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星方陣撃剣録  作者: 白雪
第二部 常闇の破鈴 第四章(通算二十三章) 望みの在処(ありか)
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望みの在処(ありか)第一章「十全(じゅうぜん)の章授(しょうじゅ)・五章・激怒」

登場人物

阿修羅(ヴァン=ディスキース)。神の発音で「あじゅら」、人間の発音で「あしゅら」。邪闇綺羅(神の発音で「じゃぎら」、人間の発音で「じゃきら」)の弟。神刀・白夜びゃくやつきを持つ。神に背いた罰を受け、この世界ではヴァン=ディスキースと名乗って旅をする。

セイラ=サザンクロスディガー。栄光の都レウッシラで阿修羅が助けた星羅せいらと同じ姿をしている。歌姫。

ザヒルス。十五才。ザヒルス村の領主で、斧使い。

ソディナ=ハーオーラ。氷魔法の魔法使い。

黒魔。星の持つ、憎しみと絶望の権化。すべての命を喰らい、すべてを葬ろうとしている。


世界の終わりに向かって、星が急速に動き出します。




第一章  十全じゅうぜん章授しょうじゅ・五章・激怒



 ヴァンは、泉のほとりでセイラとザヒルスを休ませている間に、これまでに自分が創り出した武具を、直径一センチの丸い宝石に変えてしまった。

 ペナペナの剣は白、いちキーンのつえは黒、ひかりけんは黄色、セイラにあげたゼリーの盾はエメラルドだ。他にセイラのピンク色のイヤリングと、ザヒルスのベルトの金具の黄緑色の飾りは、そのままだ。

「元の形を念じれば元に戻るから、使うとき以外は隠していろ」

 セイラにエメラルドを渡しながら、ヴァンが伝えた。

 これから先、ヴァンの創りしものは、黒魔に狙われ続けるに違いないと考えたからである。

 セイラはそれを黙って見ている。

 ザヒルスは泉の水を飲んだ口を手の甲でぬぐいながら、意を決して背を伸ばした。

「あのさ……ヴァン。お前……何者なんだ?」

 ヴァンは、女騎士カーチャに、自分のことを「世界に必要とされ、しかし知られてはならぬ者だ」と告げた。神器しんきを創る腕をも持つ。もはや「竜族の鍛冶職人」ではないことは、明白である。

 セイラは、うすうすそのことに気づいていたけれども、それを聞けばヴァンが自分を置いて去ってしまうような気がして、ずっと聞けなかった。

 ザヒルスは、ヴァンが本当のことを言わなくても、自分を救ってくれた相手だから、旅について行くつもりだった。ただ、ヴァンの正体を知らないと、この先どのような敵に、どのような策略で攻撃されるかわからないから、守れるものも守れなくなるのではないかという、漠然とした不安を持ったのであった。

「言えないなら別にいいけど、どんな相手と戦うつもりなのかは、教えてくれないか」

 ザヒルスの声を聞きながら、ヴァンは天を見上げた。太陽が出ていても、月が出ていても、星が降るように大地に落ち続ける白い雪。

 この世界は、死のうとしている。

 この星の生命いのちたちにはどうしようもない世界の危機を救うのが、神の務め。

 仮にもこの星の守護者の弟ならば。この星を追いつめた張本人ならば。

「私は、責任を取らなければならない」

 ヴァンの瞳が、正方形を二つ、縦と斜めに重ね合わせた八角形を宿し、赤紫色になった。

 セイラが身を固くした。

「私の名はお前たちにわかる発音で阿修羅あしゅら。この星の意志といずれ話をつけるつもりだ」

 二人は息を呑んだ。

「阿修羅!? この世界を捨てて別の世界へ行ってしまったという、『薄責任(はくせきにん・意味『薄情なほど責任を取らない』)の神』!! 戻って来たのか!!」

 この星の生命は、この星の記憶と意志から逃れることはできない。この星は、邪闇綺羅じゃぎら阿修羅あじゅらの兄弟を許していない。すべての生命に、「神が見捨てて去った」と、星の鼓動で刻みつけたのだ。

