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6周年記念番外編「精霊たちの見る世界」中編

本日2話目です。


 私を引っ張るフウちゃんだったけど、当然というべきか他の精霊たちから苦情が上がった。

 自分だってメグ様と遊びたいー! とのこと。あ、あはは。嬉しいけど困ったな。


「みんな、順番で遊ぼう? おすすめの遊びがあるんでしょ? 私も全部やってみたいもん」

「じゃあ、アタシが一番ねっ!」

「ずるいんだぞ! オレっちが一番なんだぞー!」

「抜けがけは許さんでー! ウチが最初や!」

「ボ、ボクもぉ~」

「ショーちゃんも! ショーちゃんもぉぉぉ!!」


 ああ……いつも通りのカオス。

 ジャンケンで決めたいところだけど、ショーちゃん以外は動物の姿だしなんとも……。


 あ、そうだ。


「向こうの木をタッチして戻って来た順ね! よーい、ドン!」

「「「「ええっ!?」」」」


 準備万端で始めず、急にかけっこの始まりだー!


 私の意図を最初に理解したシズクちゃんが真っ先に動きだした。

 ……シズクちゃんってば、争いに参戦してなかったわりに、意外と一番に遊びたいと思ってくれてたんだね。ふふっ。


「そういうことー!?」

「ま、負けてられないっ」

「うおぉぉぉ!!」


 他の精霊たちもようやく気づいたようで慌てて駆け出した。

 ごめんね、不意打ちみたいなことして。でもこうでもしないと遊ぶ時間がなくなっちゃいそうだったから。


 こうしてようやく遊ぶ順番が決まった。

 一番はなんとシズクちゃん! 意外……。でも身体も大きいしみんなが戸惑っている隙に誰よりも先に動き出していたのを私は見た。冷静で確実に勝利を掴むシズクちゃん、大人びてみえてかわいいところもあるんだよね! ふふっ。


「シズクちゃんはやっぱり水場で遊ぶんだよね?」

「うむ。妾が水のボールを作るから、中に入るのだ」

「ん! わかった」


 水場にやってきたところでシズクちゃんは言っていた通り水のボールを作ってくれた。中は空洞になっていて空気があるけど、多少は濡れる。まぁ、水遊びなら濡れるのも当たり前だから気にならないね!


「では行くのだ!」

「うん! うん? わ、あ、ひゃああああっ!?」


 私が水のボールに入ったのを確認すると、シズクちゃんは私を連れて勢いよく水中に潜っていく。そのスピードがものすごくて思わず悲鳴をあげちゃった。


「はわ、わ……わぁ! 綺麗!」


 最初はビックリしたけど、周囲を見てみると水泡がたくさんある渦の中心にいたみたいで、それがまた普段見ることのない景色だったからすごく感動した。


 水底まで到着すると、今度は急浮上! 今度はそんな予感がしていたから純粋に楽しめちゃう。


「ひゃー! あははははっ!!」

「サービスするのだー!」


 水面から飛び出てもまだ空に向かって飛んでいく。

 陽の光を反射して水がキラキラ輝いていた。


 さらに野次馬しにきた精霊たちがキャッキャと楽しそうに飛び回っていて、水の精霊たちがそこかしこから水鉄砲を発射。

 せっかくだからと私も負けじと水の魔術で対抗したよ! この姿でも変わらず魔術が使えるのは新発見。


 そうして楽しんでいる隙に、噴水や水鉄砲、そして私が入っていた水のボールがフッと消える。


 あれっ!? あわわわわ!

 当然そのまま落下した私は水の中にドボーンとダイブすることとなった。


「ぷはっ! んふふふふっ! 楽しかったー! あ、虹だ」


 水面に上がって顔を出して笑うと、たくさん水しぶきが上がっていたからか小さな虹がいくつかできていた。きれーい!


「楽しんでもらえたと思うのだ。どうだったのだ? 主殿」

「すっごく楽しかったよ、シズクちゃん! ありがとう!」


 シズクちゃんが全身の水分を魔術で飛ばして一瞬で乾かしてくれる。自分でもできるけど、誰かにやってもらうのってちょっと違った心地よさがあるから好きだ。


「次! 次はアタシねっ!」

「うん、フウちゃん。一緒に遊ぼうか」


 休憩する暇もなく、待ち構えていたフウちゃんに掴まる私。

 うん、予想はしてた。たぶんこれ、みんなと遊ぶまで休ませてくれないなって……。


 ええい、全力で遊ぶぞーっ!!


 フウちゃんとは木にかかっているブランコで遊んだ。普通のブランコからメリーゴーラウンドみたいにくるくる回るタイプのものまでいろいろ作ったからどれにするか迷ったけど……気付けば全種類乗ってたよ。

 目が回ったけど風の力でふわふわ上下にも浮かんだりしてすごく面白かった。魔術が使えるからこそできる危険なブランコって感じで。地球の遊園地ではあり得ないアクロバティックな乗り物でした!


 次に待っていたのはライちゃん。これはなかなかに危険な遊びだったよ。フウちゃんとのアクロバティックブランコなんか目じゃないほどに。

 だってライちゃんの属性は雷だから……! あらゆるものに電気を落としてみてはキャッキャと喜ぶライちゃんはかわいかったし、雷と一体化して迷路を移動するのも面白かったけど、一歩間違えたら大惨事な遊びに私は戦々恐々としっぱなしだった。

 た、楽しかったのはほんとだよ! でも次の機会があった時は、もう少し安全な遊びをお願いしたい。


 お次はホムラくん。これまで危険な遊び続きな上、火だからどんな恐怖体験を? と覚悟を決めていたけど……以外にもとても平和だった。それはもう本当に。

 なんと、水を沸かして疑似温泉体験!

