~タイミング~
なんでもない普通の一日がまた過ぎる。特別なことなんて何もないまま、同じような時間を無駄に過ごす。
どうにか切掛けがあればと様子を探ってもお互いに牽制しあっているせいか仲直りするタイミングを掴めないでいた。
既にアインはこの間の喧嘩の事は何も思っていない。それも夢の中で出てきた彼の話を聞いた後、靄がかかっていたような悩みの数々は全て霧散したからだった。
謝ろうとアインもしていたのだがキーアに近づこうとするたびに逃げられてしまう毎日を過ごしていた。
授業が終わり放課後の時間になる。
いつもの空き地で三人は集まって修行をする。アインを一人でアクセスとフィンのツーマンセルの組み合わせで組手をする。
「はいストップ。こんな様子じゃあ意味がないわ」
アインに攻撃を繰り出していたフィンがいち早く攻撃の手を止めると、続くように二人も手を止める。
「どうしたの?」
フィンに問いかけるアインだが、組手を止めた本人がそれを聞くなと言いたげな表情でフィンは目を細める。それを見たアクセスはフィンが何かを言う前にアインへとフォローを入れる。
「お前、また何か考えていただろ? 腑抜けを相手にしても意味がないってことだよ」
「そういうこと、私たちも次の竜騎士入団試験に合格するために強くなりたいのに、これじゃあ駄目なの」
癇癪を立てているフィンを宥めながらアクセスも今の組手には不満があるようだった。王都に行ってきた二人はミリに会いに行き現状を聞いたようで、周りは大人しかいない中でも頑張っていたミリに感化した二人は帰ってくるや否や、次回に行われる入団試験を受けるとアルマに公言したのだ。
これで村に残るのは自分だけとなってしまうのだと言われた当初はそうやって考えもしたけれど、周りも変わっているのだとアインは二人の目標を受諾した。
「ごめん」
「まあ、良いんだけど。まだ喧嘩しているのか?」
頭を掻きながらも言いにくい事をズバッと聞いてくる辺り変わっていない。アインは頷いて反応すると、アクセスはため息を吐きながら肩を竦める。
「謝ろうとしても逃げられちゃうんだ」
「あんた、一体何を言ったのよ?」
「そこは聞かないで」
喧嘩は未だに続いているせいでこの二人にまで迷惑をかけている。それなら、しっかりと喧嘩を終わらせない限りは修行も身にならないだろう。
ため息を吐くと目ざとくアクセスはそれを指摘する。わざわざ数えていたのかと考えながら、それだけ意識は他に行っているということか。
「ごめん、先に帰るよ」
「それが良いわね」
「はやく仲直りしろよ~」
二人に手を振って先に帰ったアインは家の中を見て回るものの底には誰もいない。当たり前かと呟きながらアインはキーアを探しに行く。




