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俺のクラスメイトが魔法少女な件  作者: のろとり
~第4章~魔法少女のターンが始まるで章
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第62話 妖精国のモノが貸し出し中な件さ

「マホくん、マジュくん。身体の調子はどうかね?」


 夕方。私がマホくんの家へ戻ってくると、何故だかマホくんとマジュくんが怪我をしていた。事情を聞くと、どうやら城下町でワルインダーに襲われたようだ。


 まさか此方の世界でも現れるなんてね。マホくん達が魔法世界に来たから現れたのか、それとも偶然にも城下町を襲う予定があったのか……なんにせよ、マホくん達が無事で私も安心さ。


「ガク先輩のお陰で良くなりました。ありがとうございます」


「ガクさんありがとう!」


「礼を言われる程では無いさ。それともう一度釘を刺させてもらうが、副作用として今日の夜辺りには疲労と眠気が同時に襲ってくるだろうね」


 魔法世界で有事の際が起こった時に備えて、治癒力を活性化させて、怪我の治りを早める薬を持ち歩いていて正解だったね。

 まぁその効果はあくまで副産物に過ぎないがね。


 本来の使い道は、体内の元気パワーを増幅させるのが目的の薬だ。元々は毎回元気パワーを吸い取られて動けなくなるのは歯痒い気持ちがあったから、それの対策として作ってみたのだがね。

 ついで感覚で出来た副産物の効果が役に立つとは……いやはや、人生何が起こるか分からないね。


「本当になんでも出来るわね」


「そこまででは無いさ。なんでも出来ると言うのなら、私は君たちと肩を並べて戦っているだろう?」


「ガクが戦ったら何するか分からなくて怖いクラ」


 失礼な言い方だね。

 私自身が仮に戦えたとしても、するのは精々ワルインダーの幹部に特攻を仕掛けて、情報吐かせるために拷問するぐらいさ。

 街の被害は怪人を倒せば直るのは知っているからね、そんなものはある程度目を瞑るさ。今の私にとって重要なのは研究、もしくは情報だからね。


「あ、あの。ガクさん」


「ん、なにかね? 私の実験体になってくれるのかい?」


「いや違うけど」


 ふむ。わざわざ私に話し掛けてくるのだから、実験台になるのを快く願い出たのかと思ったが、どうやら違ったらしい。


「ガクさんはどうして姉ちゃん達を助けてくれるの?」


「私の研究を邪魔する人達を排除してもらうためさ」


「えぇ……」


「ただまぁ、それは私個人の意見さ。私の友人ならば『見捨てるのは気分が悪いから』と、答えるだろうね」


「え、そんな理由?」


「大体の人間は自分の損得で動くものさ。そう、今の私のようにね」


 マジュくんのように「マホくんを守りたい」と他人を思いやる気持ちで動くのは、少数の人間だろうね。勿論だが、その少数には魔法少女くん達も含まれるさ。


 力男くんは損得で動く人間だと思うのだが、彼は時折にも損得関係無しに動いている時があるから、なんとも言えないね。


 実際、超能力を隠してるのは「騒ぎになると面倒だから」と言う、損の感情で考えている。

 だが魔法少女くん達になんやかんやで関わりを持っているのは、損得とは別の……誰にも話してない理由があると私は考えている。

 まぁそれは彼のプライバシーに関わるから、これ以上考えるのは止めておこう。


「それにしても、ふむ……」


 どうして今回ワルインダーは、元気パワーを吸い取ろうとしなかったのか、そこが気掛かりだね。

 単純にもう元気パワー自体が要らないのか、それとも今は吸い取る必要が無いのか……。


 可能性として1番有り得るのは、怪人を作る必要が無くなったからだろうね。

 意識のみで世界を漂っている妖精達を実体化させるには、元気パワーが必要なのは調査済みだ。それは妖精を元にしている、怪人にも同じ事が言えるだろう。


 人間に例えとると、元気パワーは水と同等に必須なモノだ。

 それが必要無いとなると、これ以上怪人を増やす必要が無い。

 または元気パワー無しでも怪人が増やせるの二択が考えられるが……後者は有り得ないので、前者一択だろう。


 そうなると、どうして怪人が必要無いかが疑問だ。怪人では既に実力不足だと考えている? それとも怪人を殆ど倒した? もしや私の「元気パワーが必要無い」と言う前提が間違っていて、別の理由が───


「どうしました?」


「あぁいや、マジュくんと力男くんは相性が良さそうだと思ってね」


 思考の海に浸かっていた所、マホくんに話し掛けられて私は咄嗟に誤魔化す。気になる事があると思考の海に浸かってしまう、私の悪い癖だな。


 ひとまず今は置いておくことにしよう。

 考えたところで、出てくる答えは可能性を組み合わせただけの仮説に過ぎない。

 断定出来る情報が無い以上、その仮説は無限大に増えて思考が終わらなくなるからね。


「力男さんって誰? ガクさんの知り合い?」


「私達の世界に居る友人で、よく周りに振り回されている不憫な男の子さ」


「振り回してる代表が言うと説得力が違うわね」


 力男くんを振り回している自覚は多少なりともあるが、君たちも人の事を言えないと思うがね。とは言っても、彼が超能力で色々知ってマホくん達が知らない所で勝手に動いているようだから、自覚は無いだろうけどね。


「姉ちゃん姉ちゃん。俺、いつかガクさん達の世界に行きたい! 力男さんって人に会ってみたい!」


「うーん……ガク先輩、この世界のお土産ですが」


「マジュくんをお土産とは言わないだろうね?」


「駄目ですか?」


「ペンヨウくん。マホくんを止めてくれたまえ」


「無理セイ」


 この場にマホくんを止められる人材は居ないようだ。

 力男くんが居れば説得してくれただろうに……マホくんの制御装置として無理矢理にでも、連れてくるべきだったか?


