気持ちのいい朝
夢を見ていた。
それは自分がみんなに認められて褒められている夢。
あぁ、こんな夢が現実だったら良かったのに。
「起きたまえ…」
そんな夢を見ている最中呆れた声が耳に届く。
目を開けると呆れた顔をした、男が居た。
「……おはようございます。」
「おはようじゃないなぜここにいる?」
「ここにいるってどういう事ですか?」
俺はそれを聞き辺りを見渡す。そこは教室だった。
「ここは教室ですね…。たしかあなたは…?」
「フン!貴様みたいな〝普通の人間〟に教える名もない、ただ俺とお前の立場くらいは教えてやろう…。」
そう言うと見た感じ50代くらいの男は手を口の前に出しコホンと軽い咳を吐く。
「私はこの高校の教師を務めている。そしてお前はここの生徒だ。」
「そんな事くらい知ってますよ?」
「そうだったな、すまないな余りに貴様が間抜けな面をしていたから知らないものかと思ってな。」
そう言った男はふふふと笑った。
「僕も貴方みたいな下品な顔立ちから見て教師ではないと思いましたよ。」
すると男の眉がピクッと動いた。
「…ふん、とりあえずお前はここで何をしていた?」
「…何をしていたかですか…」
実際自分でもなぜここにいたかわからない。
適当に言って誤魔化そう。
「朝早くから勉強したかったからですよ。」
「寝ていた奴がよく言う。」
あっさりバレてしまった。
「すみません。ですが、もうこのまま授業が始まるまでここにいますよ。」
時間を確認して見たところ最初の授業が始まるまで、2時間あったが、帰るのが面倒なため、ここで授業を待つことにした。
「ふん、勝手にしろ…だが。」
「だが?」
「今日は授業はないぞ?」
「そうなのですか?」
「連絡がいってないか?」
「すみません、確認してませんでした。」
「そうか…だったらさっさと帰れ。」
きっと、確認しても連絡はなかっただろう。
「わかりました。すみませんいろいろと。」
俺は深く頭を下げる。
「なぜこんな奴がこの学園に入れたのだ。」
教師らしき男がため息混じりの声で言い放つ。
「まぁ、努力が実を結んだと思いますよ。」
そう言いうと俺は教室を後に後にする。
―――ここは〝普通の世界じゃない〟―――
ここは、人類は生れながら〝異能〟の才能を持つ人間が存在する。
だが、それを持たない者も僅かながら存在する。
俺はその中の一人として生まれた。
さっきまで俺がいた高校は、その才能を持つ少年たちをより才能豊かにするため作られた学園だ。
そのような学園があるのは珍しくない、むしろ当たり前になってきている。
だが、あの学園はその中でも物凄い成績を残している学園である。
才能を持たない生徒がその学園に入学する事は出来ない。出来るはずがないのだ。
なぜなら伸ばすものがない。と、言われているからだ酷いもんだ。
だが才能が無いものが昨日その学園に編入して来た。
それが俺だ。
才能を持ってない俺がなぜ入れたかって?
努力が実を結んだのかな?
とはいえ、なぜ学校で一晩明けていたか少し気になった。
俺は昨日のことを歩いて帰りながら思い出そうとする。
「…昨日は歩いて学園に向かったよな…?」
なんとなく思い出してきた気がする…。