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星方陣撃剣録  作者: 白雪
第一部 紅い玲瓏 第三章 一滴(ひとしずく)の夢
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一滴(ひとしずく)の夢第一章「封印を受けていた男」

登場人物

双剣士であり陰陽師でもある赤ノ宮紫苑あかのみや・しおん、神剣・青龍せいりゅうを持つ炎の式神・出雲いずも、神器の竪琴・水鏡すいきょうの調べを持つ竪琴弾きの子供・霄瀾しょうらん

「水気」を司る四神の一柱、玄武げんぶ神のもとへ向かいます。




序章



 少女は光の波の中をたゆたっていた。

「ああ……私の心はまるで水晶石。硬く誰にも壊せない。強く誰にも彩れない。私を愛せる人はいるかしら。私が愛せる人はいるかしら。この石に光と音をくれるのは、」

 あなただけ――

 穏やかな声が降り注いだ。

「遠い過去から待っている。再び会って、お前の石がすべて欲しい。もう刻むのはやめるのだ。光と音はすぐそばに」

「私は、運命を変えたいの」

 こらえたのに、少女のから一滴ひとしずくの涙がこぼれた。

「名前を教えてあげよう」

「お兄さんの?」

 いつのまにか、夢の中の青年が逆光の中、波を漂う少女、紫苑の前に現れた。

「いいや」

 青年はゆっくりと首を振った。

「君の本当の名前を」

「……いやーーッッ!!」

 真実とともに、少女は涙を流して絶叫していた。



第一章  封印を受けていた男



 夢を見ていた。

 どう河樹かわいつきの攻撃から逃れたのか、おぼえていない。

 ただ、目が醒めたとき、紫苑は隙のない力に抱きかかえられていた。

 真っ白な頭で見上げた。

 夜に月の光がたつように黒くつややかな髪、青龍せいりゅうのように猛々しくも優雅さを秘めた眉、陰陽の陰のように暗くどこまでも深き黒い瞳、白虎びゃっこのように千里を駆けすべてを見透かすと思える引き締められた目、玄武げんぶの蛇が神通力を這わせるときであるかのように高くすっと通った鼻筋、朱雀すざくの炎を放つ翼のように、赤みのさした形のよい口唇。そして白い狼のように真っ白に美しく彩られた歯と肌。彼からは太陽の豪放な光と月の静寂な光と星の燃える光を混ぜ合わせた力が匂い立つようだった。

 身長の丈ほどある黒い外套がいとうを身にまとう彼を一目見たとき、彼女の思考は永久に止まるかと思えた。

 ただただ彼の形容できない輝きに圧倒されていた。

「(なんてきれいな…)」

 たった一言、やっと頭の中に絞り出た。

 結晶の砕かれた破片が彼の周りに飛び散り、光の反射できらめいていた。

「何者です!!」

 河樹の鋭い声が空気を突進した。

「……わからない」

 彼の声を聴いたとき、紫苑は、何か重大なことを知ったように感じた。

 その声は、四神の守る東西南北のうち、中央を守る神・麒麟きりんが、神の歌を歌うときの喜びを呼ぶ声のようだった。

 そして、紫苑の夢の中に出てくる青年の声と、そっくり同じだった。

「『わからない』!? いいところを邪魔しておいて、ふざけた人だ!!」

 杖である神器しんき水鳴葛すいめいかずらの封印文字がばらばらに砕け、最初からやり直しになっているのを見て、河樹は固く握った拳を震わせた。

「二刀流の剣士ですか……」

 だが、すぐに冷静さを取り戻し、美貌に輝く男の全身に目を走らせた。

 長身である。地面に降ろされた、十五才にしては背の大きな剣姫は、彼の肩にとどまっている。双剣を微動だにせず構えている。精神も体も相当鍛えられているのだろう。

「ですが、両方とも神剣ではありませんね。一般人がいくらあがいたところで、相手が神器なら無駄なこと!」

 勝利を確信して、河樹は水鳴葛を振り上げた。

 そのとき、男が刀で空を切った。

「……!!」

 風の刃が飛び、河樹の笠を虚空へ放り上げた。

「呼ばれたことだけはわかる……」

 男は呟いた。後に残った風が、人を覚醒させるようなはっきりとした男の香りを、周りの者に与えた。

「『ばれた』? あなた式神ですか? まさか、この土壇場で新たな式神を喚ぶとは……」

 河樹は呆れて杖を再び構えた。さきほどの風で額に切り傷ができたことは構っていない。

 笠が取れてさらされた頭に、波打ってくせのある焦げ茶の髪が、短く刈りこまれているのが見えた。

 年は二十三。だがその目つきは荒行を終えたばかりの修験者のように鋭く、油断がない。多少吊り上がった目は、見るものすべてに射掛ける弓のようであった。

 しかし、重要なことはそこではない。河樹の眼は複雑な動きで乱反射する眼、結晶睛けっしょうせいだったのだ。

 人間であろうと魔族であろうと、瞳の輝きを通常とたがえた者が生まれることがある。

 結晶のように光が複雑になることから、「結晶睛」と呼ばれる。

 生物の持ちうるどれかの能力に必ず傑出しているため、この世の王になるか、少なくとも、王の周りに集まるべき者の証だと言われている。動乱の時代を平定するとき、王以下武将側近の中には、結晶睛の持ち主が存在した。

