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星方陣撃剣録  作者: 白雪
第一部 紅い玲瓏 第十八章 運命の八光(はちひかり)
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運命の八光(はちひかり)第五章「星方陣」

登場人物

双剣士であり陰陽師でもある、杖の神器・光輪こうりんしずくを持つ、「土気」を司る麒麟きりん神に認められし者・赤ノ宮の名字を改めた九字紫苑くじ・しおん、神によって呼ばれた正式な名前は赤ノ宮九字紫苑あかのみやくじ・しおん。強大な力を秘める瞳、星晶睛せいしょうせいの持ち主で、「水気」を司る玄武げんぶ神に認められし者、紫苑と結婚している露雩ろう。真の名は神・邪闇綺羅。神の発音で「じゃぎら」、人間の発音で「じゃきら」。

紫苑の炎の式神で、霄瀾の父親になった、「火気」を司る朱雀すざく神に認められし者・精霊王・出雲いずも。神器の竪琴・水鏡すいきょうの調べを持つ、出雲の子供にしてもらった、竪琴弾きの子供・霄瀾しょうらん。帝の一人娘で、神器の鏡・海月かいげつと、神器の聖弓・六薙ろくなぎまたの名を弦楽器の神器・聖紋弦せいもんげんの使い手・空竜くりゅう姫。聖水「閼伽あか」を出せる、「魔族王」であり格闘家の青年で、はちまきの神器・淵泉えんせんうつわの持ち主の、「金気」を司る白虎びゃっこ神に認められし者・閼嵐あらん。輪の神器・楽宝円がくほうえんを持ち、「木気」を司る青龍せいりゅう神に認められた、忍の者・霧府麻沚芭きりふ・ましば。人形師の下与芯かよしんによって人喪志国ひともしこくの開奈姫に似せて作られた、槍使いの人形機械・氷雨ひさめ

栄光の都レウッシラの歌姫・星羅せいら

魔神・阿修羅。神の発音で「あじゅら」、人間の発音で「あしゅら」。邪闇綺羅の弟。

 邪闇綺羅の世界を失敗させ、次の新しい種族で次の神の王の座につこうとしている、りん




第五章  星方陣



 毛土利国けどりこく来場村くるばむらの遺跡の入口に来た麻沚芭、閼嵐、氷雨は、中へ突入しようとするのを、蜘蛛くもの糸に阻まれた。

 女の顔に腹の膨れた蜘蛛の体をした、赤と黒のまだらの模様の蜘蛛が、一瞬で入口に巣を張った。

「お前たちよね!? ラシュオン様の邪魔をしようって奴らは!!」

 蜘蛛女に向かって、麻沚芭たちも武器を構えた。

「やはりここに奴がいるんだな!!」

 蜘蛛女はしまったという顔を一瞬したが、牙を舌でペロリとなめた。

「ここで私がたいらげちまえば済む話よね。私はラシュオン様のお身体をお守りするため、百年前からずっとここで番をしてきたのよね。土を運んで遺跡を埋めて……」

 百年で遺跡がさらに土の中に埋まっていったのは、この蜘蛛女の仕業のせいだったようだ。

 閼嵐が二人にささやいた。

「あの蜘蛛は阿修羅を魔族王のラシュオンだと思っている。露雩の体の方はどうでもいいから放っといたんだな」

 麻沚芭は四方に目を動かした。

「蜘蛛の巣は入口以外に張られていない。さて、突破する方法だけど」

 氷雨が前に出た。

「私がやる」

 三人は配置についた。

「ラシュオン様のもとへは行かせないよね!! 私が喰ってやる!!」

 蜘蛛女は、向かってきた麻沚芭に、口から大量の糸を吐き出した。

「神風!!」

 麻沚芭の神剣・青龍から突風が起こり、糸を宙に散らしていく。そのいくつもの束を、閼嵐の神剣・白虎から出た棒状の神金が巻き取り、地面に刺さって、蜘蛛女が操ることを封じる。

「ちいっ!! 腹が立つよね!!」

 蜘蛛女が口の糸を一旦切って新しく吐き直そうとしたとき、氷雨の槍が、遺跡の入口で炎を出した。

 炎の精霊が、入口の蜘蛛の巣を火で焼き尽くしていく。

「や、やめろよね!! 誰も入るな!!」

 蜘蛛女が氷雨に糸を発射しようとしたとき、麻沚芭が神金で巻いた糸を神風で棒ごと引き抜き、蜘蛛女の上から落下させた。再び棒が地面に刺さったとき、蜘蛛女の首、八本の脚は二本ずつの交差で押さえつけられていた。糸同士がくっついて、蜘蛛女はかせのようにはめられた交差の棒の下で、身動きが取れない。

