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勇者召喚(嘘

グリガリル城

そこは魔族以外の全ての種族から憎まれている魔王の住む根城である。

「報告!ダナン砦、エルフビースト連合軍により陥落いたしました!さらにジャギ魔将軍も人間の勇者に討ち取られたとのことです!」

「報告します!魚人族と交戦中であったズドー魔将軍が討たれたとのこと!指揮系統も乱れこのままでは敗戦は時間の問題かと!」


その城の魔王の間では、魔王に対し配下から着々と敗戦の報告が届いていた。


魔王グリガリル

長い歴史のある中で、魔王と呼ばれる存在は3人しかいない。

何をもって魔王とするのか、それは魔界にいる各地の氏族を全て力で服従させ、全ての魔物、魔人を束ね、人間を含む魔族以外の者を全て服従せんとし戦いを挑む者の存在である。

「また勇者、、か、、本当に憎らしいほど強いな」

魔王は連日の敗戦報告に、怒りを通り越して、疲れが出始めていた。


人間族が、異世界転生、又は異世界召喚と呼ばれる物で、魔王が現れる度に勇者をこの世界に呼び出し、魔族から世界を救う、、

勇者は初めは弱く小さな存在だが、その成長スピード、周りを惹きつける力、そして女神の加護の付いた勇者はみるみる我が魔族側の力を削っていった。


何度も潰そうとした。魔王自身で潰しに行ったこともある。しかしその度に、女神の加護の影響なのか、失敗することとなる。

これは最早運命に近いものを感じざるを得なかった。このままでは自分は、いずれ、死ぬ。

そう悟り始めていた。


「このままでは我らは、またも!!打ち滅ぼされる!!先代魔王も、初代も勇者により討ち取られた!!過去に学ぶのであればこの勇者さえ討ち取ればこの戦い、我々の勝利なのだ!!勇者殺しの策はある!!だがそれを発動させるにはもうしばらく時間がかかるのだ!!なんとしても時間を稼いでくれ!!」


勇者殺しの策?ある訳ない。

しかし、我は魔王だ。配下達の前で弱気で隙だらけな姿を見せる訳にはいかなかった。

魔王とは全ての魔族を惹きつける者なのだから。

単なるハッタリだ。

魔王の間を後にする背中は、どこか儚げに映っていたに違いない。


「勇者召喚、、か、、」

魔王だって勇者召喚については調べ上げていた。

魔族側でも召喚できないものかと調べたが、魔族側にとっては、あまりにも召喚の条件が厳しく、しかも勇者とは人間側に必ずつき、敵対するものであったのだ。恐らく女神の加護の影響なのだろう。


ならばと女神を打ち滅ぼす方法を画策したが、結局成し遂げる事は不可能だと悟った。


魔王が1人佇んでいると、そこに赤色のショートカットの髪の女が小走りにこちらに走ってくる姿が見えた。

「兄さん!!今度こそついに勇者召喚に成功しました!」

魔王の妹、ラスタは諦めずに勇者召喚について熱心に研究してはいるが、勇者召喚などこちらでは不可能だ。恐らくまたその辺の人間族を召喚しただけなのだろう。だがもう魔王には、気力が途切れそうな思いだったのか、すがる思いか、もう妹の研究に頼ることしか方法はないのでは思っている部分もあった。


早速召喚の間に着くと、そこには人間の男がいた。

パッと見で表現するなら、悪人面だ。

魔王として見た目なぞ気にする質ではないが、こいつはどう見ても勇者ではない。


「よお、、あんたが魔王様かい??悪いやつなんだって??」

悪人面が口を開いた。

「俺も実は悪いやつでよー、、前の世界じゃ死刑に

「黙れ」

魔王の目には相手のステータスを計測するライブラの目が備わっている。

一見して突出したところはないが、目をひいたのが名前の横にあった称号[勇者殺し]だ。

この男は過去に勇者を殺したことがあるのだ。

「兄さん!!」

「分かってる、、貴様、、過去に勇者を倒したことがあるのか?」

「さあ、、前の世界じゃ殺しならたくさんしたから、もしかしたらその中にたまたま勇者が混じってたのかもな」

「、、、兄さん、、実は今回召喚したのは勇者ではなく、悪人召喚というものなんです、、正義のヒーローというやつが悪を倒すのであれば、その逆もありえるのではないかと、、」

魔王は悩む

確かにこいつに勇者殺しの称号が付いている以上、勇者殺しは事実なのだろう。

しかし、こいつは信用できない。そんなオーラが漂ってくる。


しかしこいつならばもしかしたら、、

という希望もある。

魔王は一晩中悩みに悩んだ。

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