 だが、幸いなことに、セイラとザヒルスは、「いまさら何しに帰って来たのか」という顔はしなかった。

「この星を、助けに戻って来てくださったのですね!? 白黒の世界から救ってくださったように!!」

「この白い雪、止められるのか!?」

 二人は興奮して阿修羅に詰め寄った。答えようとして――、阿修羅の耳に遠くからの轟音が聞こえた。

 阿修羅は失敗した。

 栄光の都レウッシラで犯した失敗を、繰り返してしまった。

 神の名を名乗ってはいけなかったのだ。

 地上にあってはならないもの、神の名と形は、ブラックホールと化し、すべてをその無へと呑みこませる。

 一つの文明の終わりにそのすべてを完砕かんさいする最強の神、紅き鬼神・こうしょうとうを呼んでしまったのは誰か。――阿修羅だ。

 ああ、なぜならば、神が地上に現れるなら、神一柱のみがこの星に存在すれば、世界は正常にまわるからだ。何十万人も何十億人もどうしてるだろうか。過不足なく暮らし、存在し続ける神以外、存在価値はないではないか。だから神はこの世界で暮らしてはならない、現れて名乗り、人を苦しめてはならない。人はその悪を神に撃たれ、その善の継続を神に鞭打たれることにもなるからである。人間は神が現れた瞬間、即死するしか救われる道はないのだ。

 阿修羅はこの星のことが終わったら天へ帰るつもりでいるが、そうは思わなかった者がいた。

 神が現れた。

 神が現れた。

 神が現れた。

 もう、我慢しない。

 海水が天に向かって何キロメートルにもせり上がり、北極から南極にかけて星の半円を描く線になったかと思うと、津波となって星を一周しだした。津波の通らない地はなく、国・町村は海水に没し、星の生命のあらゆるものが混ざりあった状態が残った。

 大気は海水に洗われて、正常に戻っている。

『乾坤の書・かげ』が光った。

『世界の大気汚染を浄化するために星が起こした。この星は永い間我慢していた。だが阿修羅が現れて、阿修羅さえいればもう安心だから、星を掃除して、もう一度やり直すかどうか考えようと思っている。星を痛めつけ、それを止めることもせず、むしろ率先して参加する者たちを、星は怒っている。星にとっては、津波は手段の一つに過ぎない。星の問題を人任せにし、解決法を考えない者も、星にとっては十把じっぱひとからげである。よって、誰も答えを出さない限り、星は生命を全殺ぜんさつする復讐の権利がある』

 水が引いた。

 地上には生命の果ての混沌が広がり、空中には無数の生命が浮いていた。

 阿修羅が、間に合うだけの生命を風で宙に逃がしたのだ。人族、魔族、精霊族、竜族、その他あらゆる種族で、神気を受けやすい者を中心に、その周囲を竜巻で宙に巻き上げた。

『乾坤の書・影』が光った。

『大気汚染に対する星の復讐。十全じゅうぜん章授しょうじゅ五章ごしょうおわり。注意・星は加速している。阿修羅が星を去る前に、星の生命を全殺するつもりである』

 神がいればやり直せる――新しいものたちと共に。

「(この星の最後の望みなのか)」

 生命を地上に降ろしながら、阿修羅は自分の失態にしばし沈黙した。

 津波を免れた者たちは、竜巻に感謝しつつも、すべてががれきの山と化し、作物もめちゃくちゃになった大地を見て、しばし呆然としていた。まずは折れた木材と破れた布で簡単な小屋を作ると、そこを拠点に片付けと作付けをしようという話にまとまった。生き残ったものを見つけることも重要な行動となった。

 阿修羅は、セイラとザヒルスに、自分のことは変わらずヴァン=ディスキースと呼ばせ、がれきの町に降り立った。町の特徴は失われ、すべてが等しく破壊されていた。

 生き残った人々が全員復旧作業をしているのかと思えば、そうでもなかった。女子供ががれきを片付け、男たちは怒鳴りあっている。

「オレが王になる!」

「バカ! お前なんかがなれるか! 俺が王だ!」

「おい、てめえらこそうすらバカめ! オレより格下のくせに王になれると思ってんのか! オレが王に決まってんだろ!」

 津波で国王一族が死に、新しい王を決めているところのようだ。生き残った男たちが全員、王位を狙って争っていたのだ。

 女たちは愚かで醜い争いを放置し、黙って復旧作業をしている。王の器が果たしてこの中にいるのか? 棚からぼたもちで王位について、復興後その者が何を望むか。それは女と金と食糧ではないか。

 女たちは権力者の演説をこういう冷めた目で見ている。権力を求めもがく者のこともだ。

 自分の欲をすべて殺して民のために生きてくれる王が現れない限り。

 一人の中年の女がヴァンたちに気づいた。

「あんたたちもあの津波で助かったの? まずはお互い良かったわ。それに、あんたたち運がいいわね。実はこのアルナ国は、隣国のビニダー国と戦争していたのよ。向こうが侵略してきて、こっちは防戦一方だったけど、天の助けで『神水かみみず』の津波が来て、敵軍は押し流されてったのよ。

 だけど、アルナ国の国王一家も流されてしまって、今、生き残った男たちが次の王になるって言いあってるのよ。いえ、怒鳴りあってるのよ。生き残ったあたしたちは神に選ばれたのだから、誰もが王になる権利があるはずだって言ってね。誰がなっても末路は変わらないから、誰にでもなるチャンスがあるのかしらね。神様のお考えは、あたしらにはわからないわ」