「ううっ……!! この!!」

 なおも糸を吐こうとする蜘蛛女の頭を、氷雨の槍が貫いた。


 露雩の姿をした阿修羅は、遺跡の土を風で穿ち、もう一つの水晶神封印にたどり着いていた。水晶の中には、露雩と同じ身長二メートルの、露雩によく似た男が封じられている。本来の、阿修羅の体であった。

「さすがに、この兄者の体で封印を解くのは緊張するな」

 阿修羅の前に邪闇綺羅が立ちはだかったときのことを、思い出す。人間は滅びるべきなのだと叫んだとき、邪闇綺羅も叫び返した。

「言葉が人の心を変えられるなら、人間には生きる価値がある! たった一つの言葉では、人の心は一つしか見せない! お前はいくつ人に言葉をかけた! たった数回で怒りにまみれるな! 人間は明日を知らないのだから!」

 阿修羅は、そっと露雩の顔をなでた。兄に背いてしまった。見放されたくないお方に、背いてしまった。

「しかし、人間を見限れば必ず見放されるなら……、突き進むしかあるまい!」

 阿修羅が自分の封印されている水晶に手をかけたのと、麻沚芭が背後から襲いかかってきたのは同時だった。

「目醒めよ!! 阿修羅あじゅら!! 邪闇綺羅じゃぎら!!」

 その神の言葉で、光が室内を満たした。

 光がおさまって気がついたとき、麻沚芭の目前に真っ黒い刀身の刀が迫っていた。刀の持ち主は、露雩に似ているが、冷たい表情の美形。陰陽の陽のように輝き燃える赤紫色の両瞳りょうめが、麻沚芭の全身を圧迫するかのようだ。

