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p.24 子どもたちからの情報

前回から間が空いてすみません…!

本日からしばらく毎日更新しますので、よろしくお願いします!


 二人の反応にダリルは内心ほくそ笑む。

 ダリルの美しさは老若男女問わずに通じるものである、ということを再認識できてダリルは満悦する。

 気分が良くなったダリルは、優しく穏やかな声音を心掛けて二人にさらに話しかけた。


「君たちはエルシーとは親しくしていたのかな?」

「え? え、あ、は、はい! エルシーさん……じゃなくて、エルシー様にはとてもよくしていただいております!」


 我に帰ったようなハッとした顔をして、ベランカは慌てて答えた。


「そうなんだね。それじゃあ、最近のエルシーになにか変わった様子はなかったかな?」

「変わった様子……ですか?」


 ダリルの質問にベランカは戸惑った顔をする。

 すると、しばらく黙っていたマックスが口を開く。


「……そんなこと聞いてどうすんだよ? つぅか、エルシーさんはどうしたんだ? なんで婚約者の野郎が一人でここに来てるんだ?」

「ちょっと、マックス……! 話し方……!」

「うるせーな! そんなことは今、どーでもいいんだよ!」

「どうでもいいって……」


 ベランカは一瞬口籠もった。しかし、すぐに反論しようとしたのを、ダリルが止めた。


「王子様……」

「君が不審に思うのももっともだ。君たちを信頼して話すけれど……エルシーは今、怪我を負っていて動けないんだ」

「えっ」


 二人は同時に驚いた顔をする。

 ブレイクが知らなかった時点である程度予想していたが、やはり二人ともエルシーの怪我のことを知らなかったようだ。


「エルシーさん……大丈夫なのか?」

「怪我自体は大したものではないらしいのだけど、意識が戻らないんだよ。今はエルシーの意識が戻ることを祈るしかない」

「そうなのか……」


 二人とも複雑な顔をしている。

 お世話になっていた人物が意識不明だと聞けば誰でもそんな反応になるだろう。


「エルシーは怪我を負う前になにか悩んでいたみたいなのだけど、君たちなにか心当たりはないかい?」

「それって……エルシー様の怪我となにか関係があるんですか?」

「わからないけれど、彼女が目を覚ましたときに憂いなく療養できるように力になりたいんだ。だから、なにか知っていることがあったら教えてほしい」


 二人は顔を見合わせた。


「なにか知っていることって言ってもなあ……」

「うーん……」


 一生懸命、なにか思い出そうとしてくれているようだ。それだけ、この二人がエルシーを慕っているということなのだろう。


「……あ、そういえば……なんか、ちょっと前にエルシーさんとシスターが揉めていたって誰か言っていなかった?」

「あー、そういや誰か言ってたな……じじいともなんか真剣な顔で話してたっていうのもなかったか?」

「あった気がする」


 やはりこの二人に聞いて正解だった。


(シスターソフィアとブレイクとね……二人ともエルシーを心配しているようだったけれど……それが演技の可能性もあるということか)


「その話、もう少し詳しくわかるかい?」

「……すみません。どちらも見ていた子がまだ小さくて、これ以上のことはたぶんわからないと思います」

「そうか……二人とも、教えてくれてありがとう」


 これ以上しつこく質問をして、二人に不信感を持たれるのは得策ではない、とダリルは踏んだ。

 少しの間、二人と雑談をしたあとソフィアのもとに行って帰りの挨拶をし、孤児院をあとにした。

 車を停めてある場所へ向かい、そのまま乗り込む。

 エルシーもダリルに話しかけることなく、無言で佇んでいる。彼女にも思うところがあるのだろう。


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