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 一斉に受験生が走り出す。

 我先にと押し合って進む受験生たちが、しばらく走った先で異変に気付く。

「……進んでない?」

 永遠にその場で足を動かしているだけで、走っても走っても景色が変わらない。

「これは、魔法か!」

 

 距離がそれほどあるわけではないのに、時間が三時間もある理由はこれか。

 ある一定の距離を走り切らないと、この魔法からは抜け出せないシステムになっているらしい。

 変わらぬ景色と、終わりが分からない道を走り続けるには、精神に負担が大きい。

 徐々に受験生たちの苛立ちが見え始める。


「お前、飛ぶのルール違反だろ!」

 

 一人の受験生の声が響く。

 声の方を向くと、文句を言われているのは先程の可愛らしい口の悪い少年だった。

「あ? うっせぇな。どう行っても構わないって言ってただろうが。人の話聞いとけよ、クソが」

 口の悪い少年は先程持っていた箒にまたがり、優雅に空を飛んでいる。

「だいたい俺以外にも飛んでる奴いるだろうが、あいつにも言えよ」

 顎をくいっと動かし、視線を誘導した先には、風の魔方陣の上に腰掛け移動する、端正な顔立ちの青年がいた。


 青年の姿を見た受験生は言葉を詰まらせた。

「名門ペオシア家のご子息には言えねぇってか」

 少年は鼻で嗤う。

「人を選ぶくらいなら黙ってろ、クソ」

「この、クソガキが!」

 受験生が叫ぶが、少年はさらに高く浮上して嗤った。


「悔しければ、ここまで来いよ」


 そこまで飛ぶことができない受験生は悔しそうに唇を噛んだ。


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