表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星方陣撃剣録  作者: 白雪
第一部 紅い玲瓏 第四章 刻め神紋
20/161

刻め神紋第二章「雷式(らいしき)」

登場人物

双剣士であり陰陽師でもある赤ノ宮紫苑あかのみや・しおん、神剣・青龍せいりゅうを持つ炎の式神・出雲いずも、神器の竪琴・水鏡すいきょうの調べを持つ竪琴弾きの子供・霄瀾しょうらん、強大な力を秘める瞳、星晶睛せいしょうせいの持ち主で、「水気」を司る玄武げんぶ神に認められし者・露雩ろう

 紫苑を封印して自らの野望をかなえようとする、結晶睛けっしょうせいという瞳の力によって術の能力に傑出けっしゅつした僧侶・河樹かわいつき




第二章  雷式らいしき



 紫苑の心は落ち着いた中で、うきうきしていた。

 お互い自分から名乗ると、もう本当の夫婦のような気がしてくる。

 何度も剣姫の心を覆されてしまう。だから剣姫でない状態の紫苑の心には、抑えきれない喜びがあった。

 本当にこの人とずっといられたらいいな、と、今まで抑えつけていた何かの感情が、夏の日の入道雲のようにむくむくと盛り上がってくるようである。

 ともすれば剣姫の現実から逃避してしまいそうなのが、自分としても恐ろしいくらいの、浮かれた気持である。

 手だけ機械的に動かして作っていたひき肉の料理の成形が、高鳴っている自分の心臓ハート型になっているのに気づいて、紫苑は慌てて俵型に変えた。

「うわーい! 大きいにくだんごだー!」

「霄瀾、好きって言ってたでしょ」

「よーし! 大根おろしとしょうゆの海で食うぞー!」

「出雲! 料理人を脱力させるのやめなさい!」

 二人がおいしそうに食べているのを確かめてから、紫苑はちらと露雩に視線を向けた。

 前回は注意点を述べられてしまったが、今回は真っ当な料理、自信がある。お肉も卵も王都の市場で仕入れたものだから新鮮だし、よくこねたし、よく火も通したし。

 露雩が俵型の肉団子を食べようとしている。きれいだな、とみとれていると、露雩が食べる前にこちらに気づいて、微笑んだ。

 しまった、凝視しすぎたと紫苑が場を取り繕おうとすると、

「大丈夫だよ」

 露雩が柔らかい声を紫苑にかぶせた。

「紫苑の作る料理はなんでもおいしいって、わかってるよ」

 紫苑は、照れながら、まるで表情を見せたいかのように前髪を上にあげた。

「食べてくれなくちゃ、あなたの好きな味にできない」

 露雩は一瞬目を丸くした。紫苑は爆弾の術を投下したことに気づかず、大根おろしで俵型の肉団子に術で使う文字を一文字書いて、楽しんでいる。

「えー! オレの好きな味はー?」

「あんたしょうゆで全部食べちゃうじゃない! 霄瀾もマネしようとするし、ほんと味に苦労するんだから!」

「ああ……そういうことか……」

 二人の会話で、露雩がひっそりと呟いた。

「……紫苑の好きな味は?」

「え? うーん、私はいろいろ。疲れたときは濃い味、のんびりしてるときは薄味」

「そっか……じゃ、オレの味覚に頼るしかないんだね……」

 露雩は心につかえたものがあるように笑って、食事を始めた。


 一行は、信時国しんじこく内に入っていた。

砂地すなじの国か……」

 地面はまばらに生えた小さい草と、半分埋まっている大小の石、ときどき生命力の強い種から育ったからここまで伸びたのだろうと思えるような、二、三メートルの木が点在していた。

「作物育たねえだろうな」

「ええ。ここは砂が水を吸ってしまうから、耕作に適さないわ。でも、水質はとてもきれいなの。だから、この国ではその水に養分を加えて、土を使わない水耕栽培で作物を育てているわ」

