第二話
副題「時代を知る九尾」
「で、あんたがここの神だと?」
春花が現れてから数分後、彼女達は博麗神社の拝殿にてお茶を飲んでいた。
「そうそう、で、私は幻想郷を作ってからしばらく寝てたんだよ。それで、起きたら結界の開け方を忘れちゃったから、力ずくで解除したわけ」
当たり前の様にとんでもないことを言う春花に、霊夢は呆れていた。
「そんな簡単に神社を吹き飛ばされても…。そもそも、そんなの神社の文献にも載ってないわよ…」
「もしかして…今何年?」
「幻想郷創立から495年」
「あっちゃー。そんなに寝てたのか」
「で、あなたについては後で真偽を確かめるとして、そこのあなた達は?」
春花が寝過ぎたことに少し落ち込んでいる間、霊夢は隼人達に話をむける。
「俺は鈴風隼人。半人半神だ」
まずは隼人が
「僕は桜、我が主の刀」
続いて春花の隣の少年が、
「私は白、ご主人の刀です」
最後に、隼人の隣の少女が、それぞれ自己紹介をした。
「ちょっと待って、今、刀って言わなかった?」
「言いましたが、それが何か?」
「いや、あなた達どう見ても人間じゃない」
「ああ、そのことですか」
桜は一人立ち上がると、黒い闇を纏った。
闇が晴れると、底には一振りの刀があった。
「…え?」
もう一度刀が闇を纏うと、そこには再び桜がいた。
「こういう訳で、僕は付喪神。我が主の神力により、こうして意志を持ちました」
「じゃあ、そっちの子も?」
霊夢が白の方を向くと、
「私も付喪神ですよ」
白は光を放ち、こちらも刀に変わった。
「……二人とも付喪神なのに私より力が上なのね…」
二人から僅かに放たれる霊力に、霊夢は己との力量差を思い知る。
「僕達の場合、それぞれの主から力をもらっていますので」
「私達の力はご主人達の力の一端なのですよ」
「だから、ある意味例外的な存在なので、そこまで気にしなくても良いと思いますよ?」
うなだれる霊夢を桜が慰める。
「…私も修行しようかなー」
「なら、私が手伝うよ?」
霊夢がもらした言葉に、春花が名乗りを上げる。
「そう……ならお願いするわ」
「任せて!」
春花がそう意気込んでいると
「--霊夢!」
先ほどまで黙っていた魔理沙が急に霊夢の名前を呼ぶ。
そのとき、境内に鳥が飛び込んできた。
ただ、その鳥は炎でできていて、霊夢の元に辿り着いた途端消滅した。
「今のは…妹紅ちゃん?」
見覚えのある炎に春花が首を傾げていると、
「っ!魔理沙!今すぐ人里に向かうわよ!」
「了解だぜ!」
霊夢と魔理沙の二人が慌てたように飛び出そうとする。
「何があったの?」
「人里に襲撃!今のは救援要請!」
「なっ!?人里の場所は!?」
霊夢の話を聞いた春花の顔が青ざめる。
「あそこに微かに見える明かりのところ!ともかく、あなた達はここで「桜!今すぐ飛ぶよ!」え?」
「了解しました」
村の場所を聞いた春花は、桜を呼ぶ。
呼ばれた桜は春花の手を握る。
「隼人はこのまま飛んできて!私は先に人里に跳ぶ!」
「わかった。--白、行くぞ」
「了解しました、ご主人!」
春花は隼人に言い残し、桜を連れてその姿を消した。
隼人も白を呼び、神社の階段を降りていく。
「あなた達!?いったい何を-」
「別に?ただの人助けだ」
隼人はそういい残し、階段を降りていった。
「霊夢!私達も人里に向かうんだぜ!」
「ええ、全速力で飛ぶわよ!」
魔理沙は箒にまたがり、霊夢は宙に浮く。
次の瞬間、高速で人里へと飛んでいった。
次回、春花達が荒~れ~る~ぜ~、止めてみな!