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p.25 情報整理

 ダリルは今日得た情報を頭の中で整理する。


 ①エルシーは幼なじみのオーウェンと会っていた

 ②エルシーは新聞でなにか調べ物をしていた

 ③孤児院から子どもがいなくなった

 ④それを聞いたエルシーが怖い顔をして「まさか」と呟いた

 ⑤事件当日、エルシーは手土産のマドレーヌを持って孤児院を訪れていた

 ⑥シスターソフィアと揉めていた


 大まかにわかったことをまとめるとこうなるだろう。

 ベランカとマックスから聞いたブレイクと真剣な顔でなにか話していたという話は、おそらくは孤児院から子どもがいなくなったとブレイクからエルシーが聞いたときのことだろう。


 これらの情報からわかることは、エルシーの調べ物と孤児院の子どもがいなった件はなにか関係があるのだろう、ということだ。

 関係がなければ、怖い顔をして思わず「まさか」と呟くようなことはないはずだ。


(子どもがいなくなったことと、エルシーの調べ物の接点……考えられるとすれば、子どもがいなくなったのは攫われたからで、その犯人の目星が彼女にはついてた、とかかな)


 もしダリルの仮説が正しければ、その犯人はエルシーの身近な人物だったのかもしれない。だから、誰にも言えず、一人悩んでいた。

 過去の新聞を読んでいたのも、子どもがいなくなった事件について調べていたのかもしれない。

 そう考えば、ここ最近のエルシーの行動も納得できることが多い。


(一度、彼女が通っていたという喫茶店にも行ってみたほうがいいかもしれない……なにか手がかりが掴めるかも)


 今はエルシーが通っていたという時間から大分過ぎてしまっている。喫茶店に行くのは日を改めるのがいいだろう。


(もうそろそろ日が暮れる……そういえば、お昼も食べ損ねたな……)


 朝食以降、飴くらいしか口にしていない。

 そう自覚すると腹の虫が騒めき出し、現金なものだなとお腹を摩る。


 今日は早めの夕食にし、早く寝よう。

 そう決めたダリルは運転手に城へ戻るように指示をする。


『……殿下、子どもがたびたびいなくなることがあること、知っていた?』

「うわっ! きゅ、急に話しかけないでくれよ……」

『あら、ごめんなさいね。それで、知っていたのかしら?』

「い、いや……初めて聞いた、けど…………いや、待てよ……前に兄上たちがそんなようなことを言っていたような……」

『あなたのお兄様方が? なんておっしゃっていたの?』


 ぐいっと体を乗り出すエルシーにダリルはのけ反りながら、必死に記憶を辿る。


「確か……子どもの話ではなかったけれど、人がいなくなっているようだ、という話はしていたな。下町に住む若い女性が特に多いんだとか……」

『その話と子どもがいなくなっている件はなにか関係があるのでは?』

「共通点は〝いなくなっている〟というだけだろう? でも……そうだな……少し気にはなるな……」

『そうでしょう?』


 街で人がいなくなるのは、まあまあある話ではあるだろう。それぞれの抱えた事情があり、それによって姿を眩ます人も一定数いる。

 だが、それが王族の耳にまで入ることは珍しい。よっぽどのことでなければ警察が動くだけで事足りる。


 どうしてダリルの兄たちにその情報をあげたのか。

 考えられるとすれば、よほど急激に数が増えたか、もしくは――国を脅かすような存在がその背景にいるか。それくらいしか思い浮かばない。


(国を脅かすような存在……そういえば、前に『人身売買をする組織がいて、そのオークションが影で行われている』という噂を耳にしたな……)


 そのときは眉唾物な話だと思って聞き流したが、案外的を得た事実だったのかもしれない。



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