 そして、思い出したようにつけ加えた。

「ご覧の通り何もなくなっちゃって何のもてなしも売買もできないけど、このサマク町は、平和はあげられるわ。今日は戦勝記念におめでたいことをしようって、みんなで決めてるの。なんだと思う? ……ふふっ、結婚式よ。国王の即位でもなく、凱旋がいせん式でもなく、ごくごく平凡な若い二人の結婚式よ。物がなんにもなくて、それしかできないけど、民族として大事な一歩よ。時間があったらぜひ参列して、一緒に平和な一日を分かち合ってくださいな。じゃ、あたしは片付けに戻るわね」

 ヴァンの風魔法なら、がれきの山を整然と片付けるのは、たやすい。しかし、神の力を使えば星をさらに刺激しかねない。

「今日はここに泊まろう。人々を見ていきたい」

「お水を汲んできて、お手伝いしましょうよ!」

「へー、ヴァン結婚式に興味あるの?」

 セイラとザヒルスはまったく違うことを言った。

 夜、一本のたいまつを持った初老の男を挟んで、二人の若い男女が向かいあって立った。

 二人とも、正装のきれいな服ではなく、よれよれの、着の身着のままの普段着である。男はそでの破れた青い長袖シャツに黒い長ズボン、女は土汚れのついたオレンジ色の長袖シャツとスカートである。

 たいまつを持っているのは、聖職者でも長老でもなく、死んでしまった彼らに代わって、生き残った中で一番年を取った男である。一番長く生きて、この町と儀式を見てきたからである。

 国が救われたことへの感謝と、新しい営みへの援助を、うろ覚えのところどころの神聖文字でかろうじて神に申し上げた。それから、若い二人の結婚を神にご報告申し上げた。

 花婿と花嫁に振りかける結婚の誓いの聖水には、山の湧き水が使われた。お酒は津波ですべて失われていたからである。出席者への宴の料理もない。全員、同じ山からの湧き水のみで過ごす。全員が同じものを飲んだことで、町の団結は強まった。

 そのとき、その結束を永久凍結しそうな冷気が近づいた。

 ヴァンは、がれきの向こうから、一人の女がゆっくりと歩いてくるのを見た。人々も、がれきのたてる音で気づいた。

「魔女か……あの津波でも生きていたのか!」

「戦争で役に立たなかったくせにね……」

「まさか食べ物でもねだりに来たのか? 冗談じゃないぞ」

 人々は自然と一箇所に集まり、魔女を警戒した目で見ている。

 その女は、ニ十才くらいで、水色から青にかけてのグラデーションの髪を、首を隠すように伸ばしている。青い瞳はぱっちりとした上まつ毛と下まつ毛に囲まれて、大きく澄んでいる。若く勢いのいい上向きの胸に、細い腰。すそが波打つ青色のミニスカートに、右足紫色、左足黄色の色違いの、太ももまであるブーツをはいている。両腰から一本ずつ、脚の側面を覆うように、川の流れのような流線を持つ薄く白い布地が、足首まで垂れ下がっている。

 魔女は、人々と距離を置いて立ち止まった。

「どうか、私も結婚式に参列させてください」

 人々はありえないという色の驚きの声を上げた。

「人殺しの魔女を、こんな大事な席に加えられるか!」

「私たちに復讐するために、呪いをかける気だろう!」

「帰れ帰れ! まったく、神水かみみずはどうしてこんな奴を生き残らせたんだか!」

 人々にがれきの石や木材を投げつけられて、魔女は下唇と両側に下げている両拳をぎゅっとしめると、きびすを返して去っていった。

「へっ! ざまあみろ人殺しめ!」

「あいつがいるんじゃ、この国はまだ安心できないぞ!」

 人々は魔女を追い払って歓喜している。ヴァンは、セイラとザヒルスを伴ってそっと魔女を追った。

「こんちくしょおー!! バッキャロー!!」

 山が町から自分の姿を隠したとき、魔女は両手から渾身こんしんの氷魔法を放った。魔女の目の前の平野が百メートル先まで、がれきごと凍結した。

「我慢して下手に出たら言いたい放題言いやがって!! 嘘つきの言うことを信じて私を魔女にして呪いやがって、マジ許さねえあのクソ野郎ども!! 呪いが解けたらブッ殺してやる!!」

