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俺のクラスメイトが魔法少女な件  作者: のろとり
~第6章~多くのイベントが発生するで章
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第96話 俺達の練習が上手く行かないな件

「ラン、最初に出す足はどっちか覚えてるか?」


「結んである方だ!」


 体育祭まで残り数日。

 俺達は放課後の学校に残り、二人三脚の練習をしていた。


 体育祭の準備を手伝ったり、ガク先輩に呼ばれたり、競技の練習したりと、2学期から授業が終わっても学校に残る事が多いが、家に帰っても暇なので特に問題は無い。


 アクロコも最近はゲーム以外にも勉強に手を付けている事が多い。

 英語の勉強が終わったかと思えば、建築や農業の勉強をしたりと……アイツは何処を目指してるんだよ。

 まぁ俺も俺で体育祭が終わったら定期テストが待ってるから、勉強する必要があるけどさ。


「まずは一歩、せーので前に」


「行くぞおおおお!」


「ぐべらばびや!?」


「あれ、どうした力男。そんな土まみれになって。誰にやられた!?」


「お前だよ」


 今のは俺の掛け声が悪かったな……うん。

 ランは俺が「せーの」と言ったので、それが前に出るタイミングだと勘違いしたのだろう。俺の心の準備が終わるより前にランは走り始め、脚が繋がっている俺はランに引き摺られ土まみれになった。


 前世でもこういう事あったな。

 親友と二人三脚した時も引き摺られて、ボロボロな状態でゴールしたと思ったら、親友は誰にやられたとすっとぼけていた。

 俺は二人三脚すると怪我する運命にでもあるのだろうか。


「やっぱ上手くいかないなぁ」


 実はここ何週間か、放課後にランと二人三脚の練習をしているのだが、中々上手くいかないのだ。

 ランが大会に向けて放課後に自主練してたり、部活の活動として体育祭の準備をしてたりと、あまり時間が取れてないのも理由の一つだろう。


 大会に向けての自主練を優先するよう言ったのは俺であり、そんな忙しい中わざわざ時間を裂いてまで練習に付き合ってくれるランには頭が上がらない。

 だからこそ、少しでも早く走れるように繋げたいのだが……結果としては今の通りである。


「悪いラン。ちょっと休んで良いか? 俺が休んでる間、大会に向けての練習とかしてて良いから」


「イエスブラザー!」


「誰が兄弟だよ、友達の間違えだろ」


 俺は二人三脚用に結んである紐をほどき、練習している生徒の邪魔にならないよう校庭の隅に移動して、身体や体操着に付いた土を払う。


 怪我してる所は無さそうだな、引き摺られたから傷の一つぐらいはあると思っていたが、単に身体に土が付いただけらしい。

 ニチアサ世界だから怪我が無いのか、偶然かは知らないけど、不幸中の幸いと言うべきだろう。


「…………暇だなぁ」


 休憩するとは言ったが、それは身体が痛くて動けないと言った理由ではない。

 正確に言えば身体は多少痛むものの、タンスの角に小指をぶつけた時のように軽く休めば痛みが引いていく程度のモノだ。


 俺が休憩を取ろうとした理由、それはどうにもランと息が噛み合わないので、一度息を付こうと思ったからである。

 うーん、いったい何が原因なんだろうなぁ……。


「勇子ちゃん、そんなに食べて大丈夫ですか?」


「平気平気! 私にはこれがあるからね!」


「それはなんですか?」


「ふっふーん。これはガク先輩から貰った簡単に痩せれる薬だよ!」


「そんなモノが!?」


 なんか怪しいモノ掴まされてる奴が居る。

 俺がボッーと練習風景を眺めていると、校庭の端の方でパンを大量に食べている勇子を発見した。

 恐らくパン食い競争に向けての練習なんだろうが、その貰った薬は絶対偽物だろ。そんなに食べて「体重が増えちゃった!」と言っても俺は知らないぞ。


 つーか痩せる薬ってアレか。この前勇子がガク先輩を訪ねてきた時の話か。

 テレパシーで「痩せたい」って理由でガク先輩の所訪ねてきてたのは知ってたけど、最終的にただのラムネか何かを渡されたのか。

 まぁ簡単に痩せれる方法なんか無いって話だな。


「勇子ちゃん。さすがにそんな簡単な話は無いと思うけど……」


「シッ。咲黄、このままにしておきましょう」


「え? でも」


「勉強が苦手な勇子には良い経験になるでしょうから、ね?」


「緑ちゃんがそこまで言うなら……」


 緑と咲黄も騙されていると気付いているようだが、勇子には良い薬だろうと黙っておくようだ。

 多分だけど、ガク先輩もそういう思惑があるんだろうなぁ。


「我々、応援団ハ!」


「もっとだ、もっと腹から声を出すんだリュウ!」


「我々、応援団ハ!!」


「そうだ。その調子をキープするんだ、そうすれば校庭に響いてみんなに聞こえるからな!」


「分かりました部長!」


「部長じゃない、部長団長だ!」


「いヤ、さすがにどっちかに絞りませン?」


「どっちもカッコいいから譲れない!」


「ア、そうですカ」


 勇子達から視線を逸らし、他の場所を見ていると変な奴らを見つけた。より具体的に言うと、応援団の練習をしているリュウと部長。


 あの2人、いつの間にか凄い仲良くなってるな。しかも一緒に応援団に入っているようだし。


 それにしても、部長団長ってネーミングセンスはちょっとダサいな。

 もっと名前の後ろに団長って付けた方がよっぽど……あれ、そういや俺って部長の本名知らないな。咲黄とは兄妹だから、名字が名字が長神(おさがみ)なのは確定だけどさ。今度聞いてみよ。