 紫苑の剣姫を圧倒するほどの能力は、結晶睛に由来しているのだろう。紫苑たちが、この男が王なのかと驚きいぶかるのには構わず、河樹は目の前の冷静な敵に集中していた。

「この男、もし式神なら剣姫に力を奪われるはずですね。では今の力は式神の力ではない。……まあいでしょう。どのみち私に勝てるはずもありません!」

 河樹が、その技「炎柱砲」の体勢を取った。

 迎撃の備えに出た紫苑に、彼は初めて顔を向けた。

「倒して欲しいのか」

 凛とした音色に、紫苑は酔った。この美しい存在に、一度でも逆らう気など起きなかった。

「はい……!」

 まるで人間に赦されていない永遠に輝く光を垣間見て感極まったときのように、紫苑は言葉にならない息とともに、従順な答えを返した。

「そうか」

 彼は両瞳を閉じた。

「なら、お前のために戦おう」

 彼が再びを開けたとき、その場にいた全員に、古の時代より絶えて久しい衝撃が呼び醒まされた。

星晶睛せいしょうせい!!」

 彼の右瞳は、五芒星と六芒星を重ね合わせた八角形が走り、どこまでも深く光の届くような、見る者を安らげる青紫の光が彩られていた。

「私という結晶睛ですらまれだというのに、伝説の星晶睛!?」

 己の視界が幻覚にかけられているのではないかと、河樹は何度も幻影解除の術をかけた。

 しかし、青紫の輝きは間違いではなかった。

 二つの星の輝きを瞳に宿す伝説の「星晶睛」。

 その者が世界とどう関わったのか定かでない。だが、結晶睛を持つ者の力さえ、凌駕りょうがすると言われている。その存在が世界にとって望ましかったのか、恐ろしいことだったのか、歴史は何も伝えていない。

