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星方陣撃剣録  作者: 白雪
第二部 常闇の破鈴 第五章(通算二十四章) 光の雪
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光の雪第一章「十全(じゅうぜん)の章授(しょうじゅ)・八章・虐殺」

登場人物

阿修羅(ヴァン=ディスキース)。神の発音で「あじゅら」、人間の発音で「あしゅら」。邪闇綺羅(神の発音で「じゃぎら」、人間の発音で「じゃきら」)の弟。神刀・白夜びゃくやつきを持つ。神に背いた罰を受け、この世界ではヴァン=ディスキースと名乗って旅をする。

セイラ=サザンクロスディガー。栄光の都レウッシラで阿修羅が助けた星羅せいらと同じ姿をしている。歌姫。

ザヒルス。十五才。ザヒルス村の領主で、斧使い。

ソディナ=ハーオーラ。氷魔法の魔法使い。

黒魔。星の持つ、憎しみと絶望の権化。すべての命を喰らい、すべてを葬ろうとしている。

ゼブゲ。死体を「供養」すると、その死体を自分の思い通りに動かせる。

ルミル=テール。魔族のウサギの姿をした黒魔。

名宛下なてが。またの名を世界最高の鍛冶職人、ガルミヴァス。世界を絶望へ向かわせようとしている。


第二部完結巻です。




第一章  十全じゅうぜん章授しょうじゅ・八章・虐殺



 風の強い国に入った。色とりどりの長い布が、直方体の各家の屋上で風にあおられ、旗のようになびいている。どうやら、ここは染物そめものの盛んな町で、風で、染めた布を乾かしているようである。布のなびく長さだけ向かいの家と離れているので、それに沿って、地上に道ができる。風の向きに対して直角に、家の並びと道が交互に存在する、細長い町だった。周囲は、牛の放牧と、畑作が行われており、澄んだ川が流れていた。

「モーダ王国の王都、マムノゴです」

 セイラがヴァンに伝えた。ヴァンは、しばし立ち止まって広場を見つめた。

 広場の周囲の木々に銅線がくくりつけられ、人々の頭上に張りめぐらされていた。そして、その銅線には透明で小さいベルが、たくさんぶら下がっていた。強い風が吹くと、あおられて銅線を軸に、くるんと一回転する。そのとき、チリンと、かわいらしい澄んだ音が鳴る。風が吹くたび、かわいい音がたくさん鳴る。

 すべて同じ音程にそろっていた。最高に腕のいい職人がいるのだ。

 いくらたくさん鳴っても、かわいいので、うるさいと思うことがない。同じ音程なので、鳴るたびにそこに奥行きの空間が生まれ、まるで――おごそかな存在が、音の彼方からやって来るのではないかと、錯覚させてくれる。

「このような美しさに迎えられたいものだ」

 阿修羅あじゅらは心地良さに目を閉じた。

 セイラは、モーダ王国は神に食物ではなく音を献上していることを、阿修羅あしゅらに伝えようとして、阿修羅の様子を見て、邪魔をしないように黙っていた。

 そのとき、セイラのタロットカード・皇帝が、赤色の光を放って、ヴァン、セイラ、ザヒルス、ソディナを包んだ。同時に、星に光が走り、空を真っ赤に染めた。不安と狂気しか刺激しないかのような、血みどろ色の赤色だった。ザヒルスもさすがに気味悪そうに周囲を見回した。

