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特級ギルドへようこそ!〜看板娘の愛されエルフはみんなの心を和ませる〜  作者: 阿井りいあ
特級ギルド、オルトゥス会議

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ショーちゃんの収穫


『ごっ主人様ぁぁぁっ! ただいまなのよぉぉぉっ!』

「ショーちゃん!?」


 さて会議も1度お開きに、というところで突然の乱入者が私の胸に飛び込んできた。もちろん、ショーちゃんである!


『うわぁい、ご主人様なのよっ! 久しぶりなのよっ! 会いたかったのよぉっ!!』

「ショーちゃん……っ! お疲れしゃま、おかえりっ! 私も会いたかったよぉっ! 無事でよかったぁーっ!」


 可愛すぎるショーちゃんの叫びに私もヒシッと抱きしめて帰還を喜ぶ。本当に無事で良かったよ! かなり時間が経ってたから本当に本当に心配してたんだよ!


「……契約精霊とはいえここまで精霊に愛されるとは」


 シュリエさんの呆れたような感嘆したような呟きが聞こえた。


『我が主? 私も主が大好きですわよ?』

「ああ、それはわかってますよ、ネフリー。ただ、この子たちは出会って間もないでしょう?」

『それもそうですわね。でも、メグ様ならそれもわかります。メグ様は、本当に心地良いオーラを放っていますもの』


 なんだか嬉しい事を言ってくれてるなぁ。有難い事だ。だって私も精霊さんたちは大好きだからね!


「メグ、再会を喜んでいるところ申し訳ないのですが、声の精霊から報告を聞いても?」

「あっ、しょーでしゅね!」


 ちょうど今はこの場にみんなが揃っているのだ。ショーちゃんに聞いてみよう!


「ショーちゃん、みんなに聞こえるように報告してもらってもいいかなぁ?」

『お安い御用なのよ! でも、今回のお仕事分の残りの半分と、今使う分の魔力、ちょーだいっなのよっ!』


 あっ、そうですよね!! でもちょっと待って? それって結構ごっそり持っていかれるんじゃ……!


『いっただっきまーす! うふふ、久しぶりのご主人様の魔力ーっ! 美味しい美味しい魔力ーっ!』


 アーッ!!!




 気を失うギリギリのラインまで魔力を吸い取るだなんて、ショーちゃんたらやり手……! ええ、現在私はギルさんの腕の中でぐったり中ですよ。起きて話を聞くくらいは出来るよ! さすがにぶっ倒れるほど吸い取ったりはショーちゃんもしない。だからこそこのギリギリラインを攻めるショーちゃんが恐ろしい……!

 でも、危険な場所で長い間頑張ってくれたんだから、このくらい平気なのだ! ご主人も頑張るんだよ! でも少しぐったりさせてね。くすん。


『ずーっとずーっと見張ってたけどほんの少ししか話してくれなかったのよ! もう少しいたかったけど、私が見える人が来た気配がしたから帰ってきたのよ!』


 少しでも私の手掛かりを残さないように姿を見られるわけにはいかない、とショーちゃんは使命感を感じたらしい。なんて出来た子なの! 自信がないとしょぼくれてた時の姿が思い出せないくらい、その顔は自信に満ち溢れている。うんうん、そうしてるのが1番素敵だよ、ショーちゃん! うちの子が1番!


「エルフかドワーフか……もしかしてハイエルフですか? その精霊が見える人というのは」


 親バカに浸っていると、シュリエさんがショーちゃんに直接質問をしていた。出会う前に逃げたからわからないのよ、とショーちゃん。少しだけ不安気だ。


「あなたの判断は間違ってないですよ。メグが安全第1と指示したのでしょう? 正しい判断でした。もし知っていたら教えていただきたかっただけですから気にしないでくださいね」


 ふわりと優しい笑みを浮かべてそう告げてくれたシュリエさん。ショーちゃんにまで優しく気遣ってくれるなんて流石です!