 全力で叫んで肩で息をしている。

「見事な氷魔法だな」

 魔女は、今のを聞かれたと思って口から心臓が飛び出しそうになるのを抑えて、振り返った。

 この世で見たこともないほどの美しい男が立っていた。

「お前、黒魔?」

 魔女はうさんくさそうにヴァンを睨んだ。こんなに美しい者がこの世にいるはずがなく、黒魔がデザインにデザインを重ねた、創作美形だろうと思ったからである。しかし、ヴァンがそんな女心に気づくはずもない。黒魔と間違われたので、自分の精神が黒魔ほどちて見えるのかと、むっとした。

「オレの何の行いが黒魔なのか」

 不機嫌そうにはっきり問われて、魔女はかえって赤くなった。本当のことを言えるものか。

「……私の知らないうちに近づいてたとことか」

 ヴァンは怒りを解いた。

「お前が怒りで我を忘れていたから、周りが見えなかったのだ。その怒りの原因について、少し話を聞きたいのだが」

 魔女はヴァンたちをよく見た。

「あんたたち、この町の人じゃないのね。私も情報が欲しいし、わかったわ。私の家へいらっしゃい」

 ザヒルスが聞いた。

「流されなかったの?」

「洞窟に住んでるの。津波が来たとき、入口を氷魔法で凍らせて、難を逃れたのよ」

 ヴァンは、自力で津波から助かった魔女の判断力に、興味を覚えた。

 木の扉の破壊された洞窟へ入った。外はがれきだらけなのに、中はすべてが整然としていて、別世界だ。ベッドも、机も、イスも、フライパンも、クッションさえ、ここでは無傷でそろっている。

 セイラが小さく一息ついた。

「落ち着きますね……」

「紅茶まで出せることは、あいつらには内緒ね」

 セイラにウインクして、魔女は三人にイスをすすめた。

「私の名はソディナ=ハーオーラ。氷魔法の魔法使いよ。みんなから『魔女』にされたけど、私は何も悪いことはしていない。むしろ、私の魔力が高すぎるから黒魔の方が私を『魔女』と恐れ、潰してやろうと思ってそれを人々に広めてしまったの」

 ソディナは紅茶をれて、トレーに載せて戻ってきた。かぐわしい香りが立ち上っている。

「私は昔から、黒魔を見つけては倒すということを、人々に秘密にしながら行っていたの。黒魔は死ぬとき空間を黒く汚すけど、私は氷で固めて谷を流れる川に投げ捨てていたから、誰にも気づかれなかった」

 ザヒルスが口を挟んだ。

「なんで秘密なんだよ? みんなの英雄じゃないか」

 ソディナは諦めたように首を振った。

「だめよ。人間には必ず裏切り者が出るわ。金、力、健康、独占欲……。黒魔の手持ちのカードで全員が転ばないと思う? 必ず私の力と弱点を売る人間が出るわ。だから私は自分のしていることを絶対に隠していたの。でも、それが裏目に出て……。

 あるとき、黒魔を仕留めそこなったら、その黒魔は人間の姿になって、血を流しながらサマク町へ逃げこんだ。私は黒魔が人々を襲うつもりだと思って、氷魔法で貫いた。そしたら黒魔は私を指差して、『みんな見てくれ、人殺しだ』と叫んだ。そして人々に囲まれる私を残して鳥を呼んでつかみあげられると、谷の川に自分を落とさせた。これで私の命運は尽きたわ。だって、私がいくらあいつは黒魔だったって言っても、その黒魔はもういない。死んで空間が汚れているはずだと言っても、人間が谷底の暗い川の中の、どこを探せるというの。人々は、私が人殺しで、その男の死体があがってこないだけだと考えた。私は、人々に危険視されて、あっという間に縛り上げられて、呪いをかけられたわ」

 ソディナは、首を隠す髪を手で軽くどけた。

 首を一周するように、鎖のいれずみが入っていた。

「人を一人でも殺したら、この鎖が具現化して私の首を絞めちぎるの。でもね、呪いをかけられたから私だけにはわかるんだけど、私が黒魔を殺しても、この鎖は私の首を絞めちぎるのよ。人々の中に黒魔がまぎれこんでいて、黒魔を退治した私を潰そうとして、黒魔自ら呪いをかけたのね。むざむざと黒魔に呪われて、悔しかったけど、縛られていて、手も足も出ない。あれほど人間を憎んだことはなかったわ。これまで人々のために黒魔を倒してきたのに、隣に黒魔がいることにも気づかず、一緒になって無実の人間を叩いている。この馬鹿どもに助ける価値なんかなかった、死のうが黒魔に身ぐるみはがれようが、知ったことじゃないと、放っておけばよかったとね。殺そうと思ったときにはもう呪われている。本当に、生きてきたうちで一番虚しい日だった」

