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俺のクラスメイトが魔法少女な件  作者: のろとり
~第4章~魔法少女のターンが始まるで章
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第52話 ペンヨウくんの様子がおかしいな件さ

「どうですか、ガク先輩」


「どう、と言われてもね……私は生物学は専門外だからね。なんとも言えないのが現状さ」


 私が夏休み中でも部室で研究を続けていると、マホくんが部室を訪ねてきた。夏休みなのに学校へ来てどうしたのかと尋ねれば、ペンヨウくんの様子がおかしいので見てほしいとの願いであった。


 私はあくまで科学者の端くれであって、医者ではない。本来なら動物病院にでも連れていくのが正しい判断なのだろうが、ペンヨウくんは妖精だからね。それに人目に晒す事が出来ない以上、頼れるのが私だけだからここまで連れてきたのだろう。


 しかし……夏休み前に調べさせてもらった時と比べても、ペンヨウくんに特段変化は見られなかった。あくまで「外見」の変化が見られないだけで「内側」が変化している可能性自体はあるが、素人知識すら無い私では調べるのは不可能である。


 もしこれが内側、それこそ妖精特有の病とかであった場合は、1番詳しいのはライヨウくんだろう。長生きしている分、断片的だろうとも物事を多く知っているだろうからね。


 ただ、マホくんがここに来ているとなると既に聞いた後なのだろう。マホくん、ペンヨウくん、ライヨウくんは全員勇子くんの家に居候しているようだからね。私の元へ来るよりも前にライヨウくんにペンヨウくんの容態について聞いているだろう。


 そして私の元へ来たとなると、ライヨウくんですら分からない問題なのだろう。ふむ……同じ妖精であるライヨウくんですら分からないとなると、少なくとも外見の問題ではない? なら内面なのだろうが、もしや精神面による不調だろうか。それとも元気パワーの不足? 判断材料が少ない今では絞りきれないね。


「ペンヨウくん、改めて確認するが身体に異常は無いのかね?」


「無いセイ。ただ……なんかこう、落ち着かないセイ」


「最近何処かに出掛けたり、変なモノを食べたりしたかい?」


「力男の家に遊びに行った以外何も無いセイ」


 おや、まさかここで彼の名前を聞くことになるとはね。力男くんは色々知っている事を隠していた筈だが……彼が進んで話すとは思えないな。となると、マホくん達の誰かがボロを出して、秘密を共有するような事態になってしまったのが原因だろうね。


「力男くんとなると、マホくんと同じクラスの『超能 力男』くんで合っているかい?」


「そうセイ! って、力男と知り合いセイか?」


「暇そうにしてたから実験に巻き込んだ事があってね。その時に知り合ったのさ」


「何してるセイ……」


 勿論これは嘘だがね。

 力男くんが超能力を持っていて、私の研究の手伝いをしてもらっている。これが真相なのだが、力男くんは超能力を扱えるのを秘密にしているようだからね。さすがの私も人の秘密を勝手に喋るようなマネはしないさ。


 それにしても、彼はどうやって超能力を身に付けたのだろう。マホくんたちは妖精くん達から力を与えられて、部長くんは鍛えた───鍛えただけで、人類の限界は突破出来るかは兎も角として───多少なりとも、特殊な力を手に入れた経緯がある。だが、彼の場合は本人が答えてくれないから不明である。


 それに力男くんは戦いの場に姿を表すような行動を避けているようだ。自身の力量を的確に把握していて、前線に出てマホくん達の脚を引っ張る行動を避けているのか、それとも戦い自体に恐怖を覚えているのか……仮に前者だとしても、違和感が残る。どうして彼はマホくん達を助けようとしているのか。巻き込まれたくないのなら、最初から知らないフリをすれば良いものだ。


 …………いや、これ以上は力男くんのプライバシーに関わる内容だな。彼にも彼なりの秘密があるようだから、これ以上踏み込むのは止めておこうか。聞いたとしても、答えてはくれないだろうからね。


「少し力男くんにペンヨウくんの事を確認してみるとしよう」


「それは何セイ?」


「これはスマホさ。遠くに居る相手と連絡出来る機械で、数多くの個人情報が詰まっている便利な機械さ。ただ、紛失すると悪用される危険性があるから、学校に持ってくるのは禁止されているね」


「ここ学校なんですが」


「バレなければセーフなのさ」


「それ駄目ですよね!?」


「冗談さ。本当は実験に必要と言う建前で持ってきているだけさ。幸いにも科学部としての実績は幾つもあるのでね。実験に必要と言えば大抵は話を通せるのさ」


「もっと駄目だと思うのですが……」


 校則なんて守る暇があれば実験の1つでもするべきだとと言うのが私の考えだからね。そもそも夜中の学校に何度も忍び込んでいる時点で校則を破っているからね。1つでも破れば、2つや3つ破ろう程度変わらないさ。


「細かい事は良いさ。では力男くんに電話するとしよう」


「もしもし、力男くんかね?」


\ガチャ! ツー、ツー、ツー/


「あの、ガク先輩」


「留守にしているようだね」


「明らかに切られてましたよね!?」


 全く、一言も言わずに切るなんて失礼だね。

 私は力男くんの態度に内心悪態を付きながら、もう一度電話を掛ける。出ない。もう一度掛ける。出ない。掛ける。出ない。掛ける。出ない。掛ける……


『イタ電止めろ今すぐ切るぞ』


「そう固いこと言わないでくれよ。君と私の仲じゃないか」


『ただの先輩と後輩なんだが?』


 数にして10回は越えた辺りで、力男くんはようやく電話に出てくれた。出てくれるまで永遠に掛け続けようと思っていたが、その心配は要らなかったようだね。


 それにしても力男くんは冗談が上手いね。私と君の仲と言えば、研究者と助手では無いか。忘れたとは言わせないよ、君の超能力について(強制的に)調べる代わりとして、私の実験を手伝ってもらった日々をね。


