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アルタ・ダーナ ~巡る運命~  作者: 元帥
~プロローグ~
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プロローグ

 少しだけ竜人の話をしよう。

 竜人には世界に五人しか認識されていない。これから何体も出てくるのかと問われれば、否定の論しか口に出来ない。

 誰かが調べたからなのか?

 ───それは違う。

 既に分かっていたからなのか?

 ───そう。

 根拠なんて一つもない。ただの感覚という、調査をして検討した事をやっていないのにも関わらず、人達の間では竜人は五人ということが感覚的に分かっていたのだった。

 そのため、学者達もこの事には頭を抱えるしかなかった。なぜなら、学者自体も竜人が五人ということを感覚的に分かっていたからである。

 人と竜を超越した、食物連鎖の頂点に達している生命体が竜人。

 まだ竜人が確認される前までは次に竜、そしてヒトの順位で模られていた三角図形は見事にこの型で収められていたはずだった。だが、竜人があらわれてからというもの、世界は血眼になって竜人を探し始めたのである。

 一昔前に王宮からひとつのお触状が全世界にばらまかれた。

 内容はこうだ。

 “竜人を見つけたものには百万マナ。捕まえたものには十億Mを譲り渡す。諸君らの情報で世界は救われる”

 というものだった。

 この王宮の手打ちにより、竜人は隠れて人との関わりを持たなくてはならなくなったのである。時と偶然が重なった時に正体がバレてしまった時がある竜人は、追いかけてくる人間らを滅ぼしていく。

 同じように人の形ではあるが、ヒトも動物というわけだろう。本能がその気配に察知してしまうのではないのかと、学者も様々な情報を元に色々と検証していくのだ。

 やがて、竜人のことを分かったことがいくつかあるので一つずつ挙げていこう。

 一つは、人語と動植物の言葉を聞くことができ、話すことができるということだった。

 つまりは人の言葉には人の言葉、植物には植物の言葉、動物には動物の言葉。我々には知り得ない動植物の声が聞くことができて話すことができるという、まるで神のような存在か。

 二つは、魔法というものが使える。

 誰が命名したものなのかは記述に乗っていないので学者たちの間でも混乱をきたすようなものだが、簡単に解釈をすると、人ができないことを平然と、息をするのと同じ感覚で物事を鑑賞できるということだ。

 一時は村や街の一つがスッポリと覆われるように消えてしまったり、全てを石に変えることができたり、自然現象を操ることができるという。そこで昔の人々は竜人の神秘を尊重したのか、それとも軽蔑の念を貼るために魔法と名づけたのかははっきりとしていない。

 最後に三つ目、少し論点から外れるが、竜には多種の存在が区別されている。

 例えば。

 飛竜種―火竜。

 魚竜種―水竜。

 地竜種―土竜。

 その三っつに区別されており、その中から火が吐けるものや吐けないもの、水の中でしか泳げないものもいれば、大地と水中を行き来できるもの。

 また、大陸に生息する地竜種は迅竜と呼ばれる最速で動けるものもいるのだが、ここで言いたいことは飛竜種、火竜のことについてを述べよう。

 火竜と呼ばれる飛竜には、一つだけ、他の種族とは違う内臓器官が置かれている。これを我々は火炎袋かえんたいと名称をした。

 これまた飛竜種の中には特別なものもいて、氷竜、雷竜、という、その種だけにしかない特別な火炎袋がある。今のところは確認をされていないが、もしかすればこの三つの火炎袋を使える竜もいるかもしれないが、それはあくまで仮定の話だ。出てきたら出てきたらで、学者にとっては良い材料にもなるだろう。

 さて、話を戻すと、その火炎袋を竜人は持っているという話だ。

 ただでさえ化け物じみている竜人が、一層化け物としか見ることができない一節だった。

 いつしか、捕まえて金を貰うという概念は人々の中からは消え失せた。

 学者にとっては捕まえてほしいとう願いだが、周りの人々はそうはいかない。そんな化け物が五人もいる?冗談ではない、自分たちの生活がその五人に壊されてたまるものかという使命感が今では人を動かしていた。

 見つけ次第、正体がわかった次第で、人々は竜人に襲いかかり殺すことを目的としていた。もはや金のためには動いていない、自分たちの明日のためだけに動いている。

 そのうち、一人の竜人は王宮に捉えられたとかなんとか。

 今では竜と手を取り合っている人たちは、無情にも竜人を除外しようと頑張っているが、勝てる相手でもない。竜人のために戦った人たち、竜人に奪われた家族や友人たちは口を揃えて、こう言う。



 ―――奴らには手を出してはいけない、奴らは、血も涙もない、ただの化け物だ・・・と



 

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