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第0夜 【2】

その日最後の授業の鐘がなる。

休日の訪れに歓喜する者、部活へと重い足を運ぶ者、反応はそれぞれだ。

教室の窓側後方の席、そこで茅野士道は、未だに机に向かっていた。

目の前には英語の課題が、ほぼ白紙の状態で残っている。


「これ全部とか、容赦ないなあの先生」


落ち着いて、今の状況を整理する。

戦力差は歴然だ。

5段階評価で2の評価の茅野では、これらの問題は踏破できまい。

リミットは今週中。

英語の教師は顧問を請け負っていないため、土日の出勤はない。

事実上、チャンスは今日までということになる。

しかし、打つ手がない訳ではない。

幸い今日は小テストも行われた。

教師が帰るのは早くても7時だ。

ようはそれまでに、この空欄を埋めればいい。

そう、埋めさえすれば良いのだ。

それが正解だろうと不正解だろうと、空欄を埋めることに意味があるのだ。

曰く、結果ではなく何かをすることにこそに意味がある。

答えの成否はともかく、今日提出することにこそ意味があるのだ!


「じゃあ、1人でやってください」


「ちょっ、冗談冗談、ちゃんとするから手伝ってください!」


立ち去ろうとする少女を、すがるようにして止める。

ツインテールでまとめられた金髪が特徴的なこの少女は古川アリア。

この学校の1年生で茅野の後輩にあたる。


「本当ですか? 私が教えるんですから、適当な仕上がりにはさせませんよ」


「それは、今日中に間に合う、のか」


「それは先輩次第です」


どうやら今日は簡単には帰れそうにない。

こうなったら、全問正解の答案であの教師を驚かしてやるちきしょう。


「はい、そこ間違いです」


「わ、わかってたさ。いま直そうとして…」


「違います。右の英訳のところです」


「…はい」


ああだこうだと言われながら問題を解いていく。

誰もが思うであろう。

何故、後輩に教わっているのかという疑問だが、これには色々と理由がある。

アリアは名前から想像できる通りハーフで、帰国子女なのだ。

金髪や整った容姿で学校の有名人だったりする。

もちろん英語なんてぺらぺらで、授業なんて出る意味がないくらいだ。

ちょっとした縁で知り合いになってからは、苦手な英語の助人をしてもらっているのだ。

後輩に助けてもらうなんてことは避けたいが、この提出物は成績に大きく関わるのた。

背に腹はかけられまい。





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