「お土産で思ったのだけれど、ガク先輩は何かお土産買わないのかしら?」


「私は既に手に入れたさ」


「いつ買ったクラ? 昨日、ライヨウ達と図書館から帰ってきた時は何も持ってなかったクラが」


「妖精国に落ちてた貴重な本とか少々ね」


「姉ちゃん、ここに泥棒が居る」


「泥棒だなんて侵害だね」


「妖精国に行ったら、偶然(・・)にも誰も居なくて、偶然(・・)にも壊れた城近くに貴重な本とかが落ちてて、持ち主に届けようと思ったが偶然(・・)にも名前が書いて無くてね。仕方無く私が預かっているのさ。いやぁ……偶然とは実に恐ろしい!」


「偶然がそう何度も起こるわけないセイ」


「マホ、今後ガク先輩を1人で行動させるのは禁止にしましょう」


「そうですね」


 勝手に単独行動が禁止されてしまっているが……まぁ良いさ。

 今度行動する事があれば、適当な事言えば簡単に騙せるマホくんか、人の事を簡単に信じる勇子くん、もしくはなんやかんやで協力してくれそう力男くん辺りを連れていけば、端から見て問題的な行動を起こしても、簡単に誤魔化したり、無理矢理押し通せるだろう。


「実の所、こう見えても無断で貰うのは忍びないと思っていたさ。だが、そのまま放置しておくと泥棒が現れるかもしれないだろう? 私はそんな泥棒達からお宝を守ったのさ」


「泥棒が泥棒から守るとか意味分からない事言ってるクラ」


 私は泥棒ではなく科学者さ。

 そしてマホくん達には喋っていないが、本とか妖精国で起きた様々な事件を纏めた新聞とか色々、元の世界に繋がっている空間を通って、一時的に私の家に保存させてもらった。


 本当なら妖精国で軽く調査する程度で済ませたかったのだが、如何せん量が多くてね。持ち帰って調べる事にしたのさ。

 それにしても、妖精国と私の家を何往復もして疲れたね。今日はグッスリ休ませてもらおうとするかね。


「ただいま~」


「な、なんとか誤魔化せたよ」


「おかえりなさい」


 何往復もして疲れた脚を解していると、勇子くんと咲黄くんがリビングへとやってきた。

 マホくんとマジュくんが怪我しているのを見ると、マホくんの両親が心配すると思って、誤魔化してもらっていたが、表情を見るにどうやら成功したようだね。


「説明を任せて申し訳無いね。相手を言いくるめるなら私が適任なのだろうが、その場に居なかった私が説明すると違和感を持たれるだろうからね」


「どうして自称科学者が言いくるを得意にしてるのかしら……」


 科学者足るもの、相手を出し抜く能力は必須だからね。部活創設だったり、部室確保だったり、1人だけで動くのは不利だったからね。

 相手から言質を取ったり、弱みを握ったりと、頑張っていた時期が私にもあったのさ。


「ところでみんなで何を話してたの?」


「ガク先輩が泥棒を」


「お土産について話していたのさ」


 おっと危ない。

 私は緑くんの言葉に被せて、お土産の話をしていたと誤魔化す。緑くんが私の事を睨んできているが、私は知らん顔をする。


 引っ込み思案の咲黄くん相手なら、こちらが強く押せば有耶無耶に出来るが、真っ直ぐな性格の勇子くん相手だと、こちらが幾ら誤魔化そうとも「それは犯罪だよ!」と言われてしまうからね。これ以上言及されないよう、話を逸らすのが最適さ。


「お土産、お土産……あっー!」


「ど、どうしました!?」


「ガク先輩にお土産買おうとして忘れてたー!」


「今すぐ行けば間に合うかな?」


「まぁ待ちたまえ。君たちはさっき戦ったばかりで疲れているだろう? そこまで無理をしてもらう必要は無いさ」


「友達にお土産を渡すのに無理なんかしてないよ!」


 …………友達、か。力男くんは私を「ただの先輩」程度にしか思っていないようだからね。友達呼ばわりされたのは初めてだが、案外悪くない響きだ。


 それにしても、交友関係が力男くんと魔法少女くん程度しか居ない私が言える立場では無いだろうが、力男くんは友達が居るのだろうか。

 思えば彼から友達なんて単語を殆ど聞いたことがない。もしや彼はぼっちなのかもしれない。


「そうか。その気持ちだけでも私は嬉しいが……そんなにも用意したいと言うのなら、明日の朝一にもう一度城下町に行くのはどうだい?」


「おおっ! ガク先輩グッドアイデア~!」


 お土産を渡す相手にアドバイスを貰うのはどうかと思うが、勇子くんはあまり気にしないだろうね。

 それに私自身、どんなお土産を選んでくれるか楽しみだから、口にはださないでおこう。

 この回書いて思った事。

「ちくしょう! この場に変人しか居ないせいでマジュだけだと突っ込みが足りねぇ! 誰か、誰か力男を呼んでくれ!」


 今回サラっと出てきた薬は、マジュくんの治療用に出してみました。魔法少女系の作品はシーンが変わると怪我が治ってるイメージがありますが、それって一般人にも適応されるのかな? と思ったので。

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