 こうしてソディナは人殺しの魔女と認識されるに至った。

「人間を信じることって、馬鹿のすることだよね? どんな聖人も、どんな勇者も、絶対裏切られるんだもの。本当に人間って、弱くて、下等で、力でしか何も得られない、劣った種族だよね? 人族なんて滅ぼして、他の種族のために世界の空間を譲った方が、世界のためだよね?」

 ソディナは、ヴァンを正面から見ていた。その落ち着いた視線を前にして、ヴァンは赤ノ宮九字紫苑あかのみやくじ・しおんを思い出していた。

「(あの女には悪を斬る哲学があった。だがこの女は裏切りへの怒りと虚しさを埋めたいだけなのだ。これを解きほぐす方法は――)ソディナ。オレはお前に問おう。もし今呪いが解けるとしたら何をする。人間に復讐するか」

 ソディナは眉根を寄せた。

「私は、楽観的な『もし』は考えないの。虚しいだけでしょ」

「では呪いを解く方法を探しになぜ旅に出ないのだ」

 ソディナはため息をついた。

「呪いを解く方法は町の人々が知ってるのよ。なんとかして探ろうと、今日みたいに怒りを抑えて、下手に出て話しかけるわけ。ちくしょう、巧妙に隠してやがるけどね、あいつら」

 ヴァンの目が光った。

「では、もしオレが呪いの解除方法を聞き出してきたら、人間に復讐するか?」

「――」

 ソディナは目をみはった。興奮が体じゅうを駆けめぐった。「希望」に、全身が震えた。

「――」

「呪いが解けたら、何をする」

 ヴァンがたたみかけた。

「――放っとく」

 ヴァンはソディナの言うことを、黙って聞いていた。ソディナはふうー……と、口をすぼめて息を吹いた。

「もう、怒るのも、復讐するのも、疲れちゃった。罵詈ばり雑言ぞうごんだって、もう私の中で何度も言ってるから、いまさら全部言うのも疲れるし。私がこれだけ傷ついて、辛くて、苦しかったのは神様がご存知だと思ってるから、神様が疲れてる私に代わって、あいつらに天罰を与えてくださると、信じてる。私はもう疲れたし、呪いが解けるなら、もう人々を憎めない。

 だって、そもそもの始めは、人々を救いたいという思いだったのだから。私が復讐したら、全員殺すことになるわ。でも神様なら、一人ひとりにふさわしいレベルの天罰をお与えになるわ。その加減こそが神の御力の偉大なことの一つだと思うわ。私は……馬鹿な人々を殺すのは虚しい」

「……」

 ヴァンはソディナと紫苑を隣り合わせて見ていた。

 世界の最後の敵であった紫苑とこの女の違うところは、神を信じているかどうかだったのであろう。

「そこまで言うお前の神とはどのような神だ。ぜひ知りたい」

 ソディナは、髪で首の鎖のいれずみを隠しながら、ためらった。部屋の中に祭壇らしきものは何もない。だが、ヴァンは指摘した。

「お前は、『知る知らす』の者であろう」

 ソディナは、うっ、と口を結んだ。『知る知らす』とは、「この星を救い、守ること」が教えの、神の名を誰も知らない宗教のことだ。世界でその神の存在に気がついた者たちだけが、その存在を認識する。ヴァンはサザンクロスの町のクブルに、ナスーム国の大賢者コーネ=コップスなど、『知る知らす』の者たちが魔法に長けていると言われたことを思い出していた。ソディナの魔法もまた、強力であった。そして、黒魔と人知れず戦っていると聞いて、ほぼ疑いようがないと考えた。

「あんた、鋭いね。あんたも『知る知らす』だったの? じゃあ、私の呪いを解く方法、本当に探ってきてもらえるのよね? 呪いが解けたら、あんたの黒魔退治手伝うわよ。私はもうここを出るわ、いつ天罰が落ちるかわからない人たちと一緒にいたら、私まで巻き添えを食うもの」

 星の怒りであった全世界の津波は津波、人々の悪果である天罰は天罰で、別物だ。津波で生き残ったからといって、全員、それまでに悪いことを一つもしなかった人、というわけではない。人生は苦難の前も、間も、後も続いていく。実った悪果は生き残ったあとであろうと、食らわなければならないのだ。

 ヴァンがソディナの怒りを一時的に解決したとき、外で大勢の足音がした。

 山陰からそっとのぞくと、四方から魔族の十の軍団と槍持ちの人族の三つの軍団が、アルナ国に向かっていた。それぞれ先頭に人間の男が歩き、意気揚々と魔族や各国軍を導いている。セイラがヴァンに尋ねた。

