第77話 この場の突っ込みが不足しているな件
「ん? 電話だ。悪いマホ、少し端に寄ってる」
「はい、分かりました」
今度こそは寄り道せず勇子達と合流しようと、千里眼で調べて場所へ向かっていると、マナーモードにしているスマホが何度も振動していた。
スマホを確認すると、メッセージアプリでガク先輩から着信が来ていた。
いやまぁ、ガク先輩だろうなとは思ったよ。俺の周りはスマホ持ってない奴が大半なのもあって、メッセージアプリに入ってる相手は両親とガク先輩ぐらいだし。
このまま道のド真ん中で突っ立って電話をしたら邪魔だろうし、かと言って歩きながら電話すると、周りの注意を怠って誰かにぶつかるかもしれない。
俺はマホに一言断り、道の端っこに寄ってから電話に出る。
「はいもしもし」
『やぁ力男く』
\ガチャ! ツー、ツー、ツー/
「あっやべ。間違えた」
いつもの癖で間違えて切っちまった。
ガク先輩から電話が来る時は大抵、実験に俺を巻き込もうとする面倒事だ。夏祭り中にわざわざ実験に付き合ってくれ、なんて電話をする訳はないと少し考えれば分かることだが、知らない内にガク先輩からの電話を切る癖が付いてしまっていたようだ。
俺の方から電話を掛け直そうとアプリ経由で掛けようとしたが、それよりも早くガク先輩からもう一度電話が掛かってきた。次は切らないようにと心に決め、改めて電話に出る。
『力男くん、突然切るなんて酷くないかね?』
「悪いガク先輩。何も言い返せない」
『まぁ良いさ。それよりランくんから事情は聞いたさ、勇子くん達を探しているのだろう?』
「あぁ。それで今」
『此方で捕まえておいたさ』
「マジでか!?」
千里眼を使っているとは言え、勇子達も移動している。
どうにか追い付こうと移動していたが、互いに同じ方向に進んでいて鼬ごっこになっていたせいで、中々合流出来なかったって言うのに。
ガク先輩はどうやって、勇子達の場所を突き止めたのだろうか。
あれ、でもガク先輩とランにはその場で待ってもらうように頼んだよな? それで俺とマホは勇子達を追っていたが、それより先にガク先輩が勇子達を見つけた。ってことは、
「よく見たらここ、さっき通った場所だな」
『よく見たらって、力男くん。周りを見ずに勇子達を探して……いや、君なら見る必要は無いのか』
「理解が早すぎる」
いつの間にか神社の周りをグルッと一周していたようだ。
後を追った方が早いと思ってたけど、これだったら勇子達の進行方向に先回りした方が合流出来たな。
それにしても、ガク先輩の理解力高すぎない?
俺まだ千里眼使ったなんて一言も言ってないんだけど。いや、外だと誰に聞かれてるか分からないから、そんな直球には言えないんだけどさ。
ボカした発言すらしてないのに、俺が周りを見てない=千里眼を頼りに探してたって当ててるんだけど。
『出来れば早く来てくれ。咲黄くんと部長くんが人目を気にせず互いを褒めあっているせいで、目立って人集りが出来ていている。時間がかかると合流が難しくなる』
「え、近寄りたくない」
『ならば君で実験』
「すぐに行かせて頂きます!」
そんな場所には行きたくない、ガク先輩達が此方に来てくれ。
そう言おうとしたが、来ないと実験すると脅されて、俺は今すぐガク先輩の方向へ向かうことを決めた。
「マホ、ガク先輩が勇子達。あとついでに部長達とも合流したらしい」
「本当ですか!」
「あぁ。だから早く行こうぜ!」
「はい!」
俺は急いで電話を切って、屋台で買い物をしているマホに勇子達が見付かったと報告する。するとマホは喜び、俺が電話している間に屋台で買ったモノを両手で持ちながら、勇子達の元へと向かうのであった。
「…………ところでマホ。その両手持ってるのはなんだ」
「これですか? これはりんご飴、わたあめ、ヨーヨー、フランクフルト、そしてチョコバナナです!」
「目を離した隙にどんだけ買ってんだ!?」
「マホちゃん! 1人で勝手に居なくなっちゃ駄目だよ、心配したんだから!」
「ご、ごめんなさい……」