『じゃあ、早速ネーモ? のギルドで聞いてきた事を再現するのよー!』

「うん、お願いね、ショーちゃん!」


 こうして、会議室の中央まで飛んで行ったショーちゃんは、魔術を発動させた。


『おい、お前ボスの指令受けるか?』

『なんでんな事聞くんだよ。ありゃ強制参加じゃねぇか』


 男2人の声だ。ヒソヒソと小声で話しているように聞こえる。


『でもよぉ、気乗りしねぇよなぁ。オルトゥスに乗り込むだなんて』


「なんですって!?」


 オルトゥスに乗り込む、という発言を聞いてサウラさんが思わず声をあげる。誰もがそれぞれ思ったことだろう、みんな驚いているようだ。


「まぁ、待て。最後まで聞こうじゃねぇか」

「え、えぇ。ごめんなさい。精霊さん、続きをお願いするわ」


 はーい、と場にそぐわぬ明るい声でショーちゃんが返事したので、少しだけ心が和んだ。ふふ、ありがとうショーちゃん!


『それも、たった1人の子どもを攫うためだけってんだろ? どんな価値のあるガキなんだよ』

『それがよ、本当かどうかは眉唾モンなんだが……どうやらハイエルフの子どもらしいんだよ』

『はぁ? そんなもん、存在すんのかよ。意外と夢見がちだなーお前』


 その情報まで掴んでいるのか、とお父さんが苦い顔で呟く。でも、族長がネーモのボスなら知っててもおかしくはない。だって、私はハイエルフの郷にいたんだもんね? まぁ、ネーモのギルド内に明かされているってところを言ってるんだろうけど。


『それが本当らしいんだよ。ラジエルドさんがボスから聞いたって言ってたんだ』

『まじかよ……それなら、本当、なんだろうな……』


 ラジエルド、という人の名前が出た途端にそれが事実だと認識したらしく、さらに声のトーンが低くなった。


「ラジエルド……!」


 突如ジュマくんが殺気を放った。突然だったからビックリして身体が飛び上がっちゃったよ! 今、ギルさんの腕だったから即座に背中をポンポンされて落ち着いたけどね。でも心臓に悪い。


蒼炎鬼そうえんきのラジエルドですか。お友達なのはわかりましたから殺気を鎮めなさいジュマ」

「友達じゃねぇよ! 同じ鬼ってだけだ」


 そうえんき? ギルさんに尋ねると、蒼い炎を操る鬼なんだそう。なるほど、ジュマくんの知り合いなのかな。


『本当かどうかはさておき、急な話だろ? 5日後に出発だなんてさ。考える暇さえ与えない感じだよな……』

『普段はギルドに顔すら出さないのに、たまに来たらこういう無茶な指令出すんだよな、ボスって』

『でも、俺らみたいなゴロツキを雇ってくれんだからやるしかねぇ、よな……』

『まぁな。いけすかねぇいい子ちゃん集団と喧嘩するチャンスでもあるしな』

『お互い死なねぇようにしないとなぁ!』


 ガハハと下品な笑い声を上げたところで、ショーちゃんの報告は終了した。


『どお? オルトゥスとか子どもとかハイエルフとか聞こえたからいいかなって思ったのよ? 合ってた? ご主人様?』

「うん。しゅごい収穫だよショーちゃん。さしゅがだよ! 本当にありがとう。おちゅかれしゃま、しばらくはゆっくりちててね」

『よかったのよー! また何かあったらいつでも呼んでなのよ!』


 見事な仕事ぶりだ、ショーちゃん。私は目一杯ショーちゃんを労った。しばらくは休んでてね。


「5日後に……確かに急であるな」


 ショーちゃんの見事な仕事ぶりにホッとしたのも束の間、重々しく告げた魔王さんの一言が、ズシリと胸の奥に響いたのだった。

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