「何もないアルナ国に、どうして各地から魔族や人間の軍勢を引き連れてくるのでしょうか?」

 ソディナが目をらした。

「先頭に立っているのはあのサマク町の男たちよ」

 ヴァンは十三の軍団を見送った。

「あの町では国王を誰にするかでもめていた。言葉で上に立てる者がいなかったから、力で決めることになったのだろう。本国人の支持を得られなかった腕力のない者はどうするか。他人の力を借りるしかない。ある者は津波で生き残った魔族に後ろ楯を頼み、またある者は他国の軍隊に助力を乞うたのであろう。

 津波で全員疲弊しているのに外国が援軍を承諾する理由は、自国の国土の拡張のために他ならない。残存した資源を略奪し、アルナ国の民を奴隷にして自国民が生き延びるための踏み台にするつもりだ。津波がなかったとしても、内戦に外国の金・兵器・兵員を引き入れてはならない。外国は必ず引き入れた者を傀儡かいらい政権にして、その国を乗っ取るからだ。いくつもの外国の勢力が争ったら、最悪、各本国指導者候補を一掃して、外国同士が勝手に協議して、国土を分割するだろう。だから、王になる器のない者は外国勢力を国内に引き入れる愚か者だということを覚えていなければならない。国のためを思っている者は、絶対に外国勢力に頼らない。本国が崩壊することがわかっているからだ」

 ソディナが、はっと髪を振り乱した。

「じゃ、今から全軍がサマク町で戦争を始めるっていうこと!? どうすんのよ、私の呪い!! もしみんな殺されたら、私一生このままだわ!!」

 ヴァンは落ち着いていた。

「戦禍から人々を救えば、呪いを解く方法を教えてもらえるだろう。しばらくここでゆっくりして、戦争に人々が泣き叫ぶまで待とう」

「――」

 ソディナは、紅茶を飲んでいるヴァンがあまりにも冷徹なので、口を開けたきり動けなかった。

「あんた、本当に『知る知らす』なの?」

 津波のあとで遮蔽物しゃへいぶつがないために、サマク町の人々の悲鳴、魔族の咆哮、武具の金属音が風に乗ってここまで届いた。セイラは生きた心地がせず、何度もヴァンに視線を向けるが、ヴァンはのんびりしている。ザヒルスは、神様というものは一番いいタイミングをご存知なのだなと、こちらもまた平気で紅茶を飲んでいた。ソディナは自分の呪いのためだからと、聞こえないふりをしていた。心のどこかで、私を苦しめた奴ら、こうして天罰が下ったんだ、ざまあみろと思っていた。

 一時間ほどたった。

「さて……勝敗がつく前に行くか」

 ヴァンは立ち上がり、セイラ、ザヒルス、ソディナと共に、風でアルナ国のサマク町に戻った。

 十三の軍勢が入り乱れて、手当たり次第に殺しあっていた。アルナ国の人々が選んだ若い指導者とアルナ国の人々は、押されている。

 ヴァンの目は、全体を見た。軍勢が戦っている間に、助力を乞うた男たちと、援助した側の大将が何やらしている。ある者は魔族にひざまずき、魔族に仕えることを誓っていた。ある者は自国の大魔法使いの名の載っている名簿を、外国人に見せていた。ある者は自分の信仰する五芒星のネックレスを足で踏み潰した。ある者はふんぞり返って大将と肩を並べて軍に命令し、大将が全軍に、今は好きにさせておけと密かに目配せしているのを知らない。ある者は自分に味方してくれたという高揚感にあおられて、生き残った人間の数という国力をべらべらとしゃべっていた。

 サマク町の人々に選ばれた若者は、自ら武器を取り、皆を励ましながら敵軍と戦っていた。傷を無数に受けていて、疲れ切っている。それでも、女性と子供を皆で囲んで守ろうとしている。アルナ国の盾は、魔除けの女神のレリーフらしい。女神が両手を前に出して防御の光を放射状に出している図柄で、若者のそれは傷だらけになっていた。

 ヴァンはソディナに振り向いた。

「よし。氷魔法で戦場を冷やしてやれ」

 ソディナはうろたえた。

「ちょっと待ってよ。一人でも死んだら私が死ぬわよ!」

「氷漬けにすればいいだろう」

「! なーるほど!」

 ソディナは合点がいき、自信たっぷりに上向きの胸を揺らした。ザヒルスはそれに気づかずソディナを心配した。

「大丈夫かよ。氷で窒息してもアウトだろ?」

「まっかせっなさーい! いくわよっ! 氷魔法、氷原ひょうげん冬来とうらい!!」

 ソディナの両手から冷気がほとばしると、サマク町にいる全軍の足元に広がり、一気に氷結した。各人の膝上まで凍っていて、皆、身動きが取れない。

 助かったとホッとしたのはサマク町を守る側の人々だけで、他はソディナをののしった。身動きが取れないうちに殺されると恐れたのだ。ザヒルスが、一気に戦場を止めたソディナを見て笑った。