「お、おい……、今度は何だよ!」

 ソディナも四人で建物の陰に隠れながら、辺りを警戒した。

「また星の攻撃なわけね。こっちが手を打てる攻撃ならいいけど、まるでこの世の終わりみたいだわ」

 阿修羅は空を見上げた。

「この世の終わり、血色の空――まさか、兄者……!?」

 一つの文明が完砕かんさいされるときに必ず現れる紅き鬼神きしんこうしょうとう。かつて栄光の都レウッシラを滅ぼした、阿修羅の兄、邪闇綺羅じゃぎらだ。

 しかし、神気の波動は空から降ってこない。

「兄者は来ない……。しかしこの血色の空。星が紅晶闘騎を模した何かを画策している!」

 阿修羅が風魔法で飛び、空を調べようとしたとき、耳をつんざくたくさんの悲鳴が、王都中から聞こえた。

「王になるのはこのオレだー!!」

「女王の資格が私にはあるのよー!!」

「オレこそが皇帝だー!!」

 なんと、王都中の老若男女が、一人残らず石や剣や包丁を手にして、見境なく殺しあっていた。誰を殺しても、誰が殺されても、何とも思わない。ただ次の相手を殺しにかかるだけである。

 ヴァンは、急いでセイラ、ザヒルス、ソディナを風魔法で空中に引き上げ、建物の屋上に四人で降りた。広場での惨劇に、ザヒルスが怯えた。

「何!? 子供まで巻きこんで、何なんだよ!! 何が目的なんだよ!!」

 そのとき、阿修羅の『乾坤けんこんしょかげ』が開いた。

十全じゅうぜん章授しょうじゅ八章はっしょうが始まった。全人類で殺しあい、最後まで立っていた一人が世界の王となる。その者を人類の始祖として、新しい人類の歴史を始めるがよい、という空気が、この星に流れている。全人類のうちでそれに抗える者はいない。善であろうと悪であろうと、自分の理想をかなえるためには始祖として生き残らなければならないからだ』

 セイラは驚愕してヴァンを見上げた。これを放置すれば、全人類が虐殺される。ソディナはセイラのタロットカードを見た。

「だから皇帝のカードが光ったのね。王になりたがる光から、王そのものの光が私たちを守ったのだわ」

 ヴァンは皇帝のカードの赤い光を世界に放ったが、現状は変わらなかった。ただの光だからだ。仕方なく、人々に巻きこまれて死んだ牛を風魔法で解体し、骨に鍛冶を行って骨の剣にすると、武器のない子供たちに飛ばして握らせた。少なくとも、無抵抗に殺される命があってはならないからだ。

 しかし、武器を得た子供たちは、それで身を守るのではなく、突撃に使った。王になりたいという欲望を、抑えることができないのだ。

 自分以外の人間にひょうを降らせる魔法を唱える術者がいれば、まばたきすら満足にできない大雨で、視界を奪う術者もいる。本来天候を操る魔法は、戦場で術者の寿命を縮めて使うのだが、自分以外をすべて殺すという戦場に立った今、もはや生き残るためには、寿命が縮もうと構わないのだ。

 生き残ったのは、ずっと隠れていたボウガンの狙撃手だった。ところが、自分が王になったことが嬉しかったのか、うおーと叫びながら広場に出てくると、頭をボウガンの矢で射抜いて、自滅してしまった。

 広場は静かになった。

 ヴァンがその空気を破った。

「星は、一人も地上に残す気がないのだ。最後の一人は、“王”になった達成感を得たあと、もう後に何の目的もないので、死ぬのだ。すべての町でこれが起こったのだろう。人類は、セイラとソディナ、もうお前たちしか残っていない」

