第50話 マホ達の秘密が共有な件~後半~
【魔法少女の現在設定】
・マホ:天然。素直。嘘付けない。隠し事下手。幽霊が怖い。異世界人。敬語。弟が居る。髪が青い。
・勇子:元気。素直。嘘付けない。隠し事下手。幽霊が怖い。勉強が苦手。人を信じやすい。髪が赤い。
・咲黄:ブラコン。兄に対して鬼畜。引っ込み思案。頭が良い。困ってる人を助けようとする。周りに引っ張られやすい。恐怖耐性強。髪が黄色い。
・緑:恋愛脳。王子様を探してる。喫茶店の看板娘。警戒心が強い。三人のストッパー。髪が緑色。
「俺がペンヨウと出会ったのは6月の中旬。休みの日、適当に外を歩いてたら空からペンヨウが降ってきたんだ」
「空からとなると……あの時ですか」
「突然降ってきて何事かと思ったら、腹減ったと呟いたら意識が無くなっちまってな。取りあえず家に連れ帰ったんだ」
最初降ってきた時は焦ったなぁ。
いつもマホと一緒に居たペンヨウが1匹だったからな。マホ達魔法少女が全滅して、ペンヨウだけでもと逃がしたのかと思ったもんだ。
「目が覚めたペンヨウに色々事情を聞くと、勝手に口を滑らしたようで妖精、魔法少女、異世界人、怪人の正体……諸々喋ってな。話した後に秘密と言ってたが、聞いた後に言われてもな」
「ペンヨウ……?」
「ヒィ! ま、マホ。なんだか顔が怖いセイよ……?」
「さすがの私も怒りますよ! 秘密にしていたのにどうして。罰として夕飯は抜き」
「ちなみにだが、俺はマホが時折「別の世界」とか口を滑らす時点で怪しいと思ってた」
「……に、しようと思いましたけどペンヨウも秘密を隠そうとしていたでしょうからね。こここ、今回は特別に無かったことにしましょう」
「声震えてるぞ」
マホは隠し続けていた秘密を全て話していたペンヨウを怒ろうとしたが、自身も全然隠せていなかった事にショックを受けたのか、動揺しつつ夕飯抜きと言う台詞を撤回した。
マホからすれば、ペンヨウは口が軽いように見えるだろうが、正確には口が軽いのではなく、嘘が下手で秘密を秘密に出来ないのが正解だ。あとマホもペンヨウと対して変わらないぞ。ついでに勇子も。
「その時にアクロコと鉢合わせような形になってな」
「あっ、そっか。アクロコを居候させてて、ペンヨウをお家に連れ帰ったから」
「そういうこった。敵対してたってのにな……頭からすっぽり抜けちまった」
「それって大丈夫だったの? 喧嘩とか」
「してたな。特に最初顔を合わせた時は険悪なムードだった」
アクロコが何か喋る度にペンヨウが噛み付いて、俺が仲介して……一通り怒りをぶつけて落ち着いたのか、それともアクロコの言葉に思うところがあったのか。それ以降怒るような事は無くなったな。
ただししょうもない喧嘩は続ける。お前らもう敵とか味方とか関係無く単に馬が合わないだけだろ。一緒にゲームしてる辺り、嫌悪してた頃よりかは仲は深まったのだろうが。
「そのキャラはペンヨウが使うセイ!」
「ワニャワのお気に入りを取るなワニ!」
「全部同じに見えるライ」
「「お爺ちゃんだからそう見えるセイ」」
「誰が爺さんライ! そんなに言うならライヨウも混ぜるライ! 長生きしてきた実力を見せつけるライ!」
俺はアクロコとペンヨウへと視線を向ける。口喧嘩自体はずっとしているが、直接手を出すようなマネはしない辺り、ペンヨウの中でも区切りはついたんだろうな。
他の妖精達はアクロコのした行動をそこまで気にしてないのか、それとも表に出さずに心の内に秘めているのか……。
てか、他の妖精言ってもクラヨウはライヨウを爺さん呼ばわりした事で怒りを買った結果、干物のように乾いてリビングの端っこに倒れていて、自身を王様と名乗ってたフクヨウは俺を見つめ続けていて、ライヨウは安い挑発に乗っているんだけどな。
フクヨウ以外の妖精はみんな俺の話聞く気あるの? それとライヨウは見え見えの挑発に乗るな、2匹も2匹で煽るんじゃねぇよ。
「ははは……」
「しょうもない事で喧嘩してるわね」
「今はな。最初の頃は互いに敵意を向けてたんだぜ? その頃から考えると、敵意が無くなっただけでも充分マシだ」
「落ちろセイー!」
「ペンヨウこそ落ちるがいいワニ!」
アクロコとペンヨウがゲーム内で、お互いを場外へ押し出そうと、相手を奈落へ落とすそうと崖際で醜い争いを繰り広げていた。おい待てステージ外に落とした瞬間に、キャラクターを屈伸させて煽るの止めろ。
「敵意、本当に無くなってますか?」
「黙秘権を使わせてくれ」
なぁ2匹とも。ゲームに夢中で話を聞いてないのかもしれないけどさ、せめて良い話を台無しにするの止めてくれない?
