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特級ギルドへようこそ!〜看板娘の愛されエルフはみんなの心を和ませる〜  作者: 阿井りいあ
番外編

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7周年記念SS「月が綺麗ですね」

おかげさまで7周年を迎えました!

なんだかあっという間ですね……!

少し短いですが記念SSとなります。楽しんでいただけますように!


 今日はギルさんと一緒に住み始めた記念日。

 毎年ちょっとしたお祝いをするんだけど、やることは様々。


 少し遠出したり、買い物デートしたり、ピクニックに行ったり。

 お互い忙しいから予定を合わせるだけでも難しいんだけど、仕事だけは入れないようにしているんだ。


 たまーに半休になっちゃうこともあるんだけどね。でもそれは仕方ない。


 そして今年はそのたまーにがぶつかってしまって……。


 午前中はギルさんが、午後は私に外せない仕事が入っちゃったので、二人きりになれたのは夜になってからだった。


 外食してお祝いはしたんだけど……どことなくギルさんはご機嫌斜めなんだよねぇ。記念日に夜しか会えないなんて初めてだもんね。私も知った時はショックだったもん。


「ね、ギルさん。まだ拗ねてる?」

「拗ねてなどいない」

「それ、誤魔化せてると思ってる?」


 番なんだから、そういうのもぜーんぶ筒抜けでしょ。

 私が顔を覗きこんでそう訊ねると、ギルさんはバツの悪そうな顔でそっと目を逸らした。


「ね、ギルさん。せっかくの記念日なのに、拗ねてたらもったいないよ」

「……そうだな。すまない」

「気持ちは同じだから謝らなくてもいいよ。でもさ、こういう年もあったねって思い出が出来たと思えば!」

「メグは物事を前向きに捉える天才だな」

「へへへ」


 そっと頬を撫でられて、照れて笑う。

 やっぱりさ、ギルさんと一緒にいられるだけでなんだって幸せなんだよね。


 贅沢なんてしなくたっていい。ほんの少しの時間でもいいのだ。


 ギルさんと二人で色んなことをして過ごすのも、ずーっと一緒にいるのも楽しくて嬉しいけど……なんてことのない時間も宝物だ。


 今みたいに家の屋根の上に二人並んで座って、夜空を眺めながらお話する時間とかね!


「月が綺麗だねぇ」

「そうだな」


 他愛のない定型文のような会話も、こんなにも……。


 …………あ、ちょ、ちょっと待った。


 月が綺麗、ってさ。

 あのさ……あなたを愛していますって意味じゃなかった……?


 無意識に愛の告白をしていたことに気付き、ボッと顔に熱が集まる。


「どうかしたか?」

「へぁっ!? う、ううん、何でもないの!」


 直接ギルさんに好きって伝えるのも照れちゃうけど、気付かないうちに伝えちゃってたというのも恥ずかしいね!?


「メグはいつまでたっても誤魔化すのが下手だな」

「うっ」


 そして私ってば相変わらず顔に全部出てしまう。でもさすがに恥ずかしくて言えないよ!


「でも本当になんでもないの。思い出し笑い? みたいな! そんな感じ!」

「ふむ」


 よ、よし。どうにか誤魔化せたみたい?

 ……ついでにいいこと思いついたかも。


 これなら、毎日に自然にギルさんに愛を伝えられるのでは?


 直接的な言葉はね、何年たっても恥ずかしさが消えないからさぁ! ギルさんはサラッと言ってくるけど。ほんと敵わない。


 よし。明日からも月の出る夜は伝えてみようかな。

 この言葉の意味を知る人は、他にいないからね!




 それから私は密かに決めたささやかな習慣を続けた。


「ギルさん、今日も月が綺麗だよ!」

「わぁ、今日も月が綺麗!」

「ギルさん、見て! 今日の月は特に綺麗に見える!」


 気負わずに内緒の「愛してる」を伝えられるのがなんだか楽しくなっちゃって、ちょっと露骨になりすぎたかな? とも思うけど……いいの。自己満足だから。

 そんなに月が好きだったか? とか思われているかもしれないけど、そうだよ! って答えればいいだけだし。


 しかし、私はギルさんを甘く見ていた。

 この人が、私のちょっとしたイタズラのような企みに気付かないわけがなかったのだ。


「メグ、月が綺麗だな」

「えっ」


 ある夜、いつものようにこっそり愛を伝えようとしたら、ギルさんが先に言い出した。

 ま、まぁ? いつも私が言ってるし、真似して先に伝えてきてもおかしくないよね。


 それに……意味はわかってないだろうけど、意図せず愛を伝えられたような気もして嬉しいし。


「……これからもずっと、ギルさんと一緒に見たいな」


 だから私は、悟られないような返事をする。

 風流! ねぇ、なんか風流じゃない!?


 浮かれていた。内緒の楽しみが嬉しくて。

 続くギルさんの言葉を聞くまでは。


「当たり前だろう。俺がメグを愛しているのは、未来永劫変わらない」


 ……ん? んんん?

 あ、れ? ちょ、ちょっと待って。ま、まさか!


「き、き、気付いて……!?」


 急激に顔に熱が集まり、口をパクパクさせてしまう。

 ギルさんはニヤッと笑って、得意げに告げる。


「メグがその言葉を使うたび、伝わってきたからな」


 そ、そ、そうでした……! 番なんだから思いは筒抜けじゃん!


 私って本当にお馬鹿さん!


 べ、別にバレたって問題はないけど、ないけど……私が無邪気に愛を伝えまくっていたのがバレていたっていうのが、もう、もう……もう!!


「毎日のように番に愛を告げられて、俺は幸せ者だな?」

「あ、あう、あう……」


 顔が熱い。なんなら全身が熱い。

 ひとり慌てる私の耳元に口を寄せ、ギルさんは続けて囁く。


「それで? 月が綺麗に隠された意味はなんだ? 直接メグから聞きたい」

「~~~っ!」


 い、意地悪ぅ!!

 涙目になって抗議したものの、こういう時のギルさんは逃がしてくれないことを知っている。


 結局その後、私はギルさんに向かって「愛してる」と告げることとなってしまった。


 でも目を逸らしちゃったり、噛んだりと失敗が続き……しかもそれをギルさんが許してくれなかったため、何度も何度も伝える羽目になってしまった。

 ギルさんはとーっても嬉しそうだったから別にいいけど、いいけどさぁ……!


 くっ、やっぱり私に隠しごとなんて出来ないよーっ!!

 改めて、この人には一生敵わないなぁと思い知らされたのでした! 恥ずかしいっ!!

お読みいただきありがとうございました!

8年目もよろしくお願いいたします!


また、本日は他作品関係のお知らせもあるかと思います。

今日のうちに活動報告を更新しますので覗いてみてください!

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【書籍版特級ギルド1〜13巻☆完結済】


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― 新着の感想 ―
甘々で幸せ 完結前から見始めてもう受験生になっちまったぜ... 来年も見れますように
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