「「ええっ!!」」

 二人は、これから世界がどうなってしまうのかと震えた。阿修羅神がいなかったら、これからの生きる目的を失っていたかもしれない。

 ザヒルスが尋ねた。

「魔族は、助かってるのか?」

 ヴァンは遠くを見た。

「人間以外は、星が死にたいと言ったら、従ってくれる。人間だけだ。星にいつも反対するのは――」

 そのとき、男の声が空に響き渡った。

「わしの供養を、受け入れよ!!」

 その男の声で、すべての死体が起き上がった。目の焦点はどこにも定まらず、しかし、生前の自分の武器をしっかりとつかんでいる。

 死体したい生命せいめい発現はつげん許塔きょとうゼブゲが、風魔法で空から降りてきた。ザヒルスは驚いた。

「お前、死ななかったのか!?」

 ゼブゲは空中に静止した。

「世界の行く末に干渉しうる者は、たいていの攻撃を無力化するものだ。わしの場合は、完全にお守りくださる方がいらしてくださったおかげでもあるが」

名宛下なてがか」

 ゼブゲはヴァンを見てウクブプフブプフと、口を閉じて笑った。

「その娘を助けたのか。呪いでは足りないようだな……」

 険しい表情でヴァンがセイラをかばうように立ったとき、王都に全力疾走の一団が到着した。

「隣の町の死人たちだ」

 ゼブゲが言うそばから、隣国の死人たち、川を泳いできた死人たちなど、続々と死人軍団が集まってきた。

 驚いて見回すヴァンたちに、ゼブゲはわざと優しく手を広げた。

「教えてあげようか? 名宛下様のお力で全世界にわしの祈りが届き、全人類を供養した。わしの力は今、全世界に広がっているため、近隣はおろか世界の裏側からでさえ、全人類はこの地に全速力で、死人兵として向かっているのだよ。わしを全人類の王とし、星の敵の阿修羅、お前と戦うためにな。疲れず、死なない死人兵が、山を全力で駆け登り、海を休みなく泳ぎ、雷雨すらものともせず、まもなく全軍集合する。どんな気分だ? 全世界の全人類に殺意を抱かれる気分は、阿修羅ッハハハッ!!」

 どんなに導いても、自分は結局人間に敵と思われてしまうのか。

 どうして私の意思は、いつも人間とすれ違うのか。

 なぜ阿修羅が去る必要がある。

 失敗作の方が地上から消えるべきではないか。

「そんなに死にたいのか」

 正方形を二つ、縦と斜めに重ね合わせた八角形の、赤紫色の星晶睛せいしょうせいに、砕く前の氷のように見つめられて、ゼブゲは総毛立った。神の底知れぬ瞳の光を、初めてまともに食らった。

「ウクブプフ……」

 ようやくそれだけ口から出た。

「救えぬくせに、救えるふりなどするからだ。阿修羅は無力だった。全人類を生かせず、殺せなかった。何のために地上に戻ったのだ? 無動むどうにして無情の神よ!」

「黙れ!!」

 阿修羅が怒鳴った。

「命を弄び使い潰す者たちに、言われる筋合いはない!! 力を占有にしか使えない者は、倒されるべき、悪である! 救いの形は一つではないし、人間の望みでは計れない! 目の前のことで一喜一憂するな! 因果が積まれるまで待て!! 十全じゅうぜん章授しょうじゅのように一気に事を進め、一気に結果が生じるのは、悪の特徴である!! 真の救い、真の善は、目に見えず、時が経ってから、今自分が幸福の中にいるのだとようやく気づくという特徴を持つ!! 自分の人生を肯定させる真の救いとは真逆に、一時の短慮つまり欲望を増幅させ、取り返しのつかない罪を犯させる悪が世界にはびこることは、私が赦さぬ!! 誰の心も動かすことなく、己の欲望のままに全人類の兵を得たゼブゲ、貴様に王たる器なし!! 私が貴様も全人類も眠らせてやろう!!」

 阿修羅が神刀しんとう白夜びゃくやつきを抜いた。ゼブゲは両手を組んで祈りを捧げた。

「様々な『供養』の仕方を、見せてやろう!!」

『供養』された死人兵の一団から肉が削げ落ち、骨ばかりになった。

「見よ! 目がないであろう! 娘のタロットカード・奇術師が見せる故郷の幻は、かんぞ!!」

 ゼブゲの声を合図に、骨兵士が突進してきた。ザヒルスが前に出て、斧を振るい、一撃で一体を粉々に砕く。斧を、軽い棒を操るかのようにブンブン回し、自分の周囲の敵をぎ払う。細身の体での力強い斧さばきに、ソディナが驚いた。