 その存在が、今、紫苑を見つめている。

「これは……」

 河樹は未知の敵に眉をひそめた。計算せずに物事を進めるのは、この僧の最も嫌いな行動だった。

「どの能力に秀でているのか、敵を知る必要があります。炎柱砲!」

 炎の柱が、男に突進した。

 男は刀を体の前に構え、炎を切り裂きながら河樹に向かった。

 何の抵抗もなく、あまりにも軽々と炎を分けるので、僧は驚きのあまり防御が遅れた。

「ビャヒヒヒーン!!」

 十二支式神の炎のうまが、河樹の代わりに男の太刀を受け、爆発した。

 爆風にあおられた僧は、すぐに冷静さを取り戻し、瞬時に悟った。

「出方をうかがっている余裕はない!」

 そして神器・水鳴葛すいめいかずらを掲げた。杖の先で書くたび、杖につく黄色い針が光の文字に変わっていく。

炎界臨界えんかいりんかい! 浄土焦土じょうどしょうど!」

 毛土利国けどりこくの一千の兵を瞬時に葬った大炎が、放射状に走る。

「出雲!! 霄瀾!!」

 我に返った紫苑が駆けたとき、

雷雨経刺らいうけいさ!!」


 れいとして、ろう


 その一声が、その場にいた者全員に、光を見せた。

 炎が来るのも忘れて、紫苑の足は止まった。夢の中の、逆光と共にいるあの青年がその中に見えたような気がしたからだ。

「お兄……さん……!?」

 次の一瞬には、のたくった稲妻がどしゃ降りの雨のように次々と地面に激突し、閃光と爆発を起こしていた。

 浄土焦土の放射状の炎は、ことごとくつぶされ、消滅していった。

 己の大技を剣ではなく術で封じられたことに、僧の心中は穏やかでなかった。

 だがすぐに精神を立て直すと、別の角度から戦いを仕掛けた。

「十二支式神『さる』(猿)!!」

 土中から、剣と楯を構えた、成人と同程度の背を備えた、直立二足歩行の猿が現れた。土でできているが、鎧も含め、金属部分は本物である。

「さあ、あの男と戦いなさい!」

 主人の命令に、申は剣を振り回して突進した。機敏で、猿らしい不規則な動きが加わって、どこから刃が飛んでくるかわからない。

 男は申の剣に双剣で応じた。

 火花がそこかしこで散った。

 申はあるいは木の上から、あるいは四つんいから剣を繰り出した。

 男はそのどれをも弾き飛ばした。

 一歩も動かずに。

 ここへ来て、河樹は色を失った。

「術も……、剣も……、超級……!!」

 十二支式神は術者の力量によって強さが変わる。河樹の力を練りこまれた申は、たとえ河樹が剣術に通暁つうぎょうしていなくとも、剣士相手に充分渡りあってきたのだ。

「これが星晶睛の力なのですか!? 一体その力で世界をどうしようというのですか!?」

 あまりのことに、心を乱して僧が叫んだ。

「不測の事態です! 今日のところは引き取らせていただきましょう! ですが、私の目的は必ず達成させますよ!!」

 申を土に戻すと、河樹は早口で跳移陣ちょういじんの呪文を唱え、逃げていった。

 しばらくの間、誰も動かなかった。

 男のあまりの圧倒ぶりに、度肝を抜かれていたと言っていい。

「すまない」

 男がゆっくり、紫苑にを向けた。

「倒しそこね……」

 そして、瞳を閉じて体が傾いた。

 双剣を放り出して、紫苑はすんでの所で男が地面に倒れこむのを防いだ。

「こいつ……何者なんだ? 星晶睛をまさかこの目で見るなんて」

「紫苑、体は大丈夫? この人が来るまえのかんぜんな陰からだっしゅつできたの?」

「……」

「紫苑!」

「えっ!? ……え、ええ、いつの間にか元の状態に戻ったわ」

「よかったあ……」

「ええ……そうね……」


 男はゆっくりと目を覚ました。

「おっ、気がついたのか」

 式神化を解いて藍色の髪に戻った出雲が、あぐらをかいて刀の点検をしていた。

「あっ! おにいちゃん目が覚めたー!」

 霄瀾しょうらんが薪を抱えてやって来た。

「……ここ……は……」

 男は野原から上半身を起こした。出雲があぐらのまま顎に手を当てた。

「あのままあそこにいたら、オレたちが毛土利国けどりこくの軍を滅ぼしたことになっちまうから、隣の花初国かはつこくへ移動したんだよ。まだ千里国せんりこく内の属国だけどな。お前すっげー重かったぞ! 身長いくつだ?」

「え……と……」

「あれー! おにいちゃん、星晶睛なくなってるよ! どうしちゃったの!?」

「え!? 本当だ! 隠せるのか? 便利だなー」

「あ……の……」

「ねえ紫苑! ほら、おにいちゃんが!」

 男は子供の声と共に目を向けた。

 水の入った大きな鍋を抱えて歩んでくる者があった。

 二人の姿が、絵のように止まった。


 女の美しさを見て花たちは蜜の匂いを広げて祝福し、鳥たちは色違いに並んで褒めたたえ、風は彼女の髪を優しく奏でてその光を受けながら吹き流れていった。彼女が胸を高鳴らせばそこに花が咲き乱れ、空には太陽と虹が、地には蝶が舞い、彼女が安らげば夜の空に月と星が、地には銀色に輝く海原が見えた。彼女がどんな表情をしても、それは何もかもが喜びに溢れずにはおかなかった。

 男の周りには太陽の光の結晶が飛び散り、角度を変えて虹色にきらめく讃歌で彼を彩った。彼のそばを通るものは鳥も獣も大気でさえ、圧倒的な、光に等しい壮麗な匂いで、彼のことを、どうしても近づけない不可侵の存在に思わせた。彼の目が何かをとらえれば、そのものは光の矢で心を射抜かれ、魅了され、彼の口から何か言葉が紡がれれば、その音を聞く者はどの歌よりも平安を与えられて、聴き惚れた。彼が天空を見上げれば世界は太陽も月も星も何もかもがすべて光り輝き、彼が大地のすべてを見渡せば、初めて世界に暖かく美しい闇が訪れるかのようだった。


 こうして、互いに光と闇を己に秘めた女と男は出会った。


「どうしたの? 二人とも」

 霄瀾の声で、紫苑は我に返った。

「えーっと、その……」

 何を話したらいいのか、わからない。

 鍋を意味もなく動かしながら、紫苑はうつむいてしまった。

 水に映った自分の顔色が、首の色より濃くなっているのを見た瞬間、少女は思わず鍋で顔を隠してしまった。

「なに鍋の水捧げてんだあ? お前」

 出雲が鍋を野原に下ろした。

 顔を隠してくれるものがなくなって、紫苑ははなはだ弱り果ててしまった。

 これまで、剣姫としてどんな罵詈雑言ばりぞうごんにも耐えてきた。

 唾を吐きつけられても、眉一つ動かさないほど、心の平静を修練してきた。

 しかし、顔が赤くなることだけは、訓練しようがなかった!