「しってる! 『先人のおしえ』って本で習った!」

 霄瀾の声に、はたと他の三人は止まった。

 出雲が口を開いた。

「おい霄瀾……。そういえば、これまで学校はどうしてた?」

「えっ? おじいちゃんたちに教わったり、旅のとちゅうで長くいるときに学校に入ったり……」

 紫苑たちは顔を見合わせた。考えてみれば、勉学適齢期に勉強をさせないのはよくない。

「都に着いたら、考えなくちゃ」

「えっ、なにを? えっ、ボク学校なんか行かないよ!? みんなとはなれるなんて、やだ!!」

「大丈夫よ。ちゃんと考えるから」

「えっ、ほんとうにほんとうに、ボク……」

 霄瀾が慌てて紫苑のそでをつかんだとき、大きなスイカほどもあるはちの魔物が、脇目もふらず一行のすぐそばを通り抜けていった。

「えっ?」

 蜂は、道の先へまっすぐ飛んでいく。いずれその先にある増肢村ぞうしむらにぶつかるだろう。

 何事か起こすつもりなのだろうかと一行は全速力で走って、蜂のあとを追った。

 村では皆が固く戸締とじまりをしていて、誰ひとり外に出ている者はなかった。

 その中をさきほどの蜂の魔物が一体、せわしなく動いて、魔物には小さすぎる花から微々たる量の蜜を集めてまわっている。

 そして、しばらくすると、蜂は去っていった。

 そのとたん、村人たちが大きく伸びをしながら戸を開けて出てきて、雨戸や打ちつけた板を外した。

 あっけにとられている紫苑たちに、男たちが笑いかけた。

「旅の人を驚かせちゃったね。あの蜂の魔物は最近来るようになった奴で、花の蜜を集めていくだけだから、帰るまで刺激しないようにオレたちは戸を締めておくのさ」

「困ってるけど、あいつは花の蜜だけに用があるから、オレたちに危害がないならがまんしよう、仕方ないってみんな諦めてるよ」

 村はすっかり風通しがよくなった。

 紫苑は村の花々を見てまわった。とてもあの大きな蜂の一日分の食糧にもなりそうにないほどの、少ない数量であった。

「(食糧が足りなくなって、人々に手を出すことも考えられる……)」

 紫苑は、蜂の魔物の巣を見に行くことに決めた。

 十二支式神「いぬ」(犬)で花についている蜂の匂いをかがせると、一行は元来た道を戻った。

 しばらく行くと、砂地とはうって変わって、森が現れた。きれいな水が小川となって流れている。この水で砂地から緑が育ったのだろう。

 その森に少し入ったところで、いぬは止まった。目の前に人間の二階建ての家くらいの大きさの蜂の巣が、存在していた。規則正しい六角形の穴が、ところどころ崩れた部分からのぞいている。甘い蜂蜜はちみつの香りが漂ってくるのを、紫苑たちは心地良くかいだ。全身が蜂蜜の香りで覆われたのは、生まれて初めてだった。

 貴重な甘い体験に酔っていると、すぐに巣の中から蜂が飛び出してきた。

「なんだっチ! 人間が蜂蜜奪いに来たっチな!?」

「なんだとっチ!」

「許さないっチ!」

 すぐに巣の中の他の蜂たちが、仲間に加勢するために現れた。

「違うわ! 話を聞きに来たのよ!」

 紫苑は自分の来た目的を説明した。人間を襲うつもりがあるのか、花は人間の村まで来ないとどうしてもだめなのか、知りたいと。

 出雲は、まるで人間と魔族に境界線を作って、両者が互いに住みよいように仲裁するかのようなあるじを、不思議なものでも見るかのように見つめた。人間も魔族も平等に裁き、平等に救う。この人の理想は、こういう形で実現していくのかな――、と考えていた出雲の耳に、蜂たちの叫び声が入りこんだ。

「花は全然足りないっチ! 人間の村に行くしかないっチ!」

「人間に用はないっチ! 蜜が欲しいっチから、人間はウチらのためにもっと花を増やせっチ!」

 そうだっチそうだっチと蜂たちが盛り上がった。人間を襲わないならひとまず安心だが、それでも威圧感は避けられない。なんとか別々の生活圏のまま暮らせないのだろうか。そのとき、紫苑が親指を顎に当てた。

「ふーん……。今は足りないのね。じゃ、前はどうしてたの? 立派な巣を作るのだって、大変だったでしょう」

 紫苑に指摘されて、騒いでいた蜂たちは急に静かになった。

「……ついて来るっチ」

 一体が、力の抜けた低い羽音をたてて、しょんぼりと飛びだした。


 森の中に、巨大な花が密生する花畑があった。

「いつもこの花畑から、蜜をもらっていたっチ」

 花畑は、何かが踏み荒らしたあとのように、葉も茎も花もめちゃくちゃになっていた。

「どうしたのこれは……誰がこんなこと……」

 紫苑は折れた茎に手を添えた。

「許せない理由だっチ。あいつらは、ただ……」

 そのとき、何か重い生物が歩いてくる地響きがした。

 通常の成体くらいの大きさのサイが、木々の間から現れた。普通のサイではなくて魔族であることの証に、足の爪がかぎ型に太くとがり、角も大きく突き出したものを六本生やしている。

 サイの魔物は灰色がかった茶色い巨体をとどめて花畑を見渡すと、まだ花の咲き残っているところを見つけて、喜びながら駆け寄り、その上にバフンという、風と花を下敷きにした音をたてて、寝ころんだ。当然、花はサイの魔物の巨体に押しつぶされてしまった。

