-第三章- 女王様は登校中に御座います。
音も震動も伝える事なく走る高級外車は、外の景色を見ていなければ動いていないようにすら感じる。それだけでも、物凄い車だという事は充分伝わってくる。
「…これが普通ではないのか?」
お嬢様。感覚が大幅にズレていらっしゃるようで。
それはともかく、なんで俺らの会話が普通に成立しているのかというと……
……それはほんの数十分間前、水哉の意識の中での出来事。
「私にキスをしろっ!!!」
とか言い寄られちゃって。出会ってまだ一日だよね?とか聞いたら実は三日経ってて、え、でもそれでもそんな事できるわけないじゃん!?もちろんケンカしまくりですよ。ベットの上で。
まあ、水哉が意識の中から出て、俺と水哉の肉体と精神をリンクさせるためだったりするんだけど。
そんなワケでですね…しましたよ。キス。唇とかすっげぇ柔らかくて。ビックリですよもう。……えへへー…キスしちゃったー……。
「このド変態がっ!!!!」
…そうか、水哉とは以心伝心が可能なんだったっけ。すいませんでした。
「全くー…けしからんぞ。私とキスをしたからって、君と付き合う訳ではないのだからな」
…ごもっともです。
「…それに、あれだからな。私は君の事を…その…好いている訳ではない……からな…?」
なんつー分かりやすさ。
「君の事は嫌いなんだからな!!!!」
……カワイイなオイ。
「五月蝿いっ!!!」
「実は可愛かったりするんだなー…」
「こっ……声に出すんじゃないっ!!!!!」
そんな事言われたら虐めたくなるじゃないか。
……もしかしてあれ、初キスだったのかな?
「う、五月蝿い!!!馬鹿は馬鹿らしくしていろ!!!!」
ふーん、図星か。
「つ、着いたようだぞ。さっさと行こう」
おお、ここがあの有名な紅龍女学院。流石、由緒正しい学院だな。エントランスやらメインホールやら、普通じゃあり得ない規模の学院だ。ホテルと見紛う綺麗さ。
「きゃあぁっ!!水哉様だわ!!!」
……はい?
「水哉様がいらっしゃいましたわ!!!」
「水哉様!!」
「あぁもう私幸せですわ…死んじゃいそう……」
そう言って俺らに近寄って来る大勢の女子。
「おお、相変わらずだな。出迎えご苦労であった。ありがとう」
平然と応え、彼女らに笑顔を向ける水哉。
「きゃああああああぁぁぁぁっ!!!」
黄色い歓声があがる。そんなに素敵すぎる笑顔なら見てみたいものだが、今は一心同体な為に見られない。残念すぎる。
「……さて、行くか」
そして俺らは院長室へと向かった。
ごめんなさい。すいません。本当にごめんなさい。
なんでこんな方向に行っちゃったんでしょう。
なんかキャラが動いちゃったんです。
……もう知るかぁぁぁ!!!!!
行くとこまで行ったれ!!!!!!
ちょこっと変更点があります。
さして変わってませんが…。