生してきて、ジョブを選択しようと酒屋に行っても金がなくてな。ありゃ詐欺だよな」
車に跳ねられたということで、妙な親近感がわき出てくる。ずっと立っているのもなんだと思って、男の隣へ胡坐をかいて座る。
「僕も全く同じ状況だよ。お金がなくてどうしようもなかったからこれしか思いつかなくてさ・・・」
ふむ、きっと俺もこう考えていただろう。酒屋にあるピアノを見るまではな。
「俺の名前は、ジャスタ・ハクレイだ。年は17。日本人のハーフで俺は親日家なんだ」
軽く自己紹介をする。早く思いついた案を実行したい。
「あ、僕の名前は、宮下ゆうき。一応高校2年生で17だよ。高校は商業高校に通っていたんだ」
む、俺と同い年だ。これも何かの縁であろう。ふと上を見上げると少し暗くなっている。もう夕暮れか。早いとこゆうきを酒屋に連れて行こう。
「なあ、俺と一緒に来ないか? これも何かの縁だよ。それに金を稼ぐ方法を思いついた」
俺はニヤッとしてゆうきに尋ねる。
「もちろん。どうせやることないし。よろしくねジャスタ」
俺はゆうきと握手を交わし早速酒屋に戻ることにした。もう子供の声も聞こえない。周りは街灯をつけ始めショーを披露するにはうってつけの時間である。
酒屋に戻ると早速誰も手を付けてないピアノに向かって一直線に歩く。途中ゆうきがピアノなんて弾けるのかと尋ねるが、俺は得意げに首を縦に振る。
「ゆうき、君は商業高校の出だったよな? お金の管理を頼むよ」
「え、、ああそういうことね!」
どうやらゆうきも察しがついたのだろう。そのピアノはきれいに保っているものも、楽譜も何もない。きれいな音色は出るのだが、誰も使っていないのだろう。
俺が弾く準備をしていると周りから、「あれを使うのかよ。初めて見るぜ」などと関心と不安の声が聞こえる。
俺は仕事上、ピアニストにも化けるし、大学教授にも外科医にも化ける。ピアノを弾くのは朝飯前である。
軽く指の練習をした後、いきなりクラシックの「魔王」を弾く。三連符の激しい曲は観客のすべてを魅了する。おそらくこの曲自体知らないというか、無いのだろう。
皆が唖然とする中、曲が終わる。数秒の沈黙の後、一斉に歓声が沸き起こる。
「すげー---!!!!!聴いたことねーぞ!!!! あんたスゲーな」
そして、ゆうきがすかさず空き缶を見せ、皆がルピーを入れてくれる。かなりの枚数が入ったがまだまだ不安なのであと6曲は弾いた。どれも俺たちの世界なら超が付くほど有名なのだが、この世界ではとても珍しいのだろう。曲を弾き終わるたび、黄色い歓声と拍手が鳴りやむことはなかった。
ゆうきが嬉しそうにこちらにしゃべる。
「すごい! 軽く6万ルピーはあるよこれ・・・・」
残念ながら俺にゆうきの声は届かなかった。俺は一躍この酒屋で有名になり、みんなから奢ってもらった酒を浴びるように飲んでいた。
「おほほほほほほ!! 笑いが止まらんなゆうき君よ!! さあこっちにて飲みたまえ」
ゆうきが落胆しながらも、こっちにきて一緒に酒を飲む。俺らはこの酒屋で一夜にして名物となったのだ。
この夜は店の温厚でこの店で寝泊まりしても良いそうだ。シャワーを浴びて、案内された、ゲストルームに入る。田舎の酒屋なので面白いものはないが、男二人が寝泊まりするのには充分であった。
「おはようございます! 昨晩はありがとうございました。おかげで盛り上がりましたよ!!」
店主のおっちゃんが俺たちにお礼の言葉を述べる。朝飯はこの酒屋の定食を食べる。
「うん。普通においしいね。口に合わなかったらどうしようと思ったよ」
勇気がほっとした表情で言う。しかし、目はバキバキで顔色が悪く明らかに二日酔いだ。俺は二日酔いにならないように訓練していたので、余裕である。
「ああ、日本の食い物は美味しいからな。とくに和菓子。あれの味付けは最高だよ。マンジュウとヨウカンはとても好きだったよ」
日本の食べ物を誉められゆうきは嬉しそうに定食を平らげる。
ゆうきの二日酔いを看病している間に夜になる。さて、ピアノの時間だ。
昨日とおんなじことを繰り返す。金は溜まり、寝泊まりは酒屋で行う。いうことは無い。
「ふー--・・・ゆうき俺は、ピアニストになるよ。ビックになるんだ」
「ん? え? ああうん」
良し、眠りにつこうと思ったその時であった。
「んな訳ないでしょー-----------がー------!!!!!!!!!!!!!」
爆音で俺の脳内を破壊する。
「あんたねぇぇぇぇ!!!なー----に ピアニストになってんのよ!!! 違うでしょ!!! 魔王を倒すのよ!!! 馬鹿なの? 死ぬの???」
はっ!!!!
俺はエリアの声を聴き目を見開く。
「確かに!!!!!」
いやーネタが止まらない・・・(笑)
次こそはしっかり冒険しますよ!!
こうご期待