第81話 俺の遊び相手が家に来ないな件
「遅いなぁ……」
「遅いワニね」
夏休み終了まであと数日。とっくに宿題を終わらせている俺は、マホとペンヨウ、そしてアクロコの4人で俺の家でゲームをする遊ぶ約束をしていた。
だが時間になってもマホとペンヨウがやって来ない。
いつもなら時間ピッタリ、もしくは早めに着くぐらいの真面目なマホが遅れるなんて珍しい事もあったものだ。正直に言うとちょっと不安になる。
戦いに巻き込まれているのかもしれないし、暑さのあまり熱中症で倒れたって可能性もある。
宿題を忘れてた……って事は無さそうだな。マホの性格上忘れるような事は無いだろうし、仮に忘れてても電話で今日は遊べないと連絡してくるだろう。
そもそも宿題を忘れるなんて、そんなのは勇子やラン、リュウや部長ぐらいじゃ……あれ、よく考えたら俺の周りに宿題の存在忘れてそうな奴多くね?
「力男力男、心配ならこの前のテレポートみたいな特殊な力で、マホとペンヨウの場所を調べなれないワニ?」
「あー、超能力の事か。ちょっと待ってろ」
俺は以前、うっかりでアクロコに超能力を見せてしまった事がある。
ただまぁアレはうっかりと言うかなんと言うか、周りを見るような様子が無かったと言うか、アクロコが起きてるのに気付かなかったと言うか……一先ず、言い訳はこの辺りにしておこう。
その時にアクロコに特殊な力が使えると勘付かれてしまったのだ。
超能力の事は秘密にしておきたいが、すでに勘付かれていて、尚且つ常に家に居るアクロコなら誰にも言わないだろうと、超能力が使えるのを話したのだ。
なお、その時に脳内に直接ファ〇チキ連呼して、勇子を助けたのがアクロコにバレたのをここで報告する。
唐突にファ〇チキ連呼されて怖かったと怒っていたが、最終的にファ〇チキあげたら許してくれた。チョロい。
俺はアクロコからのアドバイスで千里眼を使い、マホとペンヨウの居場所を確認する。すると何故だかマホ達は学校に居るようだった。
「えっと、今マホ達が居るのは学校の科学部の部室だな」
「どうして学校に居るワニ?」
「それは分からないな」
少なくとも勇子の家から俺の家の道に学校は無い。
なら俺と遊ぶ以上に重要な用事が入ったと考えられる、つーか科学部の部室って事は十中八九ガク先輩に用事があるって事だよな。
なんでガク先輩の所に居るのかは分からんけど、こういう時は電話して聞いた方が早い。
念聴を使うのも一つの手ではあるが、念聴はあくまで現在進行形の会話しか分からない。なのでマホが「今日の夕飯はカレーです!」なんて関係無い話をしてたら時間だけが過ぎるのだ。
それで時間を喰うんだったら電話で───マホはスマホを持ってないから、ガク先輩経由で事情を聞くのだが───直接理由を聞いた方が早いのだ。
「あーもしもし」
\ガチャ! ツー、ツー、ツー/
「切られたワニね」
「そうだな」
なんでだよ。
俺はもう一度ガク先輩に電話を掛けようとしたが、先にガク先輩の方から掛かってきた。何したいんだよあの人は……。
『君の真似をしてみたが、どうだったかな? 力男くん』
「もう電話来た瞬間に切らないので勘弁してください」
『ふむ。謝罪まで求める気は無かったのだが……で、マホくん関連の電話かい?』
「まだ何も用件言ってないのになんで分かるんだよ」
電話してから俺まだ謝罪しか口にしてないんだけど。マホのマの字も喋ってないのに、電話した用件まで当ててくるのはなんなんだよ。
『ただの推測さ。今私の部室には、マホくん、勇子くん、咲黄くん、緑くん、妖精くん達、そしてワルインダーの幹部であるスリュウとやらが来ている。そんな状況でタイミング良く君が電話してくるとなったら、理由は一つしかないさ』
「ガク先輩怖い」
マホ達が部室に居るのと、俺が電話掛けてきたタイミングでそこまで推測立てたの?
