07
あぁ、そうか、と雪は思った。
色んな親が世の中には沢山いる。
喧嘩もそれなりにしてきたが、雪の両親は困ったときは助けてくれ、泣いたときは慰めてくれ、嬉しいときは一緒に喜んでくれた。
今まで自分が如月雪として与えられていた愛情と同じものを感じる。
この人たちは正真正銘、ユキの家族だった。
左手の温もり。
抱えられた温もり。
頭を撫でられた温もり。
すべてが大事だと感じられるものだった。
もしかしたら、日本に還る可能性もあるかもしれない。
(それでも……)
「ユキがどんな大人になるのか楽しみだな」
「私は元気に健康で育ってくれれば、それだけで十分です」
「ユキが歩けるようになったら一緒にお出かけしたいです!」
優しいまなざしが降ってくる。
初めて会った人たち。
まだ一時間も経っていないのに。
この体のせいだろうか。
とても、とても愛おしく思える。
この大事な人たちを守りたい。
「ユキ」
湧き上がるこの気持ちに嘘はつけない。
「アングレカム家へようこそ」
雪は如月の名を捨て、アングレカムとして生きていくことを決めた。
この日からユキとなった。
お父さん
お母さん
ありがとう
私は大丈夫だから
元気に長生きしてください
また生まれ変わったら
会えるといいな