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アルタ・ダーナ ~巡る運命~  作者: 元帥
第三章~王宮~
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~フィンの不安~

 私の視線は終始アインに釘付けだった。

 好きとかそういう感情ではなく、あのアクセスを投げ飛ばした実力がどんなものかを見定めるためにだ。

 もしかすれば、ほんの偶然が重なって一撃で終わらせてしまったのかもしれないと思っていたのだが、今の予選で確信がついた。

「あの子………強いわ」

「ああ、そうだな」

 私の隣で敵のようにアインの動きを観察していたのはアクセスだ。やはり根に持っているのだろうか? 小さい時から一緒だった私にはアクセスの性格をよく知っている。

 自分が認めたやつ以外に負けるのは嫌いなのだ。一度負けたら勝てるまでやるのがアクセスの喧嘩の仕方だった。

 でも、どうしても勝てない相手も世の中にはいる。

 総長やアルマさん、あとはミリだけ。

 私が知っている中ではこの三人だけはアクセスも認めているので滅多に歯向かうことはしないのだけれど、昨日の組手の時から大分プライドが傷つけられたのだろう。

 怖いぐらいにアインの動きを見ていたアクセスに、私は不安をも感じる。

「ねぇ、アクセス。あんたまさかとは思うけれど、本線に出るつもりじゃないでしょうね?」

 回りくどい言い方をせず、単刀直入に聞くと、鼻で笑いながらアクセスは私から背を向けて何処かへ行ってしまう。

「どうだろうな、上の判断だからわかんねぇよ」

 ヒラヒラと手を振って私をあしらう。

 あぁ、多分出るのだろうなぁ。私もこの本戦に出場したことがある。一番隊から五番隊までの隊長が、ランダムに本戦に登ってきた竜騎士の見習いの相手をするのだ。

 ちなみに私は三百番台の選手を相手することになっている。

「そうだ、アインに会いに行ってあげよっと」

 せっかく一番の札で控え室に一番乗りをしているのだもの、お祝いでもしてあげよっと。

 外では次のバトルロワイヤルが始まり、観客たちの声が会場を震えさせていた。

 本戦出場選手の控え室をノックする。

 返事が返ってこなかったが、私はそのまま控え室に入ると、誰も部屋にはいなかった。

「あれ?」

 部屋を一通り見渡すがアインの姿はここにはなかった。ちゃんとこの控え室に案内されたはずなのだが、どこに行ったのだろうか。

「あ、フィン。どうしたの?」

 声が聞こえたので私はその方向に視線を傾けた。

「なんでそんなとこで座っているのよ」

 入口の手前、体を埋めるように小さくなっていたので発見することも困難だったのも頷ける。

「広い部屋って、なんか落ち着かないんだ…僕はね」

 変な子だなとは思ってはいたが、ここまで来るとアインの過去が気になってくる。

「ねぇアイン? 貴方ちょっとおかしいよ? さっきの窓から飛び出したことといいさ? 命を粗末にしているっていうか、そういう感じに私は思うのだけれど」

 するとアインは私の言うことを笑って否定した。

「それはないよ。命は誰よりも大事だと思っているし、助けてくれた人に申し訳ないじゃないか」

「助けてくれた? あぁ、お医者さんのこと?」

「それもそうだけど、僕を外の世界に連れ出してくれた人や、僕の目標となっている人に会うまでは絶対に死ねないよ」

 アインはそう言って立ち上がる。

「僕は勝てるかな? 次の試合」

 唐突にアインは私に次の試験の内容を聞いてくる。

 私が思うにだが、下手すると五人の竜騎士を倒してしまうかもしれない。そう思えてしまうほどに、先ほどのバトルロワイヤルの内容は濃密だった。

 竜との相性、個人の強さを見ているこちらの試験官としては文句なしの内容だった。

「どうでしょうね、竜騎士の皆は強いかもよ?」

「そっか、そうだよね。頑張るよフィン」

「うん。頑張ってね」

 私はアインに手を振って控え室から出た。私と入れ替わるように二人、三人と控え室に入っていく選手と通り過ぎてから私は会場に戻った。

 今日はすごいスピードでバトルロワイヤルが終わっていく。初戦の攻防に魅入られたのか、今回は全員が竜も参加させての決闘となっていた。

 なるほど、確かに今回の試験は早い。今までであれば人だけの試験であり、だらだらとバトルロワイヤルが長引いていたのがこれまでの内容だった。

 それとも、私がアインと話している間に新ルールが追加されたのだろうか?

 千人くらいいた人数も終わりの兆しが見え、次なる本選の準備をしないといけないな。

 私は不安に思う。

 なんだかアインに元気がないというより、雰囲気が沈んでいたというか、近寄りがたかった。

 試験の重傷者の数は今日が一番多かったのも事実。というよりかはアインの居た初戦だけが一番被害が有りすぎただけだが、もしかして死人でも出やしないだろうかと、私の不安は募るままで、選抜の為の予選試験は終了した。


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