 正方形を二つ、縦と斜めに重ね合わせた八角形の星晶睛に、殺される、と全身が総毛立ったとき、麻沚芭の目の前を白光が横切った。

 麻沚芭の前に、全身から白光を放つ存在が立っていた。人ではない。人間には解説できない気をまとっている。

「……!!」

 これが露雩だった邪闇綺羅なのだと思い至ったとき、麻沚芭はなぜか紫苑の泣く姿を思い浮かべた。次元が違いすぎる。

「……兄者。お久し振りでございます」

 赤紫色の瞳の阿修羅が軽くお辞儀をした。

「阿修羅。私の友にまで手を出したな!」

 露雩から戻った邪闇綺羅の目は、怒りに燃えていた。五芒星と六芒星を重ね合わせた、八角形の青紫色の両瞳りょうめの星晶睛が、阿修羅と再び戦わんとする圧力を出している。

「邪闇綺羅様。これまでの記憶は……、露雩としての記憶はございますか」

 閼嵐が肝心なことを尋ねた。神は振り返らず答えた。

「無論だ」

 ようやく、三人はほっとした。

 麻沚芭が神剣・青龍から青龍を顕現させた。

「では、我々で阿修羅を思いとどまらせましょう!! 璘が邪闇綺羅様の不在を利用して、魔族軍と人族軍を戦わせようとしています!! 神風!!」

 璘の名を聞いて、明らかに兄弟神は動きが止まるほど驚いていた。ところが、この絶好の機会に、青龍は動かなかった。

「青龍神!? どうなさいましたか!?」

 思わずせきたてるように話しかけた麻沚芭は、青龍の神気が震えているのを感じ取った。

「璘が世界を悪化させているのであれば、私は星方陣を急がねば!!」

 阿修羅は突然、氷雨の腹に、風で水晶の棒を飛ばして突き立てた。水晶は、そのまま氷雨の腹の中に入った。氷雨は取り出そうとしたが、傷口がふさがっていた。

「なんの真似だ!?」

「神器・水鏡の調べと同じ弦だ。つまり、神器だ」

「えっ!?」

 意図がわからず戸惑う氷雨を、阿修羅の風が抱え上げた。

「ついて来い。空竜に会わせてやるぞ」

「ッ!!」

 氷雨が抵抗するのを躊躇ためらったときに、阿修羅と氷雨は瞬時に消えた。

「氷雨……!!」

 邪闇綺羅が目醒めた以上、ルシナの力はもう使えない。麻沚芭と閼嵐は顔を見合わせた。そして、青龍に向いた。

「なぜ阿修羅に攻撃なさらなかったのですか。阿修羅も風の力を使うことと、何か関係があるのですか」

 白虎の声が閼嵐の神剣から聞こえてきた。

『……違うのだ麻沚芭。風の力のみならず、たとえ老化させるわしの技を出したところで、阿修羅様には通じぬ。阿修羅様には撃剣でしか、傷を与えることはできぬ』

 麻沚芭は嫌な予感がした。

「阿修羅『様』とは?」

 白虎が顕現した。

『四神五柱も四神の剣五振りも、それどころかこの世界の神器は、みな阿修羅様がお創りになられたのだ。我らは、阿修羅様に背くことはできぬ』

 麻沚芭と閼嵐は愕然とした。阿修羅神との戦いに、四神五柱の力を借りることができないのだ。

『朱雀が阿修羅様と話したとき、阿修羅様はラシュオン・羅珠らしゅとして神気を隠されていたのだろう』

『我らは創られてすぐ地上に降りたため、実は邪闇綺羅様を知らぬ』

 青龍と白虎が交互に、慎重に話した。邪闇綺羅は構わず乾坤の書をめくっていた。そして悟った。

「最後の神器・白夜の月は阿修羅の黒い刀だ。神の力とすべての種族の力を超える、それが星方陣の真の価値だ。だが、何が起こるかわからない。私でも修復できない亀裂が世界に入ったら、私は悔やんでも悔やみきれない。神として救いを示せず、世界に見果てぬ夢を求めさせてしまった、無力な私を」

 閼嵐はゆっくりと首を振った。

「いいえ、それは違います邪闇綺羅様。星方陣という、神ではなく地上の者たちの努力で願いがかなうという教えは、確実に、それを知る者たちの希望でした。私も魔族と人族の争いを終わらせるきっかけになると、救われました。そして、あなたの愛する娘もまた、そのおかげで生きてこられたのです。呪われた人生と嘆きながら、あなたに会いたい一心で、ここまでこられたのです。私は、どのような結末になっても、星方陣の力の行く末を見届ける覚悟でございます。たとえあなたの計画になかった物語だったのだとしても、私はこの力の最後を知りとうございます」

 邪闇綺羅の手が止まった。怒ったのだろうか。閼嵐は微動だにせず、待っていた。

 邪闇綺羅の目は、あるページに吸い寄せられていた。そこにはこう書かれてあった。

『かの者は旅をする。永遠に、玉響たまゆらに。ただ世界のすべてを知る知恵を身につけて。かの者に不可能はない。ただある力を失うとき、その者は地に降り立つ。不完全から生まれた不完全な世界を破壊するために』

