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待ち望んだ出会い

ーー誰も俺の事は知らない。『覚えてない』んだーー



小さな村の外れの森に稲荷神の祠があるらしい。だが、今はすっかり“忘れられた存在”となっている。


その祠が気になり、一人の少女がその村に訪れた。少女の名前はリーリー・ド・ヴァレ、

世界の様子を見るのが大好きな傘売りだ。


リーリーは賑やかな村には目もくれず、森を一直線に目指した。ふと、一人の村人がリーリーに近寄る。


「外からいらっしゃった、傘売りさんですね?傘を一本くださらない?」


その村人は少し汚れた青色のワンピースをきた三つ編みの女性だった。

リーリーは自分の腰につけた傘に手を添えて村人に言う。


「確かに私は傘売りだ。だが、悪いね。生憎私は、今急いでいる。また、機会があれば売ってやろう。」


それを聞いた村人は驚いた顔をした。

リーリーは三つ編みの村人に軽く会釈をし、その場を足早に立ち去る。



しばらくして、目の前に森が見えてきた。


「あの、森かな。噂の狐がいるのは。」


リーリーは弾む気持ちを抑えきれず、にやっと笑う。自分用の背中にかけた傘を背負い直すと、リーリーは誰から見てもスキップには見えない下手なスキップで森に向かった。


木漏れ日が差す、綺麗な森の中。

リーリーは、辺りを見渡しながら歩いていた。この村の気温は暑くも寒くもなく、ちょうど良く快適だ。


ふと、リーリーの目は一本の大樹の根元にとまった。キャラメル色のサラサラした毛が風にそよいでるのがみえる。


「見つけた。狐さん」


リーリーがそう言うと、キャラメル色の髪を後ろで束ねた“狐”がビクッと肩を震わせた。

人間の姿をしているが、耳と尻尾をがあるので人外。つまり、狐とわかった。

その狐は警戒しながらリーリーの前に立つとリーリーを睨んだ。


「お前、誰だ。」


背はリーリーの胸の下らへん。

とても可愛い声で狐が訪ねてきた。


「私は傘売りのリーリー・ド・ヴァレさ。

神様だよ!君の名前は?」


リーリーはそう言うと握手を求め、手を伸ばす。その手を避けるようにして、狐は一歩さがった。初対面で馴れ馴れしくされたうえに、神様だなんて名乗られたら誰だって警戒心を強くしてしまうだろう。


「俺は…モーンだ…」


狐は小さな声で名乗った。

それを待ってました!と言うように、リーリーはモーンの手を無理矢理握る。そして、言い放った。


「私とさ、世界をまわってみないかい?」




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