「お前すごいじゃん! 頭いーな!」

 ソディナは呪いが解けると思うとうきうきした。

「さー皆々様、私に呪いをかけたことは覚えておいでですか?」

 人々は、ソディナが復讐しに来たと恐れをなした。

「そうですよねー、私が今直接手を下さなくても、『どこかの軍を一つだけ解凍すれば』、その軍が他の軍を全員殺してくれますからねー。私も見てるだけで楽しいでしょうねー」

 人々は目をみはってお互いの顔を見合わせた。他国の軍を引き寄せた男が叫んだ。

「ソディナさん!! オレのとこにしてくれ!! オレは王にふさわしいだろ!? あんたにも家を用意するから、一緒にみんなで住もう!! な!?」

 他の男たちも大声を出し始めた。

「オレはもともと、あんたに呪いをかけるのは反対だったんだ!! オレを信じてくれ!!」

「嘘つくな!! ソディナさんを押さえつけてたのを、オレは覚えてるぞ!!」

 醜い言い争いが続いた。ソディナはしびれを切らした。

「私の呪いを解く方法を教えてくれた人のいる集団だけ、解凍してあげるわ。さあ、早い者勝ちよ!!」

 しかし、その瞬間、サマク町の全員が黙った。

「どうしたの、早く言いなさい!! 王になれるのよ!!」

 ソディナは餌をまいておきながら、内心焦った。なぜ、食いつかないのだ。

 男たちが、呟くように言った。

「あんた、それで呪いを解いたら、オレたちを皆殺しにするんだろ」

 ソディナは、悟った。自分が復讐を神に委ねていることを、信仰心の薄い彼らは信じないであろうことを。どんな言葉も彼らを変えることはできないであろう。そもそも彼らは、ソディナを人殺しだと思っている。自分たちも殺す可能性があると思うのは、当たり前である。人は、美辞麗句の言葉より、やったことを見て決めるものだからである。

「(力押しをするんじゃなかった)」

 ソディナは、自分の失敗に下唇を嚙んだ。どれか一つの軍に恩を売ってから、力になりたいとすり寄ればよかった。結果を焦ってしまった……。

 そのとき、ヴァンが前に出た。戦争で既に全軍に死者が出ているのを眺めた。

「津波から生き延びて、今また命を懸けて戦っているのだから、自分が王になるのは当然だ、という論理か。お前たちは、死んだ者は死んだら終わりだと思って顧みない、薄情な者たちなのだな」

 男たちは怪訝けげんな表情をした。

「まずは生きている者が優先だろう。国を立て直さなければならないし、生活もあるし……」

「命を失った者の方が、生きている者より、王にふさわしいと思わないのか?」

「???」

 男たちは、目を丸くした。ヴァンは津波が通った空を見上げた。

「生きているのは王になる器だったから、そういう運命だったからと、本当に言えるのか? 今戦場で生きているのも、『戦って死んだ人々が盾になってくれたからお前たちが生きている』のではないのか? 生き延びただけで自分を選ばれた人間のように言うのはやめろ。本当にこの国を治めていいのは、死んだ者たちから認められた者だけだ。各国の最高祭司である各王は、それゆえ災害の死者も戦死者も国を挙げて弔っているのだ。もしお前たちが災害で死ぬかもしくは戦死をしたとき、生きている者だけが権利を主張し、死者をないがしろにしたら、自分は何のために死んだのか、わからなくなるではないか。今まで生きてやってきたことが無視され、忘れられたら、死者もそれを見た生きている者も、死ぬのが馬鹿馬鹿しくなるではないか。国を守るために死ぬ者がいなくなる、生きた者勝ちの世界。仲間のために死んだ者もいたろうに、その死者を踏み台にして地位も名誉も生きて取った者勝ちだと、言っているのか! 皆のために死んだ者を、冒瀆ぼうとくするな! 死者のおかげで生き残ったあと、自分のために戦う者は、戦争して人を殺すな! 誰よりも賢くなって、言葉で勝て! 皆を守るために戦わなかった人間に、王になる資格はない! どうしても王になりたいなら告げてやる、皆のために戦った死者たちに認められた者しか、王にはなれない!」

 その言葉を受けて、サマク町の側の人々の膝上から下の氷が、少しぬるんだ。水になり、力を込めれば引き抜けた。

 他の軍勢は依然として、膝上から下が凍っているので、身をよじって奇声を発した。

 サマク町の軍勢が、指導者の若者を筆頭に、氷から脱出した。

神水かみみずだ!! 神水が再びアルナ国をお守りくださったぞー!!」

「おおー!!」

 サマク町の軍勢は、敵軍の後ろに回りこんで、攻撃も防御もできない背後から斬りつけ、あっという間に全軍を殲滅せんめつした。ときどき黒魔がまぎれていて、空間を黒く汚した。ソディナは、人々が触れないように黒い汚れを氷魔法で凍らせて、回収してまわった。人々は、その様子を見ていた。