「無事に見つかって良かったわね」
「今日のお兄ちゃんもカッコいいね」
「咲黄の方こそ可愛いぜ!」
「ガクちゃんパイセン、それなんだ?」
「これはかき氷に店にあるシロップを全種乗せたものさ」
そうしてマホは勇子達と合流した。
勇子と緑は勝手に居なくなったマホを叱りつつも安堵し、マホははぐれた事を素直に反省する。
一方で咲黄と部長は電話の通り、互いを褒め続けていた。いつまでイチャついてるんだあの兄妹。
そしてガク先輩は色んなシロップが混ざっタ結果、全体的に黒い色をしているかき氷を食べており、ランはそれに興味を示していた。うーん、カオスだな。
「リュウ、この状況をどうにかしてくれ」
「僕ですカ!?」
「この中でストッパー出来そうなのお前しか居ないし」
俺はこの中で唯一、カオスな空間を生み出していないリュウに、この状況を収拾するよう頼んだ。
悪いなリュウ、俺はこの空間に首を突っ込みたくない、犠牲になってくれ。
「あ、あのランさン」
「オレはランではない、仮面戦士RNだ!」
「あっはイ。では仮面戦士RNさン」
「かき氷はあげないぞ!」
「いえそういう話でハ」
「RNくん、これは私のかき氷さ。食べたいのなら、自分で買ってきたまえ」
「じゃあそうする! おじさん、かき氷一つ!」
「…………」
リュウは俺の頼み通りに、どうにかしようとランもとい仮面戦士RNに声を掛けたが、自分の力では無理だと悟ったのか、段々と目から光を失っていった。
「力男さん助けてくださイ」
「俺はあんなカオスな所に顔突っ込みたくないんだけど」
「僕も同じなんですガ!? それに僕はさっきあの空間に首を突っ込みましタ、次は力男さんの番でス!」
「えぇ~……」
俺もリュウは互いに嫌だ嫌だと言い合っていたが、一度首を突っ込んだから、次は俺の番だと言われたら何も言い返せない。
俺は渋々ながらも、あの空間に首を突っ込むことにした。
誰に声を掛けようか……マホ、勇子、緑辺りは話を聞いてくれるだろうが、多分この状況を止められないだろうな。咲黄と部長はカオスな空間を作った元凶だし、ランはかき氷を買っている。そうなると、消去法でガク先輩になるのかぁ。
「なぁガク先輩」
「このかき氷は私のだから君にはあげないさ」
「誰も欲しいとは言ってないんだけど!?」
そんな黒く変色したかき氷なんて食いたくねぇよ。食いたいなら1人で勝手に……あぁいや、ちゃんと食べてるな。しかも何故か美味しそうに。
食べ物を無駄にしないって観点では良いことなんだろうが、この人の味覚はどうなってんだよ。
「なぁガク先輩、そうえばさっきマホ達に用事あるって言ってなかったか?」
「用事と言うほどでも無いのだがね。まぁ早く終わらすのに越したことは無いね」
俺はどうガク先輩に場を納めてもらおうか考え、ランが一緒に回ろうと言った時に「マホ達に用事が」と言っていたのを思い出した。
どんな用事なのかまでは、テレパシーでも分からなかったが今はその用事をダシとして使わせてもらおう。もし実験に関する話なら犠牲になってくれと、マホ達にガク先輩を押し付けた。
「マホくん、勇子くん、緑くん、咲黄くんは……忙しそうだね。すまないが、少し良いかね?」
「どうしました?」
「なになにガク先輩?」
「どうしたのかしら」
「いやなに。折角神社に来たのだから、おみくじで運試しでもしようかと思ってね」
ガク先輩はマホ達にどんな実験、もしくは無茶ぶりを要求するのだろう。
そう考えていた俺だったが、おみくじとと言う意外な提案に目を丸くした。
今回で初めて学生組が全員集合しました。
今までは一年組or力男と同じクラスのキャラが纏めて出るぐらいでしたので。
キャラが多いと収拾がつかない&一部のキャラしか喋らない問題が発生するので、大勢出すのは基本的に避けているんですよね。
魔法少女が登場する=妖精もセットって場面が多々ありますが、その時も持て余していますし。
具体的に言うと、妖精で台詞あるのが基本的にペンヨウだけだったりする。さすがに4人+4匹は捌けん。




