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俺のクラスメイトが魔法少女な件  作者: のろとり
~第6章~多くのイベントが発生するで章
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第94話 私の番が来たな件よ

「……ねぇ、みんな」


 私は山頂から街を眺めている3人へと声をかける。

 力男とクラヨウのお陰で立ち直って、ガク先輩にここまでお膳立てしてもらった。だから次は私がみんなを立ち直らせる番よ。


 緊張はする。もし失敗して、立ち直らせる所か心を折るようなマネをしてしまったらって。でもここで立ち止まるなんて出来ない。

 まだみんなに手は届く。それなのに怖がって何もしなかった絶対、後悔することになるから!


「みんなはコマツールに手も足もでなくて、どう思ったかしら?」


「私は、怖いと思った」


「私も。お兄ちゃんに何かあったらって考えたら、心配で側を離れられなくなっちゃった」


「私もです。今までなんとかなったのだから、今までを通して強くなったらもう大丈夫……そう、思ってました」


 みんなも同じ気持ちだったのね。

 なのに私はみんなの気持ちに気付かなくて、勝手に1人で全部抱えて、ガク先輩に当たっちゃって、力男やクラヨウに迷惑掛けて……全く。考えれば考えるほど、自分が嫌になっちゃうわ。

 こんなんじゃ、理想の王子様と一緒になるなんて、夢のまた夢ね。


「緑ちゃんは気にしてないのですか?」


「マホからしたら、そう見えるかしら?」


「あ、いや。別に嫌味とかではなく!」


「分かってるわよ」


 マホがそんな嫌味を言う性格じゃないのは知っているわ。今のは言葉が足りなかったけれど、良くも悪くも正直な性格をしているのよね。

 それが理由で傷付いたり、騙されたりしているようだけど。


「実は私も怖かったのよ」


「緑ちゃんも、ですか?」


「ええ。怖くて、どうして良いか分からなくて、守ることを忘れて、ひたすらに勝つことしか考えてなかったわ」


 あの時の私は本当に酷かった。

 今になって思えば「怖い」や「辛い」と、ただ一言助けを求めれば良かった。それで本当に助かったかは別として、周りに自分が助けてほしいとアピールするべきだったわ。


 いくら天才的な頭脳でも、敵味方関係無く接する事の出来る心の持ち主でも、心の知れた友達でも、誰が何も思っているか完全に当てるのは不可能。


 実際、以心伝心と言う言葉があんなにも似合う力男とランも、正確に互いの行動を理解するのは無理と言っていたわ。


 もっと早くに気付けば良かったわね。自分の気持ちを伝えるには言葉が一番って。

 それなのに私は勝手に悩んで、勝手に結論を焦って、勝手に周りを置いて冷静じゃない自分が出した道に進もうとしてたわ。


「でも、力男が教えてくれた。私達は戦っているのは、勝つためじゃなくて、守りたいものがあるから戦っているんだって」


 まさに目に鱗って言葉が似合うわね。

 いつも戦う=勝利だったからこそ、私達がどうして戦い始めたかの原点を忘れていたわ。


 私達は勝つためにワルインダーと戦っている訳じゃない、勝利自体は守るために大切なんでしょうが、そもそもこれは守るための戦い。そこを履き違えてしまっていたわ。


「クラヨウが思い出させてくれた。私達は今まで、どんな思いを抱いて、なんの為に戦ってきたのかを」


 周りがいくら傷付こうとも一切気にしないハリボテ同然の勝利より、思わず目を逸らしたくなる程ボロボロにされようともひたすらに守る抜く。


 私の理想とする王子様と同じことを、今まで私達はしていたのよね。

 憧れていたからこそ、盲目になって憧れが現実になっていたと分からなかったのでしょうね。


「みんな怖いのは同じよ。けど私は「気持ちが同じなんだから頑張れ」なんて無責任な事は言わないわ」


 怖いけどみんなと一緒なら。コミックの主人公ならそう考えるのでしょうが、私にはそんな勇気は無い。

 頑張るの一言で全てが解決するのなら、私達はとっくにコマツールやその後ろに居る総帥とやらを倒しているでしょうからね。


「私は後悔したく無いの。やった後の後悔よりも、何もしなかった後悔、そして何も出来なかった時の後悔の方がきっと大きいわ」


「後悔、ですか……」


「力男もきっと、その後悔があるから私に……」


「緑ちゃん?」


「なんでもないわ」


 勇子の言葉に私は咄嗟に誤魔化す。

 あの時私を励ましてくれた力男の言葉、何処か説得力があったわ。まるで実際に何も(・・・・・)出来なかった(・・・・・・)後悔を体験した(・・・・・・・)かのようだった。


