だいにわ!
「ほらほら、カーテン変えて!」
「電球ってこれ?」
「この電球、ワンサイズちっちゃいじゃん!」
「ガスバーナーないよー」
「てかコンロなーい」
「カーテン一枚どっかにない?」
「あぁぁ!お前踏んでるぅぅ!」
「…うるさい」
教室は、慌ただしかった。一時限目の総合で細かいことを決め、二時限目と放課後ぶっ通しで準備を行う。正直、うるさい。
「ねぇアリサ!コンロないよ?」
「知るか」
「アリサ!ガスバーナーってどこから借りるの?」
「理科室にしかないから。しかも固定されてるし」
「え、じゃあどうするの?使えないじゃん」
「知るか」
「電球がワンサイズちっちゃいんだけど」
「知るか!取り換えてこい!…はぁ」
私の担当はコンロと魔法瓶、ヤカンとミルクティーの粉と水があれば成立し、すでに用意は終わっている。
「全く…あ、ユウキ、なんか買うものない?」
「…ん?あぁ…、うん、大丈夫だよ…」
「?そう、ならいいんだけど…」
昨日トオルが女子寮を出てから、ユウキの様子がおかしい。
「…どしたの?ユウキ。何かあった?」
「別に、なんでもないから…大丈夫」
「…?」
いくら幼馴染みといえど、なんでもないと言われてしまっては聞けない。
「トオル、そっちはどう?進んでる?」
「おう!どうだ、この看板!かっこいいだろ!」
「………………あれ?」
「ん?」
「これ…漢字違ってない?これだと…喫茶店じゃなくて、契茶店なんだけど」
「…………………おわ!」
「トオル…あんた、しっかりしてよ…」
「ど、どうしよう」
「書き直せよ」
「…やっぱり?」
「当たり前でしょ!」
「はぁい…」
「あー、ノン?そっちはどう?」
「はーい、大丈夫、順調だよー」
「分かったー。アカネはどうー?」
「バッチリ!今からでも出来るよ!」
「そか、分かった」
一通り確認は終わったので他クラスの偵察にでも行こう。
私が帰って来た時には、コンロの調達も終わり、ガスもきちんと通り、カーテンも電球も準備万端だった。
「お、凄い!お疲れー」
「疲れたよ!全く」
「明日はついに本番だもんね、頑張ろう!」
「家族公開だけどね」
みんなが笑う。心からの、屈託のない笑顔。
「さて、帰ろうか」
ノンがみんなに言う。誰からともなく、提案が起こる。
「みんなで、準備お疲れ打ち上げしよーよ!」
「いいね!じゃあ、そこのレストランでいい?」
「了解!」
「ユウキも行くでしょ?」
「…あ、ごめん、親が早く帰ってこいって言ってたから…」
「そっか…分かった。また明日。頑張ろうね!」
「うん。じゃあね」
「アリサも行くっしょ?」
「もちろん!」
と答えた時、後ろから襟首をガシッと掴まれた。
「…アリサ。お前は、実行委員会だろ」
「…………あ」
「えー。じゃあ、トオルも来れないの?」
「いや、実行委員会は委員長だけの参加だから、俺は行ける」
「くそぅ…っ」
こんなことなら、学級委員になんてなるんじゃなかった。みんなに別れを告げ、渋々先生の後についていく。
仕事はプリントをまとめる作業(先生の雑用)と、生徒会への資金の報告書書き。はっきり言って、雑用以外は簡単だった。
「…終わったぁ!先生、もう帰っていいよね」
「あ、ほらこれとか…」
「ドアの外に、カッチーがいるんで!さようなら!」
「あ、お前、待て!…はぁ…」
溜め息を吐く先生と、先生の目の前に広がる先生用生徒指導報告書、クラス全員分の山。
先生は、見るからに可哀想だったが、無視した。
その日の打ち上げは、夜中まで続くとても楽しいものになった。
そーいえばこれ、一つ一つ長いな……
よみづらかったらごめんなさい(^^;;