名も知らぬ花
掲載日:2019/02/27
立派な花園があった
訪れた者はみな感嘆の声をあげる
だがみなその花々の名を知らない
春夏秋冬移りゆく景色に
訪れた者はみな素晴らしいと言う
だがみなその花々の名を知らない
立派な花園があった
訪れた者はその花たちを踏みつけて
より美しい花々を捜すようになった
踏みつけられた花は
誰にも知られぬまま
朽ちてゆく
そうしているうちに
美しかった花園は見る影もなく
無惨にも荒らされていく
むかし
美しい花園があった
かつて訪れたものは言った
あの花々の名はなんだったのかと
今となっては
枯れた花の蔓が足に絡み付いて
恨めしそうに花園を返せと
嘆いている