 どんなに無表情でも、心の興奮がすぐ顔に出てしまい、隠すすべがわからない。

 悪口雑言あっこうぞうごんに対する修行と同じく、様々な恋愛をして「修行」していれば、こちらも平静を獲得できたのであろうか。

 しかし相手のる恋愛というものを、殺戮剣姫と一緒にしてくれる者がいようはずもないし、剣姫自身、そもそも友達すらいなかった。

「しまったわ……。まさか私より美しい人がいるなんて思わなかったから、この方面を甘く見ていたわ! 誤算……!」

 必死に心を落ち着けて態勢を立て直そうとする紫苑の前に、男はまっすぐ歩いてきた。

「こんにちは」

 その声は、玲瓏たる光というよりむしろ、澄み渡った純粋さを帯びていた。

「こ……こんにちは」

 うろたえながら、紫苑はやっとそれだけ返した。次に何を話しかけてくれるのか、何と話しかけようか、うまく話せるだろうか、期待と焦りを感じながら。

 星晶睛の話が聞けるかもしれない。出雲と霄瀾も身を乗り出した。

 しかし、男の一言は意外なものだった。

「あなたが、オレが何者なのか、御存知なのですね?」

 紫苑たち三人は呆気あっけに取られた。

「お前! あそこまで強い力を扱っておいて、何者かわからない!? ふざけてるのか!?」

 出雲が男の肩を乱暴につかんだ。男は簡単に一、二歩よろけた。

「やめなさい出雲!」

 主の声にも、出雲は目を歪めたままだった。

「だって、無責任だろ! 力ってのは『自分』があって初めて使う資格を得るのに! こいつは、この先力をどう使うか、わかったもんじゃないぜ! 責任を負わない大きな力なんて、オレは許せない!!」

 人は力を何に使うか自分で決めたとき、己の分にふさわしい力を扱える。分不相応な力は身を滅ぼす。他者に倒される。許可された理由もなく、信念もない力は、精神で制御できなくなり、必ず暴走し、己も周囲も破滅させる。

「それは私が一番よくわかっているわ。静まりなさい、出雲」

 理由のない力を許可されている一人である紫苑の言葉に、出雲は引き下がった。

 嫉妬だ、と紫苑は思った。

「(どんな達人も精神の上達なしには力を得ない。それなしに己の力を超えているこの彼に、出雲は戦士として嫉妬しているのだ)」

 しかし、確かにこの星晶睛の男を放置しては大変なことになる。人となりを調べるために、紫苑も男に歩み寄った。

「残念ですが、私があなたにお会いするのは今日が初めてです。あなたは記憶喪失ですか?」

 男は激しい衝撃を受けたようであった。しばらく動かなかった。そして、野原の中に力なく座った。

「オレは誰も知りません。家族も、友達も、……自分の名前、さえも。どうしよう、オレ……、なんでっ……!」

 きれいに流れる黒髪をくしゃくしゃにつかんで、男は固く目を閉じた。

「どうして私が、あなたのことを知っていると思ったの?」

 その手に柔らかな手が添えられたのに気づいて、男は目を開けた。

「……聞こえたんです……。あなたの声が。だからオレは目が醒めた……魂の叫びだったから」

「魂の叫び?」

 紫苑は己の声だったとはいえ、面食らった。

 自分の心が届いたような気が、したからだ……。

「なにか、手がかりになるもの、ある?」

 霄瀾が男の双剣を指差した。男は背中で「×(ばつ)」字に重ねて背負っていた。二振りは全く同じつくりだが、刀工のめいは入っていない。

「これらのものを誰が作ったのかがわかれば、そこから過去の事実が広がるわね」

「でも、いまのところはぜんぜんわからないね」

 霄瀾が考えこむ声を聞いてから、出雲は、別の角度で話した。

「お前、あの村の人間じゃないだろうし、そもそもどこにいたんだ? 野宿でもしてたのかよ?」

「でもおにいちゃんのまわりは結晶がいっぱいあったよ。氷の中から出てきたばかりみたいに」

 霄瀾の例えを聞いて、紫苑と出雲は顔を見合わせた。


 毛土利国けどりこく来場村くるばむらまで戻ってきたのは、それから一時間後のことである。

 三人の自己紹介を男にしたあと、紫苑たちは、星晶睛の男が何者かによって封印されていたのではないかという仮説を立てていた。

 封印にはいくつも種類がある。術で相手の動きを封じるもの、禁術を神の宿る自然物に封印したもの、神器を使って強大な力の持ち主を閉じこめたもの。

 それら数ある封印術の中でも最強なのは、神器を用いて相手を水晶に閉じこめてしまう、「水晶神封印すいしょうしんふういん」である。

 ただ神器を使っただけの封印と違い、記憶まで奪うことができるのだ。

 何のために生まれてきたのか、何のために戦うのかという、「自分」を喪失させる恐ろしい術である。強い者は、完成前なら大抵の封印術を壊せるが、この水晶神封印だけは一文字でも触れたら最後、もう逃げられない。

