第73話 僕の総帥が厳しい人な件でス
※今回はシリアス100%回です。本人(登場人物)達は真面目にギャグ0%です。
第7話以降一度も無かった、ワルインダー側の陣営だけが登場する回です。
「まだ例の魔法使いの情報は掴めないですか」
「はイ、申し訳ございませン」
ここは総帥、コマツール様、そして僕以外の三人しか知らなイ、魔法世界の遥か上空に浮かんでいるワルインダーのアジト。僕はコマツール様に頭を下げておりましタ。
事の発端は1ヶ月前、僕が学校で配られている新聞を見せたのが切っ掛けでしタ。
その新聞には【まさかの陸上部!? 魔法使いの正体見破ったり】と書かれていましテ、何故だかフリフリな格好をしている部長の写真が載っていましタ。
突然の奇行に最初は混乱しましたガ、一応は魔法と書いてあるのでコマツール様に報告したとこロ、この写真の魔法使いについて情報を集めてほしいと頼まれました。
部長もコマツール様もおかしくなってしまったようでス。
「謎の魔法使い……まさか、5人目の魔法少女ですかね?」
「どう見ても少女には見えませんガ」
コマツール様がそこまで魔法使イ、もとい部長を警戒する理由が分かりませんガ、そんなにも警戒しなくても良いのでハ。どうせただのコスプレか何かでしょうシ。
「有り得ない、なんて考えていると足元を掬われますよ。特に魔法少女の話となれば」
「ソ、そうですカ」
今まで魔法使いに関する事が新聞に載っていないかチェックする程度でしたガ、コマツール様がそんなにも警戒するのでしたラ、一度本腰を入れて調査する必要がありそうですネ。
夏休み中だから部長と会う機会は少ないでしょうガ、同じ街に住んでいるので適当に散策していれば会えるでしょうネ。
それでも難しい場合は陸上部の活動中に監視するとしましょウ。
「ところでコマツール様、一つ宜しいでしょうカ」
「はい、構いませんよ」
「この前の城下町を攻める作戦ですガ、どうして失敗前提の作戦だったんですカ?」
今後の行動を決めた僕ハ、数日ほど前に怪人2匹を連れて城下町を襲った作戦についテ、コマツール様に質問をしましタ。
あの時はスカイブルーが弟を庇って充分に力を発揮出来なかった結果、此方が一方的に攻めてもう少しで勝てそうだっタ。と言う嬉しい誤算はありましたガ、あの時は怪人を2匹とも倒されてその場から去るのが目的でしタ。
欲を出してスカイブルーを倒そうとした結果、スカイグリーンに邪魔されましたガ……結果から見れバ、作戦自体は成功していまス。
「それは魔法少女の存在を知らしめる為ですね」
「知らしめる為、ですカ……?」
僕はコマツール様の言葉の意図が分からず首を傾げまス。
魔法少女の存在はこの魔法世界には伝承として広く伝わっていまス。知らない人物と言えバ、赤ん坊か余程の世間知らずかの二択でしかありませン。
それなのに魔法少女の存在を広めるとハ、どう言った意味なんでしょうカ。
「ええ。まずワルインダーが世界征服するに当たって、有象無象がちょっかいを出さない最善策としては、魔法少女を倒す事です」
「それと広めるのにどういう関係ガ?」
「魔法少女はあくまで伝承上の存在です。例えそれを倒したと言っても、ホラ話だと納得しない輩が大勢居るでしょう」
なるほド。
魔法世界で知れ渡っている魔法少女は伝承、所謂お伽話に近い存在でス。それを我々ワルインダーが倒したとアピールしてモ、伝承上の存在を倒したなんて嘘だと聞く耳を持たない人物が大半でしょうからネ。
その人物達を納得、そして我々を妨害する心すらも折るためにハ、強さも存在も伝承として広く伝わっている魔法少女を倒したとアピールが大事なんですネ。
「ですので城下町を襲ってワルインダーの存在を大々的にアピール、そして倒される事で魔法少女の存在を伝承から現実へと認識と変えます」
「つまリ、魔法少女の存在が浸透した所デ」
「倒します。希望の存在が居なくなれば、ワルインダーに逆らう民衆は存在しないでしょうね」
妖精国こそは滅ぼしましたガ、ワルインダーの仕業とは周りに伝わっていないですからネ。
城下町と言う人が多い場所で暴れることで人々の不安を仰ギ、そこを魔法少女に倒される事でワルインダーと魔法少女の存在を認知させル。
そして人々が魔法少女に希望の光を見出だした所ヲ、我々ワルインダーが倒して希望を潰えさせテ、反逆しようとする人々の心を追って簡単に世界征服を進めル。それが目的ですカ。
「コマツール、話は終わったか」
僕がコマツール様の言葉に納得していると、いったいいつから居たのやラ。コマツール様の背後に総帥が立っていましタ。
「おお、これは総帥。居らしたのですか」
「スリュウ、貴様に話がある。コマツールは下がれ」
「仰せのままに」
総帥の命令通りコマツール様はその場から消エ、僕と総帥だけが残りましタ。直接会うのは僕が学校に転校する前でしたネ。久しぶりに顔を見れて嬉しいでス。
「久しぶりですネ総帥」
「…………スリュウよ、貴様に一つ問う。何故二度も魔法少女を排除出来たのに見逃した?」
「ソ、それハ」
僕は総帥からの当然の問いに言葉を詰まらせまス。
総帥の言う見逃した場面とハ、怪人ニワトールがペンヨウと呼ばれる妖精と友達だと知った時、もう一つはこの前城下町を襲った時にスカイブルーの弟が前にでてきた時でス。
互いに互いを庇うような甘い場面。あそこで感情を捨てて攻撃していれバ、今のように4人の魔法少女相手に苦戦する事は無かったでしょウ。
そんな相手を見逃すとは悪の組織の幹部としては三流も良い所でス。ですガ……
『大丈夫。貴方は私が守るわ』
1人の人間としては出来ませんでしタ。僕が今生きていられるのはその甘い性格をしている人物に助けられたのだかラ。
庇っている所を見るト、どうしてもその人物を思い出してしまいまス。
「僕には誰かを庇っている人間ごと排除出来るような心は持っていませン」
「甘いな。そんな甘い心では、いつか付け狙われるぞ」
総帥の言葉は正しいでしょウ。
実際にその甘い性格をしている人物ハ、僕を庇ってこの世を去ったのだかラ。
魔法少女のような奇跡を起こす力があるわけでモ、優秀な頭脳を持っている訳でもない僕ハ、所謂弱者。そんな弱者は強者に喰われるのがこの世の心理でス。
「でモ! 僕ハ……僕はあの時の姉ちゃんのような人間にトドメはさせなイ!」
「貴様の過去は当然把握している。その過去を刺激するような辛い選択を課しているのは重々承知だ。だが、時には心を鬼にするのも大事だ」
「…………」
「よく覚えておけ。甘い選択を取れば、それはいつしか自分の首を絞めることにな」
「待ってください総帥……いや義姉さン!」
その場から去ろうとする義姉さんを止めようとしますガ、話を終わったと言わんばかりに僕を一瞥した後に無言で何処かへ歩いていきましタ。
謎の魔法使い(笑)を警戒するワルインダー。
まぁワルインダー側からすれば、魔法少女と戦ってたら突然、ムキムキな中学生が「自分は魔法使いだ!」と言いながら、街中走ってる新聞が出回ってきましたからね。
これで警戒するなと言うのが無理でしょう。
スリュウの姉ちゃん=新キャラ(故人)です。
スリュウの義姉さん=ワルインダーの総帥です。