偶然とは思わなかったのだろうか……いやでも、ガク先輩は俺の超能力知ってるから、タイミングが良い=超能力使ったと推測出来るのか。
それはそれとして、用件当ててくるのは普通に怖い。
「ってちょっと待て。ガク先輩、今スリュウって言った?」
『スリュウ・コマツール、またの名を唯野 リュウ。この学校に学生として潜入していた、ワルインダーの幹部と言ったさ』
「…………」
『その無言、私が何故知っているかを知りたいようだね』
「あぁ、教えてくれないか?」
『私もマホくんから聞いた内容になるのだがね。端的に纏めると、リュウくんの姿からスリュウへと姿を戻して攻撃してきたので、変身して倒したそうだ』
「ザックリしすぎだろ」
戦って倒すまでに色々あったんだろうけど、纏めすぎて即落ち2コマみたいになってるんだけど。
スリュウがマホのパンチ一発で簡単に倒れたみたいに聞こえるんだけど。
『その戦いの最中に色々葛藤があったようだが、私にとってはどうでも良い話さ。それで、君が連絡してきた理由はなにかね?』
「マホとペンヨウと俺の家で遊ぶ約束をしてたんだが、時間になっても来なくてな。気になって」
『千里眼で調べたら私の部室に居たので、何があったのかと私に電話を掛けてきた、と言う訳のようだね』
「先読みすんな」
合ってるけどさ。合ってるけど、そこまで言い当ててくるのは恐怖以外の何者でも無いんだよ。しかも俺喋ってる途中だったし。
『私は君から電話が来たから別室に移動しているが、マホくん達は気絶しているスリュウが目覚めるのを待っている状態さ。目覚めたら色々状況を聞こうと思っているが、君はどうするんだい?』
「俺は……」
アクロコを連れてそっちに行く、そう言おうとした時電話の向こう側からマホ達の話し声が聞こえた。
話してるって事が分かる程度で会話の内容までは聞き取れないが、スリュウが目を覚ましたのだろうか。
『おっと、ちょうど目が覚めたようだ』
「分かった。ガク先輩はマホ達の様子を見に行ってくれ、俺は念聴で家から会話を聞く」
『ふむ。では切らせてもらおう』
今から向かった所で、着く頃には話が終わってるか中途半端な所になってしまうだろう。なら念聴で最初から聞いた方が良いと、俺は家に居ると決めた。
移動してる途中、念聴使うのに集中するあまり前方不注意で車に跳ねられたり、熱中症で倒れるの嫌だし。
あ、そうだ。ガク先輩にマホ宛てに伝言頼んでおかないと。
メッセージアプリを開いて「ガク先輩から事情は聞いた、急用のようだからまた今度遊ぼう。って、マホに伝えといて」と。これを送信だな。
「どうだったワニ?」
「マホ達がワルインダーの幹部のスリュウって奴を捕まえたそうだ。で、今そいつから情報を聞き出そうとしている」
「スリュウワニか。顔を合わせることは殆ど無かったワニが、名前ぐらいは知ってるワニ」
「前から思ってたけど、お前のワルインダー内でのヒエラルキーどうなってたんだよ……」
総帥からは失敗したら消すって言われたってアクロコ本人から聞いたし、コマツールには失敗したから川に沈められる。スリュウに至っては殆ど面識が無い。
あれ、アクロコってもしかして幹部と言う名の雑用扱いされてたんじゃね?
科学部の部室でスリュウが目覚めるシーン予定でしたが、色々と描写不足になりそうなのでカット。
力男視点からのスタートになりました。
と言うのも、唐突に「実は力男が念聴使ってスリュウの話を聞いてましたー!」されても、違和感がありますからね。あと前回マホがペンヨウ連れて何処に行こうとしてたとか、その辺りも不明でしたし。