「やぁ力男くん。どうやら休憩しているようだね、私の発明した薬を飲むかい?」


「二言目と三言目が何一つ繋がってないけど?」


 ボッーと練習を眺めていると、珍しく白衣と制服姿ではなく、体操着姿のガク先輩が話し掛けてきた。

 今日はやけに普通な格好だな、靴に小型ジェットエンジンが付いてる所を除けばになるけど。それで体育祭出るの? 出禁だよ?


「あぁそうだ。ガク先輩、二人三脚のアドバイスくれないか?」


「ふむ。二人三脚となると、君のパートナーはランくんかい?」


「そうそう」


「なら簡単さ。ランくんが力男くんを引き摺って全力で走れば勝てるさ」


「却下に決まってんだろ」


「冗談さ」


 引き摺られるのはさっきやったから、やった結果こんなにも土が付いてるんだよ。

 完全に払ったから、正確には土が付いてた後が残ってるだけなんだけどさ。


「真面目にアドバイスするのなら、別に意識して合わせる必要は無いだろうね」


「いや、合わせないと前に進めないだろ」


「何か誤解しているようだね。二人三脚は2人の息を合わせる必要のある競技だが、阿吽の呼吸と3年生の間でも有名な君達ならば、掛け声なんて付けて無理に合わせようとするよりも、自然体の方が良いと思うのだが」


「つまり?」


「無理に合わせるよりも、何も考えずに動く方が前に進めるだろうね」


「何も考えずに、か……」


 そういや一歩ずつ前に進むことしか意識してなくて、走るって部分を忘れてたな。二人三脚だから、一歩一歩確認して進むのは大事だ。

 だが、走る前提になると一歩一歩意識するのは逆に足枷になって、脚に意識が向けてるせいでランとも息も合わなくなるか。


 ランの言動が8割しか理解出来てない俺なんかが、阿吽の呼吸と呼ばれるのは少々思う所があるが、今はその辺りは置いておこう。

 3年生の間に広まっている話だからな、ガク先輩1人に言った所でそれが訂正される事は無いだろう。


「サンキューガク先輩」


「礼なら良いさ。一つ貸しにしておこうではないか」


「ありがとうな、ガク先輩」


「礼を受けとるほどの事はしてないさ。だから一つ貸しに」


「ありがとう! ガク先輩!」


「何度も礼を言われるような事ではないさ。だから貸しとして」


「ありがとう! ガク! 先輩!」


「大声で言わずとも聞こえているさ。だからこれは貸しとして」


「あー! しまったしまった、急用思い出した! 悪いガク先輩、じゃあな!」


 ガク先輩に貸し作ったら、どんな事要求されるか分かったもんじゃねぇ。ここは聞こえないフリしてやり過ごすのが一番だな。


 俺は大声を出してその場から逃げて、大会の練習として校舎の壁を何度も地面と垂直に駆け上がっているランの元へと来た。

 俺はもうこの行動には何も突っ込まない、きっと脚力でも鍛えてるんだろうな。


「ラン! もう一度練習したいんだが良いか!」


「任セロリ! 次は空中ダッシュでゴールまで一直線だ!」


「コースアウトになるけど!?」


 そもそも俺身体一つで飛べないんだけど。

 超能力有りなら話は別だけど、普通は空飛べないから。空中をダッシュするなんて発想出来ないから。


「え、でも空中にはコース設定されてないぞ」


「逆に誰が空中にコース設置するんだよ!? 空中ダッシュしながらゴール目指すのは誰も想定してないからな!?」


 そんな常識を覆す行動を対策してるのはゲームぐらいなんだけど。

 ランなら俺1人を抱えて、片足だけで空中を移動するのは簡単かもしれないが、違反行為で失格になるだろ。


「つーか陸上部の大会でもコース無視して走ってるの?」


「そんな訳ないじゃんか。何言ってんだ」


「お前が何言ってんだ」


 大会でしてないなら、体育祭でもしないようにしろよ。

 そもそも大会って空中のコースアウトに規制あるのか? てかランと部長以外で空中を自由に移動出来る奴居るの? まぁ良いや。


「ラン、次は掛け声無しで走ってみるぞ。タイミングはそっちに合わせる」


「よし、今からオレの脚力を見せてやるぜ!」


「もう充分見てるよ」


 俺は自身の脚とランの脚を紐で結び、合図も無しに走り始めた。

 残り数日、短い期間だけどやるなら1位を取りたいからな。全力で行かせて貰う!


 なお、走り始めて三歩目にして転んだのは秘密である。

 すまんラン、やっぱタイミングは俺に合わせてくれ。お前のそのスピードに俺は付いていけない。

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