「……(この世界は、また……)」

 邪闇綺羅は、それ以降は『璘と戦う』しか書かれていない乾坤の書を、閉じた。

「私は、阿修羅が星方陣を成すのに使いそうな聖地を探す。二人は、皆と合流しろ。阿修羅が新しい神器を創らないなら、お前たちから奪いに来るぞ」

 そして自分の神気を与え、二人が一瞬でどこへでも移動できるようにすると、聖地へ向かっていった。

 麻沚芭が小さく呟いた。

「……紫苑のこと、一言も言わなかったな」

 閼嵐は視線を横に向けた。

「がんばったかられなかったんだよ」


 紫苑と出雲と霄瀾は、森の洞窟に葉を敷きつめて、野宿していた。

 霄瀾は、自分を呼ぶ誰かの声を聞いて夜中に起き、洞窟の外へ出た。何があったのだろうと思う間もなく、あたりは濃い霧に包まれ、洞窟に戻ることさえできなくなった。

「ど……どうしよう! 出雲!! 紫苑ー!!」

 叫んだ霄瀾の肩に、優しく手を置く者があった。

 笑っている露雩が、濃霧のうむの中くっきりと見えていた。

「あ……!?」

 阿修羅、と言いそうになって、霄瀾は言葉を呑みこんだ。この至近距離だ、下手に騒げばどうなるかわからない。

「霄瀾。安心しろ。阿修羅は追い出したから」

 露雩が笑っている。子供は少し肩の力を抜いた。

「……ほんとう?」

「ああ。今、この空間は阿修羅の最後の悪あがきで、霧の術がかけられている。一緒に抜け出そう」

「……」

 霄瀾は、露雩の差し出した手につかまろうとした。そのとき、鏡の神器・海月が地面に落ちた。

 それを拾おうとして、霄瀾は固まった。

 鏡には、露雩は映っていなかった。

 赤紫色の星晶睛の、露雩に似た男だった。

 鏡を通して、目が合っていた。

「あ、あ、あ……!!」

 霄瀾は尻もちをつくくらいしか、動けなかった。鏡の中の星晶睛が、霄瀾の目を離さない。

 いつの間にか、実体の方も、露雩によく似た男――阿修羅に変わっていた。黒い刀、白夜の月を抜くところだった。

「憐れな幼子おさなごよ。真実を知らないでおればよかったものを」

 黒い刀身を抜き切った。

「さすれば苦痛もなく我が軍門にくだれたものを!!」

 霄瀾は、広くなだらかな傾斜を持つ草原を、ザザザザと半ば滑り下りるように、一人走った。

 霧の中、背後から阿修羅が迫ってくるのがわかる。

「露雩じゃなかった! 露雩じゃなかった! 露雩じゃなかった!!」

 目に涙をためながら、がむしゃらに逃げ走る。

 しかし、必死の逃亡も阿修羅の前には無力であった。回りこまれた。水鏡の調べの弦が、なぜか霄瀾を拒んで鳴らない。阿修羅は冷静に語りかけた。

「来てもらおうか。お前の純真な心が必要なのだ」

「く……来るなあー!!」

 水鏡の調べを盾にする霄瀾に、阿修羅が一歩一歩近づいてくる。

「さあ……さあ!」

 その頃紫苑は、不吉な予感がして目が覚めた。出雲も何らかの気配を察してか、起きた。

 すぐに、霄瀾がいないことに気がついた。外は濃霧である。

「これは術の霧よ。こんな中に入ったら、霄瀾は脱出できないわ」

「霄瀾!! どこだー!!」

 紫苑の神器・光輪の雫の光で濃霧を二人の周囲だけ晴らして進んでいく。

 なだらかな傾斜のある草原まで来たとき、霧が一気に晴れた。広い草原に一箇所、草の踏み荒らされたところがあった。そして、霄瀾のものと思しき小さな草履ぞうりが片方、残っていた。紫苑が高い声を出した。

「霄瀾……!! まさか、さらわれたの!?」

「霄瀾は水鏡の調べと聖紋弦と海月を持ってる! 星方陣を作る阿修羅に狙われたんだ!」

「もし、璘だったら!? 殺されるわっ!!」

 紫苑がガクガクと震えだしたので、出雲が片方の肩をつかんで支えた。

「私、今までみんなと旅をしてきて、大変だったけど、どこか楽しんでいたの。剣姫の力があるから私がみんなを必ず守れる、自信を砕かれたときもあったけど、命を懸けた戦いでも、なんとかなるって思ってた。なのに……、今回は全然そんな感情がわかないの。一つ歯車を嚙み間違えればすぐに死んでしまうような……そんなおそろしい状態があるんだってことを、初めて実感してる気がして……! どうしようもなく怖い……怖い……!! 霄瀾、もしかして……も、もう消されてるんじゃ……」

「やめろっ!!」

 出雲の声の響きに、紫苑はビクッと口を閉ざした。

「そんなことあるわけない!! オレがさせない!! くだらないこと言うな!!」

 子供の父親の気迫におされ、紫苑はうつむいた。

「……ごめんなさい……」

 出雲にはわかっていた。

 紫苑が震えているのは、急に情勢が変わったせいではない。彼女を支えてくれるはずの露雩の体が、敵そのものに成り代わったからだ。その衝撃と戦っている紫苑を今、叱りつけるのは酷な気がした。だが。