 私は力男に何があったのか知らない。

 力男自身が過去を語るような性格じゃないのもあるけれど、私自身が知ろうとしなかったのにも原因がある。


 だから私を立ち直らせようと言葉を掛けてくれた時、あの時の目は何処か諦めを感じた

 。後悔したからこそ達観していると言うべきなのか、ただの中学生がするしないような目を見た時、私は力男の事を何も知らないと気付いてしまった。


 無責任な事だと自分でも思う。解決できるか分からない。

 でもあの時の私のように、ただ一言「助けて」と伝えてくれれば力になる。


 けど、あんな目をするほどの事があったのだから、いつしか本人の口から言うのを待った方が良さそうね。

 無理矢理過去を掘り返されるのは力男も嫌うでしょうし。


「で、どうするのかしら。このまま恐怖で震えて後悔し続けるかしら? それとも、この景色を守るために戦うかしら?」


「ムッ、ムムム~! そんな事言われたら守るしか無いじゃん! 緑ちゃんの意地悪~!」


「…………ええそうよ、意地悪よ。でもこの意地悪は力男に習ったのよ。だから私は悪くないわよ。力男が悪いのよ」


 全く、過去を暴露しろとは言わないけれど、少しぐらいは私達を信じても良いじゃない。それとも私達に言えないぐらいの過去を力男は持っているのかしら?


 なんにせよ、魔法少女と言う特大の秘密を共有している私達にすら教えてくれないのはムムッと来るから、ちょっとは意地悪してもバチは当たらないわよね。


「え? でも力男くんってそういう事言わないと」


「そうなんですか!?」


「マホちゃん!?」


「ペンヨウの事と言い、力男さんとは一度お話する必要がありそうですね……!」


 咲黄は私が嘘をついているとすぐに気付いたけれど、素直なマホと勇子は簡単に騙されたわ。

 素直で純粋なのは長所なのだけれど、こうも簡単に騙されるのを見ると短所にも思えてくるわね。


「緑ちゃん、誤解解かなくて良いの?」


「良いのよ。あれで元気になるなら安いものだし、力男なら許してくれるわ」


「後で力男くんに怒られても知らないよ」


 怒りはするでしょうけど、力男ならきっと「許してほしかったらアイス奢ってくれ」の一言で許してくれるわ。

 無欲では無いけれど、あまり物欲が無いのか、許してほしい時の対価が安いのよね……。


「それより、咲黄は元気になったかしら?」


「うん! 街や友達、それにお兄ちゃんを守るためにもう一度頑張ろうと思う!」


「相変わらずそこはブレないのね」


 咲黄がお兄さん大好きなのは当然知っているし、そう言った光景は何度も見てきたのだけれど、わざわざ名指しする辺り本当に大好きなのね。いつかお兄さんとの子どもが欲しいと言いそうね。


 私は咲黄の言動に苦笑いしつつ、ベンチに座っているガク先輩と力男へ近付く、マホと勇子の方へと視線を向ける。


「力男さん、緑ちゃんにも変な事を吹き込みましたね!」


「え、いや。知らねぇんだけど」


「嘘を言っても私とマホちゃんの目は騙せないよ!」


「ならこれまでを振り返ってみろ。お前らの目は節穴だよ」


「君は中々に辛辣なようだね。マホくん達に信頼は無いのかい?」


「ガク先輩の言う信頼、それって騙されやすい信頼だよな?」


「よく分かってるじゃないか」


 マホと勇子が素直で純粋な性格をしているからこそ、騙されたり勘違いしているのを、力男が辛辣な言葉と共に正論をぶつける。

 そして掴み所の無い性格をしているガク先輩が場をより荒らしていく。


「いつもの光景ね」


「そうだね……ハハハ」


 人によっては全員の扱いが酷いと思うかもしれないけれど、これは本心であり本気で言っているわけではない。

 気心の知れた友達だからこそ出来るやり取り。


 街を、友達を、そしてこの光景もとい日常を私はこれからも守っていきたい。

 大変なのは分かってる、どれほど難しいかも理解してる。でも守りたいと誓ったのだから、全力で守っていくわ。何もせずに後悔するようなマネはしたくないのだから!

 勇子の影が薄いのを地味に気にしてます。

 他キャラは濃い属性が付いてますが、勇子は元気ぐらいしかない。しかも口調も咲黄と被ってる部分があって、今までの描写的にマホのオマケみたいな立ち位置になってるのが気がかり。

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