「花をおふとんにしたの!?」

 霄瀾の驚きに、蜂が憎々しげに羽音を強めた。

「あいつら、花を食べるでもなく、薬に使うでもなく、ただ自分の快楽のために花畑をめちゃくちゃにしたっチ! 抗議したら『花の上に寝るのが気持ちいいから』だとか、『オレたちさえ幸せなら他の生物がどうなっても知ったことか』だとか、ふざけたことを言いやがったっチ! 快楽のままに自然を破壊するなんて、もう魔族じゃないっチ! ウチらは、あいつらを皆殺しにするっチ!」

 蜂の怒りに呼応するように、羽音もどんどん強まった。それでもサイが平気で寝ころんでいるのは、サイの方が強いからなのだろう。

 露雩は、蜂の言葉にひっかかるものがあった。

 それを尋ねようとしたとき、後ろから、食糧である花畑を見に蜂たちが大勢やって来た。

「よくも残り少ない花をっチ!」

「おいっチ、あのサイ、今一体しかいないっチ。群れてなきゃ、みんなでかかれば殺せるんじゃないかっチ!」

 蜂たちはあっという間に話をまとめ、サイの背中に尻の毒針を一斉に刺した。

 キヒーン……と、空気を漏らす音がして、サイは角だけ高く持ち上げた。そしてしばらく痙攣けいれんしたあと、絶命した。

「やった……やったっチ!」

「突進さえなければ、ウチらも十分勝ち目があるっチ!」

「今度からアホ面かいて眠っているこいつらを、みんなで一斉に殺すっチ!」

 蜂たちが興奮していたせいだろう、その騒ぎは周囲によく通ってしまったらしい。草を踏み分けて、サイの魔物たちが様子を見に現れた。そして、死んだ仲間に気づいた。

「てめえらァ!! 蜂の分際で、この森の王であるオレたちに楯突きやがったな!! 許さねえ、根絶やしにしてやる!!」

 サイたちは声をあげて仲間を呼び集めた。

 蜂は多少震えていたが、自分たちでもサイを倒せたという事実が、彼らを支えていた。

「ちょうどいいっチ。どのみち花畑がなくなれば、ウチらは全滅っチ。死ぬのは待たないっチ。やられる前に、元凶を殺すっチ!!」

 蜂たちは陣形を組んだ。

 紫苑は、剣姫になりあぐねていた。

 蜂のためになってもおかしくはないが、敵と戦う力を持っている蜂の戦いを、奪ってはいけないと思ったのだ。力があるなら使わせなければ、「私」がいなくなったとき、戦い方を忘れて戦えなくなる――。

 劣勢になったら手伝ってやろう。あくまで蜂の力で勝たせよう、そう思ったとき。

 紫苑の横を、走り抜けていく影があった。

「露雩!?」

 左目を、正方形が二つ縦と斜めに重なった八角形の赤紫色の星晶睛せいしょうせいにした露雩が、魔物たちの中に突っこんでいった。

 一振りでサイの巨体が一体倒れ、三体転がった。野性味あふれる荒々しい剣技を見せながら、

「『世界の敵』は、葬らねばならん!!」

 と、竜の鳴き声と、七色の玉の入った鈴の音が合わさった声をたてた。

 あっという間にサイを圧倒していくのを見て、紫苑は露雩の前に駆けだした。

「露雩、蜂たちの力で作戦を練って勝たないと、サイがまた増えたとき、負けてしまうわ!」

 紫苑は、露雩を止めたのだ。剣姫のときとは、真逆である。しかし、まだこの場にいないサイがいる可能性を考えると、蜂が有効な戦法を今編み出せないのは、のちのち危険である。

「……」

 露雩が何事か考えて口を開きかけたとき、サイの突進にはね飛ばされた蜂の毒針が、紫苑の右の二の腕に突き刺さった。

「うっ……!!」

 毒針の毒がまわり、体のしびれを感じて、紫苑はその場に倒れこんだ。

 一瞬、毒針に刺されて死んだサイの姿が目に浮かび、

「紫苑!!」

 露雩が血相を変えて紫苑の肩に手を置いたときには、星晶睛せいしょうせいは消えていた。

 一方、サイと蜂の戦いは、次第に蜂が押され始めていた。

 蜂は数体が一隊となって敵に向かうが、サイの皮膚は厚く、垂直に刺さないと針が通らない。しかも、一体くらいの毒では、倒れない。そうして蜂が手こずっている間に、サイは六本の角や足の爪、さらにはその体重をかした押しつぶしと突進で、何体もの蜂をはね飛ばし、殺し続けていた。

