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アルタ・ダーナ ~巡る運命~  作者: 元帥
第六章~寄生竜~
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~罠~

 王宮の竜騎士の他に声掛けをしていたこともあり、他所の街からも協力してくれる者たちが集まったことで、戦える人間は多くなった。

 王宮だけではない、世界中の人間たちが世界の崩壊を止めようと始まりの樹へと集まってきていたのだ。

 先頭にはアイン、ミリ、アクセス、フィンを筆頭に竜騎士の猛者もいることで今のところは誰一人として死者を出してはいない。

「ねえ、ここは本当に竜の巣なんだよね?」

 前を駆け抜けていくアインにフィンは疑問を問いかける。

 フィンの問いかけは後を追っていたミリとアクセスも同じように感じていたが、言葉として聞いたことに三人は足を止めると、つられてフィンも走るのをやめた。

 竜の巣と呼ばれているこの大樹の内部、入口から先は少なからず先に進むのは困難だと思っていたアインは、今こうしている間、何処からも生物の気配を感じ取れなかったのだ。

「もうすぐ、僕が火竜と出会った場所に着くんだけど………」

 誰一人として竜に会っていないという状況にアインの額からは汗が滲む。

 十歳の時、初めて竜の討伐を依頼され、火竜と相対した思い出深い場所にやってくる。

 松明に灯る明かりを頼りに先に進む。当時はこれより先の通路を見出せなかったアインだったが、ここにあの火竜がいたのは先に進ませないようにするためお門番の役割をしている竜だったのでは?

 もしそうだとしたら取り返しのつかないことをしてしまったのではないのだろうか?

「おーい、あったぞ」

 手分けして次の順路を探していると、遠くの方からアクセスの声が響き渡った。

「こっちにもあるわよー」

 フィンの声も響き渡る。アイン達は二人が呼んだ場所へと行くと、確かにそこにあるのは二手に分かれた入口だった。

 誰が見ても罠のようにしか見えない順路だ。しかし、罠だとしても上には行かなければならないのは明白だ。

「罠………かしら?」

「いや、分からん。二手に分けさせて何かをさせるなんてことは今更な話じゃないか?」

 ミリの言うことは尤もだ。自分たちを罠にはめるくらいなら、始まりの樹に入った時から竜を配置すれば事足りる話だ。

「こっちには僕たちが入る、そっちには二人が行ってほしい」

 アインの提案に三人は頷く。それが一番有力であり、適した采配だと思ったからだ。

「それじゃあ気を付けて」

「ああ、そっちもな」

 四人は拳を軽く当てて微笑を浮かべて分かれた。

 二手に分かれたリーダー達を追いかけるように竜騎士達が入口に手をかけた時だった。

 メキメキと木々が軋む音に誰かが注意を傾けた瞬間だった。

「竜だ!!」

 一人の兵士が叫び声を上げたのと同時に、群がっていた竜騎士達を嘲笑うかのように一匹の竜が降り立った。

 踏みつぶされた竜騎士達は即死、反応をしようと構え始めた竜騎士達の胴体を、剣のように鋭利な尾が薙ぎ払われ、近くにいた竜騎士達は下半身を置き去りに上半身は宙に舞っていた。

この人数を相手にすれば数で押し切れると思っていたのだろう、確かに一匹の竜であれば、百人で押し切れるというのが報告されている。

しかし、百人であってもその犠牲者の数は半分よりも減ってしまうと言われ、リスクの高い戦闘だ。

アイン達がいない今は自分たちで何とかしなければならない状況に陥っている今、世界が滅びるというのなら、ここで一矢報いるように後悔を残して死にたくない連中ばかりだ。

「相手はたかが一匹だ、数で押し切れぇぇ!!」

 指示する声が誰のものなのかは一切知らない。だがこの現状で指揮を出す人間がいてくれるのはありがたい話であり、こうして命令を出されることで、人間は次の事をすぐに考えることが出来るのだ。

 竜の体の上に乗ってその体に刃を突き立てる者、動かないように体に必死に抑える者、人間たちが力を合わせて戦ったことにより、竜との戦いは十分程度で終わる。

 だが、一匹の話だけであり、ここにいるのが一匹とは限らないのだ。

 下で待機していた竜騎士達がいた部屋にも竜が何体も出現する。そこにいた誰もが絶望的な状況に顔を蒼白に染め上げる。

 嘲笑うかのように、竜の眼が竜騎士達を見つめながら大きく口を開けた。



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