「……滅多なこと言うもんじゃない!」

 出雲は霄瀾の草履を握りしめながら、声を押し出した。戦い抜かなければ負けるだけだ。最初の気合から負けてどうする。霄瀾は必ず自分が救い出す。そして――

「あいつがいないならオレが守り抜く。それだけだ。いつまでも……!!」

 この人が見ているのはオレじゃない。だけど、この人にもらった命は、この人のために使いたい。

「オレが見ていたいのは、いつもお前だから」

 見上げた紫苑と、出雲の目が合った。

「ありがとう」

 紫苑は目を伏せ、首を横に振った。

 二人はとにかく人族軍と魔族軍の激突を避けることを最優先として、紅葉橋へ向かうことに決めた。


 霄瀾が気がついたとき、空竜が藤花の家の戸を開けて、出てくるところだった。

「霄瀾! けがはないわよね?」

「空竜! ここにいたの!? ここは、どこ!?」

「霄瀾。空竜の神器は持っているな?」

 氷雨も、空竜の後ろから出て来た。

「阿修羅様。お帰りをお待ち申し上げておりました」

 最後に、阿修羅の神力で回復した星羅が現れた。

「な、何がどうなってるの!?」

 空竜は霄瀾に、これまでのことをかいつまんで話した。

「とにかく、阿修羅様は星羅の命を延ばしたいんですって。星羅、大切にされてていいなあ!」

 星羅は空竜に微笑んだ。

「そう言う空竜こそ、したくなかった婚礼から、阿修羅様がお救いくださったではありませんか。あなたも幸せ者ですよ」

 二人は既に打ち解けている。

 その二人を満足そうに見守っている氷雨に、霄瀾は尋ねた。

「氷雨は、なんでここにいるの? 空竜がしんぱいで?」

 氷雨は腹をなでた。

「私は阿修羅に神器の原材料を入れられて、神器そのものになったのだ。どの神器でも、使いこなせるようになったらしい」

「えっ? と、いうことは……」

 空竜がそうよ、と霄瀾の顔を近くから見下ろした。

「阿修羅様、星羅、私、氷雨、そして霄瀾。この五人で、星方陣を成すのよ!」

「ええー!?」

 霄瀾は、話についていくのがやっとであった。

「で、でも……三種の神器の音色で守らないと、陣を成そうとする人の命がなくなるって紫苑が言ってたよ。麻沚芭の楽宝円がないよ」

「私の神気で補う。そもそも、三種の神器をまだ麻沚芭はうまく弾くことができない。三種の神器とは、王になる覚悟ができたとき、完全に弾きこなせるようになる神器だ。空竜は嫁ぐことを決めたとき、表向きは后でも、民を守る王になることを密かに誓った。だから空竜の腕前も心配しなくていい」

 阿修羅に、誰にも明かさなかったことを褒められて、空竜はつい、それなりにある胸を反らした。

 今何か、麻沚芭について重大なことを聞いた気がしたが、霄瀾は自分の関わる方に重ねて質問した。

「神器が四つしかないですよね。そして、この組み合わせでいいのですか?」

 阿修羅は神剣・玄武を取り出した。

「兄者の体を使っていたときに、抜いておいたものだ。死を克服する願いをかなえるにふさわしい剣だ。これを氷雨が使うがよい。十二種の大神器は、五つの月の神器・音を奏でる三種の神器・四神五柱の神剣五振りで成り立っている。一つ目の集団からは水鏡の調べ・白夜の月・海月があり、二つ目の集団からは同じく水鏡の調べ・聖紋弦があり、三つ目の集団からは玄武がある。三種類の集団の力を得て、かつ神の神剣・白夜の月がある。神の助力を願わなければ成せない星方陣なのだ、その神が加わったのだから、成せないはずがない。

 そもそも、星方陣は五芒星の形なのだ。五つしか選べない。私は、陣を成す者の望みの内容に近い神器を使うのが、正しい選び方だと考えている」

 氷雨が神剣・玄武を授かりながら、聞いた。

「なぜあめりの日があったのですか。十二種の大神器だけは天にとどめていれば、今すべての中から五つ選べたのでは」

 阿修羅は、懐かしそうに天を見上げた。

「兄者が、私に命じられたのだ。地上に、各自の努力に応じて強くなれる希望を与えよと。その力で悪徳に傾いた者を滅ぼし、『自分は神力を受ける資格を得た』という誇りを、その命に与えるようにと。兄者はご自身の名を世界に明かされなかったから、せめて神器を介して、神とその神に認められた自分を誇ってほしいと思われたのだ。兄者は、すべての命に自分は生きる価値があるのだということを、知ってほしかったのだ。だから、神器を天からろしたのだ」

 阿修羅は白夜の月を見つめた。

「これだけは、私の最高傑作だったから、手放せなかったがな。今から思うと、世界を変える力を持つ星方陣を、地上の者たちだけで成させてはならないということだったのだろう。兄者は乾坤の書で、どこまでご存知でいらしたのだろうか」

 霄瀾はゴクリと唾を呑みこんだ。本当に、星方陣を成すのだ。

「……二度目の星方陣も、手伝ってくださいますか。紫苑ののぞみを、聞いてくださいますか」

 霄瀾に対して、阿修羅はうなずいた。

「よかろう。私を手伝った報いは与えよう」

 空竜が素早く、霄瀾にささやいた。

「ねえ霄瀾、私たち、がんばりましょう。もし星羅の命が神様に等しくなったら……紫苑も……!!」

 はっ! と、霄瀾の目が花開いた。

 これまでに、紫苑の望みを断ってきた罪を、償える。

「ボク、がんばる!!」

 霄瀾は水鏡の調べを強く握りしめた。


 紫苑と出雲、そして合流した麻沚芭と閼嵐は、紅葉橋に向かっていた。誰も、一言も口をきかない。

 小高い丘を登ったとき、一帯を見渡すことができた。

 川もないのに巨大な橋があった。紅葉こうようの盛りの紅葉もみじがその両側に連なって植わり、散っていた。一年中紅葉の散る、一年いちねん紅葉もみじだ。橋の中央に、三段の円柱の建物が建っていた。橋は、それをのせるために巨大に造られていた。

