第一章〜ポルカ≒ポールカ
続きを書かせていただきました。よろしくお読みになっていただけましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。バトルシーンがメインの作品になりそうです。
ポルカ≒ポールカは、疾走していた。地からは土煙が上がり、脚音が腹に響くような重低音を轟かせていた。
ポルカ≒ポールカは第二戦速まで一気に加速し、目標に迫った。目標に到達する迄に、12.8秒掛かると、統合情報管理モニター(I.I.M.M)に表示され、その数字は赤く発光し、点滅していた。
募集要項を見て応募してきた十六歳以下の少女たちのうち、ポルカ=ポールカは最も俊足であった。たまからこそ、隊列の先頭を切って走るのを命じられたのだ。
ポルカ=ポールカは振り返った。隊列に後れを取って脱落した者がいないこを確認しようとしたのだ。
隊を
一個小隊を組んでいたのは六名であった。隊長であるポルカのすぐ背後について走る光牙美沙里もまた、息すら乱していなかった。ポルカの心配の圏外に居続けてくれているようだ。他の四人も息を荒げながらもなんとかついてきているようだった。
ポルカは、隊の成す陣形として、鶴翼を選択した。鶴翼の陣形とは、隊としてV字を形成し、その隊形を維持しながら敵陣に突入し、ちょうどV字の中心部、交点にて敵を包囲し撃滅せんとするもののことである。三体のホンジャ貝を一気に包囲殲滅しようと試みているのである。
最初に一人目の患者を目視により捕捉したのはポルカ=ポールカであった。ポルカはV字の左の先端に当たる部分を疾走していたのである。右の先端が美沙里である。
I.I.M.M.に表示された赤い数字の点滅速度が速くなり、数字は2となった。
ポルカはひと飛びに跳躍した。
二秒の間を跳躍によって、一気に短縮し、患者の左脇にとりついたのである。
患者の男は全裸であった。ホンジャ貝に身體を侵食され、苦痛のあまり服も着られない状況なのだろう。
ポルカは咄嗟に懐刀を鞘から抜いた。
この距離ならば、いきなりホンジャ貝が触手を振り回していてもおかしくはない。
患者の陰部はまだ患者自身の手により覆い隠されていたので、まだ見えはしない。
従って、ホンジャ貝の動きは詳細には目視できていないのだった。
「早くこいつをやっつけて」
患者である初老の男が叫んだのと同時だった。
ひゅん。と空気が裂けるような音がした。ポルカが懐刀を右手に持って構えるのとも同時であった。
ひゅん
また音がした。
ポルカは右手の甲に衝撃を感じていた。皮膚が裂かれるような痛みは数瞬後にやってきた。
「う」
彼女は完全に脚を止めて戦闘態勢に入っていたが、何の反撃も出来はしなかったのだ。
思考が回り出した。━━ホンジャ貝の触手による打撃を受けたようだ。
漸くそれだけを考えられた。陰部を隠すように覆っていた患者の両手は、触手に弾かれでもしたのか、明後日の方向を向いていた。
ポルカ=ポールカが生まれて初めてみた男性器というものがそこにあった。
それは、ホンジャ貝の軟体生物らしい身体に侵食されているのがよくわかった。
が、貝は、その全身を曝け出してはいないように見えた。ポルカは思い出した。教官から受けた貝を倒す為の指南だ。
━━男性器を活性化させなければならない。男性器が無力化した状態ではホンジャ貝は陰茎の奥底に潜り込む形で降り、従ってそれを切断、切除することほ叶わぬ━━。
ポルカ=ポールカは患者のソコを活性化させなければならなそうだった。
貝の大きさは、全身を現せば、20センチ程はあると聞いていたが、患者のものはまだ数センチしか顔を出してはいなかった。
隊長の任を預かったとはいえ未経験 な彼女は、教官の教えに従う 以外になかった。
「いやっ」
叫び声が聞こえた。背後からだ。ポルカの後ろにつく形でいたマサ=ブルックリンの声に違いなかった。彼女は二人目の患者と対峙していた。患者と体操ということは、貝と向き合うことだ。彼女もまた、いわば、素人。ホンジャ貝の実物を観るのも初めてかもしれなかった。
共感から見せられた画像の貝ではなく、生身の貝を目にしているのかもしれなかった。
が、ポルカにもマサに助け舟を入れる余裕はなかった。
ひゅん
再び、今度は耳元で音が響いた。
触手だ。
思ったのと同時、であった。
耳の薄皮に衝撃を感じた。ポルカの頭はがく、と後ろを向いた。妻 飛び散った。そう思った。
ポルカは右手を闇雲に振り上げていた。
ご覧になっていただきまして誠にありがとうございました。