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共命信仰遺伝子操作

作者: 亞酢斗羅流・痔江乃彩度・出油得

 「先月、◯◯研究所にて遺伝子組み換えによって生みだされたサメが養殖漁業で実用化されることになれました!」

「なんでも、ヒレの大きさがほぼそのままで体が極端に小さくなりしかもヒレの数が4つ増えたサメみたいですね!このサメはフカヒレ用として暖かい海で養しょk」


目覚める朝、不快なニュースが耳に入った私はテレ・ヴィジョンの電源を落とした。何も考えずに生命を消費するこのニュースキャスターたちや愚かな非信徒の国民たちは、生命を(もてあそ)ぶ人類の文明というものを軽視しすぎている。生命体は皆、遺伝子に従って生を(まっと)うしなければならない。神はその信念の下、生命体をお創りなさった。しかし、あろうことか一部の人類はこの信念に逆行した。他の生命体の遺伝子を操作し、誕生から死までの全てを手玉に取るような愚行(ぐこう)を働き始めた。これではまるで人類が神のように、生命体を操り生命の流れを作るという行為である。全く(もっ)て愚かしい。


 我々「共命会」は、神がお創りなさったこの世界の生命の流れを守るために結成された。愚かなる人類の愚行(ぐこう)をやめさせ、流れに逆らう非信徒達を元の流れに戻さなくてはいけない。そのために、我々は今日も生命を、流れに沿って、消費する。

このように、大それた前置きになってしまったが我々はお(かた)い活動を行なっているわけではない。そもそも、生命の流れに乗ることは難しいことではないからである。その生命体の本能のままに生きるだけで良いのである。小魚は群れを作り、種を残すために繁殖をし、時には大型魚の生命の(かて)となる。人類は社会を形成し、好きなことをして、幸せを求める。何も難しいことはない。しかし、ここで「幸せ」が厄介になる。この幸せを履き違えてしまうと、個人的なエゴイズムに変貌(へんぼう)し生命体全体への障害となる。すなわち、神への叛逆(はんぎゃく)である。

だから、だからこそである。我々共命会の教えに人類は耳を傾けるべきなのである。こうすることで人類が抱く「幸せ」の価値観が統一され、真の平和が訪れる。努力は「教えを聞いて守る」の一点であり、その先に努力などは存在しない。今すぐに、一部の人類のエゴイズムである遺伝子操作や生物研究を中止し、神が描いた理想郷を仕上げなければならない!


 テレ・ヴィジョンの電波は、技術の仕組みを知らない人が存在しても情報を乗せて人々に表現する。問題は技術を知らない人が、テレ・ヴィジョンと自分の情報受信姿勢の「2つのスイッチ」をONにするか否かである。耳を傾ける者がいなくても、続けて電波は情報を運ぶ。

「遺伝子操作の技術は、元々ある細菌の生物戦略を真似(まね)て発展したんですよ。人間以外でも遺伝子組み替えってやってたんです!知らない人にとっては驚きですよね!私はこのニュースを聞いて知って、とっても面白いと思いました!」

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