-第二章- イン・ザ・ジャグジー、イン・ザ・ベッド!?
っはぁ…なんで俺があいつ作の豪邸でジャグジーの準備してんだ?
「おい、君。準備は出来ているんだろうな?」
あ、ヤバイ。女王様が来た。
「…誰が女王様だと?」
げ。こいつ、俺の心も読めるのかよ。
「当たり前だろう?」
ってオイ。なんでだよ。
「私が私の意識の中で……」
「またそれかよ!!?」
さっき聞いたばっかりだっての!!!
「私が私の意識の中の者の心を操って何が悪い」
「あれ…さっきと微妙に違う…」
すると水哉は、虫を見るような冷たい目で俺を見た。
「君は馬鹿か?」
出た。礼の口癖。
「……まあいい。面倒だしな。そんな事よりジャグジーだ。私はあの薄汚い学校へ行かなくてはならない。その前に身体を洗い流さねば私の一日は始まれぬのだ」
あれ?綺麗にしたのにまた汚れるんだ?
「早くしろ。停学届を受け取りに行く」
「停学!!?」
こんなにも容姿端麗で成績優秀な奴が!!?
「ハーレーを借りたまま返さなかっただけなのにな。可笑しな話ではないか」
「お前、バカだろ!!!」
無免許でハーレーを運転して、しかも俺を轢き逃げして、さらにそのハーレーを借りパクかよ!!?
「口を慎め。私だから許されるのだ」
……ダメだこいつ。
「準備も出来たようだしな…入るぞ」
とか言って普通に全裸で入って来ちゃった水哉。
「のわっっ!!!!!」
それを見ちゃった俺。
「ん?どうした?」
平然としている水哉。
「え、あ、いや…その…あの……」
ヤバイ。顔すっげぇ火照ってる。
「全く…朝っぱらから不謹慎だぞ?それとも私と夜の付き合いをしたいのか?ん?」
「いやいやいやいや!!!そんなワケじゃなくてだな!!!!!!!」
くっくっく、と水哉が笑った。
「やはり最近の若人は盛んだな」
俺、絶対弄ばれてる…。
というわけで、ジャグジーに入ってご満悦な女王様の身体を俺は拭く事になっちまったのですが。どうすりゃいいんだよこれ。
「えーと…水哉……俺、こんな事しちゃっていいの…?」
「何をへこたれているのだ。やはり若人は血気盛んでなければな」
「ですよねー…」
あー…ヤバイ。心臓が破裂しそう。死んじゃうってこれ!!
「君、そんなに興奮してるのか?」
「うるせー」
とか言いつつもう興奮しまくりだから!!!スタイル抜群で、しかも、上も下も見えてるし…っ!!
「君、変態だな。流石は発情期……」
発情期ってオイ。人間の男は常日頃から発情期なんだぞ。期もクソもねーんだよ。
「どうもすいませんねー」
「よし、終了!!」
なんとか水哉の身体を拭き終わった俺は、今までに感じた事のない程の達成感を感じていた。
「うむ、ご苦労であったぞ。…では、私に接吻をしろ」
………は?
「私に接吻をしろっ」
え、ちょっと待った。接吻ってつまりあれだよね?あの、あれ。
「……私にキスしろっ!!」
ああ、そうそう。それ……
「ってオイ!!?ナゼにイキナリそんな展開に!!?」
「そ、その……私が君に…あの……好意を抱いているとか…その……そういう事じゃなくてだな…えっと………」
あ゛ーっ!!もうなんだこれ!!?水哉のクセにカワイイじゃんか!!!なんだよこれ!!!あークソ!!!なんかドキドキしちゃうじゃんか!!!!
「と、とにかく!!これはそういうんじゃないからなっ!!」
…なるほど、これがあのツンデレというヤツか。なかなか可愛すぎるじゃないか。
「私があちら側に戻るために必要ってだけなんだからな!!」
ああ、なるほど。
「だから、私をベッドに寝かせた状態でキスしろ。良いな?」
え、ちょっと待った。それってやっちゃいけないんじゃ…。
「あくまでキスだけだからな!!?」
「……はい」
はい、なんか見事に方向がオカシクなりましたね。
ごめんなさい。
あ、でもまああれですから。
あれがあれだからまだあれなんです!!
それではまた。
次話か『殺せない殺戮兵器』で。