 その代わり、習得できる者も一時代に一人いるかいないかだと言われてきたのだが……。

 来場村の近くの遺跡に、自然と足が向いた。

 現場は、周りが丁寧に掘り起こされているのに、地中への入口はことごとく踏み荒らされていた。村人たちによる盗掘の跡である。

 そこから遺跡のある地中へ入るまでもなかった。結晶の散らばった不自然にあいた穴が見つかったからである。

 四人はその穴から地下の空間へ飛び降りた。

 紫苑が術で扇の先に火をともすと、辺りの様子が浮かびあがった。

 割合にしっかりしている内装である。薄汚れた黄白色の壁はところどころ土が侵食しているが、柱も折れずまだ原形を保っている。何の絵も彩色されていない。しかし何にも負けない黄白色が、凹凸おうとつもなく徹底的に塗られていたのだ、とそう思わせた。窓はすべて土で塞がれ、下りの階段もそれで行き止まりになっている。

「この遺跡は、ろうなのね……」

 呟きながら、紫苑は目を部屋の中央へ転じた。

 大きな結晶の塊が、全方位に散らばっていた。

 地面には、水晶神封印の術の字が一部残っている。

「間違いない。あなたはここに封印されていたわ」

「この部屋はこれ以外何もない。お前の正体の手がかりになる物を、敵は残さなかったんだな」

 紫苑と出雲の言葉に、男は壁に両手をついて、うなだれた。

「はっくつされてる遺跡の中は?」

 霄瀾に従って、掘り進められた道に入るが、何もない部屋が三つあるくらいしかなかった。中の物は学者や村人が取り出してしまったのだろう。その先はまだ土に埋まっていて、発掘されなければ進めない。

「河樹はここに神器がいくつかあったって言ってたな。でもこいつのことは知らなかった。現段階で、ここにこいつの記憶の手がかりになるものは見つかっていないってことじゃないか?」

「だいたい、すごい術を使うほどの人間が、おにいちゃんに有利なものを残していくはずがないよ」

「……唯一手がかりになるかもしれないのは、ここから出たっていう神器ね。もしそれがあなたを封印したものだったら、記憶を持っているかもしれない」

「じゃあ、その河樹を探せってことですか?」

 男の言葉に、三人は「そうなる」とうなずいた。

「……わかりました。ありがとうございました、皆さん。オレはこれから一人で――」

 男が決意したように話しだしたとき、遺跡の入口の方から声が響いた。

「発掘を中止!? 話が違いますよ!!」

 昨晩逃げた学者の声である。

「この村を殲滅せんめつしたら、好きなだけ発掘していいとおっしゃったではありませんか!!」

「千人も死んだんだぞ!! 王も!! お前こそ、敵と組んで王たちをおびき寄せたのだろう!! 拷問にかけてやるから覚悟しておけ!! おい、捕まえろ!!」

 複数の足が入り乱れる音がした。

「ふざけるな!! 私は無実だ!! 被害者だあー!!」

 わめく声が、遠くなっていった。

「遺跡はどうしますか隊長」

「放っとけ。宝のない洞穴ほらあななんぞ、ウサギの巣穴にでもしてしまえ。さあ、行くぞ。こっちは千人の死体を回収するんだ、他のことなんざ考える余裕はない」

 鎧のこすれ合う音も遠ざかっていった。

「出撃しなかった方の毛土利軍だわ」

「これじゃもうだれもこの遺跡を掘り進められないよ」

「掘り進めても全部河樹が横取りしたら意味がないぜ。やっぱり河樹を探し出さなければだめだ」

 花初国かはつこくに戻ったとき、男は三人に向かって意を決したように話しかけた。

「いろいろありがとうございました。オレはこれから、河樹――という者を探すことにします。ここでお別れします。さようなら」

 そのとき紫苑は脳が大回転し始めた。

「大丈夫よ」

 妙に高い声が出た。

「だって、私たち――」

 そこで脳内最速の計算が終了した。

「河樹に狙われているもの。特に私のことは封印したくてしょうがないらしいわ。私たちといれば、河樹の方からやって来るわよ。それに、記憶がないんでしょう? お金は持ってる? 悪い人は世の中にいっぱいいるのよ」

