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四,五話

今回は、三佐さんの東方幻特課とコラボさせていただきました!

~万屋「狐月堂」~


「さあ!今日も元気にお仕事しよー!」


春花は、先日復活させた狐月堂にいた。


何があったのかというと…


~数日前~


「霊夢~、おはようー、ってうわぁっ!?」


いつものように起床した春花が居間に行くと、霊夢が戸棚の前で両手をついていた。


「霊夢!?どうしたの!?」


春花は慌てて霊夢に駆け寄る。


「……た」


事情を聞こうとすると、霊夢はか細い声で何かを言った。


「え?」


「……食料が……尽きた…」


霊夢が言うには、以前購入した食料が昨日の夕食で尽きたらしい。


「尽きたならまた買いに行けば?」


そこで春花は至極まともな意見を出したのだが、


「お金もないのにどうやって買うの?」


霊夢が見せたのは中身が空の巾着。


「ここ最近は妖怪退治の仕事もないし、お賽銭は元からないし……」


どうやら、霊夢には現金を手に入れる手段がないらしいということがわかった春花は、「……また雑草採ってこないと……」などと言っている霊夢を見ながら考えた。


「あ、狐月堂があるじゃん」


春花が思い出したのは、昔仲間と一緒に営んでいた万屋の存在。


「何それ?」


「私が昔経営してたなんでも屋。それを復活させてお金を稼ごう」


春花の過去を知らない霊夢に簡単に説明をして、春花は里に跳んだ。


「慧音~!」


昔の記憶を頼りに慧音が教師をしている寺子屋を訪れた春花は、慧音に事情を説明する。


「というわけで、狐月堂を復活させたいの」


「あの巫女……。滅多に里に顔を出さないと思ったら、そう言う事か…」


慧音は、春花から聞いた博麗神社の懐事情に呆れていた。


「そういうことならわかった。あの建物はそのまま残してある。私が定期的に立ち寄って掃除していたから、すぐにでも使えるぞ」


春花がいつ戻ってもいいようにと、慧音は今まで欠かさず狐月堂の手入れをしていたのだった。


「ありがとう!」


春花は早速狐月堂に跳んだ。


そこには、春花の記憶通りの姿をとどめた狐月堂があった。


春花は中に入ると、奥においてあった看板を設置した。


「なんか昔に戻った気分だね~」


自分がいつも座っていた席に座ると、春花は昔のことを思い出した。



「妖怪退治もしたし、畑の手伝いもした。みんなで色々やったね~」


そうして、慧音の宣伝もあり、万屋「狐月堂」の存在は里の人間に知れ渡った。


~回想終了~


こうして、復活させた狐月堂に春花はいたのだった。


「はーやくお仕事来ないかなー」


春花がそんなことを呟いていると、それに合わせたかのように狐月堂の扉が開いた。


「いらっしゃいませー!」


入ってきた少女は、周りを見渡しながら春花に話しかけた。


「あの……、ここ、なんでも屋さんですよね?」


「そうだよ?どうしたのかな?」


春花は少女に目線を合わせて話しかけた。


「えっと…、探し物をして欲しいの」


少女が言うには、友達に貸した髪留めをその友達が無くしてしまったらしい。


その友達は別のところに探してもらいに行ったそうだが、少女も早く見つかって欲しかったらしく、そんな時、ここの話を聞いて、依頼をしに来たという。


「お金は絶対払いますから!」


春花は必死でお願いをする少女の頭に手を置き、そのまま撫でた。


「事情はわかったよ。私に任せて!ぜったいその髪留めを見つけてくるから!」


こうして、春花達の探し物が始まった。


「そっちどう?」


「今のところこっちにはないわね」


「こちらも見つかりません」


「こっちもそれらしきものはないな」


「似たようなものすらないですよ?」


春花は霊夢達を巻き込んで捜索をしていた。


総勢5人(春花、隼人、霊夢、白、桜)で里中を捜索しており、見つかるのも時間の問題と思われた。


ちなみに、連絡には春花が作った特殊な札を使用している。


この札は、指定した別の札の座標へと使用者の声を転移させるもので、簡易的な連絡道具として使われていた。


「うーん、ここらへんにはないのかな?」


なかなか見つからない現状に首を傾げる春花。


「もしかしたら、誰かが拾ったのかもしれないな」


隼人がそう呟くが、


「それなら、依頼主から連絡が来ると思います」


桜がそれを否定する。


「もしかして、誰かが持ち去ったのかもしれないわよ?」


「その可能性が高いんじゃないですか?」


霊夢の意見に賛成する白。


「じゃあ、聞き込みをするとするか」


そう隼人がいい、捜索方法を変えることにした。


「すみませーん」


春花は近くにいた人間に話しかけ、情報を集めることにした。


すると、三人目に聞いた男性から有力な情報を得ることができた。


「綺麗な桃色の髪留め?それなら妖精がそれっぽいのをつけてたねぇ」


「本当ですか!?その妖精はどこに?」


「いや、一瞬チラッと見ただけだから、流石にそこまではわからないなぁ」


「そうですか…ありがとうございました」


「おう、それにしても、さっきも同じようなこと聞いてくる子がいたが、なんだい?みんなで探してるのかい?」


「え?あ、はい。だいたいそんな感じです(ほかのメンバーが聞いたのかな?でもそれなら連絡があるだろうし…)」


「まあいいさ、頑張りなよ」


「ありがとうございます。それでは」


春花は男性にお礼を言うと早速仲間にその情報を伝える。


「桃色の髪留めをした妖精か、わかった。見つけ次第捕縛する」


「了解しました。念の為、武装をさせてもらいます」


「二人共、あまり手荒な真似はしちゃダメだよ?」


