第82話 僕の目覚め先が学校な件でス
「うッ……ここハ?」
「地獄セイ」
「!?」
「ペンヨウ、意地悪は駄目ですよ」
「そうだよペンヨウ。色々された気持ちは分かるけどさ」
「いや、これは力男に拾われた時に言われた言葉の真似セイ」
「まさかの力男さんが元凶!?」
「私が後で力男を叱っておくわ」
「ハハハ……」
うっすらとした意識を取り戻している最中、ペンヨウの冗談に驚き勢い良く身体を起こすト、そこは学校でしタ。
周りを見ると様々な実験道具に加えテ、魔法少女が4人、妖精が4匹も揃っていましタ。
少し前後の記憶が曖昧でしネ、ええと確か僕は義姉さんにワルインダーを抜けると宣言しテ、その後は作戦を練ってからマホさんと戦イ……
「あァ、そうでしタ。僕は負けたんでしたネ」
戦って多少善戦こそはしましたけド、相手はあの伝承として語り継がれている魔法少女。
すぐに押されていっテ、最終的には首をトンッとされて気絶させられたんでしたネ。
あの時戦っていたのは街中の筈ですガ、今僕が居るのは僕自身が通っている学校でス。
どうしてここに連れてきたのかは分かりませんガ、これから僕に拷問でもするんですかネ。
「僕はこれからどうなるんですカ?」
「地獄に落ちるのさ」
「そうですカ」
「違うよ!? ガク先輩、意地悪しちゃ駄目でしょ!」
どうやら違ったようでス。
ガク先輩とやラ───夏祭りで顔は合わせたことありますガ、自己紹介をしてなかったですネ───が別室から此方の部屋にやってきテ、スマホ片手に地獄に落ちる発言をしましタ。勇子さんの反応から見るニ、冗談のようですガ。
「電話、終わったのね」
「あぁ。まさか詐欺電話が来るとはね。だが安心したまえ。即座に切った後にかけ直して、電話先の相手を言いくるめてお金を振り込むよう伝えておいたさ」
「詐欺を詐欺で返すんじゃないわよ!」
何をしているんですかねこの人。
この世界にはオレオレ詐欺って言うのがあるとは聞いたことがありますガ、詐欺してきた相手に詐欺を返すなんて聞いた事が無いでス。
「さて、リュウくん。君の事情は戦ったマホくんからある程度聞いている」
「では僕がワルインダーの幹部と言うのモ」
「勿論知っているさ。万が一君が暴れた時に備えて勇子くん達を呼んだのだが、その様子だと必要無かったようだね」
「えエ。僕はもう戦うつもりはありませんからネ」
「それってどういうこと? リュウくん」
ガク先輩の質問に答えているト、勇子さんが疑問の声を漏らしましタ。
そうですネ、これ以上僕個人は敵対するつもりは無いですからネ。僕の今の状況についてキチンと話しておくべきでス。
「僕はワルインダーのやり方に付いていけなくなっテ、組織を抜ける事にしたんでス。たダ、その前に抜けるケジメを付けようとマホさんと戦っテ」
「今に至るって訳ね」
「えエ」
「ふむ。君の事情はある程度理解した。で、アジトは何処にある?」
「質問が直球すぎないかしら!?」
思ったより直接聞いてくるんですネ。
ガク先輩がこの中で頭脳担当なのかもしれませんガ、緑さんが驚いていますヨ。もしかしてですがこのガク先輩って人、少し変わってたりするんですかネ?
「アジトの場所ですカ?」
「もっと言えば、君の知っている限りの情報が欲しい。今の私達は情報不足だ。敵の目的の進行度、本拠地の場所、その目的に至ったまでの過去、戦略の傾向……圧倒的に不利な状態だ」
「言われてみればそうだね」
確か僕より前に魔法少女と戦っていたアクロコハ、ワルインダーについて殆ど教えていないと義姉さんが話してましたネ。とは言ってモ、学生として潜入する話していた時にチラッと語っていた程度ですガ。
コマツール様曰ク、もうアクロコはこの世に居ないと言ってましタ。
殆ど面識が無いので悲しいと言った感情は無いですガ、記憶喪失とは聞いていまス。記憶を取り戻す前にこの世を去るのは流石に可哀想とは思いますネ。
仮にアクロコがこの世を去る前に魔法少女に情報を喋っていたとしてモ、そこまで詳しくは知らないですからネ。だからこソ、色々と知っている僕に僕に聞くわけですカ。
「分かりましタ。ですが僕からも一つお願いがありまス」
「お願い、ですか?」
「はイ」
これは僕の不甲斐なさからのお願いでス。
新しい家族の絆にヒビが入ったラ、また一人になったラ、恩を返しきれてないかラ、僕のような弱者でどうにめ出来ないかカ。
そうやって言い訳して今まで逃げてきテ、挙げ句の果てにはワルインダーを抜けた僕ですガ、一つだけ心残りがありまス。
「どうか総帥ヲ……義姉さんを止めてくださイ。僕には義姉さんに過去何があったのか知りませン、どうして世界征服を目標としているかモ。ですが義姉さんのやり方は間違っていまス。でモ、僕では止められなかっタ。だかラ、お願いしまス」
コマツール様では駄目でス。
僕と義姉さんの親代わりだからと言うべき存在だからでしょうカ、義姉さんを止める事無く右腕として動いていまス。
かと言って同じ組織に居たアクロコは既にこの世に居ないですシ、僕は結局間違っていると思いながら動けなかっタ。
このお願いハ、伝承として語り継がれている魔法少女だから出来ると言う盲信ではないでス。
僕が学生として潜入して一緒に過ごしてきた友達だからこその信頼でス。
甘くて優しくテ、困っている誰かに手を差し伸べようとする性格をしている友達だからこソ、義姉さんを敵として倒すのではなク、間違った道を進んでしまっている人として正しい道を教えてくれるだろうト。
「ふむ。何か訳有りのようだが……君達はどうする? これは総帥とやらを止める力を持っている君達が決める問題だ、私は君達の意見に合わせさせてもらうとするよ」
「私は……リュウくんのお姉さんを助けるのに賛成! みんなはどう?」
「どうして世界征服をしようとしているか分からないけど、リュウくんが困ってるなら頑張って助けたい。お兄ちゃんならきっと、誰が困っててもそうしただろうし」
「私も賛成です」
「私もよ。許せない部分は当然あるけれど、困っているなら助けるしかないじゃない」
「ありがとウ、ございまス……ッ!」
僕は嬉しくて涙を流しながラ、深々と頭を下げまス。
そしてそれと同時に悔しい気持ちも溢れてきまス。今まで弱者だから強者だからと言い訳してきましたガ、自分の力でも義姉さんを変えることは出来たんじゃないかト。
後悔しても行動するには遅くはありますガ、言葉を伝えるのはまだ間に合う筈です。
今の義姉さんは聞く耳を持ってくれないでしょうが、いつか義姉さんと再開出来たら勇気を振り絞ってみましょウ。
今度は言い訳せズ、自分自身の言葉で義姉さんに僕の気持ちを伝えるとしましょウ。
この作品の代表会話二選
・ここは何処→地獄
・勉強関連の話が出る→終わった……
マトモなやり取りがねぇ!




