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 ただこの行為は不正をする愚か者をはじく他にも、集中力の維持を見ることができる。

 カーランたちの目的はそちらだ。


 どれだけ騒がしく気が散る中で、いかに自分の能力を発揮できるか。

 自分に、救聖隊に、仲間に何かあったときに冷静に対処できるか。

 同じことなんか起こらない、いつもイレギュラーなことばかりの仕事だ。


 対応力を求められる。


 地獄絵図と例えられた空間でも、我関せずで問題を解いている者が何十人もいる。

 中には他人に全く興味がないというちょっと癖のある者もいるだろうが、とりあえずこの試験では合格だ。


(さて、今年は何人残るだろうか)


 近年より人数の多い受験者数。

 例年最終試験を通過するのは二桁にもいかない。

 今年は二桁を超えることが出来れば良い。


 人が、欲しいのだ。

 人一人をどのような脅威からも守れる人材が欲しい。


 そしてそれに加えて、自分も生きて帰ってくる、そんな人材が欲しかった。


「終了。手を答案用紙から離しなさい」


 試験終了の合図が響く。

 

『終わりだって言ってんだろ、ペンから手を離せゴルァ』

『はいはい、終わりですよー』


 悪あがきをしている受験生もいるようで、なかなか室内は静かにならない。

 ユキはちらりと視線を右へ移す。

 空席がちらほらとある。

 そして座っている受験生も青ざめた顔をした者が何人かいた。


 騎士たちが答案用紙を回収していく。

 ユキの答案用紙も回収された。


「ふぅ」


 小さく息が漏れる。

 これでひとまずやることは終わった。


「すべて回収が終わりました」


 騎士がそう言うと、頭上を飛び回っていた〈覗き見るモノ〉が机の上に降り立った。


「合格者には三日後〈覗き見るモノ〉から追って連絡するので、それを持ち帰るように。不合格者は自動的にそれが消える。以上。解散」


 淡々と説明し、騎士たちは会議室を出て行った。

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