 妙に落ち着いて、しかしすらすらくどくどと、紫苑は言葉をかけた。

 男はそれを聞いて黙りこんだ。じっと紫苑たち三人を眺めている。やがて、

「……そうだね……。オレを呼んだのが君なんだから、君のそばにいるのが正解だね」

 と、きれいにそろった白い歯を見せて微笑んだ。

 自分の心を見透かされたようで、紫苑は再び顔全体を真っ赤に染めた。

「お前もオレたちの旅の仲間に決定か。あれだけ強いなら頼もしいぜ」

 しかし出雲が肩を叩いてきたとき、男は不思議そうな顔をした。

「『あれだけ強い』? オレ、みんなの前で戦ったことあったのかい?」

「え? 星晶睛になって、河樹を圧倒してたじゃないか」

「さっきから河樹という単語が出てくるけど、どんな生物なんだ? オレは知らないよ」

「え!?」

 全員に疑問記号が出現したが、紫苑は男の声の様子から、何かを感じ取った。

「考えられるのは……」

 他の三人が振り向いた。

「星晶睛が出てるときあなたは力の代償に意識を失う。記憶を残すことができるのは力を使わない間のみ。どちらが本当の人格かわからないけど、声の様子も違うから、私には今どの人格かわかるわ」

 言ってから、最後は余計だったと紫苑は冷や汗をかいたが、三人は別の部分に反応した。

「『どちらが本当の人格かわからない』……? オレはそんなに性格が変わるのかい?」

 心配する男を眺めながら、出雲と霄瀾は剣姫と陰陽師の入れ替わりに苦しむ紫苑を思った。

「星晶睛のときがどんな性格かはまだ完全にわからないが、お前なら止められるだろうな」

「何を?」

 それには答えず、出雲は奥歯をかみしめた。

「お前、名前も憶えてないんだったな。何か好きな呼ばれ方あるか? 名前を今、決めておこうぜ」

「え? 急に言われても……」

 男が戸惑っているのを意識の外に感じながら、紫苑は男にふさわしい名を真剣に考えていた。

 美しい。

 この男に最も適合する言葉だった。

 だが、その単語だけでこの男を名付けたら、安い存在に成り下がってしまうと感じた。

 彼の輝く美貌、星晶睛の驚異的な強さ、そして純真な響きの声――。どれをどう選び抜けば、彼を最も表すことができるのだろう。

 失われた彼の名は、おそらく的確にそれを成しているに違いない。

 なら、私は仮の名を、彼という存在に最大限の賛辞と共に贈ろう。

 私と出会ってくれてありがとうという感謝も込めて。

 そのとき、星晶睛のとき彼が放った言葉が、よみがえった。

 意味ではなく、声が耳に残った。

 れいとして、ろう

 どちらにするか迷って、彼が封印されていた場所を思い返した。

「――ロウがいい」

 紫苑の言葉で、三人はしゃべるのをやめた。

「あなたは楼にいたから、ロウを名乗るべきよ。自分の手がかりの場所だし、記憶を消されても、自分の糸をたどるよすがになると思うわ。名前って、自分と関わりのある言葉でできているもの。でね、漢字の方は音だけ同じにして、『楼』じゃなくて――」

「ロウ……、いい響きだね。『露雩ろう』……『水』と雨乞あまごい、つまり日照りの状態にあるという意味で『火』か……」

「えっ!?」

 露雩が穏やかに微笑んでいる真正面で、紫苑は素っ頓狂な声をあげた。

「(『ろう』のつもりで言ったのに……)」

 しかし、この美しい男が気に入ったのであれば、紫苑はあえて反論することもないと考えた。

 その名前を名乗るのは、彼なのだから。

 それに、図らずも水の「陰」と火の「陽」が名前に入ったのは、この男の大きな存在を証明する役を、立派に果たすと思われる。

玲瓏れいろう」の言葉も、光と音が内包されていて、それはよい言霊をんだと思えたが、今の彼が自然に選び取ったものが、今の彼に必要なものなのだ。

 地面に漢字を書いて、露雩が出雲と霄瀾に自分の漢字を教えている。紫苑はふと、この男は私の紫のそのを助けてくれるのだろうか、それともき尽くしてしまうのだろうかと疑いが起こった。

 濁りのない純粋な声で笑う露雩を見ているうちに、紫苑は、果たしてこの男は剣姫を見て衝撃を受けはしないかと、不安になってきた。

 そう思うと、今まで人々と関わってきた記憶が思考を占領し始めて、紫苑は急速に冷めた目に変化していった。

「(私は、外面的なものだけで興味を持つことはないわ)」

 目の焦点は剣姫に近い絞られ方をしていた。

「(ただ美しいだけの人間は、ごまんといるのよ)」

 今まで紫苑に交際を申し込んできた旅人の男たちを、彼女は思い返していた。

 興味がないから友達にしたどの系統の美男も、剣の舞姫を目撃すると、恐れをなして逃げ出し、二度と町に戻らなかった。

 男装の舞宮で、正体を隠して友達になった少女たちも、そうだ。

 紫苑はいつも独りぼっちだった。

 美しいだけでは、だめなのだ――。

 紫苑はそれを学んだし、この力がある限りまだ見ぬ世界中の人間もきっと自分を遠ざけるということがわかっていた。だから、世界が憎くて憎くて仕方がなかった。正しく生きようとする心と力が理解されない苛立ちを胸に。

