満月と相合傘
『その能力、気に入ってくれました?』
「…っ!」
嫌な夢…
いつの間にかモーンは大樹の根元で寝ていた。準備が出来たので、祠の手入れをしてる内に寝てしまったようだ。空はもう暗くい、おそらく夜であろう。
(結構眠ったんだな…)
ふと、モーンは隣に気配を感じて祠の方に目をやる。そこにはリーリーが寝ていた。
(いつのまに…)
リーリーの長い髪は月明かりを浴びて綺麗に光っている。寝顔はとても少女らしくうっかり恋でもしてしまいそうだ。
モーンはリーリーに近付き、片目を隠している前髪をわけようとした…
「ふ…寝てる間に片目を見ようとはー」
そう言って起き上がり目をあける。
リーリーはモーンに顔を近付けて、自分の隠れている片目を髪の上から抑える。
「あ、これは…違くて…」
「ー…なかなかやるな!」
にっこり笑うリーリーを見て、モーンはこの人はよくわからない。と改めて思った。
そうすると、リーリーはモーンの荷物に気が付く。荷物を見て、モーンに目を戻すと立ち上がる。
「準備出来たね。…じゃあ、早速いこうか。善は急げ、だからね」
そう言ってリーリーは背中にかけていた傘を外して、ひらいた。端のほうに鈴蘭が描かれた、大きくて薄い水色の傘だ。
リーリーがその傘を空に翳すと強い風がふいた。
「う、わ…」
モーンがバランスを崩すと、リーリーがモーンの手を引っ張る。そして近くに引き寄せ、抱きかかえる。風になびく髪の香りが鼻をくすぐった。少し頬が熱くなる。
「つかまっててね。飛ぶから」
「えっ……」
モーンは素っ頓狂な声をあげてしまう。そんなことは気にせず、リーリーは勢いよく地面を蹴飛ばす。
ぶわっ…
地面がどんどん離れていく。そして、ある程度の高さまで上がるとそのまま風に流されて行った。
「と、飛んでる…」
モーンが思わず声をもらす。
その様子を見てリーリーは優しく微笑んだ。
「こうやって、いつも風がふくままに飛んでってるのさ」
夢みたいな光景にモーンは感動を覚えた。ふと空を見上げると、綺麗な満月が浮かんでいる。
「…綺麗」
「そうだな。モーンは空、飛んだことないだろ?」
モーンはリーリーを見て、頷いた。そして少し笑う。その笑顔はとても柔らかい優しい笑顔だった。リーリーもにぃっと笑ってみせる。
「これから、嫌という程みせてやるからな」
リーリーは楽しそうにいった。
アドバイスなどくれるとありがたいです。
感想くれたら発狂しますw