「あれが、紅葉橋だ」

 出雲が教えた。周りは平野だ。戦争の妨げになるものは、何一つない。東の遠方から人族軍、西の遠方から魔族軍が進軍してくるのが、土煙でわかった。

「四神で両軍を止めてちょうだい。私は璘と戦うわ」

 仲間を減らした痛みを乗り越えて、紫苑たちが出撃しようとしたとき、紫苑は白光を背後からかけられたような気がして、振り返った。

「……!!」

 一目でわかった。露雩ではなかった。神であった。

「邪闇綺羅様……ですね」

 陽の極点に対し、神は憂いのある眼差まなざしを与えた。

「阿修羅がどこにいるのか、結局わからなかった。それより璘の方が危険だから、こちらに来た」

「そうですか。ありがとうございます」

 それきり、二人の会話は途切れた。誰も何もしゃべらなかった。時が静かに凍りついていた。

「おい!!」

 その氷を砕いたのは、出雲だった。一同が出雲を見た。

「なに、事務的なことだけしゃべってんだよ!! もっと言うことがあるだろ!? 聞きたくてしょうがないことがあるだろ!? 死ぬかもしれないんだぞ!! このまま出陣していいのか!!」

 出雲は、邪闇綺羅と紫苑を同じだけ見比べていた。閼嵐も感情を抑えた声を出した。

「おそれながら、邪闇綺羅様が神の禁忌である『愛』をどう扱っていいのかわからないことは理解いたします。しかし、はばかりながら私はあなたの愛する娘を愛した身、このまま紫苑と別れて戦場に赴く邪闇綺羅様には、承服いたしかねます!」

 麻沚芭も、身を乗り出してから、こらえて姿勢を正した。

「どうか紫苑に、言葉をかけてください! あなただけから、紫苑だけにかける言葉を! どうか紫苑が報われるところを、私たちに――!!」

 邪闇綺羅の発する白光が揺らいでいる。闘っているのか、迷っているのか。誰も目をらさない。邪闇綺羅は思い出した。

「昔、私はずっと、ルシナ様とは違う世界を創らなければと思い悩んでいた。ルシナ様と同じ世界を創るのでは、私が神の王の座についた意味がないからだ。そんなとき、乾坤の書に、この世に生ずるすべての魂が載ったことがあった。その中の一つだけ、とても暖かかった。なぜ暖かいのか、乾坤の書は教えてくれなかった。

 私は私が理解できないその魂に、私の刻印である名前を刻みつけた。どの時代に生まれても、すぐに私が見つけられるように。どの魂の光に埋もれても、いつまでも私が見護れるように。私はその魂が地上に生まれる前から、たびたび訪ねた。地上ではないから、地上の人間から見れば夢の中のような場所だ。

 その魂は、いつも傷ついて泣いていた。私はこの魂といつか出会いたくて、慰めて、生きてくれるように励ましたのだ。あるときから、幼い少女の姿だった。燃えるルビーのように赤い髪だった。出会えば一目でわかる。やっと出会えた」

 邪闇綺羅は初めて穏やかな目で紫苑を真正面から見つめた。

「その暖かさは私の光を反射したからなのか、それともお前の心そのものだからなのか、どうか私に教えてくれないか」

 紫苑は瞳をうるませて、両手を胸の上に重ね合わせた。

「この暖かさは、あなたを映した喜びですわ」

 邪闇綺羅はそれを聞いて、顔じゅうが耳まで真紅に染まった。

「……この暖かさは……難しいものだな……顔が赤くならない修行だけは、してこなかったから……」

 紫苑は、地面に下向く相手を見て、かわいらしいものを包みこむように微笑んだ。

「私も、それはあなたに引けを取りませんわ」

 そして、邪闇綺羅の胸に飛びこんだ。

 邪闇綺羅は、しっかりと紫苑を抱いた。

「私の心は、藤花になっても露雩になっても変わらない。会えてこんなに嬉しい魂は、お前以外にはいない」

 紫苑は嬉しさのあまり、涙を流した。

 出雲と閼嵐と麻沚芭は、望みの絵を見た思いがした。

 邪闇綺羅がふと顔を上げて出雲を睨んだ。

「だから、紫苑の魂に最初に傷をつけたのは私だ。式神のお前が紫苑につけた傷は、この戦いが終わったら消し去るからな!」

 紫苑が上目遣いに邪闇綺羅を見ながら照れて、ほてる両頬を押さえた。

「あ、邪闇綺羅様の嫉妬ってこんなかんじなんですね」

 出雲はとたんに露雩と話すときのような口調が戻った。

「まったく、生まれる前から唾つけとくなんて、ずりーぞ! 全然最初に出会ったオレのものじゃなかったじゃん!」

 閼嵐が高笑いした。

「式神を解消したら、次生まれ変わったときに、もう紫苑に会えないかもな。オレは陰の極点だから? 絶対会えるけど? はっはっはっ」

 出雲が、閼嵐を殴りそうになるのをぷるぷると震えて耐えている。

「く……くそ……こいつ言いやがる……!!」

 麻沚芭が話に加わった。

「オレの女装は男装紫苑のお気に入りだから、オレもきっと紫苑と同じ時代に生まれ変われるぜ!」

「え!? 紫苑の何の担当だお前は!!」

 閼嵐が麻沚芭の頭の上から爪先まで視線を往復させた。麻沚芭は顔を傾けて、片手を腰に当てて、足を内またにして、つぶった片目の横に髪飾りのように開いた掌を持ってきて、べろをちょびっと出した。