 この青年は、美しい者を見慣れてきた紫苑でさえ、これまで会ったことのないほどの美貌であった。

「(でもこいつも、きっと私の正体を知ったら……)」

 紫苑はまばたきでも温められない冷めた目を伏せ、いきなりその目に彼の手が飛び出してきたので、はっと我に返った。

「ありがとう、名前をつけてくれて! これからよろしく!」

 屈託のない笑顔の彼に対して、紫苑は慌てて手を出した。

「気に入ってもらえたのなら嬉しいわ。こちらからもよろしくね、露雩!(ああ、笑顔なんて与えたくない)」

 紫苑は自分の顔が引きつらないように努力した。

「(与えるたびに、裏切られるのだから。いつか剣姫を見て、私を魔物のように扱うくせに。笑顔など、苦しい。怒りが増すだけだ。なのになぜ……)」

 目の焦点が歪んだ。

「(私は人を信じることをやめられないのか……!)」

 露雩は、紫苑と握手した手が強く握られたので、首をかしげている。紫苑が心中に叫んだ。

「(神よいるなら私にふんぎりをつけさせてくれ! 世界に裏切られ続けた私が、もう誰も信じるに値しない世界に復讐できるように! 私は世界を滅ぼしていい理由を持っているのだ! 私が人ゆえにいつか私のように私を理解してくれる者が現れると思い、人を信じて、裏切られ続けるのをやめられなかった怒り! 私は苦しい、悲しい、疲れた。私は子供にまで裏切られた。出雲がついて来るのは主の私の強引な命の付与の結果だ、だから剣姫から逃げなかった出雲と、神器の絆で結ばれた霄瀾、この二人では測らない。

 最後の一人をこいつにしよう。

 何も知らず、何のかかわりも持たないこいつが、もし剣の舞姫を見て逃げだしたら、世界を滅ぼそう。それでかまわんな神よ! お前はそこまで私を追いつめたのだ! この男の美しさ、神と見紛みまがうばかり! この男ほどの美しい者に拒絶されれば、私も世界を見限る決心がつくというものだ!)」

