マッチ売りの少女〜異世界転生を思い出すの今日って!〜
よろしくお願いします。
ーーー冬の寒さが一段と身に染みる大晦日の夜、少女はマッチを売りに家を追い出されます。全て売らなくては帰れない。だけど、誰も買ってくれない。馬車に轢かれそうになって、母親の形見の靴も無くしてしまう。冷たい足は感覚がない。それでも、誰一人マッチを買うものはいない。寒さに耐えきれずマッチをすると、暖かい暖炉。すぐに消えてしまいます。次に現れたのは豪華な食事。けれども手を伸ばす前に消えてしまう。最後に優しかったおばあさん…。おばあさんとともにマッチ売りの少女は天へと登りました。
かわいそうな少女は、冷たい身体で発見されたのでした。ーーー
私、野原舞…全てを思い出しました。ですが、運悪く思い出すのが…最終日だなんて!ちくしょう、運命を呪いたくなりますね!
私が死んだのも大晦日…。除夜の鐘を聞きながら帰れないなあと病院の一室で思ってました。そして煩悩の数と言われる108つの鐘を数えながら絵本を眺めて心臓発作。わけわからんわ。…でその時マッチ売りの少女を読んでいたわけよ。友達が持ってきたの。まあ、こんなかわいそうな話もあんだから帰れないくらいでふて腐れんなよと。そしたらどうよ!一生帰れなかったじゃない。きっとさあ、それを不憫に思った神様が絵本だか本当の世界だかわからないけど…転生させてくれたんじゃないかなあ。でもよりによって私自身がマッチ売りの少女?読んでたよ?でもね反感買うもしれないけど、嫌いなんだよね!こう大人しくはいはいってやって、寒いどーしよう。売れない。って暗くなって死んだおばあちゃんに救いを求めるって。でもそれに生まれ変わった。でさでさ、今日大晦日で…ラストシーンってやつじゃない?
ねえ。そうでしょ?そうだよね。もしかして…のろいか?そうなのか?
「マイア、このマッチを全て売ってくるまで帰ってくるなよ!」
マイアと呼ばれてるらしい。うっセー、親父だなあ。私は、マッチ売りの少女のように素直じゃないんだ!そして、かわいい子供じゃない。スイも甘いも噛み締めた、29歳独身女!見た目は10歳くらいかね。よくわからんが。痩せすぎだよ、飯も食わず働けるかい!だから、父ちゃんやかくごしやがれ。私はこう見えて入院するまでは営業でブイブイ言わせていた女!口から生まれた女!負けないわよ?絶対に幸せになる。幸せは待ってるだけじゃ、ダメなんだからね。自分の手で掴むんだ。私の格言はゴーイングマイウェイ!我が道を行く!ではなく、私のは強引に我が道を行く!まずは父ちゃんの教育ね!
「父ちゃん!全部売れたらいくらくれる?」
「はあ?バカを言うな!」
「そっちこそ、バカ言うな!売ったらパーセンテージで私のものだ。ならば、それに見合う日給よこせ!大晦日日給じゃ、高いよ?それが嫌なら自分で売ればいい。」
「こ、これはな!マッチの中のマッチだ。だからな、売れるんだ。だから売ってこい。」
「いや、そうじゃなくて!私を使うなら金よこせ。それに、そんなに売れるマッチならさ、自分で売ればいい?私はのんびり待つよ。」
「お前、誰に食べさせてもらってると思ってんだ!」
「ん?父ちゃんじゃないことは確かだね。見てこんな痩せてさー。私、ろくに食べずにずっと働いてんの私だよね?マッチだってさ、私が内職で作ってたよね?じゃさ、父ちゃん養ってんのが、私だよね?」
「え?あ?いや。材料は俺が。」
「ほらほらよーく考えて?私がマッチを内職して作る→そのマッチを私が売る→そのお金で材料仕入れる→私がマッチを作る。どこに父ちゃんの出番あった?つまりは、私が稼いでるよね?」
「ん?あれ?そうか?マイアが作ってマイアが売ってマイアが売ったお金でまたマイアがつくる…俺がいない。」
「でしょ?つまり、私が偉いよね?養ってあげてるよね?」
「あ?ん?…そうか。そうだな…うん。」
「だから、今日は父ちゃんが売ってきなよ!」
「いや、こんなに全部は無理だよ。寒いし。」
「ああん?あ・た・し・に・は、売らせようとしたよねえ?それ、おかしくない?」
「あ、ああ、謝るから。だから半分ずつで。頼む。」
「わかった。じゃ、家の鍵を渡して?」
「な、なんで?」
「偉いのは?」
「ま、マイア。」
「じゃ、鍵はわたしが持つ。貸して?」
「わかった…。」
鍵と半分のマッチを渡された。そして親父はおいだした。ふむ。この時代、マッチって希少品だよね?なんで売れないわけ?
ありゃ、雪が降り始めた。マッチは濡れたらつかない。だが多分この家に、ビニールはない。ろうそくを紙に塗りつけて水を弾く紙をマッチの上にかぶせる。濡れちゃいかんよね?
