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特級ギルドへようこそ!〜看板娘の愛されエルフはみんなの心を和ませる〜  作者: 阿井りいあ
闘技大会開幕

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変わらない未来


 結論から言うと、その心配は無用でした!


 オルトゥス残留組のメンバーを聞いて納得したのだ。まず、いつもオルトゥスの監視をしてくれているルド医師。もうそれだけで安心なの、なんでだろう。戦闘力はみんなほどではないけど、誰よりも危険を察知できるから対策もバッチリである。みんなが帰るまで訪問診療は出来ないけれど、それも他の医療メンバーがこなすので問題はないんだって。さすがだ。


 戦力面はニカさんがいてくれる。こちらもしばらくはオルトゥスにいてくれるのだそう。いつもは外回りが多いもんね。あの大柄なニカさんなら存在感もあるし、オルトゥスにいてくれるだけで心強い。実際、とっても強いしね!


「あとは、受付の子たちもなかなかやるわよー? なんせ、私が直々にみっちり教え込んだトラップがあるもの。私が仕込んでおいたものもあるし、敵意を持った者は一歩も入れないわよ!」


 頼もしすぎる。受付のお姉さんたち、実はサウラさんにかなり鍛えられていたのね。サウラさんがここまで言うなら本当に大丈夫なのだろう。


「受付業務はアドルがいるから問題ねーよ! あとは俺の兄貴もいるから、補助系魔術も完璧だぜ! まー、兄貴はメアリーラと一緒に居残り組で浮かれてたから、そこだけ心配だけどー」


 頭の後ろで手を組んでそう言うワイアットさんは、清々しい表情で笑っている。ああ、オーウェンさんの双子の弟である彼は、いつもメアリーラちゃん絡みでオーウェンさんからとばっちりを受けているもんね。薄い緑の瞳がキラキラと輝いている……よほど普段ストレスが溜まってたんだなぁ。


 それはさておき! もう聞いてもいいでしょう! 何って出場メンバーだよ! ずっとお楽しみにってされてたのだ。いい加減聞きたい! ウズウズ。


「サウラさん、オルトゥスからは結局、誰が闘技大会に出場するの?」

「ああ、まだ言ってなかったわね。ふふ、いいわ。教えてあげる」


 サウラさんが言うには、1つのギルドから出場できるのは4人ずつ。あ、子ども部門はそもそも人数が少ないから制限はないみたいだけど。

 でも4人? ジュマ兄と、ロニーは絶対出るよね。あとはケイさん、シュリエさんに、ワイアットさん、ギルさんもいるし、他にも数人来ているのに。サウラさんは裏方で、レキは医療担当でついてきたとしても、4人以上いるのになぁ。


「出場するのはジュマ、ロニー、あとはあそこにいる2人よ!」

「えっ!? そうなの!?」


 シュリエさんは未成年部門で出るアスカに付くいわゆる保護者として来たみたい。ロニーは成人部門だけど、師匠であるケイさんがアドバイザーとして付くんだって。ワイアットさんは拠点の守護担当で、あとの人たちも大会運営の補佐に回る人員なんだって。お父さんは言わずもがな、大会運営だもんね。ということは……。


「ギルさんは出場しないんだね」


 てっきりギルさんは出るものだと思ってた。すると、お父さんがケラケラ笑いながら何言ってんだメグと言い出した。


「ギルが出たら優勝しちまうだろうが」

「あ、そっか」


 確かに、ギルさんの強さは他の人よりも数段階上だ。これは間違いない。きっと、他の特級ギルドのメンバーも、太刀打ち出来ないほどの実力者なんだと思う。比較する相手がどの程度なのかわからないからなんとも言えないけど、お父さんがそう言うならそうなんだろう。

 そんなことは、言われなくてもわかってた。きっと、シュリエさんと一緒で、未成年部門に出場する私の保護者として付き添ってくれるのだろう。考えればわかったはずなのに、なんで私はギルさんが出場する、だなんて思い込んでいたのだろうか。


『絶対、倒す!』

『……来い』


 あ、予知夢だ。いや、夢渡り? うーん、でもたぶんこれは未来を視てるんだと思う。しかも、前にも視た。リヒトとギルさんが、睨み合ってる。


 リヒトの長剣から青白い光が発せられていて、それを一振りしたことで光がギルさんの方へと飛んでいく。その光は雷みたいで、当たったら黒焦げになりそうだ。でも、ギルさんはその光を刀を一振りしただけで難なく躱し、向かって来たリヒトの長剣をそのまま刀で受け止める。


『そんなものか』

『準備運動だよ!』


 あ、あ、視たよ。全く同じ予知夢を、前にも視た! この後は確か……リヒトがとても大きな魔力を練って……そのまま攻撃魔術を放とうとするんだ。それは危ないって。そう、思った私が────


「メグ?」


 ギルさんの呼びかけで我に返る。あぁ、そうだった。前に視たときは内容をすっかり忘れていたけど、今、全部を鮮明に思い出した。

 前にも一度この光景をふんわり思い出したことがあったよね。その時に、ギルさんは闘技大会に出場するって思い込んだんだ。これは、大会でのことを視てるんだろうって。

 でも、じゃあ、なおさら……。


 あの未来は、いつ、どこで起こることなの?