「あー……俺はペンヨウが口を滑らした時に、1匹で居た理由を聞いていてな。ペンヨウにマホの所を戻るよう説得したんだ。結果としては、言わなくても分かるだろ?」
「そうですね」
「その後はペンヨウを返すため、第三者の目に触れなくて尚且つマホ達と会わせられるよう、人の少ない朝の学校へ来るよう持っていったんだ」
「じゃあ! あの時の手紙って」
「あの時の手紙ってのは、勇子の家のポストに入ってた手紙か? あれなら俺が書いた。此方から直接接触すると怪しいだろうから、ペンヨウに家の場所教えてもらってポストに入れた」
今は現在進行形で秘密を共有してるからそんな回りくどい方法を取る必要は無いが、あの時は俺としてもペンヨウとしても、マホ達に魔法少女関連の話は伏せておきたかったからな。
まぁ秘密関係無く、同級生が唐突に「ペンヨウ届けに来たぞ」って家まで来るのは怖いだろうからな。しかも事情を何も話してない、行方不明のペンヨウを連れてきた、家の場所を教えてないの3点付き。うん、これは警察に通報される事案だな。
「力男が色々知っているのは分かったわ。でもペンヨウが今日ここに居る理由は何かしら? まだ話してないわよね」
「それは単純に遊びに来たんだろ」
「あ、遊びに……?」
「ペンヨウを朝の学校に運んだ時に、俺は「何かあれば相談になる」と言ったんだ。それ以降、相談と言う名目で俺の家に来るようになったんだ」
もはや来るのが当たり前になりつつあるから、ペンヨウ用にアイスやジュースを多めに買っていたりする。
俺自身とアクロコ、ペンヨウ用と3人分近くの食料をいつも買っているが、金はまだあるので問題無い。無駄遣いはしないようにしてるがな。
そして当然だが、その金の出所は俺の両親だ。前世を含めたら実年齢がとっくに20歳を越している俺だが、あくまで歳を喰っているだけで身体はまだ中学生だ。
働くにしてもこの身体だと限界があるし、株で稼げる程頭が良いわけでもないからな。金銭面などを両親に頼るのは仕方無いだろう。
幸いにも両親は俺1人を日本に置いても心配無いと信頼されているのか、金銭面について聞かれることはない。友達はちゃんと居るのかとか、病気に注意しろとかは電話で言われるけどな。
「そうだったんだね。良かったぁ、何か事件に巻き込まれてるのかと思ってたんだ」
「良かったねマホちゃん」
「えぇ。何もなくて良かったです」
「でも心配ね。もしアクロコが悪事を企んでたりしないかしら」
ペンヨウに何も無かった事に安堵する3人だが、緑だけはアクロコの存在を警戒していた。他3人が騙されやすい……少し言い方を変えると人の言葉を素直に受け取って流されやすいが、緑だけは警戒心が強いようだ。
「あー! また負けたセイ!」
「ワ、ワニャワが……負けた?」
「年寄りを舐めるなライ!」
緑は視線をペンヨウとアクロコへと向ける。その先には、爺さんと呼んで挑発したライヨウに、ゲームで惨敗している2匹の姿があった。
え、いや……爺さん強くね? アクロコって俺と同じくらいの強さなんだけど。俺達が弱いだけかもしれないけど、少なくともゲーム初心者のペンヨウを圧倒出来る程度には実力あるんだけど。
俺がその光景を見て呆然としていると、俺の足元にパタパタとアクロコとペンヨウが駆け寄ってきた。
「力男~、ゲーム上手くなる方法教えてほしいライ」
「ワニャワも、ワニャワも教えてほしいワニ」
「ペンヨウが先に頼んだセイよ!」
「そんなの知らないワニ!」
「「ぐぬぬぬぬ」」
「それ以上喧嘩したらゲーム禁止にするぞ」
「「すみませんでしたセイ!」」
「…………やっぱり大丈夫そうね」
喧嘩している2匹を一言だけで止めた光景を見て、アクロコが何か行動しても俺が手綱を握っているから平気と思ったのか。緑は警戒していたのが馬鹿馬鹿しとでも言うかのように、小さく溜め息をつくのであった。
ここで一つ裏話。
今では完全にボツとなって、復活は無いランの設定ですが、一章終わる辺りまでは『ランは力男の事が恋愛的に好き』ってのがありました。
初期の描写で力男に何度も構ってほしいような行動したり、力男の背中に引っ付いていたり、一緒にご飯食べる約束したり、自身の弁当を食べさせたりしているのは、その名残ですね。
没にした理由としては、ランの性格やキャラ像的に恋愛描写あるのは合わないだと思ったからですね。その結果、力男に対して異様に距離の近い友人ポジションに落ち着きました。前回緑の「デート」発言はある意味的を得ていたり。