 すべてが終わり、サマク町の人々はヴァンの前にひざまずいた。若者が代表して挨拶した。

「私はアルナ国の貴族、ナカム=ヒーツと申します。あの神水は、きっと、あなたのお言葉を私どもが受け止めたことで、死者が力を貸してくださったのでしょう。死んだら終わり、確かにそれは間違いでした。死者の想いを受け継ぎ、国を守ってくれたその盾の力に感謝することこそ、守られた者全員の使命です。王だけが感謝してはいけない、国民全員で感謝しなければ。

 見てください、この国は死者が力を貸してくれたおかげで、二度も神水が救ってくれました。神を信じることと、死者を大事にすることは、同じだけ大切なのですね。死者を大事にするということは、いずれ死者になる自分をも大事にするということなのですね。神水を、私どもは死者を大切にする証として、国の末まで忘れはいたしません」

 ヴァンは重々しくうなずいた。

「よく言った。その心があればお前は王たる器だ。この国を任せる」

 ナカムたちがかしこまっているのを、ソディナは何か言いたげに、しかし何も言えずに手だけ動いていた。ナカムが気づいた。

「ソディナさん。あなたのおかげで、死傷者の数が最小限で済みました。ありがとうございました」

 ソディナは、呪いを解いた人を早い者勝ちで解凍する、と言っていたので、ばつが悪い。

「はあ……結果的になによりで」

 ナカムは人々に話しかけた。

「みんな。ソディナさんは、黒魔の黒く汚した空間を、氷漬けにして回収していた。私たちを守るためだ。全員に復讐するつもりなら、放っておくこともできたのに、私たちを助けてくれた。私は、ソディナさんはかつて、本当に黒魔を退治していて、人間に化けた黒魔に人殺し呼ばわりされたのではないかと、今は思っている。その証拠に、その男はなぜか鳥が運んでしまって、谷の川から浮かんでこない。どうだろう、私はソディナさんの呪いを解きたいと思うのだが」

 人々は口々に相談しあった。ナカムが両手を上げた。

「大丈夫だ。私たちには神と英霊がついている。きっと、正しい道を教えてくださる」

 人々は神水を思い出し、うなずいた。ナカムは、ソディナに笑いかけた。

「ソディナさん、今まで申し訳ありませんでした。あなたの呪いはこの町の者全員に許されることで解けますよ」


「あっぶねー!! 神水なかったら一生私このまんまじゃんあっぶねー!!」

 髪をどけて、鎖のいれずみのなくなった首をさすりながら、ソディナが「あっぶねー」を連発している。

「すげーなソディナ。オレよりつええ呪いじゃん」

 病院で病気自慢をされたときのように、ザヒルスがソディナを敬った。

 セイラが心から喜んだ。

「良かったねソディナ。これからまた戦えるね!」

「うん、ありがとうセイラ。最初の約束通り、私、あなたたちを手伝うから。ええと……いいよね?」

 ソディナはヴァンに尋ねた。ヴァンは、星の津波に臨機応変に耐えたソディナは、仲間にふさわしいと考えた。これから星が何を起こすか、わからないからだ。

「よろしくソディナ」

 ヴァンの了解を得て、ソディナは呪いを受けて以来初めて心から笑うと、旅の支度をするために一行と共に家へ戻った。

 持っていく袋に、なぜかからし、わさび、唐辛子、タバスコなどを詰められるだけ詰めている。セイラが驚いた。

「えっ!? 女の子らしいかわいいタオルとか、服とか、アクセサリーとか、こっちにいっぱいあるよ!? いいの!?」

 ソディナはふふふと上唇の中央を下げ、口を弓形ゆみなりに曲げて笑った。

「そんなものは葉っぱがあればなんとかなるわよ。アクセサリーだって氷魔法で作れるし。それより辛味よ!! 私、辛いものがないと食べた気しないのよ!! 料理にかけるんじゃないの、そのまま食べてヒリヒリになった口で氷魔法の氷を食べて、冷やすのが大好きなの!! だから辛いのだけは外せない!! 津波で作物はほぼないだろうし、最悪これで一年もたせるわ!!」

 甘党のザヒルスが、複雑な表情をした。

「唐辛子か……呪いで怒りっぽくなってた頃好きだったな……」

「……」

 セイラはなんとも言いようがなかった。

 ヴァンは、アルナ国のサマク町の復興の音を聞きながら、道すがらソディナに正体を明かしつつ、次の地へ向かった。


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