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「ただいま帰りました」
家の戸を開けると母親であるアリアが「おかえり」と声をかけた。
「今日は遅かったのね」
「ごめんなさい」
白と黒の二人を眺めていたらいつもの時間より遅い帰宅となってしまった。
うなだれるユキにアリアは小さく笑う。
「別に怒っているわけじゃないわ。あなたはいつも同じ時間に帰ってくるから、少し心配になっただけ」
もっと自由に遊んできてもいいのに、と真面目な娘に対しいつも思う母親であった。
「あれ?」
ユキの視線の先には眉間に皺をよせ、難しい顔で椅子に座る父親の姿。
いくらユキの帰宅が遅れたとはいえ帰ってくるには早いような、と思っているとアリアはそれを察しユキに声をかけた。
「さっきまでお客様がいらしてたのよ」
「お客様?」
あの二人が浮かぶ。
「一体、なんの用事が?」
「ユキは救聖隊を知っているか?」
母親から父親の方へ視線を向けると「おかえり」と言われる。
険しさを含んだ難しい顔から、どうしたものか、と悩む顔に変わっていた。
「あ、ただいま帰りました。救聖隊は先生のところでお話を聞いたことがあります」
救聖隊。
それはこの国で最も神聖と言われる〈光魔法〉を使える人たちが集まる場所。
〈光魔法〉は人の傷を癒すなど、人を傷つけることが一切できず、人を救うことに特化した魔法である。
ただ誰もが使えるわけではなく、〈光魔法〉を使える人は極めて僅か。
救聖隊は彼らが危険に晒されることがないよう保護をする為に、また多くの人々を救う機関として設立された。