でだ、お?新聞はあるね。これで靴がぶかぶかだから新聞を何枚も使い足を包み靴を履く。うむ。動かないし暖かい。無くしてたまるか。さて次に新聞を体に紐で巻きつける。その上から服を着ます。イエス。貧乏臭いが暖かい!防寒は必要さ。
さてと出発。手が冷たいなあ。流石に手袋なかったし。まあ足と体から暖かいのでましだね。
まずはリサーチ。お?タバコ吸ってる人いたぜー!じい様だが金持ってそうじゃん?
ああいうのをターゲットにするべきさ。
「おっじさーん。これ買わないかなあ。すんごい、いいマッチさ。」
「ほー、すんごいいいのかい?」
「うん、本当は100とこ今日は大晦日50に負けとく。どう?」
「半分か、じゃあ貰おう。」
「毎度あり!」
ふっふっふ。実はこれ30だ。だが50で売る。詐欺ではない。大晦日は金額加算当たり前じゃん。そして明るく笑顔の接客!年が変わるっていうのに、暗いやつとは話したくないっしょ?
あ、あそこに人待ちの人発見。急いでる人は聞いてくれるわけないからね。あーいう、暇な人よね!
「ねえ、お兄さん。マッチいらない?すんごいマッチだよ?本当はね、100するのでも大晦日だし、お兄さんカッコいいから50でどうかな?」
「ん?半額かい?なら一つ貰うよ。」
「毎度!」
おっし!二ツ目!なんてことを繰り返して1時間。あと、一つじゃん。みんな買ってくれるじゃん。マッチ売りの少女よ、どこを見ていたんだ…あ、お花売り…暗いな?暗すぎる。明るく笑顔だよ!
おやおや、あんなとこにカモ…ゲフンッゲフンッ…お客様になりそうなジェントルメン!
「お兄さん。最後のすんごいマッチ。買ってくんない?」
「おや、可愛らしいこだね?いくらだい?」
「んとね?100だけど50でいいよ?」
「そうかいそうかい。じゃあ、一つもらおう。」
「ありがとう。はい。」
「はいよ、100だよ。」
「え?いいの?」
「ああ、良いお年をね?」
「ありがとう。お兄さん!」
やったあ!やりました。売り切ったよ。ホクホクじゃん。んと、最後の100あれば、パンと肉買えるじゃん。買って帰ろう。労働には対価が必要だ!
私、やっぱ商才あるんじゃない?イエス!さすが。日本育ち?現代っ子。ってやつかね。
るんたったと買い物して帰りました。
でもって、肉を焼いて。パンを切って、父ちゃんを待ちますが…。ついでにミルクシチュも作ったのに!帰ってきやがらねー。
仕方ないなあ。せっかくあったかいお家でお帰りしてやろうと思ったのに!
いったん暖炉の火を落とし、外にもう一度防寒対策してからでた。
なかなか見つからん。どこいった。
寂しい路地裏から
「マッチはいかがですかー?」
父ちゃんの涙声がきこえた。あんなとこで売れるかい。
「あの、マッチは?」
「うるせい!邪魔だ!このじじい!」
蹴飛ばされ倒れた。マッチが雪に濡れて…あれじゃ売れねー。みんな忙しいからねー。
「どうしよう。」
マッチを広いながら泣いている。
まるっきり父ちゃんがマッチ売りの少女じゃね?あたしはクソ親父ってか?あっははは。笑っちゃうね。仕方ないなあ、もう。
父ちゃんが寒さに震える手でマッチをする。
「暖かい。ああ、また暖炉がみえる。」
すごく哀れに見えた。本来ならあれが私になっていたわけだ。
「父ちゃん!」
「ご、ごめんよ。マイア。今、今売るから。あと、すまん。マッチすっちゃったんだよ。寒くて。暖炉があったんだ。美味しいごちそうも…」
マッチをする…まるっきり。マッチ売りの少女じゃんか父ちゃんが!私が嫌な女じゃなくてよかったな!
「さあもう、いいから帰ろ?」
「でも。まだ一個も売れてない。」
「いいよ。あたしが売ったから。もう、濡れたからそれ乾かさないと。」
「う、う。ごめんマイア。これからはいい父ちゃんになるから捨てないで!」
「はいはい。あたしの言うこときいてよ?あたしが、大黒柱。わかった?」
「うん。」
「よし!帰って、肉食べよう。腹減った。」
こうしてバッドエンディング回避どころか、私は私の日本の記憶を駆使して店を持つまでになった。私すごーい!
幸せな私はマッチを擦っても何にもみえなかった。
父ちゃんは、なんか色々みたらしい。
まあ、幻覚見るってあるらしいね?マッチの成分でさ。
やっぱ、バッドエンディング回避は、記憶と知識が物言うね!はっは。
そして、私は幸せな一生を…送れるはずだよね?ってか、今度こそ結婚できるよね?
冬童話エントリーしてみました。
マッチ売りの少女には名前がないようなんで…。父ちゃんを丸め込んだら…話が変わりましたかね?感が出てると良いな。
読んでいただきありがとうございました
( ^ω^ )