「さて、冗談はこの辺りにして本題に入らせてもらおうか。君の所にペンヨウくんが遊びに行っているとマホくんから聞いたのだが、それは本当かね?」


『あぁ、本当だな』


「その時ペンヨウくんに何かしたかね?」


『いや、特に何もしてないな。した事と言えば精々一緒にゲームしたぐらいだぞ』


 力男くんが何かしたのかと思っていたが、これは予想外であったな。ふむ……力男くんが超能力を使ってペンヨウくんに何かしたのかと思ったが、当てが外れただろうか。いや、念のためもう少し話を聞くとしよう。


「詳しく聞いても良いかね?」


『詳しくって言われてもな……精々、レースゲームしたり、ハンドパワーってふざけながらペンヨウに触れて力与える遊びしたり、協力系のゲームしてたらいつの間にか味方を狙うデスマッチに変わったりしたぐらいだぞ』


 なるほど、大体は理解した。

 力男くんは遊び程度の認識なのだろうが、ペンヨウくんの様子がおかしいのはハンドパワーと言って遊んでいたのが原因だろうね。


 直接触れて力を与える、これは私がニワヨウくんに元気パワーを与えている方法と同じだ。力男くんとしてはふざけたのだろうが、そのおふざけが偶然とは言えペンヨウくんに元気パワーを与える事になるとはね。


 これでペンヨウくんの状況は概ね理解した。今のペンヨウくんは元気パワーが有り余っているのだろう。一般人のような私から摂取出来るエネルギーなんぞたかが知れているが、魔法少女や超能力者のように特殊な力を扱えたり、異様なまでに元気な人間は例外である。


 例えるなら今のペンヨウくんは、遠足前日なのに元気が有り余って寝付けない小学生と同じである。言葉にすれば意外にも幼稚に聞こえるかもしれないが、私にとっては重要な話である。


 これは今までの実験から総合した仮定に過ぎないが……元気パワーは、物質や概念に干渉出来る力を持っている。実際、ニワヨウくんが人体模型(物質)に干渉して動かしたり、魔法少女くんが怪人を浄化しているのが証拠と言えるだろう。何が出来て何が出来ないかは未だ不透明だから、あくまで仮説に過ぎないがね。


「そうか。急に電話してすまないね、謝礼として人間を妖精に変える薬をプレゼントしようではないか」


『そんなの要らな』


 力男くんの言葉を聞く前に私は電話を切る。

 なにやら喋っていたようだが、今の私はそれより大切な事がある。きっと薬をいつ渡してくれるかの話だろうと適当に辺りを付けて、マホくんとペンヨウくんを見つめる。


「事情は大体理解出来た。となると……マホくん、一つ確認したいことがある」


「はい、なんですか?」


「ここ3日間ほど暇かね?」


「まぁ、夏休みですので。暇ではありますね」


「では私の家に泊まりに来てくれ」


「え!?」


 私はずっと考えていた。どうやってマホくんとペンヨウくんはこの世界へやって来たのかと。彼女達は「助けて」と願ったらこの世界に来たと語っていたが、願うとは別の何かが理由でこの世界へ来たのではないかと。


 そして私は元気パワーの調べていく内に、ある疑問が浮かんだ。妖精の魂と言う概念に近いモノすらも形に出来るのだから、世界と世界の空間というあやふやなモノも干渉出来るのではないかと。


 結果としては今まで失敗続きであったが、それはマホくんとペンヨウくんが居ない、と言うそもそもの前提条件が違う状態で試していたからである。変身や浄化技などで元気パワーの扱いに手慣れている魔法少女くんと、元気パワーを魔法少女くんに与えられる妖精くん。彼女達の力を借りれば事態は大きく進められる。


「出来れば他の妖精くん達に加えて、勇子くん、咲黄くん、緑くんが居れば助かるのだが……最低限、マホくんとペンヨウくんが居れば問題は無いだろうね」


「ちょっと待ってください。いったい何の話ですか!?」


「おっと、すまないね。そこの説明が抜けていたようだ」


 私1人だけで話をしており、すっかりマホくんとペンヨウくんに説明していない事を思い出し、素直に謝罪をする。


 これまでずっと後手に回っていたからね。ようやく先手が打てると思ったら、ガラにも無く浮かれてしまっていたようだ。とは言っても、まだ過程どころかスタートすら切れていないのだから、油断出来ないと言うのにね。


「説明すると長くなるから簡潔に述べさせてもらおうか」


 私は話をどう切り出そうか思考をする。

 空間を干渉して世界を渡ると説明しても、理解されないだろう。かと言って、元気パワーについては情報が不足している部分が多いため詳しい説明は現状出来ない。ふむ、何か良い説明は……あぁ、いや。もう結論から話した方が理解が早いだろうね。


「この夏休み、ちょっとした旅行へと行こうではないか。君たちの故郷、魔法世界にね」


 ワルインダーだかなんだか知らないが、世界征服なんて幼児の考えた夢のような目標を掲げている組織が、私の研究を邪魔をするなんて100年早い。


 さぁ、反撃の一手を準備しようではないか。

※ハンドパワーと言って遊んだのはランです。


Qガク先輩は何が言いたい

A.マホがこの世界に来たのは何か方法がある筈……へぇ、元気パワーって概念にも干渉出来るんだ。あっ、それなら空間にも干渉出来るんじゃね? もしそれなら、マホ達がこの世界に来れたのも一応の説明がつく。よし、なら早速マホ達を誘って自分の家で試そう!

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