「邪闇綺羅様にはないかわゆさが担当でーす!」

 それを聞いて邪闇綺羅が驚いた。

「紫苑!! そういえば以前私に女装しろと言ったが!?」

「え!? え!? そんな生まれ変わってまた会えるような深い意味までいきませんよ!!」

「でも女装はしてほしいのだな!?」

「おーっとお!! いったあーい、目にゴミがっ☆」

「目にゴミなど入ってないぞ!! 星晶睛の視力をなめるな!!」

 笑ってごまかす紫苑の両肩を必死に揺らす邪闇綺羅を見ていると、三人は、天の園でこうしてこの二人は暮らしていけるんだな、と思えて、とても安心した。

 出雲が、両頬をパン! と勢いよく叩いた。

「――よし! 邪闇綺羅様が戻ってきてくれた! あとはこの戦争を回避して、璘を倒すだけだ!」

 閼嵐も掌に拳を打ち込んだ。

「阿修羅の星方陣も気になるが、オレたちはオレたちにできることをしないとな!」

 麻沚芭は右胸にあるあお玻璃はりと、未だに弾きこなせない左胸の楽宝円を、服の上から片手を広げて押さえた。

「――オレも、決断しないとな――」

 邪闇綺羅が優しく紫苑の赤い髪を愛おしそうになでた。

「私と、戦ってくれるか」

 紫苑は、人生で一番素直な気持ちで返事をした。

「はい!!」

 五人は、丘の上から紅葉橋に向いた。すると、紅葉橋の上の円柱の建物が光りだした。壁がなくなり、代わりに文字が現れてくる。

「あの建物はなんなのですか?」

 紫苑の問いに、邪闇綺羅は答えた。

「各種族の王が集まり、話し合い、誓う場所だ。命全体に関わることは壁が文字に変わって、示される。それを見た自然がそれを知らない命に伝えていき、世界の空気を作っていくのだ。橋と建物、それに一年紅葉がひとまとめで、紅葉橋という。しかし、今、命全体に関わることは――あっ!!」

 邪闇綺羅はそれ以降何も言わなかった。四人が目をらしても、遠すぎて何が書かれているのかわからない。

 閼嵐は目を開いたり細めたりした。

「魔族の目でも見えません……。何とありますか?」

 邪闇綺羅は何かをのみこんだように呼吸してから、告げた。

「あの壁に、星方陣を成す祝詞のりとが書かれた。阿修羅が唱えたのだろう。しかし、――陣は失敗した。世界は罰を受けるとある」

 麻沚芭が目を大きく開いた。

「罰? なんですかそれは?」

 天に闇雲あんうんが立ち込め始めた。紫苑が見上げる。

「世界が破壊を受けるということですか!?」

 それを聞いて閼嵐も焦っている隣で、出雲は何も言わなかった。邪闇綺羅が神気を放った。

「力の発動で場所はわかった。私は阿修羅のもとへ向かう」

 邪闇綺羅は消えた。人族軍と魔族軍は、闇に包まれた平野で進軍をためらっている。


「空竜!! 空竜ううっ!!」

 氷雨が、必死に叫んでいる。空竜は、光の粒子になって消えつつあった。星方陣に失敗した者は、星方陣罰・神に世界を問うた罪で肉体が滅び、死ぬのだ。

「なぜだ!! 神の力があったのだぞ!! どこで間違えたのだ!!」

 阿修羅が雄叫びをあげている。

 目の前に、光の粒子になる星羅がいた。

「そのお志……ありがとうございます……空竜、霄瀾、ごめんなさい……」

 星羅は消滅した。

「星羅ァァァッ!!」

 阿修羅は絶叫した。それを見て愕然とする氷雨の手に、空竜の手が置かれた。

「私はいいから……霄瀾のところへ……一人では寂しいわ……」

「……!!」

 氷雨は空竜の気持ちを受け取り、霄瀾のもとへ駆けた。

 横たわった霄瀾は、静かに泣いていた。

「ボク……死ぬんだね」

 氷雨は、何も言ってやれなかった。

「でも……おじいちゃんにまた会えるから、少しだけ……恐くないんだ」

 霄瀾は、表情を少しだけ和らげて、消えた。

「……」

 空竜の姿も、既になかった。

「……阿修羅ァァッ!!」

「人間に期待しては、人間に裏切られてきた!!」

 生き残った人形機械と神の言葉とが激しくぶつかりあった。

「なぜ命が守れなかったー!!」

「私を拒み続ける人間どもなど、滅びてしまえー!!」

 阿修羅は、一瞬でどこかへ消えた。入れ違いに邪闇綺羅が現れた。氷雨が叫んでいたので、状況を理解した。神器を素早く宙に浮かせ、自分の近くの空間に穴を開けて入れると、氷雨を伴って紫苑たちのもとに戻った。