「ザヒルス、斧の扱いすごく上手!!」

 しかし、散乱した骨は、自ら動いて、元の骨格に戻っていく。ザヒルスはさすがに青ざめた。

「これを全人類分、どうにかしろってのか!?」

 ソディナが叫んだ。

「ザヒルス! 構わないからどんどん砕いて! 私に任せて!」

 ザヒルスはその言葉を信じて、力一杯に斧をひらめかせ、次々に骨兵士を砕いていった。骨は元に戻ろうとうごめきだす。そこへ、

「アイス・ボール!!」

 ソディナが氷魔法で、ばらばらに散らばる骨の中心から球状に氷を増やして、砕けた骨を、砕かれたまま、まとめて氷で固めてしまった。骨は動いても、氷をひび割れさせる力を持たないため、二度と骨格を再生できなくなった。

「ソディナすっげー! オレたちいいコンビになれるな!」

 ザヒルスはばーんと言ってばーんと戦いに出て行った。残されたソディナは、

「え? ……な、何言ってんのよ、私はヴァンみたいな大人がす、スキなんだから……」

 と、戦いを一時忘れていた。

 ゼブゲは腹が立ったが、ザヒルスとソディナを骨兵士に釘づけにできたことで気持ちを切り替えた。

「では次の供養だ!!」

 ゼブゲが両手を組んで別の一団に祈りを捧げると、死人兵の体が薄れ、少し透き通った。

「幽霊兵よ、ゆけえ!!」

 阿修羅の神刀・白夜の月で斬っても、雲のように手応えがなく、裂いたと思っても再び元に戻ってしまう。ゼブゲが笑った。

「とりつかれれば体を乗っ取られてしまうぞ! 神を操るには何体必要かな? ウクブプーフフフ!!」

 阿修羅は一体にまとわりつかれて、寒気を覚えた。瞬時に白夜の月で円を描き、その聖なる剣振けんしん聖音せいおんで、魔を祓った。そしてもう一度円を描くと、その聖音で幽霊兵を包みこみ、球の中に閉じこめてしまった。

 ゼブゲは、自分の供養が通用しないことに、むっとした。そこで、以前戦ったときの銀色の光球を出した。

「名宛下の光球!」

 阿修羅を勝たせるために、セイラは再びタロットカード・節制を出した。灰色と白色のマーブルの光が放たれる。名宛下の光球の力を半減させるはずである。

「させはせぬ!!」

 ゼブゲがさっと手を挙げた。その直後、不快な不協和音が鳴り響いた。

「ナキャアッ!!」

 聞いたこともない悲鳴を上げて、セイラが両耳を塞いで転がった。

 ゼブゲの前に、黒髪で黒いドレスの竪琴弾きの女が立ち、不協和音で歌っていた。ゼブゲが余裕の目を細めた。

「音の神・阿修羅への最高の攻撃であろう? 特にこの女はセイラと同じ声だからな」

 阿修羅は怒りと不快で顔に影を作った。音の神が最大に忌み嫌うものは、世界を呪う音と、祝女の出す醜い音だ。

 セイラと同じ声の女で不協和音を出すのは、阿修羅への捧げ物を穢すことであるし、セイラを憎むもとにもなりかねない。

「なんという瀆神とくしんを行う者なのだ!!」

 セイラは、自分と同じ声の不協和音に苦しんでいる。音感が一時的に破壊され、正しい音程で歌えなくなっていた。

 ゼブゲは、セイラも封じたことに満足した。

「さて、他の死人兵もあの氷魔法の女に凍らされては元も子もない。氷魔法に耐えられる死人王を作っておくかな」

 ゼブゲはソディナのアイス・ボールを風魔法で持ち上げ、死人兵の一団も持ち上げると、一箇所にまとめてくっつけた。人が飛び出してめちゃくちゃな形になっている、直径十メートルのボールが作られた。