「おい、紫苑は!?」

 周りを守っている出雲が、叫んだ。

「今、玄武の神水を患部に送りこんでる!」

 露雩も叫んだ。

「ねえ、ハチがまけたら、サイはボクたちもころしに来るんじゃない!? どうするの!?」

 霄瀾の、幻覚を見せる「幻魔の調べ」の曲も、いつまでもは敵をだましきれない。出雲は焦った。

「紫苑も、露雩も動けない……! くそっ、せめて式神召喚されてれば!!」

 その言葉に、露雩は、はっと顔を上げた。

祝詞のりとを教えろ!」

「え?」

「オレが出雲を式神召喚する!!」

「ええー!?」

 式神は自分を目醒めさせたあるじに従うが、主以外の術者にも召喚されることが可能である。もちろん、主の方が強ければ、他の術者によって召喚中の式神を召喚し直して、戦闘中に自分の式神に戻すことができる。

『強き魂よ 我こそ誘う 輝きの方陣に

 束の間に歩み止め 現世のうたかたに身を委ねよ

 我こそ踊らんこの光の螺旋らせん、汝はたどらん我が命の螺旋!!

 でるがよい!! 雷式らいしき出雲、律呂りつりょ降臨!!』

 露雩が霊なる言葉を唱えると、出雲を包みこむように地面から光の輪が生じ、一瞬で上へ走った。

 その光の消えたとき、黒髪に赤紫色の衣、青紫色の袴を身に着けた式神出雲が、刀で颯爽さっそうとした風を周囲に振り送った。

「雷式出雲か……。お前の力は雷が主体なんだな」

 出雲が、力をもてあまして多少ピリピリする手を握って開いた。その左手の甲には、式神の、主への縛りを表す証の、紫色の編み紐が、×(ばつ)字に交差している。

 式神は、術者によって属性が変わるのだ。

「頼んだ出雲!!」

「よっしゃああー!!」

 帯電した出雲が出撃した。一刀のもとに、サイの角や爪を次々と切断していく。

 サイたちは慌てだした。サイの敵は、蜂だけではない。角と爪がなくなったら、森の頂点に立てなくなる。

「あの人間を、とにかく叩け!!」

 四方から一斉に突進してくるサイに、出雲は刀を高く掲げた。

黒雲帯雷こくうんたいらい!!」

 出雲の周囲の空に黒雲が広がり、稲光が一回光ったかと思うと、稲妻が落ちる音がして、サイたちに直撃した。しかも、稲妻同士が網の目のようにくっつきあって、長時間雷から抜けられないようになっている。

 さすがの分厚いサイの皮膚も、ところどころこげて煙を吐いている。ほとんどが絶命し、生き残った者は意識も足取りもおぼつかない、重傷だった。

「すごい威力だ……!!」

 出雲が自身にみなぎる雷の気を前に驚愕している間に、少なくなったサイたちは数に任せて追いすがる蜂たちに追われて、花畑の外へ逃げ出した。

「助っ人なんか頼みやがって、覚えてろ!!」

 その捨てゼリフも、森の奥からかすかに聞こえてくるのみであった。

「追い払ったっチ……、初めてあいつらに勝てたっチ!!」

「やったっチ、やったっチー!!」

 蜂たちが歓声をあげたとき、その声で紫苑がうっすらと目を開けた。

「紫苑!!」

 露雩が神水を送る手を止めた。

「私、毒針に刺されて……露雩、玄武の神水出してくれたの?」

「うん……、よかった!」

「紫苑! 毒は取れたの?」

「うっ……ごめん霄瀾、まだ抱きつかないで、体にしびれが残ってて……。でも頭はスッキリしてるから、あとは毒素を出すだけね」

「よう紫苑、心配したぜ」

 出雲が現れたとき、紫苑は一瞬不思議そうな顔をした。

 出雲は、自分が雷式の衣装なのに気づいた。

「えーと、これは、その」

 どこまで言うべきか一連の出来事を出雲が頭の中で整理し始めたとき。

「露雩が出雲を式神召喚したんだよ!」

 子供の無邪気な明るい声が、耳に飛びこんできた。

「雷の式神になってね、まわりのサイをあっというまに雷の術でたおしちゃったの! 強かったよー!」

 ギャー、と出雲は心の底で危険信号を発した。霄瀾、事実だけ言ってくれ! お前の主観はいい!