 とってもいい湯で最高だったよぉ!

 なんでも、最近のホムラくんがハマっている遊び(?)らしい。ちょっと前までは火の輪くぐりだったと聞いて胸を撫で下ろしたのは秘密だ。

 おかげでハードな遊びで疲れた心身を合間に癒すことができたよ。た、助かった……!


 続いてはリョクくん。

 リョクくんとは蔦のジャングルジムで鬼ごっこをしました!

 魔法使用可だったのでビュンビュン動き回る蔦に運んでもらったり、大きな葉っぱで隠してもらったり。

 途中からは鬼ごっこというよりかくれんぼになってたけど。

 かわいかったのは、リョクくんたら隠れる時おしりが丸見えなんだよね。どうして見つかったのかわからない! って驚くリョクくんにはとても癒されました。かわいい。


 そして最後はショーちゃん。意外だよね、なんで最後なの?

 声の精霊だから誰よりもかけっこ勝負は得意だと思っていたんだけど。


「速すぎて、誰も信じてくれなかったのよ……」

「あー……」


 あまりにも一瞬で行って帰ってきたものだから、誰もそれを見てなかったんだね。かわいそうすぎる。


「でもショーちゃんは一番の先輩だから許してあげるのよ! が、我慢、できるのよ! できたのよ!!」

「うんうん、わかってるよ。えらいよ、ショーちゃん! 待たせてごめんね、一緒に遊ぼうね!」


 涙ぐみながら強がるショーちゃんをよしよしと撫でてあげる。健気……。


 さて、ショーちゃんが案内してくれたのは我が家の屋根の上である。最近のお気に入り遊具である砂場に行くのかと思っていたから拍子抜けしちゃった。


 でも聞いてみると、主人泣かせの言葉が返ってくる。


「今日はたっくさん遊んでご主人様はお疲れなのよ? 夕方だし、とってもいい眺めだからご主人様に見せたかったのよー!」

「ショーちゃん……!」


 いい子すぎる! 思わず涙目になりながら感動していると、ショーちゃんが指をさした。


「ほら! 見てなのよ! お日様が沈んでいくのよー!」

「わぁ……綺麗だねぇ。うちからこんなにいい景色が見れたなんて、知らなかったな」


 屋根の上からみる夕日はびっくりするほど綺麗だった。

 家の庭や窓から見える景色も綺麗だと思っていたけど、ここから見る眺めはもっともっと綺麗。自慢のお庭が一望できるからかも。


「それに、お日様があたってこの屋根はポカポカで気持ちいーのよ!」


 ショーちゃんに言われてぺたん、と座ってみると。なるほど、たしかにぽかぽかだ。ぬくぬくだ。


「あったかい……」

「アタシもーっ!」

「オレっちも!」


 ほのぼのしていたら他の精霊たちも集まってきた。みんな温かさに溶けてる。

 シズクちゃんも来てくれたので、みんなで寄りかからせてもらった。もっふもふぅ。


 ああ、幸せ。

 あったかいし、もふもふだし、精霊たちとこんなに身近に触れ合えて、なんだか、眠、く……。




『メグ! どこだ、メグ!!』


 名前を呼ばれてハッとする。周囲を見回してみるとすでに朝日が昇っていた。

 ……えっ、朝になってる!? 昨日、あのままみんなでぐっすり寝ちゃったんだ、はわわ。


『メグ!!』

「ギルさん!?」


 名前を呼ばれていたのは気のせいじゃなかった! 

 精霊たちも起こして慌てて屋根の下を見ると、ギルさんが動揺した様子で庭に出て私を探しているようだった。


 いやちょっと待って。いくら朝でも帰ってくるのが早すぎない!? てっきり夜になるかと……。


「ギルさん、ごめんね! 私はここに……」


 ふわりとギルさんの前に飛んで目の前で声をかけたんだけど。


『オルトゥスにいるのか? そんな話は聞いていないはずなんだが……行ってみるか』

「え? あれ? ギルさん?」


 ギルさんはそんな私のことを見向きもせず、あっという間に影に潜って姿を消してしまった。


 なんで? どうして? という疑問符が浮かび、数秒後に気づく。


「い、今の私は精霊だから、ギルさんには見えないんだ!!」


 なんてこった! というか、朝になったのにまだ元の姿に戻れてない。

 慌ててショーちゃんたちのほうに振り向くと、どこか目を泳がしている。


「えっとぉ。もしかすると、ご主人様が精霊になる時に力を貸す精霊が多すぎてぇ……」

「……思ってた以上に、効果が長引いている、ってこと?」

「うわぁぁぁん、ごめんなさぁぁぁい! まさか、こんなことになるとは思わなかったのよー!」


 ぴぃぴぃ泣くショーちゃんと他の精霊たち。

 なるほど、理解した。つまり……。


「まだしばらく戻れないってこと、だよね? 問題は……」


 それをどうやってギルさんに伝えるか、だ!

 というか、オルトゥスにも私がいないって知られたら……大騒ぎになっちゃう!!


「とりあえず、みんな! オルトゥスに向かうよ!」


 しょんぼりする精霊たちを宥めつつ、私たちは大急ぎでオルトゥスに向かった。


 い、急げーーー!!


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