1/6
初めての、同情と反逆。
「あ、そのですね、忘れ物を…」
「忘れ物?こんなところに荷物置かないでしょ。アンタ、寝ぼけてんの?」
「い、いや、スマホをなくしてしまって、今日ここで作業してたから落としちゃったのかな〜と。」
ヒナタは、携帯を操作する。
「テンテテテッッテレテッテテテテテテ。テンテテテッッテレテッテテテテテテ。」
俺の、携帯が鳴いている…。俺の鞄の中で。
それと同時に、手の死角に隠していたぴーちゃんも鳴き出した。
「ぴー?」
ヒナタは怪訝な顔をする。
「スマホ、鞄の中に入ってるじゃないの…それよりも…」
「そ、それよりも、なんですか?」
声が震えるのを感じる。
「その手に隠してるの…ボクに見せなさい。」
俺は、隠すのは限界だと感じた。こいつの命を助けるには、ヒナタを説得するしかない…いや、この上司を説得できるのか…!?
いや、できる、できないじゃない。やらないと、いけないんだ…!
俺はそっと手を開き、ヒナタにぴーちゃんを見せた。