 出雲が恐れた通り、真の主である紫苑は子供と一緒になって笑わなかった。

「……ふーん。見たかったわ」

 そして出雲と露雩を無表情に見比べた。

「(その無表情が一番恐いんだよお前はー!!)」

 式神化を解いた出雲は、全身から玉のような汗が噴くかのような感覚に襲われた。

「それで、あんたたち……。次も勝てると思う?」

 露雩に上体を起こされたまま、紫苑が首だけ蜂たちに向けた。皆は、静かになった。

「でも、全滅しても戦うっチ。ここが、ウチらの家っチ」

 それを聞いて、紫苑は満足そうに微笑んだ。

「死んでいった仲間もそう思っているのなら、死んだあとも、彼らに助けてもらいましょう」

 紫苑は、死者を冒とくすることだが、死骸から毒針をみんな抜かせると、花畑の中に、先端を上にして埋めさせた。毒針は、三十センチはあった。大きなスイカほどの大きさの蜂にこれほどの長さのものがあったのは驚きだが、武器を頑丈にするため、この種族は体の中を通る芯として、針が全身にめりこんでいたのだ。

 花畑中に、仕込むことができた。その頃には、蜂たちにも紫苑の考えがわかった。

「サイがここで眠ろうとすれば、毒針が刺さって、死ぬか、傷を受けて、もう安全に眠れない。あいつらを、遠ざけることができるっチ」

「でも、あいつらには足の爪があるっチ。針が掘り起こされてしまうっチ」

「露雩、この札に雷の力を入れてくれない」

 紫苑は懐から出した札に“集”“網”の字を書き、露雩に雷の力を入れてもらうと、地中に埋めた。

「これでこの地下は網の目のように雷が走るようになったわ。普通の地面を掘ると微弱な電流だけど、毒針の針が避雷針になるから、毒針に触れて取り出そうとしたら、避雷針にたまった電流で大きな電撃を受ける。地下の電流を常にこの札が蓄えているから、半永久的にこの作用が続くわ」

 蜂たちは一瞬、ぽかんとしていた。次々に行動をする紫苑に、ついて行けなかったのだ。

 だが、一間置いて、歓声があがった。

「この花畑に、もうサイは来れないっチ!!」

「死んでも守ってくれたっチ!! ありがとうみんなっチ!!」

 蜂たちは大喜びで、花畑の上を飛びまわって踊った。

 そして皆で巣に戻ると、数体がその中から、明るい黄色の蜜ろうそくでできた、スイカくらいの大きさの器を持ち出してきた。回してふたを開けると、器の内側は巣の成分で塗られていて、器の中身として純金色の蜂蜜がたっぷりと入っていた。