物騒なことをいう2人を春花が諌めた。


「了解」


連絡を終えた春花が歩いていると、一瞬それらしき妖精を見かける。


「見つけた!」


春花が急いで追いかけようとすると、目の前を荷車が通過する。


そして、それが過ぎ去ると、


「見失っちゃった…」


妖精の姿はどこにもなかった。


取り敢えず、妖精の通ったあとを追いかけようとして歩き出すと、ちょうど曲がり角で誰かとぶつかってしまった。


「ごめんなさい!大丈夫?」


そういいながら手を差し出すと、


「はへ? 」


少女は一瞬目を丸くしたあと、春花の手をとって起き上がった。


「あ、ありがとうございます」


少女は春花に礼を言いながら頭を下げた。


春花は少女とその仲間達に、


「所であなた達、ここら辺で桃色の髪留めをした妖精を見なかった?」


と問うと、


「「「「え?」」」」


少女たちの声が見事に重なった。


「え、あの、どうしてそれを?」


少女達の内の一人が、驚いた声で聞いてきた。


「どうしてって、その髪留めの持ち主に探してくださいって頼まれたんだよね」


と説明をすると、少女達はさらに驚いた顔をした。


「私は鈴風春花、狐月堂っていう万屋をやってるよ」


「私は宇佐美蓮子、こっちがメリーで、この人が鳥柴優海さん。この子は私達の依頼主」


蓮子が言うには、彼女達はその依頼主の子から依頼を受け、春花と同じく髪留めを探していたらしい。


「なるほど、その娘がね…」


「…………」


「でも、その髪留めをした妖精ってどこに……」


メリーがいいかけた言葉を止めて一点を見つめた。


春花もそちらを向くと、そこには桃色の髪留めをした妖精が。


「ねぇ、髪留めってあれ?」


メリーが依頼主に確認を取ると、


「………うん」


少女は頷いた。


「取り敢えず……」


そういうと三人は妖精にこっそりにじり寄り、


「「「確保おぉ!!!」」」


同時に飛びかかった。


「!?」


妖精はギリギリで気づきそれを回避。


「「「ふべっ!?」」」


勢い余った三人は揃って地面に顔面をぶつける。


「アハハハハ!」


妖精は三人を見て笑い出す。


「このおぉー!」


起き上がった優海が再び飛び掛ろうとすると、


「任せて!」


春花が残像が残る速さで妖精に飛び掛かる。


「速っ!?」


しかし、


「あべしっ!?」


偶然目の前を荷車が再び通過し、春花は高速で顔面から荷車に突っ込んだ。


「キャハハハハ!そんなんじゃ捕まらないよぉーだ!」


妖精はそういいながら飛び去ろうとした。


「待ちなさーい!」


そこをすかさずメリー達三人が追いかけた。


「あ痛たたた…。ハッ!ごめんなさーい!」


春花は顔面についた藻屑を払うと、荷車の持ち主に一言謝りながらみんなを追いかけた。


「くっ!この!」


「キャハハハ!こっちこっち!」


蓮子がつかもうと手を伸ばすが、ギリギリ届かない位置に妖精は飛び去る。


「そこ!」


そこをすかさずメリーが飛び掛かるが、それも避けられてしまう。


なおも空中を飛び回る妖精に三人の体力が尽きそうになってきたとき、


「見つけた!」


春花が後ろから走ってきた。


「春花さん!」


「みんな!私があの妖精を捕まえるから、髪留めをとって!」


そういうと、春花は懐からスペルカードを取り出す。


「里の中で弾幕!?」


驚くメリーを気にせず、春花はスペルカードを宣言する。


「狐符「昔懐かし化け騙し」!」


宣言した途端、春花が複数に分身し、複数の角度から妖精に飛びかかった。


「危なっ!?」


妖精はギリギリでそれを避け、安堵した瞬間。


「捕まえた!」


全ての春花が消え、妖精の背後から現れた春花が妖精に抱き着く。


そこにすかさずメリーが駆け寄り、妖精の頭についていた髪留めを取り外した。


「取った!」


それを見た春花は、抱き上げていた妖精を下ろした。


「返せ~!」


下ろされた妖精は取られた(取り返された?)髪留めを取り返そうとするが、それはできなかった。


「駄目!他人のものを盗んだらいけないって教わらなかった?」


妖精を叱る優海はまさに警察官らしかった(春花はそのことを後で聞いた)。


「ごめんなさい」


叱られた妖精はしゅんとなり、小声で謝った。


「これに懲りたらこういうことはしないこと。いいわね!」


「はい…」


そう言って、妖精はしおしおと飛んでいった。


ちなみにメリーは、


「はいこれ」


「あ、ありがとうございます!」


「いいのいいの。次からは気を付けてね」


そう言ってペコペコ頭を下げながら髪留めを返しに行った女の子に手を振っていた。


その時、蓮子が、


「本当にありがとうございます春花さん。あなたのおかげです」


そう礼を言ってきたので


「いいのいいの。これくらいちょちょいのちょいだって」


春花はそういいながら笑って見せた。


それを見た蓮子が何かを言いたそうにしたとき、



「なんかお腹減っちゃった///」


優海がそう言った。


「そう言えばここら辺に美味しい団子屋があるらしいよ」


そう春花がいうと、


「「「え!?本当?!」」」


見事に三人の声が重なった。


「早く行きましょう!!その美味しい団子屋に!!」


「ちょ、優海さん!!服引っ張らないで!!」


早く行きたいという思いが声に出ている優海。


そしてその道連れになるメリーを、春花と蓮子は苦笑いをしながら見ていた。

東方幻特課の方にも蓮子視点の内容が記載されているので、ぜひそちらもご覧下さい!

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