「どうしたぼんやりして」

「う、ううん。何でもないよ」


 これは、ちょっとまだ誰にも言えないかも。だって、リヒトとギルさんが争うなんて言えないよ。大会でもないのに戦うなんて、ただごとじゃないもん。それに私だって……。


 ん? 待てよ? さっき視たのは、前に視たのと同じだった。ということは、未来はあの時から変わっていないんだ。結局、このままだとあの通りのことが起こる。それがいつなのかはわからないけど、リヒトがあの姿だってことは、今からそう遠くない未来だ。人間であるリヒトの姿が変わらないんだもん、何年も先ってことではないはず。私が、あの大きな攻撃魔術の前に立ちはだかるのも、きっと変わらないんだ。


 まー、考えればわかるよ? 2人とも私の大切な人だし、咄嗟に飛び込むだろうなって、自分の行動パターンはよくわかる。問題は、その後なんだよね。夢はそこで終わっているから、その後の私がどうなったかまではわからないのだ。

 前に視た時も今回も、そこで途切れているからただじゃ済まない結果に……? え、私、死んでたりしないよね? またぁ? やだやだ! いくら寿命が長いとはいえ、せめて大人になるまでは生きたいよ!


 あとは、どーしてもショックを隠せない事実がこれだ。


 予知夢、視ちゃったじゃん……! ぜんっぜん制御出来てなーい!! 泣ける。いや、いやいや落ち込むのはまだ早いぞメグ! まだその訓練だって始めたばっかりじゃないか。この程度でめげてちゃダメ。引き続き、気を引き締めなきゃ!


「さ! 今日はみんなが揃ったことだし、夕飯を少し豪華にするわよ! チオリスがたくさん持たせてくれたからね!」

「オレ! 屋台で色々買って来たぜー! 酒も!」

「おっ、ジュマやるじゃねーか。実は俺も酒、仕入れて来たんだー」


 うおぉ、マジかよ! とジュマ兄とワイアットさんが盛り上がっている。年齢的にも近そうなあの2人は、結構ウマが合うんだろうな。


「まったく仕方ないわね。ほどほどにしなさいよー?」


 いつもはここに雷を落とすサウラさんだけど、今日は腰に手を当ててやれやれ、といった様子で見るに止まっている。今日は見逃してもいいよってことか。ふと周囲を見渡せば、オルトゥスのメンバーがせっせと準備を始めている。組み木があるから、あそこで火をおこすのかな? キャンプファイヤーみたいでワクワクしてきたぞ?


「メグっ、ぼくたちも準備手伝おうよ!」


 そこへヒョコッと私の前に顔を出したアスカにそう声をかけられた。ワクワク、といった様子が隠せていなくてキラキラと目を輝かせているのが可愛い! 癒された。そうだよ、せっかくなんだもん。今は楽しまなきゃ損だよね。考えてたって仕方ないし、なるようになる!


「うん! じゃあ、食卓の準備しに行こう!」

「おっけー!」


 アスカに手を取られ、私たちは準備をする皆さんの方へと小走りで向かう。


 ああ、この賑やかな感じ、久しぶりだなぁ。やっぱり落ち着くなぁオルトゥス。

 2人して重いテーブルを持ち上げようとして苦戦していたら、ジュマ兄やワイアットさんが笑いながらひょいっと持って行ったり、大きなテーブルクロスに絡まって身動きが取れなくなっているところをロニーに助けられたりと、正直なところ仕事を増やした感は否めないけれど、みんなが楽しそうに笑っている、それだけで心が満たされた。私たち? 最終的には大人しく食器を並べる仕事に徹しましたよ。アスカのしょぼんとした顔が可愛かったです。


 そうこうしている間に陽が落ちて、ずいぶん暗くなってきた。明かりを準備しようとしていたサウラさんに、アスカが自分がやる! と名乗りを上げる。わかる、出来ることはやりたいよね!


「シャイオ、ここにあるランプ全部に光を灯して!」

『お安い御用である』


 アスカは最初の契約精霊である光の精霊シャイオとともに自然魔術を使った。一瞬で全てのランプが金色に光って周囲がパッと明るくなる。あ、待って、むしろ眩しいくらいだ。張り切りすぎたのかな? 得意げな金色ゾウさんなシャイオに、アスカは慌てて声をかけている。


「シャ、シャイオ、とってもすごいね! でも少し明かりを抑え……えーっと、もうちょっと光を抑えるのってやっぱり難しいかな? シャイオなら出来るかなって思うんだけど」

『当然である! そのくらい簡単である!』


 すると、もはや眩しすぎて近寄れなかったランプの光が程よい明るさになったのでみんなでホッと安堵の息を吐いた。なるほど、プライドが高めなんだね、シャイオくんは。アスカもうまい言い回しをしたものだ。今もさすがだよ! と褒めちぎっている。


 そっか、うまく伝わらないとこういうことが起こるんだね。精霊も良かれと思ってやってくれているから、フォローも大切になってくる。私にはショーちゃんがいるのでこういう苦労をしたことがないんだよね。反則なのでは、と思っちゃうけどショーちゃんが優秀すぎるんだから仕方ない!


『うふふー! 私は確かにすごいけど、それだけじゃないのよ? みんなご主人様が大好きだから、少しでも考えてることを理解したいって、みんなが思ってるからなのよー! ご主人様がすごいのよー?』

「ショーちゃん……! うう、みんな大好き!」


 私の心の声を聞いたのか、スイっと飛んできたショーちゃんが拳を握りしめて熱弁してくれたのでその可愛さに倒れるところだったよ。自分のすごさを素直に認められるようになったことにも目頭が熱くなる。あんなに自信が持てなかったあのショーちゃんがっ! もちろん、頑張ってくれる他のみんなも愛おしすぎる。大好き!


「さ、始めましょ! 頭領、せっかくだから挨拶して!」

「あん? あー、なんだ、こっからが本番だからな。みんな気を引き締めつつ楽しんでいこうぜ! 乾杯!」


 軽い挨拶だなー相変わらず。早くお酒が飲みたかったに違いない。でも、みんなも同じ気持ちだったのか、むしろ喜んで乾杯している。ふふっ、お父さんらしいよね。


 こうして、闘技大会に向けての第一歩、初日の夜が賑やかに始まった。


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