「ああ、きれいな色!」

 太陽の光に美しくきらめく、とろけるような蜂蜜を見て、紫苑がうっとりとした声をあげた。

「手伝ってくれたお礼だっチ。この器もウチらの巣の一部から使られた蜜ろうから作られた蜜ろうそくだから、蜂蜜を食べ終わったら、ろうそくにするといいっチ」

「一つもむだがないんだね!」

 霄瀾が興味津々(しんしん)で目を輝かせた。

「ありがとう、おいしくいただくわ」

 紫苑が器を受け取ると、別の蜂が進み出た。

「本当はもっとあげたいっチ、でもウチらも花畑が元に戻るまでは、あまり余裕がないっチ。だから、その代わりにこれもあげるっチ」

 死んだ蜂から抜いた、毒針を出した。

「ああ、それはいい考えだっチ!」

「ぜひもらってほしいっチ!」

 蜂たちは、ヴンヴンと羽音で賛成した。

「赤い髪の子は、一度毒を克服したから、耐性ができてるっチ。次刺さっても、しびれるだけっチ。安心していいっチ」

「いいのか? これも花畑に埋めれば……」

 出雲に対して、蜂が上下に飛んだ。

「ウチらは、恩人もウチらと同じくらい大事だっチ! 危ないと思ったら、これを使うっチ。ウチらは、恩人の役に立てるのは、とても嬉しいっチ!」

 紫苑がその言葉で微笑んだ。

「じゃあ、その思いをありがたくいただくわ。今度は私たちがあなたたちに守ってもらう番ね」

 蜂たちは心から嬉しそうに飛び回った。

「そうだっチ! そうだっチ!」

 そして、蜂たちは仲間を葬りに、紫苑たちは村へ報告に行くため、別れた。

「魔族の中にも、ボクらが共感できる感覚を持った種族が、いるんだね」

 ぬくもりを与える柔らかな色の蜜ろうそくを大事に抱えてじっくりと眺めながら、霄瀾がこんな感想を述べた。

「そうね、すごく自然と仲間を大切にして、死を前にしても思いがぶれないで……。ねえ?」

 紫苑がまだ少しひきずる両足をおして振り返ったとき、視線を向けた二人の男は、少女と子供の会話など、まるで聞いていなかった。

「いいか露雩、この針はだな、あるじを守る式神のオレが持つべきなんだ。剣姫を止めるのに、力が抜けたオレが唯一剣姫に対抗できる切札になるからな」

「いや出雲、オレこそが持つべきだよ。紫苑に玄武が効かない以上、最小限の傷で済ますにはこの針しかない。オレこそ持つにふさわしいよ」

「とか言って、お前しびれた紫苑に頼られたいだけなんだろ! お、お姫様抱っことか、したいんだろ!」

「何言ってるんだ、出雲こそ朝から晩までしびれた紫苑の全部を世話したいんだろ! そ、添い寝とか、するつもりなんだろ!」

 オレが持つオレが持つと言い合っているので、紫苑がひょいっと毒針を取り上げた。

 そして、呆気あっけに取られている二人を背にして、

「霄瀾。あなたにあげる」

 と、毒針を子供に渡した。

「危ないときに、使いなさい。あなたが持つのが、一番いいわ」

「うん、わかった」

 子供が大事そうに毒針をしまうのを、後ろの男二人がちょっと肩を落として眺めていたのを、紫苑は知らない。

 出雲は、そのまま、自分の両掌てのひらを眺めた。

 すさまじいいかずちみなぎ膂力りょりょく

 露雩の雷式らいしきになったときの、力の解放が思い出される。

 炎式えんしき以上の出力。

 出雲は、あのとき気分が高揚していた。これまでに味わったことのない強大な力が、全身を駆けめぐったのだ。それは、露雩が並々ならぬ術者であることを示していた。

「(もしオレが露雩の式神になれば、この力で剣姫を止められるかもしれない……)」

 露雩を主人にしてもらおうか、と、出雲は迷い始めていた。祭りの日の夜に紫苑についていくと決めていた彼に、新たな選択肢が加わったのだ。

 そのとき、増肢村ぞうしむらのある方角から、風に乗って人々の悲鳴が響いてきた。

 それを聞いて、出雲が紫苑をお姫様抱っこの形で抱えあげ、駆け出した。

 村は、かなりの家屋が半壊していた。米や野菜といった食糧を袋に入れて持ち出す、泥だらけの男たちに追いすがる人々が、足蹴あしげにされている。

 村の中央広場には、親分らしき短い茶色の毛をした犬の魔物が一体、鎧と刀を身につけ、腕組みしてそれを眺めている。鼻がつぶれて、常にむきだしている牙のせいで、顔に多くのしわが寄っている。

 その周りに、犬の魔物を避けるように村の子供たちが集められていて、子分の泥だらけの男たちがさらに囲んでいる。

 つまり、人々は子供を人質に取られ、食糧を奪われているのだ。

 一瞬でそれを理解した中では、剣姫が一番早かった。

「この村から、餓死者を出させる気かァーッ!!」

 子分を斬り飛ばし、残骸を踏みつけて犬の魔物に跳んだ。蜂の魔物の姿が目に浮かんだ。どの生物も、様々な理由から食糧を長期保存するのは難しいし、足りなければ弱者から死ぬしかないのだ。

「村人を今殺さなくても、将来殺すことになるのだ! 許すわけには、いかぬ!!」

「なんだてめえは!!」

 次の瞬間、犬の魔物は、とっさにかざした刀ごと、紫苑の刀に鎧から肩口まで食いこまれた。

「ギャアアー!!」

「親分!!」

 一味が異変に気づいた。自分たちのうちで最も強い魔物が傷を負わされて、動揺している。犬の魔物が肩に自分の刀を埋めこんだまま、絶叫した。

「何してるてめえら!! 弓で殺せえー!! オレは鎧を着てる!! オレにかまうな!!」

 紫苑は顔色を変えた。私の周りには子供たちがいる!

「うっ……子供……」

 しかし、すぐに陰鬱いんうつな表情に変わった。紫苑はまだ、毛土利国けどりこくの遺跡、来場村くるばむらで受けた子供への絶望という傷から、立ち直っていない。男装さえ諦めてしまうほどの衝撃だった。もう子供を信じられない。だが――……

 何が起こっているのかわからず、男たちが弓矢をつがえるのを見ながら硬直している子供たちがいた。

「バカ者!! 伏せろー!!」

 何も考えず、紫苑は叫んでいた。

 男たちが矢を一斉に放った。

 剣姫の剣舞がすべての矢を斬り弾いた。

 矢は、いつまでもやまない。

 子供たちは、頭をかばって地に伏せている。

「紫苑!!」

 出雲は、紫苑が危ないのを一瞬忘れて、この人が本当に、誰よりも優しい人なのだとみとれた。自分を傷つけた子供を見捨ててもいいのに、怒りを乗り越えるその心。報われなくても、独り戦うその心。誰にも理解されなくても、オレだけはこの人の後ろに浴びせられる攻撃から守ってあげたい――! オレは、この人のためなら傷を受けても構わない!

