表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

第一話



長らく待たせたな!


副題「目覚める九尾」


この副題は、たまにしかないからな!



~幻想郷が出来てから数百年後~


~博麗神社~


「………はあ。今日もお賽銭が無いわね」


博麗霊夢は、今日も神社の賽銭箱を見てため息をついていた。


彼女はこの神社の巫女だ。


それは彼女が身に着けている博麗神社独特の腋が空いている巫女服が証明していた。


しかし、彼女はこの神社にどんな神が奉られているのか、そもそも神が奉られているのかどうかを知らない。


「さて、お次は……」


賽銭箱を閉めた霊夢が次に見るのは、神社の神殿。


その扉は、ここ数百年開いていないと知人から聞いていた。


それを聞いた彼女は、あの神殿にはさぞかし立派なお宝があるのだろうと思い、それ以来毎日扉の開放に挑戦しているのだった。


「今まで何をしても開かなかったあの扉、今日こそは開けてやるわ!」


そんな風に彼女が意気込んでいると、


「おーす、霊夢ー。暇かー?」


空から声が聞こえたかと思うと、次の瞬間、ものすごい速度で神社の境内に着地する黒い影があった。


それが神社に着地した瞬間、風圧で砂埃がおこる。


「ケホッ、ケホッ。今回は着地に少し失敗したんだぜ」


煙の中から現れたのは、黒と白の、どことなく魔法使いを連想させる服装をし、黒い帽子を被る金髪の少女だった。


「何、魔理沙?素敵なお賽銭はあそこよ」


慣れているのか、突然現れた魔理沙にも驚かず、いつも通りに賽銭箱を指差す。


「私はあんな空箱には興味はないんだぜ」


「じゃあ何?またお茶をたかりに来たの?」


ただでさえ残り少ないお茶をこれ以上奪われてなるものかと、霊夢は軽く身構える。


「霊夢、今回は違うんだぜ」


「今回は?」


「ああ、いや、今回も、だぜ」


霊夢からの冷ややかな視線に、思わず言い直す魔理沙。


「で、何しに来たの?」


「その前に、まずはこいつの紹介だぜ」


魔理沙が後ろを指さすと、そこには一人の青年がいた。


「魔理沙………あなた遂に人まで盗み始めたの?」


「ひ、人聞きの悪いこと言うなよ!こいつは外来人で、さっき森にいたところを保護したんだぜ。ちなみに、能力持ちだ」


「ふうん。あなた、名前は?」


霊夢は青年を一瞥した後、名前を尋ねる。


枷谷(かせたに)(しばり)です。能力は、「制限を操る程度の能力」です。あの……自分は元の場所に戻れるのでしょうか?」


「なかなか礼儀正しいわね。……残念だけど、能力持ちである以上、外界に戻ることはできないわ」


「そうですか」


縛の淡泊な反応に、霊夢は驚く。


「あなた……外界でなんかあったの?」

霊夢の質問に、縛は苦笑を交えながら答える。


「自分は……向こうでは村八分(・・・)みたいな目にあってましたから」


村八分…村のおきてに背いた人やその家族を仲間はずれにすること。


また、何らかの理由により村人から忌み嫌われた者にもこの処置はくだされる。


言葉にすれば簡単だが、つまりは村のあらゆる設備を使用不能になり、村人との交流も途絶える。


簡単にほかの場所に移動できない閉鎖的な集落にとって、これは殺すより残酷だろう。


自分の周りは元通りの生活を送る中、自分の存在は誰にも認識されないのだから。


「そう……。悪いことを聞いたわね」


「いえ、そこまで気にしてはいません」


「この先どうするの?」


「あ~、それなんだが……」

霊夢の質問に、魔理沙が困った顔をする。


「実は…新しい魔法の実験をしたら、家が謎生物に占拠されたんだ。だから、今日だけここに泊めてくれないか?」


魔理沙の頼みに霊夢は心底いやそうな顔をする。


「そんなの、あなたお得意のパワーで薙払えば良いじゃない」


「いや、それをすると家も吹き飛ぶんだよ」


「吹き飛んだって良いじゃない」


「いや、良くないだろ」


「だって、二人も泊められるほど家は広くないのよ」


「そこを何とか頼むんだぜ」


「あの……」


二人が話していると、縛が霊夢に話しかけてくる。


「自分はどこか別の場所を探すので、魔理沙さんだけ泊めてもらえませんか?」


「いやいや、私の方が当てがあるんだから、ここは縛を泊めてやってくれ」


譲り合う二人のやりとりを見て、霊夢はため息をつく。


「場所さえあれば問題は無いのだけど……。あそこの扉が開けばねぇ」


「あの神殿のことか?よし!私に任せろ!」


魔理沙が八卦路を取り出しながら神殿に向かおうとしたその時……


ドォーーン!!


「「「っ!?」」」


神殿から爆発音が轟き、三人は現場に向かう。


「ケホッ、な、何があったの!?」


煙が立ちこめる中、中から四人の人影が現れる。


「ふぁ~あ……あれ?もしかして……失敗した?」


四人の内の一人、背中に九本の尻尾がついた女性が喋る。


「当たり前だろ。扉を吹き飛ばすのに弾幕を使う奴が何処にいる。だから斬るべきだと俺は…」


その言葉に今度は隣にいた男性が言葉を返す。


「いやいや、隼人は建物ごと斬りそうだったじゃん」


「そもそも、春花が結界の開け方を忘れたのが事の始まりだろう」


「我が主、とりあえず、この建物をどうにかしましょう」


二人が言い争う中、女性の隣にいた青年が女性に方針を告げる。


「そうですよ。ほら、ご主人も手伝ってください」


今度は、男性の隣にいた少女がその言葉に賛同し、男性に行動を促す。


「そうだね~」


女性が青年達の言葉に頷き、指を鳴らす。

その瞬間、膨大な量の神力が解放される。


すると、吹き飛んだ神殿の破片が元の場所に戻り、すべてが復元された。


「相変わらず、力任せな方法だな。術を構成してから使えばいいものを。……ついでに、この邪魔な煙も晴らすか」


男性が腰に提げた刀を振ると、それだけで風が吹き荒れ、煙が晴れる。


「わーい、数百年ぶりの外です!」


少女が両手をあげて喜びを表現する中、ようやく霊夢達は驚愕から解放される。


「あ、あなた達!一体何者なの!?」


霊夢の言葉に、こちらに背を向けていた女性が振り返る。


よく見ると、女性の尻尾は狐で、その数から九尾だということがわかった。


「私?私はね……鈴風春花、ここ、幻想郷の創製者で、博麗神社の神様だよ!」





縛の名前を考えるのにほとんどの時間を使った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