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アルタ・ダーナ ~巡る運命~  作者: 元帥
最終章~巡る運命~
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~晩餐会~

 笑い声が飛び交う。今日で本当にミリと離れ離れる事になってしまうと思うと、やはりなんだか変な気分った。

 それは僕以外もそう思っているからだろうか、笑い声を上げているものの何だか雰囲気が暗い。

「ふぅ………ねえ?」

 そんな時にキーアが口を開いた。目がすわっていて怖い表情を浮かべている。ため息をしたのも予想は付いた。

「なんでみんな、楽しそうにやらないのよ?」

 キーアの言葉に部屋が静まり返る。

「キーア………」

「お兄ちゃん、言いたいことは分かるけれどね。それじゃあミリが可哀そうよ? 皆で送り出そうって決めたんじゃないの?」

「だってよキーアちゃん」

「ずっと一緒だと思っていた友達が今日でお別れだと思うと寂しいんだよぉ~なんて言うのは止めてよね」

「でも、キーアちゃん」

「だっても何でもないわよ。別れは辛いかもしれないのは分かっているけどね? 貴方たちも少しは大人になったら?」

 キーアの言葉に僕らは意気消沈する。正論を言われてしまえば何も返すことも出来ないし、確かに子供の我が儘かもしれない。

「別に一生会えないって訳じゃあないんだぜ? もう少し気楽に行こうぜみんな?」

 ニヤリと笑顔を浮かべるミリだが、その声は寂しさが滲み出ていた。やっぱりミリも同じ気持ちだったのだろうか。

「みんな、プレゼントは買ってきたの?」

 お姉ちゃんが助け船を出してくれたのはありがたい。この流れなら簡単にプレゼントを渡せる。

「そうそう、私はねこれを買ったの」

 フィンの後ろに置いてあった紙包みから取り出す新品のブーツ。

「お、まじか! ちょうど買い替えようと思っていたんだよね。ありがとう」

「それじゃあ俺は皮手袋だ。これなら手の皮がめくれないだろ?」

「おぉ、お前にしてはありがたいな」

 雰囲気が明るくなってきたこともあり、いつもの感じだ。次は僕の番だし袋を用意して取り出した。

「はいこれ」

 袋を開けてミリに渡したのは黒のリストバンドだ。

「へぇ、なんか。意外だな」

「えっ!? なんか駄目だった?」

「あぁいやいや。皆がこうして俺のためにプレゼントを用意してくれるなんてさ。いい友達を持ったなぁってさ」

「ミリ………」

「辛気臭くなっちまうけど、やっぱり言わせてくれ、みんなありがとうな。凄く嬉しいよ」

 その笑顔は、僕らも初めて見る笑顔だった。

 四人の中で一番頭がキレるミリ、四人の中で一番無鉄砲なアクセス、四人の中で一番面倒見が良いフィン、四人で一つのチームだったけれど、やはり今日でこのチームは解散だ。

 今まで一緒に過ごしてきた時間の中でもミリはこんなにも晴れやかな笑顔を見たことは無かった。いつも不愛想のようで意外と負けず嫌いな所もあるけれど、笑顔を浮かべたことは少ない。

「大事にしなさいよ? それを私たちだと思うくらいに」

「あぁ、そうするよ」

 涙ぐみながらフィンは笑みを浮かべる。どう頑張っても涙は出てきてしまうならしょうがない。

「せっかくだから着けてみたら? 見てみたいし」

 僕らのあげたプレゼントを手に抱えていたミリにキーアが提案すると、ミリは頷いて全て着けた。

「なんだかしっくりくるな」

「うん、似合っているわね」

 キーアも納得するように顎で指を摩る。

「よし! ミリ君の門出の祝いに開けちゃいましょう!」

 お姉ちゃんはそういって台所へと姿を消すと程なくして戻ってきた。その手には何本ものお酒があった。

「さっすがアルマ! 分かっているね!」

 親指を立てながら我先にとキーアがボトルの蓋を取り外す。口を付けて胃の中に酒を流し込もうとすると。

「こらっ!!」

「ぶっ!!?」

 キーアの頭を叩いた拍子に含んでいた酒をまき散らす。前の席にいたアクセスの顔がキーアの噴出した酒でびしょ濡れだ。

「今夜の主役はミリ君なんだから、先に飲んだらだめよ」

「え、怒る所そこなんですかアルマさん」

 突っ込みも程々に卓には注がれたグラスが並ぶ。

「それじゃあ今日の主役のミリ君。挨拶をお願いね」

 急なことを言われたミリは一瞬だけ戸惑いながらも、席から立ち上がってグラスを片手に僕らを見渡す。

「えっと、今夜は俺のためにこんなことをしてもらって有難う。皆とは会えない時期があるかもしれないけれど、暇があれば戻ってくるつもりだし、皆からもらったプレゼントは絶対に忘れない。

 アルマさんからは色々なことを教えてもらった、アクセスからは馬鹿を、フィンからはお節介を、アインからは成長していくための理論を」

「私は?」

「キーアちゃんからは………頑張りを」

「うわっ、適当に考えたでしょ?」

「そんなことは無い、思った通りの事を言ったまでだ」

 不満げに頬を膨らませるがミリは無視して口上を続ける。

「俺はお前たちとこの村で過ごしてきた時間は一生忘れない!! 乾杯!」

「乾杯!」

 始まったころの暗い雰囲気など今では微塵にも感じられなくなり、コールと同時に僕たちは初めてのお酒を味わった。


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