 氷雨の様子から、紫苑たちも二人の死を知った。

 息子を殺された出雲は、誰にも顔を見られない方向を向いていた。

 闇雲あんうんからは、強風にあおられたどしゃ降りの雨と稲妻が落ち始めていた。特に稲妻は必ず地面を割ろうと直撃し、大地に亀裂を入れる。人族軍と魔族軍は逃げ惑っている。全世界でこうなのだろう。突風に乗って石や枝が命を襲う。稲妻から火がつき、平野の草を焼きだした。突風でみるみるうちに燃え広がる。火を見て両軍の軍隊は、剣を火にきらめかせながら、興奮状態になっていく。

 紫苑たちは、邪闇綺羅の出す囲いの中で天変地異を避けていた。

「この世界の異変をどうされますか! 璘は眺めているだけのようですが!」

 紫苑に尋ねられ、邪闇綺羅は乾坤の書を開いた。星方陣を成すページしか、もうめくれなかった。

「この頁、だけが……」

 邪闇綺羅は、五人に告げた。

「私たちも、星方陣を成そう。阿修羅は、神の力と三種類の神器の組み合わせで作れると思ったようだが、神でもどの神器を五つ使うかまでは、とうとうわからなかった。星方陣は、神すら試している。

 そこで、私の考える星方陣は、こうだ。

 まず、すべての神器を身につける。使われない存在など、この世には一つもないからだ。お前たちに使えない分は、私が身につける。そして、この世界のすべての種族で星方陣を成す。神の私、人族の紫苑と麻沚芭、魔族の閼嵐と竜族のいろパの尻尾、精霊族の出雲、そして人形機械の氷雨だ。この世界を変えるのだから、神器の組み合わせではなく、すべての神器ちからと、各種族の了解と協力が必要なのではないかと、私は思うのだ。

 幸い、今なら阿修羅の星方陣の直後で、白夜の月の力は大気に残っている。念のため、麻沚芭は楽宝円、氷雨は水鏡の調べ、紫苑は聖紋弦を弾いて命を守るように。『王』ならば、弾けるはず」

 命を燃やしてでも、やるしかない。三人はうなずいた。

 東西南北の四神の剣士がその四箇所の方角に立ち、土気の麒麟の紫苑は東南、青龍の麻沚芭と朱雀の出雲の間に立ち、五人は五芒星を形作って中心に向かいあった。

「では始める!」

 邪闇綺羅は、抜けば玉散る神の剣を、双方ともに抜いた。

 紫苑、氷雨、麻沚芭が三種の神器を奏で始める。全員、意識を神器に集中する。

 邪闇綺羅は星方陣の祝詞を唱えだした。

『己の答えは何なのか。その思考、その誓い、己の力なり。千の剣、万のけい、己の世界にあかしする。これすなわち真の寿ことぶきなり』

 紅葉橋の建物の壁にも、同じ言葉が現れる。

 天地が、輝く十二種の大神器の力を吸って、鳴動している。

 邪闇綺羅は、揺れる大地の上で上体を反らし、左手の剣を立て、右手の剣を、弓に見立てた左手の剣に、矢をつがえるように重ねて目一杯引き、そして「射た」。

 右の剣は勢いよく空に吸いこまれていき、闇雲を晴らした。神気が天と地をつないだ。

「星方陣!!」

 その一瞬に、神・邪闇綺羅が星方陣の名を遂に叫んだ。

 空から何かが轟音と共に降りてくる。

 世界のどこにも逃げ場がないほど巨大な何かが――。


「星方陣撃剣録第一部紅い玲瓏十八巻」(完)


 星方陣の祝詞のりとの中の『己の世界にあかしする』の『あかしする』は、『証明する』の意味でお読みください。祝詞全文の意味は、

「自分の答えを出した者に、その思考と誓いが千の剣、万のけいとなって、自分の世界に、それが自分の力になることを証明する。このことは祝うべき真のめでたい事柄であり、また、自分の答えこそが真の祝いの言葉である」

 です。

 次巻もよろしくお願いいたします。


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