表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺のクラスメイトが魔法少女な件  作者: のろとり
~第6章~多くのイベントが発生するで章
92/146

第92話 私の後輩が立ち直ってほしいと願うな件さ

「ふむ……」


 力男くんが緑くんを追い掛けていったのを確認した私は、学校の校庭に出て体育祭の準備をしている様子を眺める。


「何やらボーッとしてますガ、大丈夫ですカ?」


「え!? う、うん。大丈夫だよ! ね、マホちゃん」


「え、ええ。平気です平気!」


「咲黄、今日は距離が近いな! そんなにくっつくと、熱中症で倒れるぞ!」


「大丈夫。私は大丈夫だよお兄ちゃん」


 やはりマホくん、勇子くん、咲黄くんの様子がおかしいようだ。

 マホくんと勇子くんは準備に集中出来ていないようで、咲黄くんは部長くんに引っ付いている。


 マホくんと勇子くんは以前コマツールと戦った事があるようで、その時と同じように手も足も出なかった事を気にしており、咲黄くんはコマツールが部長くんの命を狙っていたと聞いて不安になっているのだろう。


 全く……私の本分はメンタルケアではなく、研究なのだがね。

 こういうのは力男くんの方が得意なのだろうが、彼は今緑くんを追っている。私が行っては緑くんをより感情的にさせてしまう恐れがあり、マホくん達では傷の舐め合いとなって根本的な解決にならない。


 だからこそ力男くんを頼ったのだが、その代償として私が3人を立ち直らせる必要が出てしまった。

 彼が戻ってきてきてから頼る方法もありだが、彼には今よりも後に備えてもらいたいからね。ここは私が動くべきだ。


「やぁ」


「ん? おおガクっち!」


 私は準備を進めている部長くんへと近付く。

 咲黄くんがベッタリと背中にくっついているが、暑くないのだろうか。

 人によっては微笑ましく見えるかもしれないが、立っているだけでも汗が吹き出してくる炎天下だ。亀のように背中に人がくっついていれば、見てる此方も暑苦しくなる。


「丁度良いところに来たな! 悪いが咲黄を頼んだ! ワイから言っても意味無いからな!」


「それを伝え……ても、咲黄くんは引かなそうだね。まぁ元からそのつもりさ、ここは私に任せたまえ」


「あああお兄ちゃん~」


 どうやら部長くんも咲黄くんの様子に気が付いていたようだね。そして部長くんがどう言おうとも、咲黄くんは聞く耳を持たないようだ。


 部長くんに引き剥がされた咲黄くんは、再度部長くんの背中にくっつこうとするが、それよりも早く部長くんは残像を残してその場から消えた。


 やはり彼は常識外の存在のようだ、私の研究テーマとマッチしていて実に面白い……が、実験はまた今度だ。

 今そちらを優先しては、メンタルケアを行えないからね。なに、ワルインダーを倒した後ならば時間はある。実験はその時に行えば問題ない。


「すまないマホくん、勇子くん。話したい事があるから此方に来れるかね?」


「ごめんガク先輩、今体育祭の準備をしてて」


「ええ構いませんヨ。ほラ、2人ともガク先輩の所に言ってください」


「リュウさん待ってください、まだ準備が終わって」


「そんな状態で動かれては迷惑でス。何があったのか知りませんガ、貴方達さんが3人抜けた程度で回らなくなるような事は無いでス。兎に角今日は休んでくださイ」


 次に私はマホくんと勇子くんに声を掛けた。準備をしているからと断れそうになったが、リュウくんの後押しもあってか、2人は無理矢理追い出された。


「追い出されちゃったね」


「そうですね」


「お兄ちゃぁぁぁぁん!!」


「さて、用事についてだが……ここだと暑い。私の部室へと移動しようではないか」


 私は納得がいかない3人を用事があるからと、部室へと行かせる事にした。

 ここではマホくん達が準備している様子を名残惜しそうに眺めて話が入らなかったり、誰に聞かれているか分からないからね。






「ほれ、何も入っていないお茶でも飲んで落ち着きたまえ」


「ありがとうございます」


 私はマホくん達を連れて、部室へと戻りお茶を出す。

 いつもなら薬の一つや二つ、仕込む程度の事はするのだが……今回それをすると話が進まなくなるからね。実験は次回に回すとしよう。


「さて、私が君達を呼んだ理由は何か分かるかね?」


「ううん、全然分からない。教えてガク先輩」


「勿論そのつもりさ。まず最初に、君達はコマツールと戦ってどう思った」


「とても強かったね」


「うん。今度こそは~と思ってたんだけどね……」


「手も足も出ませんでした。このままでは、この街を守っていけるのかどうか」


 ふむ。緑くん程ではないが、こちらも心が傷付いてしまっているようだね。

 だが私は既に解決法を考えている。それが成功するかは本人次第となるがね。


「心配のようだね。そんな君達に私からある提案をしよう」


「「「提案?」」」


「あぁ。ずっとワルインダーの事を考えていても疲れるだろう? だから気分転換として、山に行くのはどうだい?」


「「「山!?」」」


 私の提案に3人は大声を出して驚く。

 今のマホくん達は戦う手段しか考えておらず、自分達の守る目標を見失っている。

 そしてその目標を思い出してもらう為には、山頂で景色を見るのが一番である。


 尤も、私が出来るのは思い出す部分であって、そこから立ち直れるかは彼女達が次第ではあるがね。


 心の傷と言うのは外部がどうこうして、簡単に治る代物ではない。本人達の次第でより傷付いたり、少しずつ治っていくものだ。だから私は治す為の土台を用意する事しか出来ないのだ。