 紫苑は、少し動きが鈍かった。毒がまだ抜け切っていないのだ。犬の魔物が、苦痛に耐えながら、自分の刀を抜こうとうなっている。

「露雩!! 頼む!!」

雷式らいしき出雲、律呂りつりょ降臨!!」

 露雩は一瞬で出雲の言いたいことを理解し、そして男たちの弓と剣をすべて折るために走りだした。

「! 出雲、雷式!!」

 出雲に気づいた紫苑の後ろから、刀を抜き取った犬の魔物が、残った片腕で刀を振り上げた。

「このやろう、ふざけやがって!!」

「クッ……!!」

 矢を斬るので精一杯の紫苑が視線を向けた時。

「お前の相手はオレだあー!!」

 片手で紫苑に向かう矢をつかみながら、雷式出雲が右手の神剣・青龍せいりゅうで魔物の刀を横へ押しやった。

「ボクの竪琴もいらないんだ!?」

 霄瀾の水鏡すいきょうの調べを弾く手が止まった。

「紫苑も全開で動けるし、いいことずくめだな!!」

 犬の魔物の剣を押し返しながら出雲が紫苑に白い歯を見せたとき、紫苑は同じ顔をしなかった。

「……なら二人で仲良くな」

 大事な友達を取られた子供のような、不機嫌な顔をして、矢斬りに専念してしまった。

「……え」

 えっどうしよう、怒ったの!? と出雲が焦ったとき、神剣・青龍から雷の力が溢れだし、蛇がたけり狂うような稲妻を、放出し始めた。

「わっ! わわっ!」

 その稲妻は弓を射る男たちや村人、家屋を無差別に襲った。皆が頭を手で守って、逃げ惑った。

「わっ! どうしよう紫苑! どうなってんだよこれ!?」

「まったく……、『炎式出雲、律呂降臨』!!」

 慌てふためく雷式が、炎式に戻ったとたん、雷はぴたりと止まった。

「ううっ……、霄瀾、頼む!」

「うんっ!」

 竪琴の音で立ち上がる式神に向かって、紫苑は剣を持ったまま手を腰に軽く当てた。

「露雩はお前に力を与えすぎる。お前が慣れないのにそんなことをすれば、力が暴走するだけだ」

 少し力の抑えられた炎式に戻って、ようやく出雲は紫苑の繊細な力加減を知った。術より剣で戦いたがる式神が一番動きやすいよう、炎の出力を調整してくれていたのだ。

 強さにばかり目が向いて、主を変えようかとまで考えた出雲は、恥ずかしさに顔から火が噴き出る思いだった。

 それを見て、紫苑は戦闘中にもかかわらず、口の端を上げた。

「お前を一番戦えるようにしてやれるのはこの私だ。その私以外を主にしようとは、お前も大それた男だ」

「しょ、しょーがねーだろ!? お前を、」

 もっと守れると思ったんだ、と出雲は口ごもった。

「心配するな」

 紫苑が矢に備えて刀を構えた。

「お前と私は最強の組み合わせだ。私が死ぬまで、ついてこい!」

「お、おう!」

 二人は、再び矢と犬の魔物に向かっていった。

 露雩は息が苦しかった。

「どうしたんだろう。胸がつぶれた思いだ」

 息の合った二人を見ていると、心臓が早鐘を打ったように短く強く脈打つ。

 動かなくなった露雩に気づいて、紫苑がとっさに走りだした。しびれていた足が、元の速さを強制的に取り戻した。

「どうした、露雩! どこか痛むのか!」

 ちょうど、出雲が犬の魔物を倒し、仲間の男たちに動揺が広がったところだった。

「に、逃げろー!!」

 米や野菜を残して、ばらばらに逃げだす男たちを見て、剣姫が飛びかかろうとしたとき、うつむいて表情のうかがい知れない露雩に後ろから抱きしめられた。

「離せ! 今逃がせば、またここに来てしまう!!」

「行くな!!」

 うつむいたまま、露雩が叫んだ。

 その痛切な言葉に紫苑が驚いて振り向くと、露雩がまっすぐ少女の目を見ていた。

剣姫きみは、誰かに戦わないことを許してもらわないと、止まれないんだ。もし、剣姫以上の力に許されたら、きっと……!」

 露雩の希望に応えるように、両瞳りょうめの光が動き始めた。角が大きくなり、八を数えようとしている。

 紫苑が戦闘の緊張を走らせたとき、いつのまにか男どもは影も形もなくなっていた。

 自然と剣姫化を解きながら、少女は目をそらした。

「何をしても、どうにもならないこともあるわ」

「君に生きてほしい。(君の守ろうとしたこの世界を、救ったあとも見届けてほしい。オレは諦めない)」

「私は生きてるわ。自分のために」

「……(君を必要としている人のために)」

 露雩はそれ以上、何も言わなかった。