「混濁王ガルディオンゾ! ひかりけんを、見せてやれ!!」

 ゼブゲの言葉で、ガルディオンゾのすべての目が、かっと見開き、頂上の手が天に伸びた。その手に影が集まり、黒い剣になった。それを手が振り下ろすと、突然剣が千本になり、阿修羅たち四人に振り下ろされた。

 死の光の剣は、黒い影の剣が千本生じ、元の剣と同じ動きをするようだ。

 阿修羅は、白夜の月から黒い月の光線を出して、戦場を水平に一回転させ、千本すべてを砕いた。すべて同じ動きだったのが幸いであった。しかし、第二撃、第三撃が今の状態で来たら、仲間を守りきれるかどうか、難しい。阿修羅は、三人を自分のそばに集めた。

 すると、それを見越していたかのように、ガルディオンゾのすべての目から光線が発射された。

 とっさに阿修羅の炎の魔法とソディナの氷魔法が光線をぶつけあった。

 さらに再び死の光の剣が振り下ろされ、ザヒルスが金気の技「斧のしもべ」と自らの斧で必死に防ぐ。

 セイラは不協和音に苦しみ、のたうちまわっている。

「撤退する」

 阿修羅の決断は早かった。自分を研究し尽くしてきた相手は、甘く見てはいけない。

 阿修羅は、セイラのスカートのポケットからタロットカードを取り出すと、「戦車」の黄土おうど色の光と、「剛毅」の山吹色の光を放った。

 空に、天駆ける戦車軍団と、それに乗った勇猛な戦士たちが現れた。

 ゼブゲは、阿修羅の魔法を二枚とも吸収して放散できるだろうかと疑い、どちらか一枚だけ確実に無力化できるとしたら、どちらのカードにしようかと迷っていた。

 しかし、阿修羅はそのどちらでも攻撃しなかった。さらにタロットカード・皇帝の赤い光を放ち、ガルディオンゾと死人兵に皇帝になった夢を見せた。死人兵は快楽が満たされて動きが止まった。そして、自分を傷つけて死のうとしだした。死人兵なので、いつまでも終わらない。

 その隙に、阿修羅はセイラを抱え、ザヒルスとソディナを連れて風魔法で逃げようとした。

 しかし、ゼブゲは使い物にならない死人兵ではない者に命令した。

「ルミル=テール!! 阿修羅の風を食えっ!!」

 いつの間にか、ウサギ女のルミル=テールが、ゼブゲの隣にいた。しかし、ルミルは苦しんでいるセイラを見て一瞬、息を止めて胸を痛めた。

 その間に、阿修羅たちは飛び立ってしまった。

「何をしている!! この、ボンクラが!!」

 怒り狂うゼブゲに足で蹴られながら、ルミルはセイラの去った方角を、いつまでも見つめていた。

「あのさ、こんなときになんだけど」

 風で飛びながら、ザヒルスがおずおずと切り出した。

「オレの呪い、終わったみたいだ」

 ソディナがザヒルスの体を上から下まで眺めた。

「敵を倒すごとに一本ずつ呪いの線が消えていくっていう、あれ?」

 ザヒルスはそのせいで、眠るときいつも浮いてしまう体を、斧に鎖でつないでおかなければならなかった。

「今日、死人兵をいっぱい倒したから、全部の線が消えたんだと思う」

 阿修羅が祝った。

「よかったなザヒルス。これからのびのび暮らせ。戦いが終わったらな」

 ザヒルスは満面の笑みを浮かべた。

「はい! ありがとうございます! オレ、阿修羅様に出会ってから、呪いが二つも消えて、いいことばっかりです! 嬉しいです!!」

「……人間ではなく、いつも私には魔族が――」

 それは一体、何故なぜなのだ?

 阿修羅は『乾坤の書・影』が光ったので開いた。

『全人類の虐殺を行う十全じゅうぜん章授しょうじゅ八章はっしょうおわり

 と、書かれていて、次のページも光っているのでめくると、それは世界地図の頁で、西の果ての島が光っていた。

「そこへ行けということか……」

 阿修羅たちは、西の島へ向かった。


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