 紫苑が表情を変えず、しかし強く引き締めた目とかたくかまれた歯から血が噴き出すかと思えたとき、紫苑の手が意志に反して大きくひかれた。

「えっ?」

 すべての緊張が反故ほごにされた。かろうじて目だけが自分の手へと動いた。

 露雩と握っていた手が、彼の、より力強い手で握り返されていただけだった。

「握手はこんなに強い力でやるんだね」

 彼は、能天気そうに笑っていた。

 そのとき、彼の姿は輝くばかりの美しさを見せた。まばゆさに、紫苑は思わず目を細めた。

 紫苑が構築したものを覆す錯覚を与えるような、こんな美しい圧倒を、この世で見るのは初めてだった。

 それは一瞬で、紫苑は現実に目が醒めた。

 何かが落ちる音がしたからだ。

 露雩の黒い外套の下で、黒水晶の表紙を持つ本が一冊、草むらに沈んでいた。

 何の題名も刻まれていない。水晶の角が日光を反射して、小さく存在を主張している。

「見事な装丁そうていだな。水晶でつづるなんて」

 腕組みした出雲は、露雩が拾い上げる一冊に、視線をよこした。

 その本は、縦約二十センチ、横約十五センチ、厚さ約三センチで、寸分すんぶんたがわず断ち切られた紙がびっしりと挟まっている。

「何が書かれているんだろう?」

 整然と並ぶ紙を崩すまいと注意しながら、露雩は黒水晶に手をかけた。

 ところが、である。

「あれ? 開かない」

 鍵穴があって鍵がかけられているわけでもないのに、黒水晶は少しも開く気配を見せなかった。

「この水晶が相当重いからかな!? ん、んー!!」

 力任せに両開きにしようとしても、ぴくりとも動かない。

「よし、待ってろ。オレとお前で引っ張ればきっと……」

 出雲が片側を担当し、男二人の力で引きあうも、やはり変化はない。

「ハア、ハア……、なんだよこの本!? すげえ頑固だ!」

 傷一つない本は、つんとすまして出雲の手の中に座しているようであった。

「何か封印の術が施されているのかもね。ちょっと貸してみて」

「オレの青龍みたいに、何かが封印されてるってことか?」

 紫苑は出雲から本を手渡された瞬間、全身がすうっと、本の中へ吸いこまれてしまうかのような感覚にとらわれた。

 この黒水晶は、私を呼んでいる、待っている、――。

 応えるように、真っ白な頭で紫苑は黒水晶に手をかけた。

 水晶は、難なく半円を描いた。

「あっ!」

 一同が固唾を呑んで見守る中、紫苑はページをぱらぱらと繰っていった。

 そして、ある箇所で無表情のまま涙が流れた。

「どうしたの!? 紫苑!!」

 大人が泣くのを見慣れていない幼い霄瀾が、仰天してすくんでいる。

「何が書いてあったんだよ!?」

 心配して紫苑の肩に手をのせる出雲に、少女は涙を薬指で押さえて上を向いた。

「ごめんなさい。だってここに――」

 突如、黒水晶が猛烈な勢いで閉じられ、指をつぶされそうになった紫苑は、本を手放して回避するしかなかった。

 本は再び、草むらの中に沈んでいた。

「危ねー! なんだこの本? 内容しゃべろうとしたら急に……。……言ってほしくないのか……?」

「紫苑、なんて書いてあったの?」

「え? えーと、……あれ? 思い出せないわ!」

「はあ? お前、泣いといてそりゃないだろ!」

「だ、だって……。うーん、これ、よっぽど強力な封印がかけられているのね。露雩、あなたの日記かもしれないわ。どうしても他人に読まれたくなくて、知られても覚えられないように、文字にまで消去の術をかけたのね。こんな徹底的な守備を持った日記、初めて見たわ」

 半ば呆れ、半ば笑って紫苑は本を露雩に返した。

「ふーん……」

 露雩はしばらく無表情に本を眺めていた。そして顔を上げた。

「どうしてお前には、ひらけたのだろうな」

 微笑んだその右瞳が一瞬青紫色の星晶睛に見えて、紫苑は心臓から全身が振動の波を浴びた感覚に包まれた。


「計算しなければ!」

 河樹は結晶睛を開けて座禅を組み、手の親指を無意識にんでいた。

「神器がもっといる!」

 戦うために、封印のために。

「星晶睛……! 私より強い力は、許しません!」

 僧の座禅する岩の周りには、収集した神器と思しき物たちが、無造作に散乱している。

 河樹はこれらすべてを使って、星晶睛の男とどう戦えるか予測していたのだ。

 僧は全身から汗が噴き出した。

 僧の思考は、ある一点に凝集ぎょうしゅうしつつあった。

「私の求めるあの方でしか倒せないのでは……? いや、そんなことはない! あの方が戦われるまでもない、この私が必ず!」

 河樹は、深い瞑想に入った。


 同じ頃、紫苑もまた、一人小川のほとりに座って黙考していた。

「河樹……」

 実を言えば、紫苑は燃ゆるばるかを倒して己の生まれてきた意味は終わったのだと、空虚になっていた。

 相変わらず剣姫を知った人々から疎まれ、もう自分は死んでもいいのだ、とも時々思う。

 しかし神器を扱う新たな敵・河樹と戦うのに、再び剣姫の力が必要になって、紫苑は愕然としていた。

 それは、まだ紫苑には、この世界に生きる価値があるということだからだ。たとえ河樹が剣姫を利用し、封印しようとしていたとしてもだ。

「私がまだ世界にるのか!?」

 それこそが、彼女にとっての大きな驚きであった。

 おかしい。私は陰の極点の燃ゆる遙を倒し、宿命さだめを終えたはずだ。

 はっきり言って、もう私は第一線から引退した身、商家で言えば後継者に店を譲った隠居爺じいのようなものだ。

 ……と思っていた。

 なぜだ。

 まだ私には倒さねばならない敵がいるのか?

 王になるかもしれない結晶睛の河樹を倒せ、なのか?

 眉をひそめたまま、紫苑の心に比例してまぶたが重くなった。

「……なにも驚くことはあるまい赤ノ宮紫苑……」

 紫苑は独り呟いた。

 これほど強力な、神魔に並ぶ剣士を、燃ゆる遙一体を倒したくらいで、神が解放してくれるはずがないではないか。

 翼が折れるまで戦わせようと、紫苑が神でも思うだろう。

 これだけ神がお膳立てした、飢えた血と剣に特化した運命の子なら――。

「……ははっ、はははっ」

 乾いた声が響いた。

「私まだ、生きてていいんだ……」

 口は笑っていても、目の焦点はどこにも合っていなかった。空洞のように一点の光もなかった。

「すべての敵を倒したとき――」

 紫苑は笑った口だけ機械的に動かした。

「強すぎる私を、天は赦しておかないだろう。すべてが終われば、私は殺されるのだ」

 紫苑の髪を風が流した。

 紫苑がその後何を考えたのか、誰も知らない。


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