 その夜、村人の好意で一晩泊めてもらうことにした紫苑の部屋の戸を、誰かがかすかに叩く音があった。旅着のままだった紫苑がすぐに出ると、村の男が黙ってお辞儀をした。

「蜂と犬、両方を解決してくださったので、村の者でささやかなお礼をしようと思っております。どうぞおいでください」

「他の三人は?」

「皆さまは既に」

 紫苑は、腰の低い村男の提灯ちょうちんの明かりの後について、歩き始めた。村から出た。

「皆はどこにいるのです?」

「今日はまだ壊された村が片付いていないので、外で宴を開くのでございますよ」

 低い抑揚よくようで、提灯を低く上げ下げしながら、村男が耳だけ振り返って答えた。

 紫苑が何か考えるより早く、村男が質問してきた。

「あなたはお強いですが、悪人を救わないのですね。ただ悪人を斬りたいだけなのですか?」

 一般人はそう思うのか、と落胆してから、紫苑は頭を振った。

「救っているぞ。悪人を」

「どこが!」

 村男が目をむいたのが、後ろからでもよくわかった。紫苑は説明してやった。

「悪を為した悪人は、もう罰を受けるより他にない。しかしそのことは、悪は必ず滅ぼされるということを一般人に見せてくれる。一般人が悪事を働かないための教えとなるのだ。そして殺された悪人は、身をもって一般人への教訓を示したので、たとえ死んでも善行を積んで救われる」

 村男が振り返った。

「狂ってる! 死んで救われるなんて!」

 しかし紫苑は冷静だった。

「もし裁きなき世界が生まれたら、一般人が狂うだろうよ。悪人がはびこり、どこにも安住の地がなくなるために」

「生きて罪を償う姿を、一般人に見せるべきだ!」

 村男は提灯の明かりに歪んだ顔を照らしだした。何を隠そうこの男は、昼間の男たちの一味で、村に収穫物ができると、その情報を流して一味に奪わせていた、間者であった。今夜は、一人でいる紫苑をまず殺して、残りの三人も勝手知ったる地形で一人一人がバラバラになったところを殺そうと考えていたのだ。

 どうしても死にたくない村男は、どうにかして紫苑の論理を破ろうと食い下がった。この論理を破らないと、のちのち自分たちは危険な状況に置かれるような予感がしたのである。生きていられればまた酒が飲める、また何度悪事を働いても死ぬことはない。だから、なんとしても悪人が生き残る方向へ、話を持っていきたい。

「被害者が救われないではないか」

「え?」

 生きることはすばらしいことだと美辞麗句を練り上げ、相手を丸め込もうとしていた村男はきょとんとした。

「悪人が死ねば一般人も悪人も全員救われるのに、悪人が生き延びたら被害者の縁者を中心に、一般人が救われないではないか。被害者が許すなら別だが、許さないなら死んでやりなさい」

 村男は後退あとじさった。この女はただの怒り任せの殺人鬼じゃない。「全員を救うために斬っている」のだ!

 露雩の「全員を救うために生かす」のとは正反対であった。

 紫苑はゆらりと村男に近づいた。

「なぜ悪人寄りの発言をする? 一般人なら、悪人即死に賛成なはず。身内に悪人がいるか……悪人と仕事をしているか……」

 ゆらゆらと顔を暗くさせながら近づく紫苑に、村男は腰から下がって尻もちをついた。

「ひええええ!!」

「あっ、こんなところにいらっしゃいましたか! ちょっと打ち合わせがございますので、しばらくお待ちください!」

 別の所から別の男がひょいと出てきて、村男を連れて去っていった。そして、それきり戻らなかった。村男の一味の者が、とても紫苑たちにはかなわないから、しばらく増肢村ぞうしむらに手を出すのはやめようという話に落ち着いたのだった。


 村男は、別の村で漁師になっていた。昔の仲間がいくら漁の情報を流せと言っても、応じなかった。

「あんなバカヤローに狙われたらと思うと、生きた心地がしねえよ! 悪人にならなくても酒は飲めらあ、死ぬよりかましだ! オレは生き延びる方を選ぶぜ!」

 仲間はせせら笑った。

「バカだなあ、ああいうヤツは涙流してもうしませんって言えばだませるんだぜ。自分からつまらねえ人生にするのかよ。オレにはわからねえな。あばよ、二度と会わないぜ」


 その後、仲間たちが峠の谷底で全員転落死しているのが発見された。赤い髪の女が通ったと聞き、村男は身震いしながら舟へ戻った。

 自分の罪は一生消えないから、罰は一生何をすればいいのだろうか、という震えであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