「待ってくださいガク先輩。私達は山に登っている余裕なんて無いです、次こそ街を守れるよう」


「街を守れるよう、何をするのかね? まさか修行とでも言うのかね? ならオススメはしない。付け焼き刃程度の修行で対等になれるほど、相手は弱くないのだろう?」


「それは……ッ!」


 マホくんの反論に私は厳しい言葉を返す。

 焦る気持ちは分かるさ。こう見えて私も、5人目の魔法少女について何も分からない事に焦っているのだから。


 緑くんや力男くんに黙っていた気になる部分として、私はずっとどうして5人目の魔法少女が現れないのか考えている。


 私の部室にはペンヨウくんの友達である、ニワヨウくんが居る。力男くん達に伝えると「妖精が居るなら、5人目もきっと」と期待(慢心)されそうなので口を閉ざしているが、この想像は私自身の想いでもある。


 妖精は居るのだから、いつ5人目が現れても不思議では無い。

 そう言った才を持った人間が存在しないのか、それともニワヨウくんの力が戻っていないのが原因か。5人目は一向に姿を見せない。


 どうすれば5人目は現れるのか、どうすればコマツールを倒せるのか。行き詰まっている今の状態ではマホくんも私も良い方向には進めない。


「気を張り詰め続けていたら、戦うより前に倒れてしまう。だからこその息抜きさ、分かってくれたかい?」


「…………」


 口こそは開いているが、私の言葉に思うところがあるのか、マホくんは何も喋らずにただジッと見つめてくるだけである。


「行ってみようよマホちゃん」


「勇子ちゃん?」


「わ、私も行ってみたい。体力にはあまり自信は無いけどね」


「咲黄ちゃんまで」


「……分かりました。行くとしましょう」


「決まりだね。なら後はこれを緑くんと力男くんに伝えるとしようか」


 渋々と言った様子にはなったが、マホくんも行く気になったようだ。

 緑くんはマホくん達が来るなら着いてくるだろうし、力男くんも色々言いながらも来るだろうね。


 さてと、それじゃあ彼らが戻ってくるまで待機するとしよう。


「あれ、そうえばガク先輩。緑ちゃんは何処に?」


「今頃気付いたのかい? 緑くんなら私の実験に巻き込まれて、人体模型になったさ。ほれ、あそこに居るだろう?」


 私はニワヨウくんが入っている人体模型を指差す。

 あれからニワヨウくんは自由に人体模型の身体を動かせるようにはなったが、作り物の身体だからと言って関節を逆方向には曲げるのは修理が大変だから止めてもらいたいものだ。


 それにしても……ふむ。私が奇襲された際の万が一の戦力として、対抗する手段になってもらっていたが、コマツールの強さを考えるに万が一の戦力として動いてもらう必要がありそうだ。


「緑ちゃん!? こんな変わり果てた姿になってしまって……」


「いつもの姿に戻ってよ緑ちゃん!」


「ね、ねぇ2人とも。あの人体模型は」


「ガク先輩!」


 私は簡単に騙されている2人を眺めながらコーヒーを飲む。

 この中で唯一事情を知っている咲黄くんは人体模型=緑くんではないと説明しようとするが、その言葉は力男くんを担いで戻ってきた緑くんの大声で掻き消される。


 ふむ。力男くんがグッタリしている様子から見るに、私の計画通り力男くんは元気が出る薬を飲んだようだ。


 緑くんが受け取るのは想定外であったが、その後「そのまま追い掛けされたら、喉が渇いてジュース()を飲んでくれるだろうか」と成功したらラッキーぐらいの感覚で計画を立てたのだが、まさかこんなにも上手く行くとはね。


「おや、戻ったのかい? 緑くん」


「ええそうよ。で、色々言いたい事はあるけどまず最初にこれは伝えておくわ。ガク先輩、八つ当たりしてごめんなさ」


「緑ちゃんが2人居る!?」


「え?」


「ど、どっちが本物の緑ちゃんですか?」


「…………あぁ、うん。なるほどね。だいたい理解したわ」


 緑くんの謝罪の言葉が、人体模型と緑くんを交互に見るマホくんと勇子くんの驚きの声で掻き消される。

 頭を下げてまで謝っていた緑くんだったが、2人の様子に疑問を浮かべる。そして私を見て合点が言ったようで力男くんを椅子に座らせてこちらへと近付いてくる。


「ねぇ、ガク先輩。2人に何を吹き込んだのかしら?」


「いったい何の事かね? 全く、私を最初に疑うだなんてね。それじゃあまるで、私が力男くんが気絶するよう色々仕組んだ挙げ句、あの人体模型が緑くんの変わり果てた姿だと嘘をついて、2人を騙した張本人とでも言いたげに見えるのだが?」


「全部言ってるじゃない!」


 気絶する力男くん、騙されたとようやく理解するマホくんと勇子くん、オドオドした様子を見せる咲黄くんに、私に怒ってくる緑くん。

 私の部室は実にカオスなものとなっていた。


 1人で研究していた頃は実に静かな場所であったが、いつの間にか騒がしい場所になってしまったようだ。

 だがまぁ、それも悪くないね。

 次回は山に行きます!

 元のプロットには山に行く予定は無かったですけどね。

 なんなら1話で情報共有終わらせてその次の話で体育祭始める予定でした。まぁ最低限の話だけを纏めたプロットですからね、ガバや唐突な思い付きにも対応出来るようになってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